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【PTOGW】構築ラウンド振り返り【Day1】

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プロツアー『ゲートウォッチの誓い』1日目が終了しました。ここではモダンで行なわれた構築5ラウンド分をまとめます。
デッキは覚前さんだけが使い込んだバーンを使用し、他の3人は津村健志さんにシェアされたほぼ同じ「エムラシュート」を使いました。
環境はおおよそ前日の記事で予測していたものに近く、バーンと親和が二大勢力であり、それに感染とエルドラージが続くといったスピード重視のものでした。どれも墓地を使わないため、対策されていなかった「エムラシュート」は、なかなかの好成績を出していました。なお、このデッキを使っている日本人プレイヤーは、3人と津村さんを除いて他にはいないとのことです。
一方覚前さんは徹底的に練習を積んだにもかかわらず、0-4と残念な結果になってしまいましたが、これからへのステップの1つとして前向きにとらえていらっしゃいました。
それでは、1人ずつにコメントをいただいて振り返っていきましょう。

 

 

●市川ユウキの場合

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休憩中に真剣に一人回しをする市川さん。

 

1日目ドラフトラウンドの戦績
2-1

1日目モダンの戦績(通算戦績 5-3)

ラウンド 対戦相手のデッキ 勝敗
4 トリコキキジキ 負け(××)
5 アブザンカンパニー 勝ち(○×○)
6 4色召喚の調べ 勝ち(○○)
7 感染 負け(○××)
8 バーン 勝ち(×○○)

デッキ選択について

先手環境とはいえ、この「エムラシュート」デッキは後手でも《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》が走ればまくれるデッキ。ただプレイングは難しくて、《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound(ORI)》やハンデス(手札破壊)に《血清の幻視/Serum Visions(5DN)》でトップに積むかどうかなど、ミスする要素しかない。《信仰無き物あさり/Faithless Looting(DKA)》も安易には撃てなくて、どこまで待てば一番受けが広いかとか、ゲーム展開によって変えないといけないので難しい。《グリセルブランド/Griselbrand?(AVR) 》を出したら勝つデッキではなくて、出して7枚引いた後でもう一段階やらないといけなくて、相手にどういう妨害手段があるか考えて、ハンデスやカウンター一発で沈まないような一番丸い7枚を残さないといけないのも、またすごく難しいですね。

勝因と敗因

勝因は環境に合ってたこと、デッキが強かったこと。2日目をやってみないとまだわからないけど、かなりいいデッキだと思う。感染とマーフォークにだけ弱いので、そこに当たらなければ……。感染はクロックが早くてカウンターもサイド後入ってくるので、きついです。感染に負けてしまった同じラウンドで山本さんが感染に勝ってるけど、すごい。さすが。

明日の目標

ドラフト2-1、モダン4-1で終えてプロポイント10点がほしい!ゴールド維持したい!

 

 

●山本賢太郎の場合

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ラウンド5でプロツアーチャンピオンAri Laxさんと対戦する山本さん。あとで、「さっき対戦後に怒って見えたかもしれないけど、あれは君に怒ったんじゃなくてカードに不満を持っただけだから、ごめんね」とわざわざ謝りに来てくれました。

 

1日目ドラフトラウンドの戦績
1-2

1日目モダンの戦績(通算戦績 5-3)

ラウンド 対戦相手のデッキ 勝敗
4 ナヤZOO 勝ち(×○○)
5 アブザンカンパニー 勝ち(○○)
6 ZOO(高速型) 負け(××)
7 感染 勝ち(○○)カイ・ブッディ
8 潜在能力エムラ 勝ち(○○)

デッキ選択について

環境的に、墓地対策が積まれていないだろうという読みが合っていました。
ドローで引く確率を考えてスペルをキャストしなければならないタイミングがあったり、局面によってはとても難しいデッキですけど、初手で勝てるような手札が来ることが多くて、さほど悩まずにすみました。総プレイ時間は20分くらいしかなかったかも。

勝因と敗因

デッキ自体が強くて、唯一負けたラウンド6は、《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》とかが入っている速いデッキ。スペルを撃つ順番をミスしたのと釣り竿を引かなかったのが原因なので、ミスしなければ十分勝ててました。あと、先手を4回取れたのもよかったですね。

明日の目標

ドラフト2-1と構築4-1で、通算5敗にまとめたいです。

 

●渡辺雄也の場合

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ラウンド8で親和にブン回られて苦笑する渡辺さん。

 

1日目ドラフトラウンドの戦績
2-1

1日目モダンの戦績(通算戦績 6-2)

ラウンド 対戦相手のデッキ 勝敗
4 無色エルドラージ 勝ち(×○○)
5 グリクシスハルクリアニ 負け(×○×)
6 ブルームーン 勝ち(○○)
7 4色スケープシフト 勝ち(○○)
8 親和 勝ち(×○○)

