Team Cygames『イクサランの相克』合宿レポート
1月19日(土)~21日(日)の3日間、プロツアー『イクサランの相克』を前に、恒例のTeam Cygamesドラフト合宿が実施されました。
今回もCygames会議室に計18人が集い、本番同様の秒数カウントや勝率データ取りなども行なってみっちりとドラフトを練習。
合宿も終盤に近づいた日曜午後に取材を行ない、『イクサラン』からのドラフトの変化や、先日発表されたスタンダードの禁止カードについて、そして2018年の抱負をメンバー5人に聞きました。
ドラフトピック中の様子。中央で瀧村さんがタイムカウントをしており、その横に並んだカードは、作成途中のコモン・アンコモン点数表です。
5人が取材で席を外したあと、他の人たちのピックとデッキ構築が終わった状態を見て「誰がどのデッキをピックしたか」を当てるという、「ききマジック」が突発的に開催されていました。
「これ、並べ方が雑だからAさん(松本さん)じゃない?」と言って名札を置く市川さん。ピック内容だけでなくカードの並べ方もヒントになります。
こんなドラフトの楽しみ方もあるんですね。
渡辺さんと覚前さんが相談しながら推理中。スペルのタッチの仕方が行弘さんっぽいとか、上下で白黒がかぶっているが上は弱くて下は強いので、下の人はドラフト巧者だろうとか、いろいろな要素を考え合わせて、8人中4人を的中させていました。
渡辺さんは「赤が3人続いてるけど、1人目は白から始めて上から流れてくる赤を取った結果こうなったはず」といったドラフトの流れまでも読んでいて、さすがでした。
●今回の合宿は?
――今回、Team Cygames合宿に初参加の方が4人(佐藤レイ、金川俊哉、辻川大河、阿部倫央)いらっしゃいますね。
山本「みんな、1回は3-0してるんじゃない?」
覚前「それは頼もしいな。」
市川「辻川君と阿部君は昔から僕と仲がいいんですけど、まぁ、彼らにとって今回が最初で最後のプロツアーになると思うんで(笑)、悔いのないようにと思って呼びました。」
(一同笑い)
――市川さんの弟子分なんですか?
市川「阿部君は完全に僕の信者ですね。《ボク・ファナティック》です。」
――ではドラフト指南もする?
市川「それはしない(笑)。でも、いったん成績が0-6まで行ったけどさっき3-0できたみたいだし、学べてるみたいでよかったなと。」
渡辺「後半に3-0できるほうが大事だからね。」
市川「そうだね。みんなの完成度が上がってくる後半に勝てるのは大きい。」
――今10回目のドラフトが終わったところですが、皆さんの戦績はいかがですか?
市川「かなり負けてる。1-2を6回くらい、2-1が2回で、3-0と0-3はなし。3-0も0-3もしないときは、何がよくて何が悪いのかよくわからない状態でズルズル1-2してるだけだから、実入りが少ない。よくない傾向だね。」
八十岡「1-2のときも、2-1寄りの1-2ってときと、単に0-3デッキに勝てただけってときがあるからブレが大きい。」
渡辺「やまけんは3-0と0-3がどっちもそこそこあって、浮き沈みが激しいね。」
山本「確かに、珍しいパターンかも。0-3を2回してる。」
八十岡「でも、そのほうがいいよね。」
渡辺「成功体験と失敗体験が両方あるほうがわかりやすい。」
――ふんわり1-2するよりも、勝ち負けの激しいほうが学びが多いんですね。八十岡さんは2-1が多かったような……。
八十岡「そうですね。今日の2回は1-2と3-0ですけど、昨日は5回全部2-1でした。」
渡辺「俺も平均2-1かな。3-0と1-2が2回ずつで、あと全部2-1だから。てるてるは?」
覚前「うーんと、合計13勝14敗。トントンですね。」
●ぶっちゃけMOって練習になる?
――今回はまた、新セット発売から間がないパターンでしたが、皆さんすでにマジック・オンライン(MO)では結構ドラフトされたんですか?
