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【WMC2017】日本代表、ニースでチームワークを発揮!【Day1】

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12月1日(金)~3日(日)、2017年の締めくくりとなる一大イベント、ワールド・マジック・カップが開催されます。

この大会にTeam Cygamesの渡辺雄也さんと八十岡翔太さん、そして「7人目の〈MUSASHI〉」こと原根健太さん(Hareruya Pros所属)が日本代表として出場ということで、皆さんの活躍ぶりを見届けるべく我ら取材班もはるばるフランスにやってきました。
世界中の73の国と地域から、各3人の代表チームがここニースに集合。3日にわたって世界一を競います。

ニースは地中海に面したリゾート地です。さすがに今は寒いですが街並みがとても美しく、マティスやシャガールといった有名な画家たちがここで活動していたというのもうなずけます。

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ワールド・マジック・カップの会場を一歩出たテラスからは、プレイヤーたちが泊まっているホテルや後ろの丘が一望できます。

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いかにも南欧という感じがする、街角の窓。

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会場にいた《戦場の詩人、ファートリ/Huatli, Warrior Poet(XLN)》。ちゃんと3/3の恐竜も連れています。

 

 

 

●大会前の過ごし方

――皆さんは先週グランプリ・リヨン2017に出て、火曜の夜、電車でニースに到着しましたよね。水曜は何をされてたんですか?
八十岡「水曜は1日飛びましたね。まず朝起きてホテルの朝食を食べて、さあやるかと思ったらMO(マジック・オンライン)がメンテで何もできず。」
原根「火曜夜は旅疲れで到着後すぐ寝ちゃったから、水曜日ちゃんとやるかって思ってたのに、6時間くらい何もできなくて腐ってました。」
渡辺「しょうがないから僕、シャドバ(『Shadowverse』)のランクマッチやってましたよ。で、メンテが明けた瞬間、急に体調悪くなった(笑)。」
八十岡「シャドバのせいじゃん(笑)。」
原根「薬持ってないって言うんで、風邪薬を渡しました。メンテ明けた瞬間からはガリガリやって……」
八十岡「気づいたら23時でしたね。昼飯も晩飯も食わず、誰も一歩もホテルから出てない。」

――朝から何も食べなくて、お腹すかないんですか?
原根「ヤソさんと僕はポテチとコーラをキメてたので、大丈夫です(笑)。」
渡辺「僕は体調悪くて食欲なかったので。」

――では、木曜はどうでしたか?
八十岡「朝飯食ってMOちょっとやって……」
原根「昼にレジスト(大会の参加登録)に行って……」
八十岡「会場で1回シールドの練習やって、戻ってきて最後にデッキの細かいところを話し合って、夜にデッキ提出して終わりです。」
原根「昼の時点でデッキはほぼ決めてあって、最後の数枚だけですけど。」

 

 

 

●ワールド・マジック・カップとは?

ここでワールド・マジック・カップについて簡単にご説明しますと、1日目はまずチームシールド3回戦があり、『イクサラン』12パックで3人分のデッキを作ります。
その後、チーム共同デッキ構築・スタンダードによる4回戦。これはチーム内の2人以上が同じカードをデッキに入れることができないというルールのスタンダードです。
1日目は合計7回戦を行ないますが、4勝したチームから先に勝ち抜けとなり、それ以降の試合は勝ったものとして扱われます。全体で上位32チームまでが2日目に進出できます。つまり、早く勝てば勝つほど成績が上となり、なおかつ休憩をとることもできる仕組みです。
2日目は、4チームずつのグループに分かれてチーム共同デッキ構築・スタンダードを3回戦ずつ行ない、グループのうち2チームだけが勝ち抜けという流れを2回繰り返して、上位8チームまでに絞られます。
3日目は、8チームによるシングルエリミネーション(勝ち抜き戦)で優勝チームが決まります。

 

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会場入り口

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優勝トロフィーと、ひとまわり小さい準優勝トロフィーが飾られています。

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その国らしい個性豊かな衣装を着ているチームもいて目立ちます。こちらはメキシコ。もし日本チームが何か着るなら、黒帯道着とかはどうでしょうか?

 

 

 

●日本のチームシールドについて

日本チームに配られたパック内容は「中の中か、せいぜい中の上。グランプリだったら7-2くらい」という評価。
そこからA席の原根さんが白黒吸血鬼、B席の渡辺さんが赤緑恐竜(タッチ《戦場の詩人、ファートリ/Huatli, Warrior Poet(XLN)》)、C席の八十岡さんが青黒海賊(《順風/Favorable Winds(XLN)》3枚入り)という組み合わせになりました。

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原根さんのデッキ(平地8、沼8)

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渡辺さんのデッキ(森7、山8、平地1)

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八十岡さんのデッキ(沼8、島8)

1日目チームシールドの戦績

ラウンド 対戦国(勝敗) 3人の戦績
1 VSベラルーシ(WIN) 原根○ 渡辺- 八十岡○
2 VSスロヴァキア(WIN) 原根○ 渡辺○ 八十岡×
3 VSウェールズ(LOSE) 原根× 渡辺× 八十岡-

