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【PTDOM】2日目スタンダードラウンドまとめ【Day2】

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2日間の戦いが終わり、Team Cygamesのメンバーの最高順位は市川さんの117位と、今までの華々しい成績に比べるとかなり厳しい結果となりました。ですが皆さんさすがプロで、不機嫌になるようなこともなく、トップ8入りした瀧村和幸さんを囲み、みんなでお祝いしていました。
「いつも勝てるわけじゃないんで、こんな時もあります」と山本さん。

2日目ずっと好位置につけていた行弘さんは38位でプロポイント10点を獲得。そのおかげもあり、チームシリーズの〈MUSASHI〉の順位は現在4位となっています。
次のチーム戦プロツアーで挽回するべく、皆さんは今日の試合が終わるとすぐに次のチームの調整方法について話し合っていました。

それでは、2日目に進出した山本さん・市川さんの対戦と、使用デッキについて振り返ります。

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行弘さんの最終戦の相手は、バブルマッチで当たって日本人をトップ8に送り出すことが多いReid Duke。今回はバブルマッチではなかったため本来の強さを発揮し、行弘さんの負けとなってしまいました。

 

 

 

●市川ユウキの場合

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2日目ドラフトラウンドの戦績
1-2

2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績9-7、最終順位117位)/エスパーコントロール

ラウンド 対戦相手のデッキ(相手の名前) 勝敗
12 緑白ミッドレンジ 負け(××)
13 青白コントロール 勝ち(×〇〇)
14 赤タッチ黒 勝ち(×〇〇)
15 赤単ウィザード(Marc Tobiasch) 負け(×〇×)
16 黒緑巻きつき蛇 勝ち(〇〇)

 

対戦について

――印象的な場面などはありますか?
市川「12ラウンド目の緑白との対戦で、1ターン目に《善意の騎士/Knight of Grace(DOM)》が出てきて、まあまあ食らってから-4/-0(《霊気溶融/Aether Meltdown(KLD)》)で止めて、《アズカンタの探索/Search for Azcanta(XLN)》もひっくり返ってほぼ勝ちかなってなったら、まず《排斥/Cast Out(AKH)》で-4/-0をどかされて、そのあと《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta, the Sunken Ruin(XLN)》を2回起動して《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》を2回撃ったにもかかわらず、《善意の騎士》への回答を引かず、2点だけで殴られ続けたという。《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria(DOM)》残り2枚、《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》1枚、《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》3枚の、どれでもいいから引いてれば絶対勝ってた。
2ゲーム目も似たような展開で、30枚くらいめくったのに《奔流の機会巨人》1回も引かなくて負けみたいな……。初戦からついてなかったです。」

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82番の看板の横にある謎の「青椒肉絲スナック」は、生放送解説者で、よく差し入れのおやつをくれる浅原晃さんからもらったそうです。

 


市川ユウキ『エスパーコントロール』
プロツアー『ドミナリア』



4《島》
4《沼》
1《平地》
4《霊気拠点》
4《水没した地下墓地》
4《異臭の池》
2《灌漑農地》
1《進化する未開地》
1《廃墟の地》
1《氷河の城砦》
1《孤立した礼拝堂》


土地(27)


1《スカラベの神》
3《奔流の機械巨人》


クリーチャー(4)


4《致命的な一押し》
4《不許可》
4《ヴラスカの侮辱》
3《天才の片鱗》
2《中略》
2《霊気溶融》
2《アズカンタの探索》
1《喪心》
1《本質の散乱》
1《否認》
1《俗物の放棄》
1《至高の意志》
3《ドミナリアの英雄、テフェリー》


呪文(29)


4《光袖会の収集者》
2《守られた霊気泥棒》
2《否認》
2《強迫》
1《スカラベの神》
1《霊気溶融》
1《アルゲールの断血》
1《喪心》
1《魔術遠眼鏡》


サイドボード(15)


※山本さん・渡辺さんは75枚ともこれと同じデッキ。八十岡さんは《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《至高の意志》が1枚ずつ少なく、代わりに《天才の片鱗》と《本質の散乱》が1枚ずつ多い。