山本「いや、俺は1回もやってないです。」
八十岡「僕もほんの気持ちくらい。」
覚前「7回です。」
市川「10回くらいかな。」
渡辺「僕も10回くらいです。」
――MOでは同卓の人と当たらないドラフトリーグしかできませんが、ぶっちゃけ、それって練習になるんでしょうか?
八十岡「カード覚えますよ。やっぱりリスト見るだけじゃなくて使ったほうが覚えるんで。」
渡辺「とりあえず使われてやばいカードはわかるし、3戦目とかはだいたい完成形のデッキと当たるんで、こういう形を目指せばいいんだなって指標にはなりますね。」
市川「僕の中では、カードの強弱を知るためってのが一番大きいかな。」
八十岡「実際に使ってみたら弱いカードとかはあるからね。だから、最初の時期のほうがやる価値があるかなと。後のほうになってからやるとむしろ歪む。」
渡辺「この合宿でリアルの経験を積んだら、あとはあまりやらなくてもいいかな。不安がある色やアーキタイプがあったらさわっておく、くらいで。」
市川「今回やれてないアーキタイプがけっこうあるから、帰ったらちょっとやって確かめようかな。」
――MOはそういう活用の仕方ができるんですね。
●新環境ドラフト雑感
――『イクサランの相克』が入って、ドラフトは大きく変わりましたか?
渡辺「まず、おもしろいですね!」
――おおー。どこがおもしろいですか?
渡辺「『イクサランの相克』に、使えるカードが多いんですよ。そのおかげで途中で色や種族を変えても最終的にデッキになる。『イクサラン』だけのときは、最初の3手を捨てたら絶対カードが足りなくてデッキにならない感じでしたけど、今回は最初の5手を捨ててもなんとか軌道修正ができる。なので、ドラフトの技術が出る環境だと思います。」
――なるほど。皆さんはどう感じましたか?
八十岡「種族デッキは、3パック目(『イクサラン』)に左右されすぎるなと思う。」
市川「それはあるね。3パック目はマジでギャンブル。」
八十岡「特にマーフォークと吸血鬼は3パック目に必要なカードがけっこうあって、そのコモンが出るかどうかがすべてになりやすい。たとえば、マーフォークだったら必須のジャイグロ(《川守りの恩恵/River Heralds’ Boon(XLN)》)が出るかどうかとか。」
市川「ああ、さっきマーフォークやったけど、あれがないと戦線を突破できないよね。」
――海賊と恐竜はどうですか?
市川「海賊は強いね。3パック目に依存しないし。」
渡辺「『イクサランの相克』の青・黒・赤の海賊関連カードが強いんで、赤黒や青赤のビートもできるし、青黒のちょっとコントロール寄りのデッキもできる。1、2パック目でデッキの土台が作れちゃう。」
八十岡「3パック目は取れればラッキーくらいで、わりと何でもいい。必須カードがないのが強み。一方、恐竜はアーキタイプとしては絶滅してる可能性があるね(笑)。」
山本「赤緑だけはワンチャンあるかな。3パック目で微妙にシナジーがあるから。」
市川「《ティロナーリの騎士/Tilonalli’s Knight(XLN)》と《猛竜の群れ/Thrash of Raptors(XLN)》くらいかな。それが取れれば。」
渡辺「あと、激昂のカードが強くなってるから、《両手撃ち/Dual Shot(XLN)》とか《苛立ち/Rile(XLN)》は強くなった。」
八十岡「ただ結局恐竜自体はあんまりシナジーがないから、赤緑ビートダウンみたいな感じになる。あと緑白の恐竜は息してない。」
山本「たぶん最弱。」
渡辺「ストーリー的にはわかんないですけど、ドラフト的には『イクサランの相克』で恐竜は絶滅しました(笑)。」
――すごく強い恐竜のレアを引いたとしてもやらないですか?
