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【WORLD】1日目ドラフトラウンドまとめ【Day1】

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世界選手権1日目のスタートです。本日はドラフト3ラウンドののち、構築4ラウンドを行ないます。まずは会場の様子をご紹介。

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会場はこの建物の奥側にあるホールです。

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会場内は体育館のような作りですが、外観や壁は石造りのお城のような立派な建物です。

d1_04中には『イクサラン』の装飾のステージがあり、ゆったりしています。また、ミステリアスな雰囲気のBGMが会場内にずっと流れています。

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プレイヤーの控室が奥にあるほか、少しだけですが観客席もあり、生放送の映像(音声なし)が見られます。会場全体がそんなに広くないため、観客席エリアにも試合が終わったプレイヤーがうろうろしていて、ちょっと緊張します。

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1回目のドラフトでは、日本人3人は別々のテーブルで、八十岡さんのいるテーブルがフィーチャーされました。

事前に「ドラフトで初手に取りたいカード」を聞いたところ、八十岡さんと渡辺さんは《人質取り/Hostage Taker(XLN)》。「いろいろなパターンのデッキに展開できるうえ、どう展開しても3-0デッキが組める」という高評価です。行弘さんは「《人質取り》もいいけど、白黒吸血鬼が好きというのも含めて《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ/Vona, Butcher of Magan(XLN)》か、《戦場の詩人、ファートリ/Huatli, Warrior Poet(XLN)》もいいとのことでした。

人質取りヴォーナ
ファートリ

ドラフトテーブルと対戦は柵の外から見ることができますが、ドラフトのデッキ構築は別室です。
構築が終わると八十岡さんが出てきて開口一番「端的に言ってやばい」。レベルの高いプレイヤーばかりなことと、環境的な問題でカードを十分に集めるのが難しいようです。
 
●八十岡翔太のドラフト

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八十岡さんは「カードパワーが低め」という評価の赤青タッチ緑海賊デッキを組み上げました。

ピック順

1パック目
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1-1 《焼熱の太陽の化身/Burning Sun’s Avatar(XLN)》
1-2 《見張りによる消散/Lookout’s Dispersal(XLN)》
1-3 《セイレーンの嵐鎮め/Siren Stormtamer(XLN)》
1-4 《無法の物あさり/Marauding Looter(XLN)》
1-5 《海賊のカットラス/Pirate’s Cutlass(XLN)》
1-6 《深根の戦士/Deeproot Warrior(XLN)》
1-7 《翡翠の守護者/Jade Guardian(XLN)》
1-8 《向こう見ず/Swashbuckling(XLN)》
1-9 《真っ二つ/Slice in Twain(XLN)》
1-10 《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》
1-11 《海賊の獲物/Pirate’s Prize(XLN)》
1-12 《未知の岸/Unknown Shores(XLN)》
1-13 《起源の柱/Pillar of Origins(XLN)》
1-14 《イクサーリの卜占師/Ixalli’s Diviner(XLN)》

八十岡「1-1はこれとリング(《イクサランの束縛/Ixalan’s Binding(XLN)》)と青緑の3マナ3/3マーフォーク(《自然形成師/Shapers of Nature(XLN)》)の三択で、どれも初手に取ってもいいくらいの強さかなと。ここで流したから下のサムがマーフォークに行って、さらに下がリングを取って白黒になったと思うんですけど、そこの選択肢でほかに進んでたらどんな未来があったかなというのはあります。
1-2はあまり取るものがなくて、1-3はこれ以外ゴミ束だったんでピック。
1-5で《海賊のカットラス/Pirate’s Cutlass(XLN)》が取れて青赤海賊がやれそうかなと思ったんですけど、緑がすごい流れてて赤の流れがあまり良くないから1-6、7でワンチャン青緑もありかなと考えてました。1パック目はあまりカードが取れてないです。」

