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【PTSOI】2日目構築ラウンドまとめ【Day2】

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プロツアー『イニストラードを覆う影』の2日目が終了しました。やはりプロツアートップ8の壁というのは非常に高く、渡辺さんがもう少しのところまでいきましたが惜しくも届きませんでした。4人はトップメタであるバントカンパニーと白単人間を使用したため、2日目ともなるとそれらを強く意識したデッキに苦しめられる場面も多かったようです。
2日目のスタンダードラウンドの戦績と、皆さんの使用デッキについて紹介します。

 

 

●山本賢太郎の場合

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2日目ドラフトラウンドの戦績
1-2

2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績 9-6-1/79位)

ラウンド 対戦相手のデッキ(相手の名前) 勝敗
12 黒緑ハスク 負け(×○×)
13 青黒悪魔の契約 負け(×○×)
14 バントカンパニー 勝ち(○×○)
15 バントカンパニー 引き分け(○×△)
16 黒緑ハスク 勝ち(×○○)

山本賢太郎「バントカンパニー」



3《森》
3《平地》
1《島》
1《荒地》
4《梢の眺望》
4《大草原の川》
4《ヤヴィマヤの沿岸》
4《進化する未開地》
1《伐採地の滝》
1《要塞化した村》


土地(26)


4《森の代言者》
4《薄暮見の徴募兵》
4《ヴリンの神童、ジェイス》
4《反射魔道士》
4《変位エルドラージ》
3《不屈の追跡者》
1《巨森の予見者、ニッサ》
2《大天使アヴァシン》


クリーチャー(26)


4《ドロモカの命令》
4《集合した中隊》


呪文(8)


3《否認》
3《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2《保護者、リンヴァーラ》
3《悲劇的な傲慢》
4《ラムホルトの平和主義者》


サイドボード(15)


 

――マスクをしてあまり体調がすぐれなさそうですが、大丈夫ですか?
山本「グランプリ・北京2016以降あまり調子はよくないんですが、とにかく今回はデッキが難しくて疲れました。もうあまり記憶がないんですけど、気づかずにプレイミスをたくさんしてたと思います。やりながら、なんとなく間違ってるんだろうなというのはわかるんだけど正解がわからないような感じでした。」

――使用デッキのポイントは?
山本「《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer(OGW)》の部分です。そのぶん、《荒地/Wastes(OGW)》を1枚入れてマナベースに負担はかかってるんですけど、土地を1枚足しているのでもともとのバントカンパニーと変わらずに回せるようになっていると思います。」

――もう一度プロツアーに出るなら何を使いますか?
山本「このデッキは絶対使いません。弱いわけじゃないけど、メタのど真ん中なので食い物にされたかなと。互いに大量にクリーチャーが並ぶと《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer(OGW)》も焼け石に水で……。効果的なのは間違いないんですけど、ロックを決めても負けないだけで、《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn(SOI)》のような攻めるカードがないと勝ちにいけない。時間さえかければいつか必ず勝てるけど、時間が限られている大会では無理がありました。」

――次の大会に向けて一言。
山本「プラチナまであと6点なので、次のプロツアーが始まる前にプラチナを確定させたいです。」

 

 

●市川ユウキの場合

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2日目ドラフトラウンドの戦績
0-3

2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績 9-7/119位)

ラウンド 対戦相手のデッキ(相手の名前) 勝敗
12 バントカンパニー 勝ち(○×○)
13 青白エルドラージ 勝ち(○○)
14 白単人間 勝ち(×○○)
15 エスパーPWコントロール 勝ち(×○○)
16 赤緑ランプ(Olivier Ruel) 負け(×○×)

※山本さんの使用デッキ「バントカンパニー」は、市川さんとまったく同じです。

――今日のスタンダードラウンドは4連勝と好調でしたね。山本さんがこのデッキは非常に疲れると言っていましたが、市川さんはどうですか?
市川「やっぱり疲れますよ、長引くし。全部クリーチャーが細かくて、チマチマやるだけで大きく状況を打開できないのが難しい。」

――デッキの調整ポイントは?
市川「《跳ねる混成体/Bounding Krasis(ORI)》の代わりに《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer(OGW)》を入れたことです。もともとはSCG(アメリカの大会)のレシピで使われてるのを見かけて、試してみたら同系に有利がとれるってことで。それと相性のいい《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver(OGW)》2枚をサイドに入れたのもポイントですね。」