デッキ選択について

双子がいなくなり、やりたいことをやるデッキばかりの環境になったのと、墓地対策が薄かったこともあって「エムラシュート」にとって全体的に楽なゲームだったと感じた。

勝因と敗因

4-1できたのは、全部先手を取れたことも大きいです。唯一負けたラウンド6の敗因は、速さ勝負に負けたことと、珍しいデッキなのでよく知らなくて細かいカードの選択ミスがあったから。「エムラシュート」は墓地を対策されてもまだ道筋があるが、このハルクデッキは墓地対策があったら必ず負けるデッキなので、よく持ち込んだなと驚きました。

明日の目標

トップ8入り!
目安としては3敗1引き分けが必要なので、明日はドラフト3-0、モダン3-1でID(合意の上での引き分け)できるのがベストの展開です。

 

 

●覚前輝也の場合

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ラウンド4でジョシュアターレイトンさんとバーン対決をする覚前さん。

 

1日目ドラフトラウンドの戦績
2-1

1日目モダンの戦績(通算戦績 2-5)

ラウンド 対戦相手のデッキ 勝敗
4 バーン 負け(×○×)
5 緑白カンパニータッチ青(《聖トラフトの霊》) 負け(××)
6 バーン 負け(○××)
7 親和 負け(××)
8

勝因と敗因

速いデッキと速さ対決をしていた1日でした。使い慣れたデッキをずっと練習してきましたけど、先手が取れないと厳しい環境で後手が多く、ラウンド6が唯一の先手だったのに3ゲーム目マリガンして土地が1枚で止まってしまったりして、ツイてなかったです。

覚前さんは「あーやられた!」と言いつつもさばさばした表情でした。ご本人の言葉で感想をお届けします。
覚前「初日落ちっていう結果になりましたけど、このプロツアーを1回負けただけなんで、1回の結果については特になんとも思ってないです。練習はもっと効率的にできたとは思うけど、デッキについて『こうしておけばよかったな』と後悔するような部分はないし、結果がこうなったのはしょうがない。今の自分には、プロツアーで勝つ実力はまだ足りていないと思うので、ついてなかったらこれくらいにはなります。
正直言って、昨年僕がグランプリ優勝したりしたのは、上ブレてた(運よく実力より上の結果を出した)だけなんで。今年の成績が妥当くらいなので、今は地力を高めていって、来年にはプロツアーで勝てるのが当たり前くらいになりたいと思います。今回は階段を登る途中の1つのステップとして、いい経験になったなっていう感覚です。」
覚前さんは冷静に自分の実力を把握し、長い道のりを見据えて着実な成長を目指しているということがよくわかるコメントでした。

 

 

●おなかペコペコ!

朝ご飯はあまり食べず、昼ごはんも会場すぐ近くのサブウェイや、売店のホットドッグで簡単にすませたチームメンバーの皆さん。
今日のディナーはスポーツバーのようなお店で、チーズフライなどの盛り合わせと、甘辛のバーベキューソースをからめたフライドチキン、分厚いハンバーガーとポテトといった、「これぞアメリカ!」というメニューを注文しました。

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おなかをすかしてディナーの席につきます。

その席で覚前さんが言った、2回戦でMike Fronさんに奇跡的に勝ったが、すごくオーラがあってプレイングがうまかったという感想から、うまいプレイヤーは誰かという話になりました。「ナベは世界中のプレイヤーの中で自分がどれくらいうまいと思ってる?」と質問され、「30番目くらいかな」と答える渡辺さん。市川さんは「いやいや、さすがに5番目以内には入ってるでしょ!」と言いますが、世界のトップレベルにいるからこそ、渡辺さんの中ではまだまだうまいプレイヤーがたくさんいると肌で感じるのかもしれません。
覚前さんに「明日は観戦勢なんだけど、誰を見るのが一番勉強になるかな?」と聞かれた渡辺さんは、「現代マジックで一番うまいのは、Owen Turtenwald(常に世界ランキング上位にいるオールラウンダー)かMike Sigrist(2014-2015シーズンのプレイヤー・オブ・ザ・イヤー)。William Jensen(古豪の殿堂プレイヤー)もうまいけど、老練の技って感じだからあまり参考にはならないかも。あとショータ・ヤソオカって人はピックもプレイもすごいけど、独特でやっぱり参考にはならなさそう(笑)。」山本さんも「ダントツでMike Sigristがうまいから、一番勉強になるんじゃないかな」とアドバイスしていました。
覚前さんは2日目にはプレイヤーとしては参加しませんが、観戦して学ぶことによって、もっとうまくなるための努力を惜しみません。プロツアーは今回だけではなく、まだまだずっと続いていくからです。

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