2パック目
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2-1 《火炎砲発射/Firecannon Blast(XLN)》
2-2 《怒り狂う長剣歯/Raging Swordtooth(XLN)》
2-3 《火炎砲発射/Firecannon Blast(XLN)》
2-4 《噛み付く帆背びれ/Snapping Sailback(XLN)》
2-5 《セイレーンの見張り番/Siren Lookout(XLN)》
2-6 《裕福な海賊/Prosperous Pirates(XLN)》
2-7 《難破船あさり/Shipwreck Looter(XLN)》
2-8 《ティロナーリの騎士/Tilonalli’s Knight(XLN)》
2-9 《風を跨ぐ者/Wind Strider(XLN)》
2-10 《もぎ取り刃/Prying Blade(XLN)》
2-11 《略奪者の痕跡/Raiders’ Wake(XLN)》
2-12 《選択/Opt(XLN)》
2-13 《若返りの儀式/Ritual of Rejuvenation(XLN)》
2-14 《森/Forest(XLN)》

八十岡「2-2に赤緑の5/5トランプル(《怒り狂う長剣歯/Raging Swordtooth(XLN)》)が回ってきて、下のサムがほぼ緑だったんで緑はタッチだけしようと。その路線でピックしていって、2パック目のほうがまあまあ欲しいカードがとれたんでよかったですね。」

3パック目
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3-1 《稲妻砲手/Lightning-Rig Crew(XLN)》
3-2 《幻惑の旋律/Entrancing Melody(XLN)》
3-3 《セイレーンの見張り番/Siren Lookout(XLN)》
3-4 《財力ある船乗り/Sailor of Means(XLN)》
3-5 《オテペクの猟匠/Otepec Huntmaster(XLN)》
3-6 《見習い形成師/Shaper Apprentice(XLN)》
3-7 《欲望の深み/Depths of Desire(XLN)》
3-8 《もぎ取り刃/Prying Blade(XLN)》
3-9 《手付かずの領土/Unclaimed Territory(XLN)》
3-10 《身勝手な粗暴者/Headstrong Brute(XLN)》
3-11 《両手撃ち/Dual Shot(XLN)》
3-12 《海賊の獲物/Pirate’s Prize(XLN)》
3-13 《太陽冠のハンター/Sun-Crowned Hunters(XLN)》
3-14 《起源の柱/Pillar of Origins(XLN)》

八十岡「3-1の0/5(《稲妻砲手/Lightning-Rig Crew(XLN)》)は壁として欲しいっちゃ欲しいカードなんでまあまあ。3-2で《幻惑の旋律/Entrancing Melody(XLN)》が回ってきたのは、デッキが引き締まってかなりありがたかったですね、これで勝った試合も多かったので。
3マナ1/4の宝物を出す壁(《財力ある船乗り/Sailor of Means(XLN)》)が4手目くらいにまわってきて、これも1枚欲しかったんで取れて楽になりました。緑マナも安定したし、赤赤の《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》も出しやすくなったんで。」

デッキ評価

八十岡「2マナ圏が少なくて、2マナで《海賊のカットラス/Pirate’s Cutlass(XLN)》がつくやつが2体しかいない。3ターン目につけてたらちょっと遅いので。そもそも初動が3マナになりやすいから後手を取ると苦しい。2マナ圏があと1、2枚あればなってデッキです。点数つけるなら5、60点くらい。」

八十岡さんのデッキ(山9、島7、《未知の岸/Unknown Shores(XLN)》1)
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対戦結果

1ラウンド目(対ハビエル・ドミンゲス)
八十岡「レアとアンコモンの海賊だらけの神青黒にいじめられて、出るカードがいちいち強いから『はぁ?』『はぁ?』って言いながら負け。コモンが10枚しか入ってないって言ってた。」

2ラウンド目(対サミュエル・パーディー)
八十岡「デッキが弱くて、デッキリスト見た時点で『やべーなこのデッキ』と思いながら勝ち。」

3ラウンド目(対マーティン・ジュザ)
八十岡「デッキの強さは同じくらい。赤緑のまとまった恐竜だけどちょっとカード足りてないというか。かなりタイトな接戦でしたけど、お互いにちょびちょびミスるというか、微妙な裏目をお互いに引き続けて、最後は向こうが土地を1枚多く引いて負けみたいな感じでした。
たとえば……1回日和って殴らなかったらちょうど1点足りなくて、殴ってたら勝ってたのにそれがほぼ致命傷になったりとか。結果的には、何を引いても勝ちだったジュザが2ターン土地を引いてくれたんで勝ちましたけど。」
 
