【PT25A】2日目〈MUSASHI〉チームA(渡辺・覚前・八十岡)振り返り【Day2】
2日目を終えて、チームAは残念ながら目標に届きませんでしたが、顔なじみの有名プレイヤーチームにたくさん当たり、楽しそうにプレイしていました。
●対戦結果
ラウンド | 渡辺(対戦相手) | 覚前(対戦相手) | 八十岡(対戦相手) | チームの勝敗 |
---|---|---|---|---|
R8 | ○×○(青ストーム) | ×○×(マルドゥパイロマンサー) | ○○(エルドラージ/Kai Budde) | 4-4 |
R9 | ××(黒緑蛇/Brian Kibler) | ○○(人間/Jamie Parke) | ○○(エルドラージ/Ben Seck) | 5-4 |
R10 | ○××(赤黒アグロ/Matthew Foulkes) | ○○(ホロウワン) | ○××(グリクシスコントロール/Anteri Fabrizio) | 5-5 |
R11 | -(グリクシスコントロール) | ○×○(トロン) | ×○○(アント) | 6-5 |
R12 | ○○(緑単/Jason “Amaz” Chan) | ××(ドレッジヴァイン) | ××(青白石鍛冶) | 6-6 |
R13 | ×○×(赤黒アグロ/Thomas Hendriks) | ×○×(青白奇跡/Joel Larsson) | ××(スゥルタイ/Petr Sochurek) | 6-7 |
R14 | ○××(赤黒アグロ/Corey Baumeister) | ○○(ストーム/Martin Muller) | ××(グリクシスコントロール/Lukas Blohon) | 6-8 |
2日目は最初に伝説の“ジャーマン・ジャガーノート”ことカイ・ブッディのチーム、次のラウンドも有名プレイヤーのブライアン・キブラーたちと当たって、プロツアーらしい華やかさがありました。さらに後半戦でもハースストーンの有名プレイヤーでシルバーショーケースにも出場している“Amaz”ことジェイソン・チャンと当たるなど、顔なじみのプレイヤーたちばかりなのでプロツアーとは思えないほど楽しそうにプレイしていました。
●チームのフォーマット振り分けについて
八十岡さんがおおむねレガシーで決まっていて、覚前さんと渡辺さんがどちらをやるかというところに、覚前さんがナカティルバーンを使いたいのでモダンを担当することになるという流れで担当が決まりました。「もしまだ決まってないときにドレッジヴァインのデッキレシピが来てたら、このデッキ僕のすごい好きなタイプなんでこれを使ってモダン担当になってたと思う」と渡辺さん。
●渡辺雄也の場合
12《森》 4《花盛りの湿地》 4《ハシェプのオアシス》 4《森林の墓地》 土地(24)
クリーチャー(25) |
2《冒険の衝動》 4《顕在的防御》 3《キランの真意号》 1《領事の旗艦、スカイソブリン》 呪文(10) |
1《打ち壊すブロントドン》 1《蔦草牝馬》 2《強迫》 1《霊気圏の収集艇》 2《待ち伏せ》 2《造命師の動物記》 2《栄光の刻》 1《生命の力、ニッサ》 1《領事の旗艦、スカイソブリン》 2《ビビアン・リード》 サイドボード(15) |
デッキ選択の理由
渡辺「僕と行弘と原根君でスタンダードを一緒にやってて、誰が何を使うとかは決めずにだいたい環境を把握したところで、日本を出てきました。グランプリ・ミネアポリスが終わってから、MOベースでやってたんですよ。3人だと2人で対戦したら1人余っちゃうんで、それより3人でMOやったほうがデータ取れるんじゃないかみたいな雰囲気で。僕は青単ストームと赤黒をちょっと擦って、青単を早めにあきらめて、8割くらいは赤黒で行こうと思ってました。丸い選択肢として。
原根君が緑単を追っかけてて、いいリストができたってことで回してみたら、行弘は最後のほうだけけっこう負けてたけど、僕は6~7リーグ出て5敗しかしなかったんですよ。確かにかなりデッキ強いなと。
赤黒のほうが経験値はあったんですけど、僕しか回してなかったからあまりリストとして伸びてなかったんですよね。なんで、不安もありましたけど2人が感触いいっていうし、僕も直前の勝率を信じて、最終的に緑単を使うことに決めました。」
――あまり好きなタイプのデッキではないそうですが?
