【PTOGW】プロツアーを終えて見据える先は【Day3】
今回のプロツアーでは、世界的に知名度が高い渡辺さんがTeam Cygamesに加入したばかりということで、海外からの注目度が格段に高まっているのを感じることができました。海外版カバレージに取材されてチーム紹介の記事が掲載されたり、渡辺さんと山本さんがフィーチャーマッチに呼ばれ、世界中に映像で中継されたりと、広く知られるきっかけとなりました。これから4人で活動していくTeam Cygamesですが、世界の強豪チームと肩を並べられるようこれからもますます精進していければと思います。
●それぞれの3日間
さて最終日となる7日(日)、チームメンバーの皆さんは何をしていたのでしょうか?
市川さんは仲良しのAndrea Mengucciさんとドラフトをしたかったのですが、彼が飛行機の都合で早く帰らなければならずできませんでした。そこで8人ドラフトをやったあと、準々決勝で敗れてしまった中村修平さんを交えて、Alexander HayneさんとMartin Juzaさん(それぞれカナダとチェコのプロプレイヤー)らとチームドラフトをしました。
市川さんはイタリアのAndrea Mengucciさんと、プロツアー『ニクスへの旅』で最終戦をID(合意の上の引き分け)して共にトップ8に入り、似たデッキを使っていたので「お互いがんばろう」と励ましあったことをきっかけに仲良くなりました。今大会中、彼が市川さんに「次の日本のグランプリはいつなの? 東京? じゃあ遊びに行くから君の家に泊めてよ。一緒にクラブとか行こうよ!」と話しかけてきました。市川さんは「日本の家の狭さ絶対わかってないでしょー」と言いつつも、すごく楽しみとのことでした。
渡辺さんと覚前さんは、グランプリ・ワシントンD.C.2016に向けてチームシールドの練習に励みました。覚前さんのチームはグランプリ・北京2015と同じく八十岡翔太さん・加藤一貴さんとの3名で、北京のリベンジに燃えているとのことです。渡辺さんのチームはHareruyaPros所属の齋藤友晴さんと、Christian Calcanoさん(日本のサブカルチャーが好きなアメリカのプレイヤー)で、3人が揃うチャンスは今日しかありません。ちなみに小型セットのパックが多いのでカードがかぶりやすく、集まるコモンが明暗を分ける環境になりそうということでした。
一方、山本さんはアトランタ市内観光を満喫しました。詳しくは後日掲載予定の「山本さんの休日」記事をどうぞお楽しみに。
●次なる戦いの準備
それぞれのプレイヤーに、プロツアーを終えて次の戦いに向けてのコメントをいただきました。
市川ユウキ
次に行くのは3月の頭にあるグランプリ・メルボルン2016(フォーマットはモダン)。デッキをどうするかはまだ考えていないです。今回無色エルドラージがバカ勝ちしたのは、スカウティング(対戦相手のデッキタイプを、前の試合の間に見て調べておくこと)によるところが大きかったと思う。対戦相手が親和だったら、1ターン目にX=0で《虚空の杯/Chalice of the Void(MRD)》を置けば何もできなくなる。だからデッキがわかってればマリガン基準を厳しくして、相手に対応したカードを引くまで粘れるんで。そう考えると、無色エルドラージはあくまでプロツアー用のデッキであって、グランプリでももちろんこれを真似して使う人はすごく多いだろうけど、ここまでバカ勝ちしないんじゃないかと思いますね。
あと、マジック:ザ・ギャザリング日本公式サイトで今回のプロツアー参戦記を書く予定です。前回も書いたけど、成績が0-5だったので……。今回はもっといろいろ書くことがあるので、ぜひ読んでください。
山本賢太郎
今回の成績でプロポイントを15ポイントもらって、すでに13ポイントあったからこれで28ポイントになりました。シーズンであと6ポイント分は確定してるので、目標のプラチナ維持まではあと16ポイント。……がんばります。
帰ったら週末にすぐMOCS(マジック・オンラインの世界選手権のような大会)があるので、切り替えてスタンダードをやります。
渡辺雄也