デッキについて

――市川さんがかなり練習してきたデッキということで教えていただきたいのですが、こだわりのチューニングポイントはどこですか?
市川「土地がまず27枚。マナベースだけ、僕が1人回ししながら考えたんです。木原(惇希)君の元のリストは《廃墟の地/Field of Ruin(XLN)》と《進化する未開地/Evolving Wilds(RIX)》が2枚ずつなんですけど、そこを青白サイクリング(《灌漑農地/Irrigated Farmland(AKH)》)2枚に替えて、さらに土地を1枚追加してます。
サイクリングランドを1ターン目に置ければ(《水没した地下墓地/Drowned Catacomb(XLN)》などの)コアランドをすぐ置けるし、後半もサイクリングランドが6枚入ってると息切れしづらい。タップインですけど、単純に後半のカードパワーが上がるから、ちょっと増やしました。」
――《進化する未開地》よりもサイクリングランドのほうがいい?
市川「《進化する未開地》は紛争して《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》を撃てる利点もあるんですけど、それは《廃墟の地/Field of Ruin(XLN)》と合わせて2枚あればいいかなというのが、回してみての感じでした。
あとは《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》が3枚で《至高の意志/Supreme Will(HOU)》を1枚にしてマナ域を軽くしてみたりとか、そういう調整はいい変更だったかなと思います。」

灌漑農地.jpg

――サイドボードは特に何を意識して作りましたか?
市川「赤黒ミッドレンジと青の同系……特に青白コントロールですね。」

――それらが今回のメタゲームで多いと予想していたわけですか。
市川「そうです。赤黒ミッドレンジだけで20~25%くらい、青白コントロールが15%くらい、2つ合わせたら半分近くいてもおかしくない2大メタなんじゃないかと。なんで、その2つに勝てるようなデッキを構築しようというのがスタートラインでした。」

――実際には、赤タッチ黒アグロみたいなデッキが多く勝ち上がってきましたよね。
市川「そう、赤単も多いし赤タッチ黒も多くて、逆に青白コントロールは全然いなかったのは誤算でした。なんで、サイドボードをあと2枚くらい、《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》入りデッキに対策を取れていたら、勝率はちょっと変わったかなと思います。」

――今変更するとしたら、何を入れますか?
市川「《否認/Negate(AER)》の3枚目と《霊気溶融/Aether Meltdown(KLD)》をサイドに1枚ずつ、両方とも赤黒ミッドレンジと青白コントロールに絶対勝ちたくて取ってるんですが、そこを-1/-1してトークンが出るやつ(《菌類感染/Fungal Infection(DOM)》)2枚とかに替えたら、あと1勝か2勝は違ったかも。」

否認.jpg 霊気溶融.jpg

菌類感染

――確認ですが、デッキ相性としては、早い赤単系デッキは苦手なんですよね?
市川「そうですね、でもサイドボードを取ってないからで、ちゃんと取れば五分くらいまでは持っていけると思ってます。あともともと仮想的の赤黒ミッドレンジと青白コントロールには五分以上あって、緑系もあまり当たってないけど、だいたい勝つはず。」

プロツアー振り返り

――今プロツアーでの良かった点と反省点を教えてください。
市川「良かった点は……最後まで集中力を切らさずにプレイできたことですかね。やっぱり6敗とか7敗とかしちゃうと、けっこう集中力切れちゃうんですけど、最後までポイントの上積み目指してできたんで。
反省点は、3-3だったドラフトであと1勝できていれば。構築のほうももう少しデッキを詰めていれば、あと1勝は積めたかなという印象なので。ドラフトは今回けっこう練習していたのに、最後にまさかアート(2日目のドラフトレポート参照)を組むことになるとは……。」
八十岡「アートを描くのは目標って言ってたけど、さすがにあのデッキはやばかったよ。」
市川「あまりにもアートすぎたね。時代が俺に追いついてなかった(笑)。30年後くらいに発掘されて、『これは現代のやり方だ』って評価されるかもしれないよ。」
行弘「俺の持論だけど、(市川さんが1-2でピックした)《金粉の水蓮/Gilded Lotus(DOM)》は、取ると遊びたくなるから取らないほうがいいと思う。受けが広くなってるように感じて、デッキをピックするんじゃなく強い順にカードを取る作業になっちゃって、まとまりのないデッキになりやすいから。」
市川「確かに。」

