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Team Cygames『異界月』合宿レポート

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新セット『異界月』の発売直後となる7月22日(金)~24日(日)、Team Cygames恒例のドラフト合宿が行なわれました。今回は合計18人が参加する大所帯で、2卓のドラフトを同時に行ない、内容の濃い練習となりました。
(※本取材は2016年7月24日(日)に行われたものです)

 

Staff
参加メンバー一覧(敬称略)順不同
山本賢太郎 、市川ユウキ 、渡辺雄也 、覚前輝也 、三原槙仁 、玉田遼一 、石村信太朗 、瀧村和幸 、松本友樹 、熊谷陸、菅谷裕信、加藤健介 、加藤一貴 、中村さら 、中村肇 、行弘賢 、高尾翔太 、井上徹

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Cygamesの受付ロビーには、今までに会社が受賞したトロフィーなどと並んで、市川ユウキさんがグランプリ・台北2016で獲得した優勝トロフィーを飾っています。

 

 

 

●地方からも集めた総勢18人

――今回の合宿は大人数ですね。
市川「18人で、2人ずつ休憩を入れて2卓回しです。」
渡辺「今回は僕が人数調整したんですけど、すごい大変でした……。前回はやまけん(山本さん)が調整役やって、今回は俺がやったから、当番制にしようか?」
覚前「それ、絶対次止まるやん!(笑)」
市川「やばいやばい。」

――渡辺さんが連絡をとって人を集めたんですか?
渡辺「そうですね、前回の合宿にいた人+αですけど。みんなそれぞれ呼びたい人がいて、でもあんまり人数を増やすと、ドラフトできる機会が減っちゃうよねって相談した結果、今回は2卓立てることにしました。遠方から来てくれて、ホテルから通っている方もいます。」
市川「大阪からたまちゃん(玉田遼一さん)、仙台から熊谷(陸)さん、九州から井上(徹)君。地方のプレイヤーって、このタイミングでドラフト練習するのってけっこう難しいし、そもそも8人集めるのも難しいから、遠征費払ってもメリットはあったんじゃないかなと。」
覚前「絶対いい機会だと思うよ。」
市川「やっぱり2卓あるといいね。毎回0-3と3-0が2人ずつ出るから。」
覚前「何がいけないのか何がいいのかがわかりやすい。」
渡辺「ドラフトのデータが倍とれるんで、理解度が深まりました。」

――2卓の間で人の入れ替えは?
渡辺「適当にランダムにやってたかな。」
覚前「でも昨日はTeam Cygames、ずっと3対1だったよね。」
市川「ずっと俺1人で、ほか3人がずっと一緒で、『あれ? 家族だと思ってたけど、俺だけよその子だったかー』みたいな(笑)。」
渡辺「でもずっと1人ではしゃいでてうるさかったよ(笑)。」

――今回も朝から晩までドラフトをやっているんですか?
渡辺「朝は9時スタート、夜は23時半くらいまでやったかな。」

――すごい。何回くらいドラフトをしましたか?
渡辺「金曜日は1卓回しで3回やって、土曜日に2卓で5回ずつ、計10回。今日2回ずつやってて、このあと2回できるくらいかな。全部足したら……21回くらい?」
山本「現時点で、最高で10回ドラフトやってる人がいるけど、さすがに10回はナベくらいかな? 俺は1回抜けたから。」
市川「俺は来てからはずっとやってるから、8回。」
覚前「僕も8回かな。」

――けっこうな数ですね。皆さん調子はどうですか?
全員(口々に)「ぼちぼち……。」「ぼちぼちでんなー。」
市川「俺は勝ち越してはなさそうだけど、どうだったかな?」

――ここに中村さらさんが書かれた戦績表があります。

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メンバーごとに、何回目のドラフトで何勝したかが一覧になっています。数字はドラフトが何回目かを表しています。

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こちらは毎回誰が何色のデッキを使ったかというリストです。これを集計すれば、強い色と弱い色のデータが取れます。

 

山本「すごい! わかりやすい。」

――覚前さんはこれによると2-1が4回、1-2が4回ずつなんですね。
覚前「こんな平均的になる人、なかなかいないでしょ(笑)。」

――なべごくの記事で、「2-1の安定ドラフトを練習しよう」という話になりましたが、それを目指したんですか?
覚前「いや、いつもドラフトの練習を同じような感じでやってたんで、今回はいろいろなカードを試そうとしたんですよ。試したわりに、成績はなぜか平均的になったんですけど(笑)。」
市川「この表を見ると、俺は1回0-3したぶんだけ負け越してるな。だから借金3。」
山本「俺はちょうど勝ち負け同じだから、借金0。」
覚前「セ・リーグで言ったら4位くらいだね。」
渡辺「僕は貯金4かな。」
山本「パ・リーグいけるんちゃう?」