渡辺「まぁ正直、あまり好きではないですね。僕のプレイスタイルとして、守りながら攻めるとか、攻めつつ妨害するみたいなデッキのほうが得意なんですけど、今回の緑単は本当に攻めることしかできなくて、いったん受けに回ると厳しいので。」
――でも、守りながら攻めるような得意タイプのデッキは現環境だと弱いということですか?
渡辺「赤黒は一応ぎりぎりそれに該当するんですが……《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix(RIX)》でいったん盤面を膠着させてから返しでじりじりと、みたいな展開も一応あるし、《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler(DOM)》もブロッカーとしてそこそこ優秀なんで。
攻守兼用のカードを使うほうが自分のスタイルに合うと思ってますけど、緑単を使ってみたら悪くなかったし、自分のスタイルに合ってないのは重々承知のうえで、選びました」
2日目の対戦について
渡辺「昨日と違って今日は楽しかったです。最近プロツアーに出てなかったブライアン・キブラーと久しぶりに対戦できたし。結果は負けのあと2ゲーム目は手打ち(ほかの2人が勝ったため試合が途中で終わること)でしたけど、盤面100対0くらい負けてたんで、負けです。『3本目はShadowverseで決めない?』って言って投了しようと考えてたんですけど(笑)。」
(※キブラーは先日アメリカのゲームイベントでジェリー・トンプソンとShadowverseのイベントに出演していた)
Come witness card game titans @bmkibler and @G3RRYT battle it out on Shadowverse! We’ll be waiting for you at #AnimeExpo2018 Booth #3900! pic.twitter.com/WRhOMsenhq
— Shadowverse (@shadowversegame) 2018年7月5日
――キブラーのシャッフルがちょっと遅くなっていたという噂ですが。
渡辺「ちょっと衰えたなと思いました(笑)。あとAmazとも当たって、当たるのは2回目なんですけど、けっこううまいなと。彼みたいな、別ゲームと両方やってるプレイヤーが活躍してくれるのはうれしいことだし、応援してるよって伝えました。
あとは最後、けっこう下のラインなのにジョエル・ラーションのチームとかジェネシスと当たって、すごい笑いながらやってました。」
――楽しそうでしたね。
渡辺「あと、今日の3回戦で当たったマテュー・フォーカスは非常に印象が悪いって書いといてください(笑)。」
――いったい何をされたんですか?
渡辺「僕と試合をしているのに、妙にきょろきょろして横の試合を気にしてる。で、レガシーのプレイヤーのところまで行って耳打ちして帰ってくるんです。チーム戦って、どうしても対角線上にいる対戦相手の手札が見えちゃうことってあるんですよね、配置上の問題で。シャッフルとかも、うまくやらないと隣のプレイヤーに内容が見えちゃったりする。事前に試合を見てて、『あのプレイヤーは何を使ってるのを見たよ』とかだったらいいけど、試合中にどうしても見えてしまう手札やシャッフル内容をゲームに悪用するのは、スポーツマンシップに欠けた行為だなと思います。」
※シャッフル中に相手に内容が見えてしまうのは自分の責任となるため、ルール上問題ないですが、見えた手札の内容をその対戦相手のチームメイトに教えるのは、本来知りえるはずのない情報を得ることになるのでルール違反です。
――それって、ジャッジを呼んで止めさせることはできないんですか?
渡辺「ジャッジが『どうして席を立って、何を言ったの?』って聞いても、『がんばってって言っただけだよ』って返されるだけなんで。単に耳打ちしてるだけだから、言い訳はいくらでもできてしまう。なんで、何回も行ったり来たりしてさすがにおかしいなと思って、ヤソに『手札隠して』って言ったんですよ。そしたらそのあとは急に何もしなくなった。
彼は最近よく放送とかやってて、個人的に知ってたんです。対戦したことはないけど、よく面白い放送やってるなと。でも実際に当たってみたらそんなで、本当に見損ないました。」
覚前「僕の相手もすごいいちゃもんつけてきて、とりあえずジャッジ呼んでワンチャン警告を与えようとしてきた。ちゃんとジャッジは正当な評価をしてくれましたけど。ジャッジ呼んだときに隣も同調して援護しようとしてくるし、なんか、チーム内で連携が取れてるんですよ。手札がもし見えたら伝えようって最初から決めて日常的にやってるみたいな。」
渡辺「どこまで意図的なのかわからないし、もし本当に『がんばって』って言ってるだけで僕らの想像とは違ってたとしても、十分疑われるようなことをしてるんで心証悪いし、彼と個人的に交友関係を持とうとは思わないですね。
僕も正直、相手チームのレガシーの人の手札が見えちゃうことはどうやってもあるんですよ。でも僕らはその内容を一切言わなかった。それをするのはマジックというゲームに対しての冒涜に近いですね。プロツアーという場でそういう行為をする人がいるのは純粋に悲しいし、個人的に注目してたプレイヤーだったということもあってがっかりしました。」
皆さんの話によると、プロツアーで当たる8割以上のプレイヤーはとても紳士的でいい人だそうですが、「たまにすげぇやべぇヤツがいる」のも事実だそうです。Team Cygamesの皆さんは、マジックという文化をより発展させるためには、プロとしてどんな振る舞いが求められるのかを気にしている、ということがよく伝わってきました。
良かった点と悪かった点
――今回のデッキ選択はどうでしたか?