――どんなデッキを誰が使うか、役割分担は前もって決まっていましたか?
渡辺「ある程度は。僕が緑系で……」
八十岡「僕が青黒、原根君が吸血鬼か適当な赤白の白系。」
渡辺「ヤソと僕はずっとそれでやってたんで、3人目が入れ替わってもそのままです。」

――渡辺さんが中央ですが、国のキャプテンが真ん中と決まっているんですか?
渡辺「いや、そういうわけじゃないです。」

――ほかの国もだいたい強いプレイヤーが中央だったので、決まっているのかと。どうしてこの並び方にしたんですか?
渡辺「先週参加したグランプリ・リヨンで、真ん中の席に白黒吸血鬼が座ってることが多かったんです。PV(パウロ・ヴィター・ダ・モダ・ロサ)やマルシオ・カルバーリョのチームに当たったときもそうだったんで、本番もそうなんじゃないかと。そうすると、僕が使うデッキタイプが相性差で勝ちやすいかなということでこうなりました。」
原根「リヨンでは僕が真ん中で吸血鬼に不利なデッキを使ってたんですけど、13回戦のうち8回吸血鬼に当たって、これはもう偶然ではありえないと。」
渡辺「真ん中に強いプレイヤーが座ってることが多くて、その場合は吸血鬼とか、難しめのデッキを持たせたいということだと思います。」

――実際どうでしたか?
渡辺「1回戦と2回戦は真ん中が白黒吸血鬼でした。」

――やはり読み通りだったと。
原根「1回戦で、僕の試合が先に終わって暇になったんで会場を見て回ったんですけど、ほとんど白黒が真ん中にいました。」

――ああ、1回戦のとき原根さんが席にいなかったのは、偵察に出ていたんですね。
原根「僕が2人に対してできることは何もないので(笑)。」

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構築中の日本チームを、生放送解説者やカバレージの方たちがのぞきこんでいます。

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座る席を交換して、視点を変えながら相談したりもしていました。

――どのような経緯で3つのデッキができましたか?
渡辺「最初に白をざっと見たら白黒吸血鬼向きのプールで、赤白もできなくはないけどあまり強くないからやめて、まず吸血鬼が決まりました。次に、不器用な緑をどう使うべきか、最初青緑を試したんですけど勝てる相手がいなさそうだって話になり、赤緑ならそれなりのデッキになって、余ったカードが青黒に。」
八十岡「黒のパターンは青黒か赤黒で、赤黒ならかなり強いデッキになるんですよ。ただそうした場合、僕のデッキは強くなるんですけど原根君の吸血鬼から《海賊のカットラス/Pirate’s Cutlass(XLN)》を取ることになって強さが下がるし、ナベのデッキも下がって、1強2弱になる。それをやめて、普通×3にした感じですね。」
渡辺「ヤソのデッキに一点集中してもよかったんですけど、ほかの部分を下げすぎるということで、平坦にしました。」

――結果、3人とも2-1できそうなデッキができた感じですね。
原根「7点×3って感じです。」
八十岡「2-1が3人いれば、うまくいけばチームで3-0できるみたいなプランだったんですけど、残念ながら2-1でしたね。」
渡辺「3ラウンド目のウェールズは相手のデッキが強かったんでしょうがないかなと。恐竜の着ぐるみを着てるだけのことはあって、ラス恐竜(《覚醒の太陽の化身/Wakening Sun’s Avatar(XLN)》)に《人質取り/Hostage Taker(XLN)》もそろってたんで。」
原根「7枚ドローからラス(《覚醒の太陽の化身/Wakening Sun’s Avatar(XLN)》)撃たれました。」
八十岡「それはやばいね。デッキ相性悪すぎ。」

――そのあと、原根さんが場に何もない状態で土地だけ置いてエンドしたとき、勝ちを確信した相手がそのエンドの手を握手と勘違いして、一瞬手を出しかけてましたね。
渡辺「そうそう。で、そのあと調子に乗ってフルパンしたら原根君のオールパス(《残骸の漂着/Settle the Wreckage(XLN)》)くらってた(笑)。」

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スロヴァキアとのフィーチャーマッチが、手前の画面に映っています。中央にいるイヴァン・フロックさんが左右のテーブルに移動しながらそれぞれのプレイやサイドボードの相談に乗っていて負担が大きかったため、渡辺さんと自分の盤面に集中できていなかったそうです。

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2ラウンド目の勝敗を決めた最後のゲーム。左右の2人はずっと黙って見守っています。

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3ラウンド目、恐竜の格好をしたチーム・ウェールズとの対戦。

 

 

チームシールドのラウンドを2-1で終えることができ、皆さんは軽くほっとした表情を見せていました。今までに5回ワールド・マジック・カップに出場している渡辺さんによると、初戦で勝ったのは初めてだそうです。
このあとのスタンダードラウンドで2-2できれば、2日目進出が決まります。

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