●渡辺雄也のドラフト

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渡辺さんは、カードが不足気味で4マナ域のクリーチャーがすっぽり抜け、そこをスペルで埋めるイメージの赤青タッチ黒の海賊デッキになりました。

ピック順

1パック目
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1-1 《不吉な旗艦/Fell Flagship(XLN)》
1-2 《大物群れの操り手/Drover of the Mighty(XLN)》
1-3 《アゾカンの射手/Atzocan Archer(XLN)》
1-4 《深海艦隊の扇動者/Fathom Fleet Firebrand(XLN)》
1-5 《財力ある船乗り/Sailor of Means(XLN)》
1-6 《風雲艦隊の放火魔/Storm Fleet Arsonist(XLN)》
1-7 《難破船あさり/Shipwreck Looter(XLN)》
1-8 《セイレーンの策略/Siren’s Ruse(XLN)》
1-9 《財力ある船乗り/Sailor of Means(XLN)》
1-10 《溺死者の行進/March of the Drowned(XLN)》
1-11 《氷河の城砦/Glacial Fortress(XLN)》
1-12 《両手撃ち/Dual Shot(XLN)》
1-13 《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》
1-14 《乗っ取り/Hijack(XLN)》

渡辺「初手はあまり強いカードがなく、これしか取るものがないようなパックでした。この環境はポジションゲーで、自分のポジションで空いてる部族をやろうと思っていて、一応海賊から取って、行けたら行こうかと。
1-2で恐竜をやるなら絶対に必要なマナクリーチャーが来たので取って、海賊と両天秤。1-3も特に海賊のカードがなくて、恐竜に行けるかなと思ったんですけど、このあとは緑のカードがまったく流れて来ず。実際、上とその上が両方緑やってました。
海賊関係のカードはちらほら流れてきたんで、緑を切って3色の海賊で行けそうだなと。ただ、決め手に欠けるので何かしら欲しいなと思いながら1パック目が終わりました。
あと1-8で、青黒土地を取るかすごく悩んだんです。海賊って基本3色になるから、マナから確保するかシナジーカードから確保するか悩んでシナジーにしたんですけど、流れてきた黒いカードの受けのために土地のほうがよかったかなとあとで思いました。」

2パック目
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2-1 《突進するモンストロサウルス/Charging Monstrosaur(XLN)》
2-2 《帆綱走り/Rigging Runner(XLN)》
2-3 《ティロナーリの騎士/Tilonalli’s Knight(XLN)》
2-4 《猛竜の幼生/Raptor Hatchling(XLN)》
2-5 《風雲船長ラネリー/Captain Lannery Storm(XLN)》
2-6 《欲望の深み/Depths of Desire(XLN)》
2-7 《巧射艦隊の略取者/Deadeye Plunderers(XLN)》
2-8 《司教の兵士/Bishop’s Soldier(XLN)》
2-9 《危険な航海/Perilous Voyage(XLN)》
2-10 《風雲艦隊の紅蓮術士/Storm Fleet Pyromancer(XLN)》
2-11 《アズカンタの探索/Search for Azcanta(XLN)》
2-12 《恐竜暴走/Dinosaur Stampede(XLN)》
2-13 《海賊の獲物/Pirate’s Prize(XLN)》
2-14 《苛立ち/Rile(XLN)》

渡辺「赤をやれたらいいなと思ってたら2-1でこれを引けて、じゃあ赤やろうと。
2-2はこの《帆綱走り/Rigging Runner(XLN)》と青の3マナ2/2のタップできるマーフォーク(《水罠織り/Watertrap Weaver(XLN)》)で悩んで、このあと《海賊のカットラス/Pirate’s Cutlass(XLN)》が取れたらバリューが高くなるからこっちにしたんですけど、マーフォークのほうがよかったかもしれない。
2-3は、2マナ域が足りなくて、あまり取りたくなかったんですけど2マナ域ということでこの《ティロナーリの騎士/Tilonalli’s Knight(XLN)》を。2-5で《風雲船長ラネリー/Captain Lannery Storm(XLN)》が回ってきたのはうれしかったですね。
あとは2色で足りない時の保険として一応黒を使う目は残しておくくらいで、パック内にある自分が使えるカードを取るか、使えないときはカットという感じでした。」

