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グランプリ・名古屋2016 レポート

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グランプリ・名古屋2016でのTeam Cygames。左から覚前輝也さん、市川ユウキさん、山本賢太郎さん。
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

1月30~31日に、グランプリ・名古屋2016が行なわれました。フォーマットは『戦乱のゼンディカー』および発売直後の『ゲートウォッチの誓い』のリミテッド戦で、昨今のマジック人気を受けて2,600人以上の参加者が集まる巨大トーナメントとなりました。
プロツアー『ゲートウォッチの誓い』と記事の順番が逆になってしまいましたが、当時のTeam Cygamesメンバーである市川さん・覚前さん・山本さんの、このグランプリでの戦いを振り返ってまいりましょう。
※取材はプロツアー後に行なっています。

 

 

●グランプリ前のプラン

――GP名古屋前に、ドラフトをどれくらい練習しましたか?
市川「ドラフトは、合宿で1人平均8回くらいかな。合宿以外ではやってないですね。マジック・オンラインにもまだ『ゲートウォッチの誓い』が入ってなかったし。」
山本「僕も基本的に合宿での練習だけですね。」
覚前「僕は大阪で2回練習できました。でも8人集まるのはなかなか難しくて、シールドのほうが練習は多かったですね。」
市川「シールドのほうは、同じプールでやることに意味があるって話になったんです。例えば覚前くんが組んでみて、そのあと俺が組んでみるとだいぶ違うデッキになったりするので、それを比較検討する。カードプールを6つくらい用意しておいて、みんなで繰り返し構築してディスカッションしてから、どうするのが一番いいか回してみるという工程を、合宿の合間にドラフトに参加してない人たちでやってました。」

――グランプリではどんなアーキタイプや色をやりたいと思っていましたか?
覚前「シールドでもドラフトでも、《炎呼び、チャンドラ/Chandra, Flamecaller(OGW)》を引いて赤をやりたかったですね。赤は強いカードが多いので。」
市川「シールドはふんわりと『強いカード使おう』くらいで、ドラフトは単純にプレイアブルなカードが多い白をやりたいなーくらいでした。」

――引きたいコモンはありましたか?
市川「難しいな……ああ、《未知の岸/Unknown Shores(OGW)》は欲しかったかな。タッチも簡単になるし欠色デッキも締まる、どんなデッキにもほぼ入る受けの広いカードで、取れたら楽になるので。」

炎呼び、チャンドラ 未知の岸

山本「僕はシールドはあんまり練習してなかったのもあって、シナジーよりはカード単体で戦う感じかなと思ってました。ドラフトではとりあえず緑はさわらずに、緑以外の2色で攻める構成にしようと意識していて、青赤・白黒・赤白・黒欠色の4パターンのうちどれかができたらいいなくらいでした。」

――緑をやりたくなかったのはなぜ?
山本「カードが全体的に弱くて、《鞍背ラガーク/Saddleback Lagac(OGW)》以外特に取りたいカードがコモンになかったので。緑を使うにしてもタッチにして、《鞍背ラガーク/Saddleback Lagac(OGW)》かジャイグロ(クリーチャーを一時的に強化する《巨大化/Giant Growth》系のカード)だけをさわるようにしようと思ってました。

 

 

●グランプリ1日目:シールド

――1日目のシールドはどんなデッキになりましたか?
市川「赤黒欠色がメインで、サイド後は青白でただ固いだけになるデッキで、結果6勝3敗でした。安定もしてないし攻めきれもしない、けっこうやばいカードプールでした。」