――昨日聞いた話ですと、渡辺さんと八十岡さんは発売後に間が空いて環境が煮詰まったタイミングでのプロツアー個人的に嫌いだということでしたが、市川さんはいかがですか?
市川「まあ、好きじゃないですね。見てる側もあんまり面白くないでしょ。赤しかおらんやん!って。こないだのグランプリ・バーミンガムみたいな、『赤黒ってこんなに強いのか!』とか、『青白コントロールに《テフェリー》が4枚入ってて勝ち手段が入ってない!』とか、そういうプロツアーになってたら盛り上がったと思うんですよ。
そしたら《テフェリー》の値段もガーンと上がっただろうし、ショップもうるおう(笑)。今回は《テフェリー》も大して使われてないし《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza(DOM)》も2枚しか入ってないし、《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler(DOM)》も禁止になるかもしれないから、これじゃ消費者は何も買わないよ!(笑)
まあ、やっぱり見る側もやる側も、2週後のタイミングのほうがエキサイティングかなと思いますね。」

 

 

 

●山本賢太郎の場合

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2日目ドラフトラウンドの戦績
2-1

2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績7-8、最終順位229位)/エスパーコントロール

ラウンド 対戦相手のデッキ(相手の名前) 勝敗
12 青緑カーン(Ondrej Strasky) 負け(××)
13 赤黒アグロ 負け(××)
14 スゥルタイ蛇 負け(××)
15 赤黒機体 負け(×〇×)
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対戦について

山本「青緑カーンは、Channel Fireball勢が持ってきて初日にけっこう話題になってたデッキなんですけど、コントロールデッキとしてはすごく相性悪そうだなと思ってたんですよ。《光り物集めの鶴/Glint-Nest Crane(KLD)》とか、アドバンテージ取れるクリーチャーやカウンターが入ってるし、苦手そうだから当たりたくないなと思ってたら今日さっそく当たってしまって、何もできずに負けました。」

デッキについて

――今日は運気が悪かった感じでしょうか?
山本「やっぱり、3色で相手に対応するタイプのデッキなので、自分が能動的に攻めるビートデッキに比べると不安定な部分があって、そういう部分が今日は表に出てしまったかなと思います。マリガンも多かったですし、土地がストップしたのも多かったです。
どうしても、相手との勝負プラス自分との勝負という面があって、自分との勝負の比率が、ビートデッキより大きい。ビートは攻めるだけですけど、コントロールは受けつつ最後には攻めることも必要で、それに加えて3色ということで色マナの調整とかもあるんで、ちょっとコントロールの難しいところが出ちゃったかなと。」

プロツアー振り返り

――今プロツアーの良かった点と反省点は何でしょうか?
山本「良かった点は……ないですね。ゼロです(笑)。
反省点は……もうちょっといろんなデッキ回しとけばよかったなと。赤単をあきらめた時点で消去法的にエスパーを選んだんですけど、その時に赤黒機体とかいろいろなデッキを回してたら、今回勝ち組だった赤黒ビート……赤単と赤黒機体のハイブリッドみたいなデッキへの道もありえたのかなと。」

――そういう形は試してはいなかったんですか。
山本「試してなかったです。MOCSとかでちょいちょい勝ってるのを見てはいたんですけど、《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》とか入ってるぶん、赤黒ミッドレンジに対して相性が悪そうだなという先入観があって。」

――なるほど。最後に、環境が煮詰まったプロツアーはどうですか?
山本「俺もあんまり好きじゃないですね。時間が長すぎて、やれることが多すぎて逆に絞りきれないというか。もう少しショートスパンのほうがやりやすくはありますね。」

 

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トップ8プレイヤーが呼び出される際、みんなでステージ前に集まり瀧村和幸さんに「おめでとう!」のかけ声と拍手を贈りました。

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夜は原根健太さんも一緒にアイスホッケーの試合で盛り上がっているスポーツバーへ行き、乾杯! 写真に映っていませんが、渡辺さんと山本さんも奥にいます。

 

日曜日は、八十岡さんが恒例の生放送解説へ。
行弘さんが今回使ったユニークな緑黒デッキについては、プロツアーレポート特別編としてデッキテク記事を掲載する予定です。
また、次に控える大会としては6月末のグランプリ・シンガポール2018などがありますので、引き続きTeam Cygamesの応援をよろしくお願いいたします!

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