3パック目
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3-1 《稲妻砲手/Lightning-Rig Crew(XLN)》
3-2 《風雲艦隊の放火魔/Storm Fleet Arsonist(XLN)》
3-3 《危険な航海/Perilous Voyage(XLN)》
3-4 《座礁/Run Aground(XLN)》
3-5 《薄暮の使徒、マーブレン・フェイン/Mavren Fein, Dusk Apostle(XLN)》
3-6 《骨塚協議/Boneyard Parley(XLN)》
3-7 《難破船あさり/Shipwreck Looter(XLN)》
3-8 《セイレーンの策略/Siren’s Ruse(XLN)》
3-9 《深海艦隊の扇動者/Fathom Fleet Firebrand(XLN)》
3-10 《巧射艦隊の略取者/Deadeye Plunderers(XLN)》
3-11 《誘惑の財宝/Trove of Temptation(XLN)》
3-12 《裕福な海賊/Prosperous Pirates(XLN)》
3-13 《向こう見ず/Swashbuckling(XLN)》
3-14 《目隠し霧/Blinding Fog(XLN)》

渡辺「赤で強い海賊が引けたので素直にそれでスタートして、枚数がかなり足りなさそうだったので自分のデッキに入るものから優先してピックしました。3-5は入るものがなくてカットしてるんですけど。
3-6の《骨塚協議/Boneyard Parley(XLN)》は、黒を入れたロングレンジのデッキを目指せるなと思って取りました。ビートがちょっとできなさそうな布陣だったので、上のマナ域を目指すつもりで。赤の2/2が一周してきたのはうれしかったですね。」

デッキ評価

渡辺「最終的に青赤だと押し切るためのパーツが足りなくて、ちょっと守り気味の3色にしたんですけど、もうちょっと前のめりな方向を目指したほうがよかったかなとあとで思いましたね。除去も1枚も見なくて取れなかったから相手のカードをさばけないんで、攻める形のほうがよかったかなと。まわりもみんな前のめりで、後ろ向きなデッキを組んでる人は少なくて。もうちょっとうまくできたかなと思いますね。」

渡辺さんのデッキ(山7、島7、沼3)
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対戦結果

1ラウンド目(対ブラッド・ネルソン)
渡辺「デッキが切れるほどの熱戦の末に負け。かなり押し込んで、《風雲艦隊の紅蓮術士/Storm Fleet Pyromancer(XLN)》(赤の強襲で2点ダメージを飛ばす海賊)を回収できてたら勝ってたんですけど、《危険な航海/Perilous Voyage(XLN)》(2マナバウンス)は自分のクリーチャーに撃てなくて負けました。」

2ラウンド目(対セバスチャン・ポッツォ)
渡辺「相手が2回事故ったし、デッキ相性も良くて勝ちです。」

3ラウンド目(対ケルビン・チュー)
渡辺「かなり完成度が高い白黒吸血鬼デッキで、こっちは除去がなくてバウンスしかないので、飛行が全部止まらなくて全然ダメでした。」
 
なお、行弘さんは4色コントロールのような風変わりなデッキを組み、2-1でドラフトを終えました。
「超楽しいです。もともとマジックを始めた動機が、強いやつを倒したら超気持ちいいだろうなってのだったから、俺より強いやつが無限にいるところで全力でやり合えて本当に楽しい」と漫画の主人公のようなセリフを言い、世界選手権を大いに満喫しているようでした。

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1ラウンド目はピックしたカードプールが公開され、2ラウンド目からデッキリストも公開になるので、互いのデッキを並べて確認しています。コンバットトリックなどがわかっている、特殊な環境でのドラフトになります。

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