渡辺「今は正直、赤黒で出たほうがよかったと思ってます。まず、想定してたより緑単が事故るデッキでした。たぶん行弘は緑単のほうが安定してるって意見だと思うんですけど、僕は赤黒と緑単はたいして変わらないくらい事故ると思います。
というのも、緑単はマナフラッドに弱いんです。赤黒はサイクリングランドがあるけど、緑単はその枠が《ハシェプのオアシス/Hashep Oasis(HOU)》なんですよ。これは基本的に攻めにしか使えないカードだけど、サイクリングランドなら、受けに回ったときも盤面を打開するカードを探しに行けるので。」
渡辺「あと、参加者のほぼ全員が赤黒と緑単を意識してたんですよね。その中で、赤黒にはまだ対抗する力があるんですけど、緑単は過剰に意識された中では手も足も出ない感じがありました。こっちが1、2、3、4と展開しても、除去4連続で返されたらもうダメ。赤黒だったらまだそれでも《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》や除去が2回必要な《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix(RIX)》がありますけど。愚直な攻めしかできない緑単は、たとえば環境が赤黒、グリクシス、青白コンみたいな状態であまり流行ってなくて、世間的に強いと思われてない状態だったら、よかったと思うんですけど。」
大会を振り返って
――この形式のプロツアーはどうでしょうか。好きじゃないという話は昨日聞きましたが……。
渡辺「いつもの個人戦のプロツアーのほうが、チーム感があると思います。6人全員で同じフォーマットを研究して、全員の集大成が出るわけじゃないですか。今回はよそのチームを見ると、チームの垣根を越えてやってたりするんですよね。チームシリーズをやってるのに同じチームで調整しないのがいいことかどうかは微妙なラインですけど、自分が勝つことをメインに考えれば賢いやり方だなとは思いました。」
――まあ、この形のプロツアーは1つの新たな試みですよね。お客さんとしてはいろいろなデッキが見られて楽しいと思いますし。
渡辺「確かに見てる側はおもしろいんですけど、やる側は大変なんで次はもうやらないでほしいですね。俺は行弘と原根君がいたからまだマシでしたけど、ほかのチームと連携しないといけないというのは、プレイヤーとしてはちょっと無理があるフォーマットかなと。」
●覚前輝也の場合
2《山》 2《乾燥台地》 3《聖なる鋳造所》 4《沸騰する小湖》 1《銅線の地溝》 2《踏み鳴らされる地》 4《血染めのぬかるみ》 2《樹木茂る山麓》 土地(20)
クリーチャー(18) |
4《稲妻》 4《溶岩の撃ち込み》 2《裂け目の稲妻》 4《稲妻のらせん》 4《焼尽の猛火》 4《アタルカの命令》 呪文(22) |
3《破壊的な享楽》 4《流刑への道》 3《安らかなる眠り》 3《溶鉄の雨》 1《渋面の溶岩使い》 1《古えの遺恨》 サイドボード(15) |
デッキ選択の理由
――どうしてこのデッキになりましたか?
覚前「ナヤカラーにした理由は、上位メタのトロンとかコントロール系、青赤ストームとか、そういうのに対して《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》がけっこう強いなというのがあって。」
――最序盤からクロックが刻めるからですか?