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手前と奥にドラフトの卓が2つあり、それぞれ試合進行中です。

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覚前さんは、石村さんと相談しながらのピック。

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デッキ構築中。

 

 

●環境の大きな変化

――ドラフトの新環境について、強くなったと思う色やアーキタイプは?
渡辺「『イニストラードを覆う影』×3だった前環境では緑が一番強かったですが、緑が最弱になりました。前提として、そもそもアーキタイプに寄せるような感じじゃないと思います。」
覚前「吸血鬼は強いよ。」
渡辺「吸血鬼っていうか、マッドネスじゃない?」
市川「マッドネスはしやすくなったね。」
渡辺「キーワード能力で一番強いのはたぶんマッドネス。小型エキスパンションを2つ使うから同じカードが出やすいんですけど、その中で噛み合ったときにマッドネスが一番テンポよく攻められるし、コモンでも一応デッキが組める。」

――昂揚はどうですか?
市川「昂揚して強いカードがあんまないんですよね。おまけ要素程度。」
渡辺「デッキに昂揚が入ってたら、達成するようにデッキは組むんですけど、昂揚メインではないなと。」
山本「これは昂揚デッキです、と言えるようには組めないね。」
市川「色としては、青は強くなった。カードが全部強い。」
渡辺「青・赤・黒が強くて、青はすべてのデッキの補色になるので使いやすいです。だから2色目として使う人が多くて、卓に青4人とかも全然ある。」

――前は緑の取り合いだったのに。
市川「緑は全然勝ってないです。ほんとに弱い。」
渡辺「卓に2人までですね。」
市川「3人いると、みんな1-2以下になってもおかしくないレベル。」
渡辺「前の環境で強かった狼男は、今回マナを払って変身するので、テンポが遅くなってますね。ひっくり返すのにターンがかかるのに、スペックも高くないからあまり使いたくない。緑は白と組み合わせて人間シナジーがぎりぎりいけるくらいですけど、弱い色2つの組み合わせなので……。」
覚前「それに、カギになる2マナの装備品がねー。」
市川「『イニストラードを覆う影』が1パックだけになったから、今までは寝てても《信条の香炉/True-Faith Censer(SOI)》が取れたんですけど、今はどんなに目が覚めてても取れない。」
渡辺「ギンギンなのに取れないよね(笑)。」

――青・赤・黒の強さは、どこから来ているんでしょうか。
渡辺「相手のクリーチャーにさわれること。」
市川「今回はクリーチャーの質が、緑だから大きいとかがなくて、画一的なんですよ。青にはバウンスがあったり、赤には火力があったり、黒には除去があるのに、緑にはサイズという優位性がなくて、何もとりえがない(笑)。白も除去は一応あるけど、『攻撃と防御ができない』みたいなやつだから、システムクリーチャー(戦闘以外の能力で貢献するクリーチャーの総称)は止まらないし、環境に現出があると使いづらい。」

――なるほど。そうするとドラフトでこれをやりたい、というのがあまりない感じですか?
渡辺「現状やりたいと思えるのは、青赤スペルコントロールくらいかな。カードが全体的に弱くて、カード同士のシナジーも薄くて、古い時代のリミテッドをやってるような感じがしますね。」
市川「互いに並べ合うんで、5ターン目に終わるとかはない。飛行も少ないし。」

画像 今日 9-31-24

 

 

●カードと新能力評価

――では、『イニストラードを覆う影』で評価が上がったカードはありますか?
渡辺「墓地から帰ってくる1マナ1/2(《療養所の骸骨/Sanitarium Skeleton(SOI)》)なんかはすごく上がりました。初手で取りたいくらいです。」
市川「ディスカード手段がほとんどの色にあるので、組み合わせがいい。」
渡辺「シナジーが薄い環境の中で、このカードとかでシナジーが形成できると勝つって感じかな。」

――逆に、前は強かったけど見向きもされないようなカードは?
渡辺「装備品があると+1/+0の《戦闘的な審問官/Militant Inquisitor(SOI)》とか。《信条の香炉/True-Faith Censer(SOI)》がなくなったし、普通に一周してる。」
山本「あと、調査がいなくなっちゃったんで、調査シナジーのカード全般が弱くなりました。《墓モグラ/Graf Mole(SOI)》とか。」
渡辺「Aさん……調査を増やす《エルドワルの照光/Erdwal Illuminator(SOI)》とか。」

――Aさん?
市川「前回の合宿で松本A(友樹)さんが、それが大好きで初手でピックしてたから、Aさんって呼ばれてるだけです(笑)」
渡辺「『何かして調査する』ってカードはいいんですけど、『調査があると強い』ってカードは厳しいですね。」