変位エルドラージ 保護者リンヴァーラ

――もう一度このプロツアーに出るなら何を使いますか?
市川「これじゃなかったかなとは思います。今回見た中では、赤緑ゴーグルランプ、緑黒コントロールがよかったので、そのへんを使いたいですね。自分ではとてもそこまで思い至らなかったと思うので、これを調整してきた人たちはすごいなと。」

――印象的だった試合はありましたか?
市川「13ラウンドの青白エルドラージとの1ゲーム目で、すごいブン回られてライフが1対20になったところから、ダブルブロックを駆使したり《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer(OGW)》でブリンクしたり《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound(ORI)》の上の能力でパワーを下げたり、細かく細かくしのいでいって逆転勝ちしたところですかね。プロツアーで唯一自分がうまいなと感じた瞬間です。」

 

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市川「これは白単人間との試合で、互いにクリーチャーが並んで+1/+1カウンターや《永遠の見守り/Always Watching(SOI)》でパワー/タフネスがわけのわからないことになったので書きました。上が相手の場のクリーチャーで、《永遠の見守り/Always Watching(SOI)》を壊すと下の数字になるので、それをどうやってブロックするのが一番いいか書きながら考えてました。」

――次の大会に向けて一言。
市川「ゴールドに向けてグランプリ東京でも上積みしていきたいなと。あと、明日は公式のニコニコ生放送で解説やりますんで、放送禁止用語とか言わないように気をつけて、朝早いけど頑張ります。」

 

 

●渡辺雄也の場合

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2日目ドラフトラウンドの戦績
3-0

2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績 11-5/26位)

ラウンド 対戦相手のデッキ(相手の名前) 勝敗
12 白黒 負け(×○×)
13 バントカンパニー 勝ち(○○)
14 赤緑ゴーグルランプ 勝ち(○○)
15 白緑トークン 負け(××)
16 緑黒タッチ青コントロール 負け(○××)

渡辺雄也「白単人間」



18《平地》


土地(18)


4《勇者の選定師》
4《ドラゴンを狩る者》
4《探検隊の特使》
4《アクロスの英雄、キテオン》
4《スレイベンの検査官》
4《町のゴシップ屋》
4《白蘭の騎士》
4《サリアの副官》


クリーチャー(32)


4《石の宣告》
4《永遠の見守り》
2《抗戦》


呪文(10)


3《ウェストヴェイルの修道院》
2《グリフの加護》
2《荒野の確保》
4《ハンウィアーの民兵隊長》
4《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》


サイドボード(15)


 

――3回フィーチャーされましたね。
渡辺「フィーチャー自体は嫌いではないので別にいいですけど、15ラウンド目でフィーチャーされた緑白トークンは相性が悪すぎましたね。やっぱり2日目になると、みんな人間を倒せるデッキを持ち込んできているので。」

――このデッキの調整ポイントは何かありますか?
渡辺「人間ってインスタントタイミングで動くカードがないので、メインに2枚入れた《抗戦/Make a Stand(OGW)》は相手の意識の外から撃ててかなり活躍しました。実際これで勝った試合もいくつかありましたし。ただ重めなので1枚でよかったかも。サイドボードは、覚前君のレシピと違って《ウェストヴェイルの修道院/Westvale Abbey(SOI)》を3枚取って、それをサポートする《荒野の確保/Secure the Wastes(DTK)》も入れています。」

抗戦 ウェストヴェイルの修道院

――今日の構築ラウンドで印象的なシーンなどあれば。
渡辺「バントカンパニーとフィーチャーされた13ラウンドで、相手が撃った《集合した中隊/Collected Company(DTK)》が0枚で、「No~!」ってなっててかわいそうでした(笑)。」

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フィーチャーされた13ラウンドの対戦

――その場面はちょうど見ていました(笑)。もう一度このプロツアーに出るとしたら何を使いますか?
渡辺「うーん……ヤソ(八十岡将太さん)のエスパードラゴンを教えてもらうか……オリジナルデッキかですね。最近のプロツアーで日本勢のデッキはオリジナルはなかなかなくて既存のデッキのアップデートが多いので、新しいデッキを追求しないといけないと強く思いました。今は新しいカードにかなり可能性がある環境なので。」

――次の大会の予定は?
渡辺「来週末にMOCS(「マジック・オンライン」での、トッププレイヤー限定イベント)のプレーオフがあるので、短い時間ですけど、新環境を模索したデッキで出られれば。」

 

 

●覚前輝也の場合

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2日目ドラフトラウンドの戦績
1-2

2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績 9-7/89位)