市川「《原初の災厄、ザカマ/Zacama, Primal Calamity(RIX)》だったら出たら勝つから、俺はやる。あれくらいのバリューは必要だね。」
渡辺「ほぼ卓一になるんで、1枚で勝てるカードを初手らへんで取れたらアリですけど、今のところ、普通の恐竜だと卓一でも勝ててないのが現状ですね。」
――『イクサランの相克』が入って環境が早くなったと聞いていますが、そうすると新能力の「昇殿」は達成しないですか?
八十岡「いや、けっこうします。」
渡辺「達成したら有利になって、そのまま押し切るみたいな感じなんで。」
――では、達成することが前提のデッキになるんですか?
渡辺「いや、サブプランくらいですね。呪文に関しては、ゲーム中盤以降に使うからだいたい達成してて、撃ったら勝つような感じなんですけど、クリーチャーの昇殿はおまけですね。」
八十岡「4マナ3/3の馬(《薄暮の軍馬/Dusk Charger(RIX)》)みたいな、昇殿しないと弱いカードは基本的に使われない。」
市川「素のスペックがいいやつだけ入る。」
●両面カードの影響
――今回気になっていることとして、多色の両面カードが強そうなんですが、あれが見えることでだいぶドラフトが左右されますか?
市川「されます!」
渡辺「特に青緑(《ハダーナの登臨/Hadana’s Climb(RIX)》)と白黒(《不敬の行進/Profane Procession(RIX)》)はカード自体も強いし、アーキタイプが簡単な色なんで引いた人は楽です。」
――最初に両面カードがバーンと公開されると、その上下が「ウワー!」ってなったりする?
市川「上下ともウワーってなったら終わりですね(笑)。上家にはしっかりしてもらわないと。」
渡辺「上家が、『OK、お前とは仲良くやろう』っていうタイプなのか、『お前は死ね』っていうタイプなのかによって変わります。」
渡辺「たとえば自分の下が青緑の両面エンチャント(《ハダーナの登臨/Hadana’s Climb(RIX)》)を引いたとして、『じゃあマーフォークはやめよう』ってマーフォークを流して、自分が吸血鬼をやれば、返しでは当然白黒のカードが流れてくる。で、3パック目で少しだけマーフォークをカットすれば、下のデッキを弱くして自分のデッキは強くなるので、3-0もしうる。」
――なるほど、両面を引いた人の上家の人しだいなんですね。
市川「下家は単純に、その色ができないってだけの被害者だから。」
八十岡「青緑両面の場合、マーフォークを避けた上の人が何をやるかわからないから、下家の色の選択は難しいね。さっき、僕の下のたまちゃん(玉田さん)が青緑エンチャント引いて、上の僕と、下家の井上君が2人とも白黒をやって、2パック目何も回ってこなかったよ。」
渡辺「こういう意図があってこのカードを流す、みたいなのがドラフトのだいご味なんですけど、両面カードは『俺はこれやるから』って宣言してるようなものなので、そういう読み合いをなくしちゃうんですよね。」
市川「両面を引いた人は、2、3手目まで見たら上が協調してるかどうかわかるし、意思疎通が異様に簡単になる。仲良く協調すればすごく2-1しやすいから、仲良くする価値は高い。」
八十岡「ドラフトで仲良くするのって本来は難しいことなのに。干渉できない反対側の人たちにとっては迷惑な話だよ。」
――ちょっと別ゲームな感じがありますね。
渡辺「本番で自分が引くのはいいけど、卓内に出てほしくはないですね。」
対戦中、Shadowverseの《ダークアリス》のスリーブを使っている市川さん。かなり使いやすいそうです。
ライフが残り1しかなく、圧倒的に負けている盤面でも投了せず勝ち筋を探し続ける八十岡さん。
Cygames社受付にトロフィーが置ききれなくなってきたので、現在は渡辺さんの殿堂指輪や、〈MUSASHI〉のチーム優勝トロフィーを中心に陳列しています。
●初手で取りたいカード
――恒例の質問ですが、初手でピックしたいカードは何ですか?