療養所の骸骨 戦闘的な審問官

墓モグラ

――現出に関してはいかがですか?
市川「強い。」
渡辺「僕は不評です。」
市川「えっ!」
渡辺「僕はあんまり使いたくないです。先手だとすごいマウント取れるんで強いですけど、後手だと3ターン目に戦闘ができなくて弱いんで。現出用に出したクリーチャーに対処されると2テンポ損しちゃうんで、評価が低いです。」
市川「とはいえ、コモンの現出って3/4飛行(《不憫なグリフ/Wretched Gryff(EMN)》)しか存在してないに等しいんだよね……虫トークンが出る《忌まわしい群れの存在/It of the Horrid Swarm(EMN)》のほうは使わないから。」
渡辺「だから、アーキタイプにはならないんだよね。アンコモンは軒並み強いけど、コモンでは組めないし、たくさん取っても手札でかぶるから、デッキに2、3枚入れるのが限界だし。」

――《不憫なグリフ/Wretched Gryff(EMN)》は強いですよね。
市川「あれはめちゃ強いから、みんなに適当につまんで取られちゃう。」

不憫なグリフ 忌まわしい群れの存在

――現出はデッキのアクセントとして入るくらいで、先攻だと強いというイメージですね。では、合体はどうですか?
渡辺「《騒がしい徒党/Chittering Host(EMN)》はよく決まりますけど、これ以外はレア以上なので、合体したのは見たことないですね。」
市川「《騒がしい徒党/Chittering Host(EMN)》は、けっこう合体して勝ちますよ。場が膠着しやすいので、そのターンの威迫ですごい削ったりとかできる。」
渡辺「僕、昨日2体合体して殿堂を介錯しましたよ(笑)。」

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市川「《夜深の死体あさり/Midnight Scavengers(EMN)》が普通に強いから、とりあえずそれを取ってると、《墓ネズミ/Graf Rats(EMN)》のほうは弱いから流れてきて、2枚ずつとかは結構揃うんです。」

――じゃあ《墓ネズミ/Graf Rats(EMN)》はカットすることもありえる?
市川「何も取るものがなければ、取ります。」
渡辺「この環境、《棚卸し/Take Inventory(EMN)》とか複数集めると強いカードが多いので、そういうのはカットしますね。」

夜深の死体あさり 墓ネズミ

棚卸し

――プロツアーに向け、合宿を通して「つかんだ」実感はありますか?
山本「もちろんありますよ。」
渡辺「合宿で鍛えた分、今まで通りいけるかなと思います……ただ今回はプロツアーの参加人数が少なくて、強豪ばかりでドラフトの平均レベルが高いんじゃないかと思うんで、ちょっとわからないですけど。」
市川「算数できたら今回のプロツアーには来ないからね。」

――えっ、そうなんですか?
渡辺「ビザの関係で次のプロツアーに参加権利を移せることになったんですけど、今回がシーズン最後のプロツアーなので、ゴールドレベルがかかった人とか、来期のプロツアーも全部出られるような人じゃないかぎり、次のプロツアーに出たほうが得ですからね。」
市川「いろんな条件で、もちろん来る人もいるけど、来ないほうが正しい人も多い。」

――なるほど。どうなるかは現地に行ってみないとわからないですね。それでは、皆さんだいぶお疲れ気味のようですので、このへんで終わりに……。
市川「大丈夫です!」
渡辺「まだあと10回はドラフトできますよ!」

 

 

●おまけ
Team Cygamesスリーブの変遷

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白と黒の2種類が存在する、非売品のTeam Cygamesスリーブ。プロがプレミア・プレイのイベントで安心して使用できるクオリティを実現するため、改良に改良を重ねて今日に至ります。(まだ完璧に完成してはいませんが…)最初はマット加工のしてある素材で作られていましたが、指紋がつきやすく傷が目立つため光沢のある材質のものに変更。すると今度はロゴの白い部分が透けてしまうことがわかり、スリーブの内面の銀色部分の塗料を変えたり素材を変えてみたりして透けるのを防ぐようにしました。しかし、透けがカバーできても表面の傷の目立ちはカバーできず、もはや国内の素材では最良のものが作れないということになり、海外の素材で光沢とマットの中間にあたる材質のスリーブを製作しました。通算6回目の製作でほぼほぼ完成形のスリーブが完成しました。今回のプロツアー『異界月』ではTeamCygamesメンバーにこのスリーブを使用してもらう予定です。なおサイズは最初からずっと同じで、ダブルスリーブ用となっており、内面は写真を撮る際に反射しないように少しスモークのかかったような素材を使用しています。

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最新のスリーブの試作品を合宿で皆さんに使っていただき、使い心地などを検証してもらいました。

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