グランプリ・メルボルン2016はモダンなので、今回の結果を見て行かないことにしました(笑)。来月、グランプリ・ワシントンD.C.2016に行きます。チーム戦で、友晴(齋藤友晴さん)と、カルカノ(Christian Calcanoさん)と一緒です。あと一応MOCSも出ますけど、あれはプロポイントが出ないから、プレイヤーのレベルが高いとはいえ大会としてカウントしていいのかな……。
覚前輝也
次はMOCSに出て、そのあとグランプリ3連戦です。グランプリ・ヒューストンでスタンダード、メルボルンでモダン、ワシントンでチームシールドと3週連続違うフォーマットで、アメリカ→オーストラリア→アメリカと毎回日本に帰ってくるので移動もかなり大変です。でも、どんなフォーマットでも勝つときは勝つし負けるときは負けるんで、たくさん大会に出て経験を積みながら、数撃っていってトータルで次につなげていければいいかなと。
●プロツアー総括
今回のプロツアー『ゲートウォッチの誓い』では、青赤エルドラージと無色エルドラージという、チームの調整によって極限まで磨かれたデッキが勝ち上がりました。海外におけるチーム調整の精度が非常に高まっている中、日本ではやはり個人でのデッキ調整がメインとなっているので、もっと日本でもチームによる調整を重視していくべきだという話が、プレイヤーたちの間で出ていました(トップ8に入賞した中村修平さんは、アメリカのチームChannel Fireballに所属しています)。渡辺さんの意見では「Channel FireballとFace to Face Gamesのようにチームどうし協力したり、働いていて時間がない人はアイディアを提供し、時間がある人はそれをデッキの形にして試すといった形で調整したらいいのではないか」ということでした。
混沌としたモダン環境ではありましたが、結果的にいろいろな意味で次へつながるプロツアーだったといえるのではないでしょうか。
●プロツアーアナザーショット
最後におまけとして、会場内の様子などの小ネタをお送りします。
会場内のカードショップでは、日本語版のカードもたくさん扱われていました。
カードショップにて、『モダンマスターズ2015年版』を開けて、「badだったら次のパックは3ドル引き!」というキャンペーンをやっていました。
サプライ品のショップにプロツアー限定Tシャツが多数あります。左はキオーラ、右はブレインズウォーカーバージョン。
ただのチェック柄Tシャツのようでいてよく見るとコーが崖を登っています。
会場奥に透明な壁で仕切られたブースがあり、英語版生放送の収録を行なっています。人気プロプレイヤーBrian Kiblerさんがいます。
会場にニッサとチャンドラのコスプレイヤーが!
2月6日はマジックのプロツアーが初めて開催されてから20周年の記念日だそうです。左端のJon Finkelさんをはじめ、20年前のプロツアーに参加していた5人のプレイヤーと一緒に祝います。
こんな感じの、マナシンボルが描かれたチョコレート味のカップケーキがお祝いとして配られました。5色ぶんありますが、黒はドクロマークなので食べるのにちょっと勇気がいります。マナの部分は、食べられる紙を貼り付けたマジパンでできていました。
2日目、チームの3人が近い席で戦っており、市川さんの後方に山本さんと渡辺さんの背中が見えます。
渡辺さんは、ドラフトで何のカードをどの順目にピックしたか完璧に覚えており、すらすらと並べて再現してくれます。
覚前さんとBIGsの高尾翔太さんがフリープレイしているのをみんなが見物しています。
渡辺さんは自分のプレイヤーカードをトークンとして使用。市川さんは山本さんのプレイヤーカードをトークンに使い、山本さんは持参したエルドラージ・末裔トークンを使っていました。それぞれの性格が出ているような……。
会場のみで販売されている限定プレイマットにサインを書き入れる市川さん。ツイッターキャンペーンも要チェックです!
最終日のディナーは、プロツアーの打ち上げもかねてロブスター料理のレストランへ。サービスもよく、何を食べてもおいしいお店でした。
See you next time!