山本「俺は《不滅の太陽/The Immortal Sun(RIX)》です。」
市川「あー、あれね。俺は《船長の鉤/Captain’s Hook(RIX)》でもいいよ。これは《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte(BOK)》だね。」
八十岡「言い過ぎ(笑)。基本は《骨断ちの矛槍/Bonesplitter(MRD)》(1マナで装備1、+2/+0)みたいなもんでしょー。」
市川「さすがにそれはない(笑)。威迫がすごくて、常に1対2交換を要求するカードだから。」
渡辺「この2枚はダントツに強くて、無色だから出たら何にでも入る。全員かぶると思うから、それ以外の有色のカードを挙げたほうがいいんじゃない?」
覚前「僕は《貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra(RIX)》(黒の4マナ2/2、クリーチャー破壊)が好きだなぁ。」
市川「下手なレアより全然強いね。」
覚前「(公式ハンドブックをめくりながら)でも、もっと強いのがあった!《原初の死、テジマク/Tetzimoc, Primal Death(RIX)》でお願いします。」
渡辺「僕もそれ何回か引いてるけど、お化けだね。僕も《テジマク》でもいいけど……《若葉のドライアド/Tendershoot Dryad(RIX)》で。」
山本「それもほぼ無色やろ(笑)。」
渡辺「まあ、シングルシンボルだから絶対使えるけど。」
市川「有色だったら、俺は青緑の反転(《ハダーナの登臨/Hadana’s Climb(RIX)》)だな。」
八十岡「じゃあ地味なところ行っとくか……。アンセム(《光輝の運命/Radiant Destiny(RIX)》)で。」
渡辺「謙虚だね! このカード、デッキに入らないこともあるけど。」
八十岡「ないよ。毎回思うけど、基本お化けカードだよ。」
市川「でも種族寄せないといけないじゃん。」
八十岡「白やってたら勝手に寄るから! 白はトークン系が多いし。」
――山本さんはどうですか?
山本「僕も《若葉のドライアド/Tendershoot Dryad(RIX)》かな……。」
八十岡「え、いいの?《法をもたらす者、アゾール/Azor, the Lawbringer(RIX)》じゃなくて。」
山本「すいません、やっぱ《アゾール》で。今回の合宿で2回引いて、むっちゃ堪能したんです(笑)。」
●モダンの進捗
――プロツアーに向けて、モダンはどれくらい準備していますか?
八十岡「今、進行度35%くらいですね。あと1週間くらいしかないのに(笑)。」
渡辺「俺、20%くらいだけど。」
市川「めちゃくちゃやってますけど、進捗はよくないですね。深い霧の中でさまよっているだけの可能性がある。」
八十岡「いろいろやった結果、やっぱダメだー!みたいな(笑)。」
渡辺「僕が1つだけ決めているのは、押し付けのできないデッキは絶対使わないってことですね。モダンでは、3キルクラスのことができるデッキじゃないと僕は使いたくないです。」
山本「僕はもうデッキ二択くらいですね。」
市川「俺も一応、三択くらいではある。」
覚前「僕もいくつかには絞りました。」
市川「でも、このデッキがいいからこれ、っていう理屈じゃなくて、好き好きで決まるよね」。
山本「最終的には“どの負け方を受け入れるか”みたいところがある。基本的に無茶苦茶されるのが常だから、その中でもこの負け方だけは許せない、みたいなところでデッキを決めるというか。」
八十岡「最後の1週間くらいは、メンタルを落ち着かせるとかが大事になってくる。負けを受け入れられる精神を作らないと。」
山本「結局は当たり運と先手しだいだから。」
渡辺「まあ、そんな中でも最終的にデッキの理解度は大事なんで、自分が使うデッキはたくさん回さないといけないですけどね。本当に細かいところ……サイドの1枚のカードとかが大きく影響するフォーマットではあるので、細かい調整はします。あとはお祈りですね。」
●禁止改訂について
――先日発表されたスタンダードの禁止カードについて、皆さんのご意見をうかがえればと思います。