ラウンド 対戦相手のデッキ(相手の名前) 勝敗
12 赤緑ランプ 負け(○××)
13 バントカンパニー 勝ち(○×○)
14 バントカンパニー 負け(××)
15 赤青白PWコントロール 負け(×○×)
16 白単人間(中村祐矢) 負け(×○×)

覚前輝也「白単人間」



19《平地》


土地(19)


4《ドラゴンを狩る者》
4《探検隊の特使》
4《アクロスの英雄、キテオン》
4《スレイベンの検査官》
4《町のゴシップ屋》
4《白蘭の騎士》
4《サリアの副官》
3《勇者の選定師》


クリーチャー(31)


3《石の宣告》
4《永遠の見守り》
3《グリフの加護》


呪文(10)


4《ハンウィアーの民兵隊長》
4《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
3《徴税の大天使》
2《ウェストヴェイルの修道院》
2《抗戦》


サイドボード(15)


 

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中村祐矢さんとの同系対決

 

――昨日は「ここであと1枚引かれたら負ける!」というところで相手が必ず引かず、流れが来ていたということでしたが、今日は来ませんでしたか。
覚前「そうなんですよ。12ラウンド目、こっちの場が《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》、《永遠の見守り/Always Watching(SOI)》×2枚、相手は6マナあって手札0でライフ2。もうほぼ勝ちじゃないですか。そこで相手に《炎呼び、チャンドラ/Chandra, Flamecaller(OGW)》をトップデッキされて負けました。昨日は後手土地1枚でキープしてもいけてたけど、今日はずっと土地1枚のまま、気づいたら相手の場にプレインズウォーカーが2体並んでたこともありました。でも、『流れが悪かった』だけで片付けたくはないんですよね。流れのせいにはしたくない。」

――流れ以外の要因としてはどんなものが?
覚前「白単人間は強いけどみんなにとって想定内のデッキなので、負けるときは負けるなと。みんなの予想を上回るような新しいデッキを見つけないと、勝ちきれないなと思いました。」

――デッキで何か自分なりに工夫したことはありますか?
覚前「1ターン目に《アクロスの英雄、キテオン/Kytheon, Hero of Akros(ORI)》を出して、3ターン目にクリーチャー3体で殴って《アクロスの英雄、キテオン/Kytheon, Hero of Akros(ORI)》が裏返るのが一番のブン回りパターンなんですけど、それを期待して4枚にしたことですね。2枚引くリスクがあっても常にブン回りの可能性を高めたかったから。あと、《グリフの加護/Gryff’s Boon(SOI)》は2枚のレシピが多いんですが、引かないと勝てないマッチもけっこう多いんで、《石の宣告/Declaration in Stone(SOI)》を無理やり削って3枚に増やしました。」

アクロスの英雄キテオン グリフの加護

 

――サイドボードに関してはどうですか?
覚前「《抗戦/Make a Stand(OGW)》は重くて撃ちにくかったので、《荒野の確保/Secure the Wastes(DTK)》を入れて《ウェストヴェイルの修道院/Westvale Abbey(SOI)》の奇襲性を高めたらよかったです。」

――次にプロツアーに出るならこのデッキを使いますか?
覚前「白単人間のポテンシャルは知れてるので、もっと新しいデッキを探してみたいですね。今回いろいろ当たった中で、《先駆ける者、ナヒリ/Nahiri, the Harbinger(SOI)》が強いなと思ったので、うまく使えるデッキを探したいです。」

――グランプリ・東京2016までに作るのはさすがに難しいでしょうか。
覚前「2週間あれば全然いけると思います。その間ほかのフォーマットの大会もないので、集中して練習して何か新しいデッキを持っていきたいですね。」

 

 

●2日目の風景から

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ランチは近所のお店でテイクアウトしたサンドイッチ。うどんかポップコーンの容器のような銀色の入れ物に入って、ボリュームたっぷりでした。

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覚前さんが2日目の成績が芳しくなくてたそがれていると、突然地元のマジックファンの家族がやってきてサインを求められました。スペイン語で明るくまくしたてられて、少し元気が出たかも?

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晩ご飯はイタリアンのお店でパスタを食べつつ、夏に向けての新ユニフォームや、渡辺さんによるドラフト指南の記事について相談しました。おいしいサングリア(ワインにフルーツを漬けたドリンク)で乾杯!

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チョコレートのピザにアイスを乗せたデザート。大きいです。

 

PTSOI取材記事はこれにて終了です。
が、3日目にメンバー2人による新企画の記事も用意しております。GP東京前までには必ず出したいと思いますのでお楽しみに!

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