グランプリ・クアラルンプール2016レポート
10月22日(土)~23日(日)にマレーシアのクアラルンプールで開催されたグランプリ・クアラルンプール2016(フォーマットはスタンダード)についてのレポートです。渡辺さんは前回のレポートにもあった通り「BMO vol.8 渡辺雄也杯」に出ており、市川さん・山本さん・覚前さんの3人で参加しました。市川さんと覚前さんがトップ8入りし、山本さんもあと1勝でトップ8という好成績でした。
●デッキ選択の理由
――まずは皆さんの選択したデッキと練習時間についてお聞かせください。
覚前「僕はプロツアーでヤソ(Hareruya Prosの八十岡翔太さん)に“俺はコントロールが好きだから、基本的にコントロールのことずっと考えてる。てるてるはビート好きでしょ?ならビート極めたほうがいいよ”と言われたのがきっかけで、ビートの中で一番強いと思っていたマルドゥ・機体を選びました。練習はプロツアー終わってから起きている限りずっとやってました。」
――好きなものを極めろ!という事ですね。
覚前「はい、今回はそれを信じてビートを調整していきました。」
7 《山》 3 《平地》 4 《秘密の中庭》 4 《感動的な眺望所》 4 《霊気拠点》 土地(22)
クリーチャー(23) |
4 《蓄霊稲妻》 4 《無許可の分解》 4 《密輸人の回転翼機》 3 《耕作者の荷馬車》 呪文(15) |
4 《稲妻織り》 4 《流電砲撃》 1 《断片化》 1 《神聖な協力》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 サイドボード(15) |
――市川さんと山本さんは白青フラッシュでしたよね?
市川「僕は、山本さんが強いって言ってたんで選びました。ホノルルの最終日、山本さんがホテルに引きこもってMO(Magic Online)ずっとしてて、どうだった?って聞いたら“白青フラッシュが板”って言いながら寝だしたんで…(笑)。じゃあ、とりあえず帰ったらまわしてみようと思ってやったら結構良かったみたいな。まぁ、緑黒の良い形が作れなかったっていうのもあるんですけどね。練習時間は、こんな練習量で行くグランプリねぇなってくらい今回はなかったです。でもプロツアー出てる分だけ蓄積あった可能性はありますね。」
山本「僕はプロツアー3日目、ヤソが決勝やってる時に暇だったんでずっとホテルの部屋にいてMOやってたんですど、プロツアーの上位者リスト見たら9勝1敗以上が全員白青フラッシュだったんで、とりあえず回してみました。その日4回くらいリーグやってみたら全部4-1以上だったので強いなぁと思って、コレ一本で調整しようかなと決めました。日本帰ってきてからは、1日2リーグくらいを3~4日程度やりました。」
10 《平地》 6 《島》 4 《港町》 4 《大草原の川》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 土地(25)
クリーチャー(22) |
1 《石の宣告》 4 《停滞の罠》 4 《密輸人の回転翼機》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 呪文(13) |
4 《折れた刃、ギセラ》 1 《保護者、リンヴァーラ》 1 《消えゆく光、ブルーナ》 1 《断片化》 2 《石の宣告》 1 《否認》 4 《呪文萎れ》 1 《秘密の解明者、ジェイス》 サイドボード(15) |
10 《平地》 6 《島》 4 《港町》 4 《大草原の川》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 土地(25)
クリーチャー(22) |
1 《石の宣告》 4 《停滞の罠》 4 《密輸人の回転翼機》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 呪文(13) |
3 《折れた刃、ギセラ》 1 《保護者、リンヴァーラ》 2 《断片化》 2 《石の宣告》 2 《否認》 4 《呪文萎れ》 1 《秘密の解明者、ジェイス》 サイドボード(15) |
――調整にあたって何か意識したことはありますか?