市川「Twitterのタイムラインを見てたら、『《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》はたいしたことない1マナのカードなのに禁止になった』という笑い話になってたんですけど、とんでもないと。あのカードは禁止カードの中でも間違いなく一番強い。ほかの3枚はともかく、あれが禁止になるのは間違いなかったと思います。1枚だけだとまだまだエネルギーが勝つかもしれないから、《ならず者の精製屋/Rogue Refiner(AER)》も合わせて禁止にしたんじゃないかなと。」
八十岡「記事にそう書いてあったけどね。」
市川「あっ、書いてあった?(笑)」
覚前「僕も、エネルギーは強すぎたから妥当かなと。『イクサランの相克』のカードリストを見たとき、リミテッド用のカードがすごく多いなと感じて、このままだと環境が変わらないから、禁止を出さざるを得なかったんだなと思いました。」
渡辺「僕はそもそも、禁止カードを出すことは『マジック』の寿命を縮める行為だと思っているので、禁止自体に反対です。禁止よりも、カードを追加してほしかったです。ティムールの強いカードにも赤単の強いカードにもさわれる、《天界の粛清/Celestial Purge(M12)》みたいなカードがあればけっこう環境のバランスが健全になっんじゃないかと個人的には思うので。それこそ、『イクサランの相克』には入ってないけど《天界の粛清/Celestial Purge(M12)》だけ使える特別措置みたいな……。」
八十岡「プレインズウォーカーデッキ(新セットごとに2種類発売される初心者向けの構築済みデッキ)に《天界の粛清/Celestial Purge(M12)》を入れて使えるようにするとか?」
市川「プレインズウォーカーデッキを使うのは、抜け道としてはかなりいい気がする。」
山本「でも初心者の人がそのデッキどうしで戦ってて、切り札の《ミノタウルスの海賊、アングラス/Angrath, Minotaur Pirate(RIX)》をリムーブされたら泣いちゃうよ(笑)。」
――山本さんは、禁止カードについてはどうお考えですか?
山本「僕は、《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》と《ならず者の精製屋/Rogue Refiner(AER)》は大賛成なんですけど、《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins(HOU)》と《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon(XLN)》は大反対です。」
覚前「赤単使ってるから?」
山本「うん。」
市川「個人的な理由じゃねーか!!!!」
八十岡「感情論だった(笑)。」
山本「まあ、《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》だけは間違いなく禁止になると思ってたけど、赤単までこんなにバッサリ行くとは思わなかった。」
――ただ、《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon(XLN)》と《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins(HOU)》がなくなっても、赤単は全然ダメってほどでもないのでは?
山本「いやー……ダメかな。」
覚前「《フェロキドン》はまだいいけど、《ラムナプの遺跡》はダメでしょ。」
渡辺「俺はまだいける派だけど。《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》と《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》、《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》がいるからマナフラッドも6マナまでは許せるから。」
山本「確かにほかのデッキも相当弱くなってるはずだから、試してみたら意外といけるのかもしれないけど。」
――八十岡さんはどうですか?