――サイド後にがらっと色が変わるんですね。
市川「赤黒が痩せたビートダウン(パワーカードが少ないため、序盤から手数で攻めるしかないデッキタイプ)だったんで、1ゲーム目で攻めきれなかったり、似たような痩せたビートダウンが相手だったら、青白に変えれば勝てるんじゃないかなと。青白のほうも弱かったんですけど、《古代ガニ/Ancient Crab(OGW)》とか3マナ1/4の警戒(《アーファの守護者/Affa Protector(OGW)》)とか、固いカードだけは入ってたので、そういうので守って勝てるマッチアップの時だけ変えてました。俺、シールドのデッキを組んだら『これなら何勝何敗だな』っていうのがけっこうぴったり当たるんですよ。予想的には5勝4敗だったんですけど、上ブレて6勝3敗できました。」

――あらかじめ勝敗がわかるんですか、すごい能力ですね。

古代ガニ アーファの守護者

覚前「僕はカードプール的に黒は確実で、残り4色ともまあまあ強かったんで、悩んだ結果フィニッシャーが1枚多い青を選んで青黒欠色を組みました。成績は8連勝して最後の試合だけ負けたんですけど、その負けは単純なプレイミスによるもので、あとで動画を見返したら、僕の中ではほぼ100%勝ってました。確実に勝てたそのゲームを落として8勝1敗でした。」

――ニコニコ生放送でフィーチャーされ、《露天鉱床/Strip Mine》を撃たれて話題になった9ラウンド目ですね。
覚前「その1ゲーム目です(1日目の動画で11時間0分付近)。《竜巻の種父/Cyclone Sire(OGW)》を出された状態で、僕の場に《本質を蝕むもの/Essence Depleter(OGW)》と《静寂を担うもの/Bearer of Silence(OGW)》がいて、5マナあったんですよ。」

図

覚前「選択肢としては、《忘却の一撃/Oblivion Strike(OGW)》を撃って4点殴るか、《コジレックの媒介者/Kozilek’s Channeler(BFZ)》を出すかの二択です。5マナの《媒介者》のほうがマナカーブ的にもいいし、手札に追加の《本質を蝕むもの/Essence Depleter(OGW)》もあったんで、この状況で除去を撃つ意味はまったくなかったのに、撃ってしまった。ここで殴る必要はなかったのに除去を使ってしまったことによって、次に《終末を招くもの/Endbringer(OGW)》を出されて、それに対処できなくて負けてしまったんです。」

――攻め急いだということですか。
覚前「そうですね。相手はその後土地しか引いてなかったんで、その1つのミスプレイだけで1:10くらいのアドバンテージとられました。」

――デッキは9連勝できるくらい強かったんですか?
覚前「強かったです。当たりにも恵まれてずっと2-0で勝ってたし。青を選んだのも、結果的に正解だったと思ってます。」

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――山本さんはどうでしたか?
山本「僕は青黒で、レアが5枚入ってました。《現実を砕くもの/Reality Smasher(OGW)》、《終末を招くもの/Endbringer(OGW)》、《頭蓋ふるい/Sifter of Skulls(OGW)》、《不毛の地の絞殺者/Wasteland Strangler(BFZ)》、あと《鏡の池/Mirrorpool(OGW)》です。」

――なかなか豪華ですね。
山本「青黒しか組めないプールで、レアが5枚とも入ったから強いかなと思ったんですけど、レア以外のコモンとか、脇を支えるカードがあまり強くなくて6勝3敗でしたね。」

現実を砕くもの 終末を招くもの

頭蓋ふるい 不毛の地の絞殺者 鏡の池

 

 

●グランプリ2日目:ドラフト

――では、2日目のドラフトについてうかがいます。
覚前「練習では青赤・白黒・青黒がかなり勝率が高かったのでその3つのどれかをやりたいなと思ってたんですけど、その3つにこだわったせいで流れをつかめなくて、いいピックができなかった。決め打ちがあんまりよくなかったんですけど、ほかのパターンの引き出しが少なかったんですよね。いいドラフトができなくて、2回とも1勝2敗でした。2回とも青赤をやったんですけど、青赤じゃないほうがたぶんよかったです。環境理解度が低くて経験不足で負けてしまいました。」