覚前「もともとLee, Shi Tianのトップ8に入ったリストを元に組んでたんですけど、僕は《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》がむちゃくちゃ強いなと思ったので、絶対増やしたくて2枚から4枚にしました。あと、《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》が入っているデッキがプロツアーで弱かったので、とりあえず青は抜きました。完成度高かったと思います。」
市川「僕はビジュアル意識ですね。」
――え(笑)
市川「やはり、勝ったときのことも考えないといけないんでマジックは。トップ8の中でリストだけは1番綺麗かなと自負しておりますね、私は。サイドボードもね、この美しさは…えぇ、はい。」
――その綺麗なサイドボードについて質問です!《折れた刃、ギセラ/Gisela, the Broken Blade》を3枚にして《サリアの槍騎兵/Thalia’s Lancers》を1枚入れれば《消えゆく光、ブルーナ/Bruna, the Fading Light》を持ってこられるのに散らさなかったのは何でですか?
市川「これは完全にビジュアルです。まぁでも、結論入れたほうが良かったですね。大会1日目に《サリアの槍騎兵》を結構出してくる人がいて、同型でも《呪文捕らえ/Spell Queller》にも引っかからずアドバンテージも取れるんで皆よく考えてるなって思ってました。パッと見で《折れた刃、ギセラ》がライフを得るカードなんで、マルドゥ・機体とかには強いんですよね。だけど除去耐性がないんで、撃たれると普通に死んじゃう。だから1枚目は普通に除去される想定で、2枚目を出して除去られないと勝ち!みたいなカードなんです。なので、4枚入れれば2枚引く確率も上がるよねって山本さんと前日に話して、僕は4枚入れました。山本さんは3枚にしてたけど。」
山本「基本的にコントロールが一番多いと思ってたんですよね。ヤソが優勝して、準優勝の方もコントロールだったので結構皆コントロール使ってくるだろうなって。合体プランは同系には強いんですけど、逆にそれ以外にはどうかなと思ってたので、白青があんまりいないかなと思って外しましたね。コントロールを意識して《否認/Negate》を市川くんが1枚のところ僕は2枚入れています。」
――自分の持っていったデッキは強かったですか?調整は予想通り功を奏しましたか?
覚前「デッキは強かったですね。《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》を4枚にしたのは、たぶん他の人はしてないと思うので良かったとこだと思います。」
市川「僕はサイドボードに《呪文萎れ/Spell Shrivel》を4枚入れたのが良かったと思います。そこは他より秀でてたところだと思うんで。」
――あとは《サリアの槍騎兵》ですか?
市川「そうすね。サイドの《サリアの槍騎兵》と…あとメインの《石の宣告》が赤白機体系に強くなかったんで《空鯨捕りの一撃/Skywhaler’s Shot》を1枚入れておけばよかったですね。これ前日に辻川(辻川大河さん)っていう同部屋の人がね“コレ入れたほうがいいっすよ!”って言ってきたんですけど、うるせぇ黙れ!って(笑)もう少し信じておけば良かったと思いました。人の意見聞いておけば良かった。でもまぁ《石の宣告》で助かったこともあるので、一概には言えないんですけど、終わってみたら1枚入れておけば僕の中でメインのリストは完璧だったなって。」
山本「僕はデッキは全然文句ありませんでしたがサイドが少しふんわりしてたなって思います。《呪文萎れ》は死角なくて強かったんですけど、《石の宣告》はメインに1枚あるのにサイドに2枚入れてて、よく考えると3枚必要な相手いないなって。」
市川「あと《否認/Negate》もサイド後にほぼ入れないから微妙だった。」
山本「思ったよりね。」
市川「だからやはり《巻き込み/Convolute》)か《呪文萎れ》の5枚目を…(笑)」
●印象的な場面
――特に印象的だった試合はありますか?