八十岡「《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon(XLN)》禁止とか、ありえないでしょ。まだ本当かどうか疑ってるよ。《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins(HOU)》もありえないと思ってるけどね。赤だけ砂漠が減るから砂漠関連が使えないし。悪いのは1点砂漠(《陽焼けした砂漠/Sunscorched Desert(AKH)》)のほうじゃない?」
市川「あっちは《ラムナプの遺跡》と合わせると3点になるからね。」
八十岡「だいたい、禁止にするなら《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》でええやろと。」
市川「あれは神話レアだから……。」
渡辺「《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman(RTR)》を禁止にできないから、代わりに《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》を禁止にしたようなもんでしょ。」
八十岡「《死儀礼のシャーマン》は当時出たばっかりだったから、直前のセットのカードは禁止にしないってことで半年後に禁止になったけど、《フェロキドン》は直前のセットだから。だったら《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》禁止でよかったでしょ。」
山本「確かに、《フェロキドン》がきついデッキは、《ボーマットの急使》もきついからね。」
――でも、《フェロキドン》がいると、トークン系のデッキが死んでしまうからという禁止理由でしたよね。
八十岡「死なないよ! もっとがんばれ!」
市川「追放除去が増えたんで、やりようはあると思うんですよね。」
渡辺「3マナで、場に出たときに自分で何か仕事をするわけでもないクリーチャーを禁止にするなんて、ありえないですよ。」
八十岡「歴代の禁止カードを並べて見たとき、カッコ悪いでしょ。」
渡辺「《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》とか《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》は、明らかに禁止クラスってわかるじゃないですか。ここ最近で出た禁止カードの中でも、《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End(EMN)》や《密輸人の回転翼機/Smuggler’s Copter(KLD)》あたりはまあいい。」
市川「そんなやばすぎるカードたちの中に……《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon(XLN)》。」
山本「格が違うね。」
八十岡「禁止カードには格が必要だからね。一度禁止カードの格を落としてしまうと、あいつらより上のカードは常に禁止される可能性があるってことになってしまうのがよくないよね。」
●2018年の抱負
最後に、昨年に引き続いて、皆さんの今年の抱負を書き初めにしたためてもらいました。
長い半紙なので、文字をうまく配分するのが難関です。
八十岡翔太「臨機応変」
八十岡「人生、何が起こるかわからないんでね。状況に合わせてどんどん流転していかないと。プロポイントに応じてやることも変わるわけだし。」
渡辺雄也「チームワーク」
渡辺「せっかくチームにヤソも入ったし、今年はチームプロツアーもあってチームとしての活動が多くなるので、よりチームワークを高めていきたいなと。みんな我が強いので(笑)。」
去年の抱負について
渡辺「この髪型に慣れて、どれくらい切ればいいかわかるようになったんで、達成できました。瀧村君の長さまで切ると寒いってことがわかりました(笑)。」
山本賢太郎「ドラフトマスター」
山本「今年は真面目に考えました。今(ドラフトラウンドの戦績が)5-1なので、このままドラフトマスターに向けて頑張りたいなと。次であっさり終わるかもしれないですけど(笑)。」
※ドラフトマスター:そのシーズン中、プロツアーでのドラフトでもっとも多く勝ったプレイヤーに与えられる称号で、世界選手権の出場資格も得られる。
去年の抱負について
山本「飼えませんでした。引き続き、飼えたら飼いたいということで。」
市川ユウキ「悪即斬」
市川「今年もタイムラインで悪を斬って斬って斬りまくりたいと思います。どのような悪かについてのコメントは差し控えさせていただきますが(笑)。」
去年の抱負について
市川「世界はまだ平和になってないんですが、平和への過程として悪を斬っていこうと。なので、今年はかなり具体的な目標と言っていいと思いますね。」
市川さんは「即」の字を間違えてしまい書き直しになりました。1枚目の「悪」はかなりカッコよく書けていたので、「上ブレた悪だったのに~!」と残念がっていました。
覚前輝也「一念通天」
覚前「『固い決意と意志を持って一つの物事に一心になって取り組んでいけば、必ずその磁力は天へと届き、目標や夢に到達できる』という意味です。いろいろググったら出てきた言葉なんですけど、いいなと思って。」
去年の抱負について
覚前「去年はレベル落ちたので、どちらかと言えば負けです。去年のことは忘れて、心機一転して頑張りたいと思います。」
来たるプロツアー『イクサランの相克』でもTeam Cygamesのレポートをお届けしていく予定ですので、どうぞお楽しみに!
山本賢太郎、市川ユウキ、渡辺雄也、覚前輝也、八十岡翔太、行弘賢、中村肇、中村さら、瀧村和幸、松本友樹、川崎慧太、井上徹、玉田遼一、石村信太朗、佐藤レイ、金川俊哉、辻川大河、阿部倫央