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山本「僕は1回目は赤白で2勝1敗、2回目は黒欠色タッチ緑で2勝1敗でした。先ほど話したやりたいアーキタイプ4つのうち2つなので悪くはなかったんですけど、無理やりやった感じで3勝0敗できるデッキではなかったので、順当かなと。」

――市川さんは?
市川「はいっ、赤白で0勝3敗、ドロップしました!」

――0勝3敗したことをそんなにきびきびと言う人は初めて見ました(笑)。敗因は何でしたか?
市川「《武器の教練者/Weapons Trainer(OGW)》が2枚取れてたんですけど、青赤怒濤と赤白同盟者のパーツがちぐはぐにとれて、デッキとしてまとまりがあまりよくなかった。4マナ3/2の怒濤・威迫(《ゴブリンの自在駆け/Goblin Freerunner(OGW)》)はすごい取れたけど、欲しかった0マナの装備品(《骨の鋸/Bone Saw(OGW)》)とかは全然取れなくて生かしきれないとか……。卓もちょっとグチャってたと思いますね。それに運もあまりよくなくて、(2色のうち片方の土地しか引かず)赤単と白単が交互に来たんで。」

――それは厳しかったですね。

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●グランプリの思い出

――そのほか、グランプリで印象的なことなどがありましたらお願いします。
山本「1日目の最終戦ですね。その時5勝3敗で、最後に負けたら初日落ち、勝てば初日抜けという重要なマッチで、すごい緊張しました。『負けたら明日観光か……名古屋城か……』って(笑)。それで気を引き締めて、がんばって勝ちました。」

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市川「俺がちょっと面白かったこととしては、2日目のドラフトを3敗ラインで始めたので、卓にいるほとんどの人がグランプリでのドラフトをやったことがなかったんですよ。最初にカードを裏向きで14枚数える時、『レアだけ表向いてる!』って慌ててる人に、僕が『テーブルの下で見えないようにやったらええやん』って教えたり、ピックしたあとのカードを隣に回す時も、まとめてドンって置く人に『残り枚数がわかるように、こうやって並べて置くんですよー』とか懇切丁寧に教えたりして、すごい先輩風を吹かせておきながら、0勝3敗したという(笑)。それが僕の中で一番面白かった名古屋の思い出です。」

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隣にカードを回すときは、奥に置いてあるカードのように広げるのが決まりです。

――でもその負けが、彌永淳也さんの教えを聞いてプロツアーで“イヤナガ・メソッド”を使うことにつながったわけですよね?
市川「そうですね。初日の休憩時間中に彌永君が『青が実は強いと思うんだよ』って言ってて、『えー、俺そんな強いと思わないけど』『それはカードをよく見てないからだ』って。2日目終わって一緒に飲みに行って、新幹線で帰るときに聞いた話を自分の中で噛み砕いた結果、プロツアーでのドラフト5勝1敗につながったんで、それは有意義だったなと思います。」

 

 

●チーム成績まとめ

 

大会結果一覧

  山本賢太郎 市川ユウキ 覚前輝也
1日目 6勝3敗(3bye含む) 6勝3敗(3bye含む) 8勝1敗(3bye含む)
2日目 4勝2敗 0勝3敗 2勝4敗
最終結果 267位 751位 196位

グランプリでの3人は、それぞれ2日目には進出したものの、最終成績は納得のいくものにはなりませんでした。しかし、取材を通じてわずか2週間のあいだに合宿からグランプリでの濃密な経験を経て、プロツアーのドラフトへとつながっていく流れがうかがえました。
日本での次回グランプリは5月のグランプリ・東京2016ですが、それまでにもメンバーは海外のグランプリやBIG MAGIC OPENなど、さまざまな大会に出場するとのこと。新規メンバーの渡辺雄也さんも含めて、どうぞ応援よろしくお願いいたします!

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Team Cygamesの発起人である、弊社の木村もニコニコ生放送用のフィーチャーマッチに招待され、勝利を収めました。
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

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