市川「トップ8に入ったAnthony Leeさんとスイスラウンドの終盤で当たったのですが、その人のデッキは僕と同じ青白フラッシュでも2マナ域に黒にタッチできる《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》が入っててアプローチが面白いなと思いました。僕のデッキの2マナ域には《鎖鳴らし/Rattlechains》が入っているのですが毎回サイドアウトするくらい弱いんですね。」
覚前「僕は市川くんと当たった試合が一番印象的でした。0-2で負けたんですけど両方とも自分のプレイに違和感を持っていて、ずっと後ろで見ててくれたヤソに終わった後に聞いてみたら“1本目も2本目も両方ミスってたよ”って言われて。それが結構致命的なミスだったので、もし正確にプレイしていたらワンチャン勝ち得ていたと思います。あと、松本郁弥さんにトップ8が決まった安堵感とチームメンバー同士であたったことでふわふわしてるって言われて、始まる前はそんなことねぇーよって思ってたけど、いざ始まったら実はふわふわしてたのかなって。」
――カバレージに載っていた件ですね。
市川「そうですね。キーになったのは《密輸人の回転翼機/Smuggler’s Copter》の2枚目を輝也が捨てたところで。その《密輸人の回転翼機》に触れるカードが僕のデッキにはサイドボードに1枚入ってる《断片化》しかないから輝也は大丈夫だろうという想定で2枚目を捨ててしまったけど、返しで叩き割られてゲームプランが崩れたって感じだよね?」
覚前「それもそうなんだけど、イメージ的には《稲妻織り/Weaver of Lightning》が場に出てて、手札が《密輸人の回転翼機》2枚と除去2枚だったので《稲妻織り》を除去されると何もできないで負けていくなと思って。それだったら、除去持っといてクリーチャー引いてみたいな…実際は《稲妻織り》を除去られた時のことしか考えてなかったですね。」
――なるほど。
山本「僕は2日目の12ラウンド目に井川くん(Hareruya Prosの井川良彦さん)とお互い9勝2敗だったんでそこを含めて3連勝すればトップ8みたいなとこで当たって、赤白使ってた井川くんがサイド後にコントロールよりにデッキを少しおもくして、こっちの勝ち手段をさばいて勝ちにいくみたいなプランをとられたのが結構印象に残っているかなと。《石の宣告》とか軽めの除去が腐って負けてしまって、してやられたな!と思いました。」
渡辺「相手、井川だよ?」
山本「ん?」
渡辺「相手が井川だったら重くしてくるに決まってるでしょ!俺だったらカウンターを入れるよ!軽い除去は抜いて間違いなく重いのをいれる!どうだ《領事の旗艦、スカイソブリン/Skysovereign, Consul Flagship》だぞ!って(笑)」
市川「カウンターされた井川くん見たいな(笑)」
渡辺「人メタしすぎ~!って言いそう(笑)」
――対戦相手の傾向も読んでおくのも大事なんですね。
山本「人間読みしとけばよかったか…。まぁでも1本目の負け方が、1ターン目に《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》2ターン目に《密輸人の回転翼機》3ターン目に《模範操縦士、デパラ/Depala, Pilot Exemplar》って動かれて負けてしまったのが脳裏にあって、早いビートプランを警戒しちゃったんですけどね。」
●おまけ
――素朴な疑問なのですが、MOで調整していて「次のGP、このデッキ多そうだな」とか解ったりするんですか?
市川「いやー全然気にしないですね。」
渡辺「むしろ参考にしないです。」
市川「MOは効率的にチケット(MagicOnline上の仮想通貨)を稼ぐっていうのを軸に考えている人も結構いるんで、短時間でデッキを回せて強い、作るのも安い、みたいなデッキが流行るんですよね。」
覚前「吉野家ね?」
市川「そう(笑)吉野家みたいなデッキが相当流行るんで…もちろんGP出たらそんなの関係ないじゃないですか。早くて安い必要ないんで全然気にしないっていうのが基本ですね。」
渡辺「普段ファーストフード食う分にはいいんですけど、やっぱ洒落た場には洒落た感じで持ち込みたいじゃないですか。」
市川「そうそうそう。贅を尽くしたデッキを持ち込みたいっていう。」
――じゃ、最後に、次のイベント参加予定は?
覚前「千葉です。」
市川「バーチー。」
――お、では12月はスケジュール空いてたりしますか?
市川「しますね。」
3人「大丈夫です。」
と、いうことでTeam Cygames4人で迎える2016年の年末は、ニコニコ生放送をお届けしたいと思います。近々告知をする予定ですので乞うご期待!
写真を撮るのでポーズをとって下さい!とお願いしたら、IT業界の記事でよく見かける“ろくろを回すポーズ”で決めてきたせばちゃん(笑)