覚前「そうです。《野生のナカティル》がないただの赤白バーンだと、トロンやストームにカードパワーが足りなくて勝てないけど、《ナカティル》を入れたらクロックが間に合っておおむね勝つだろうと。なんで、バーン系を使うならナカティルバーンにしようと。昔そこそこ流行ったデッキなんですけど、最近は全然勝ってなくて、けど今の立ち位置的にはけっこう有利に戦えるんじゃないかなと思って選択しました。」
――で、緑も入れるなら《アタルカの命令/Atarka’s Command(DTK)》も入れようと。
覚前「強いので入れたいなと。その2種類を入れることによって、MOのリーグでかなり勝てました。」
――モダンはたくさんデッキがあるので網羅はできませんが、デッキ相性としては、ボーグル以外はだいたいいけるみたいな話でしたよね。
覚前「メイン不利なマッチアップはボーグル。そこだけは勝たない。人間相手とかでも、《野生のナカティル》の3/3ってサイズがけっこうでかくてブロックしづらい感じなんで、いい勝負で先攻次第。赤白バーンには土地ダメージが多くなる分ちょっと不利みたいな。」
――ドレッジヴァインに3回当たって負けてますが、相性悪いんですか?
覚前「悪くないと思ってます。」
渡辺「いや悪いっす。」
市川「たぶん、メインは4割で不利だけど、サイド後けっこう有利になって6割くらいになります。」
八十岡「メイン4割もなさそうだったけどな。」
市川「先手の《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel(JOU)》置けるかしだいだよ。」
渡辺「モダンだから先手ゲーの部分はもちろんあるけどね。」
覚前「まあ、僕の体感では5割です。」
――ところで、このデッキのこだわりの調整ポイントみたいなところってありますか?
覚前「特には……。《安らかなる眠り/Rest in Peace(RTR)》が3枚入ってるのは若干多いかもしれないですけど、墓地を使うデッキが多めかなと思って入れたくらいで。あとはやっぱりモダンなんで、幅広く使えるようなサイドボードにしました。
グランプリ千葉の前からプロツアーに向けて、ずっと75枚固定で練習してました。1枚も変えるところがないくらい、僕の中では完成されてたなと思います。」
よかった点と反省点
――今回のプロツアーのよかった点は?
覚前「グランプリ・ミネアポリスのあと、みんなで練習していろんな意見をもらえたんですけど、マジックって奥が深いなと。僕のプレイ感覚とみんなのプレイ感覚って全然違ってて。自分はバーンをめちゃめちゃ回してて、みんなは僕よりは回してないと思うんですけど、日本が誇る一流のプレイヤーがそろってるわけじゃないですか。僕よりすぐれたいろんな意見がたくさんあって、それによって、デッキレシピは変わらないけど、自分のプレイスキルがかなり上達したなって感じました。」
――さんざんやってきたけど、新しい意見が入るとさらにうまくなるから、マジックは奥が深いってことですね。
覚前「そのうえで大会に出てみて、けっこうプレイミスしたんで奥が深いなと。本番で『あっミスしたな』ってわかるようになっただけ、成長してるのかもしれないですけど。」
――確かにそうですね。
覚前「1日目、勝ち確を逃したって話をしましたけど、冷静に考えたらおそらく1本目も勝ち確だったと思うんです。2回も勝ってた試合で負けてしまって……単純にプレイをしっかりしてる人が勝つゲームだなと実感しました。」
――どこまでやってもゴールはないって感じですよね。こうすればよかったという反省点はありますか?
覚前「違うデッキをあまり回してなかったことですね。バーン自体の立ち位置や構成はよかったと思うんですけど、新しく出てきたドレッジヴァインとかも、少しはさわったほうがよかったなと。」
――それは相手にするときに役立つからですか?
覚前「対戦相手としては、MOでこの1週間でかなり当たったんで戦い方とかはわかってるんですけど、自分で使ってみて、もしめちゃくちゃ強いってなればやっぱり使いたいじゃないですか。選択肢を減らしてるのは損なので、新しく出てきたデッキは試してみたほうがよかったなと。」
●八十岡翔太の場合
6《島》 3《古の墳墓》 2《溢れかえる岸辺》 2《霧深い雨林》 2《汚染された三角州》 1《裏切り者の都》 1《Volcanic Island》 1《沸騰する小湖》 1《すべてを護るもの、母聖樹》 土地(19)
クリーチャー(3) |
4《意志の力》 4《渦まく知識》 4《思案》 4《定業》 4《実物提示教育》 4《全知》 3《狡猾な願い》 2《直観》 2《呪文貫き》 2《狼狽の嵐》 2《水蓮の花びら》 1《衝動》 1《予報》 1《精神を刻む者、ジェイス》 呪文(38) |
3《氷の中の存在》 2《墓掘りの檻》 2《ヴェンディリオン三人衆》 1《水流破》 1《仕組まれた爆薬》 1《外科的摘出》 1《エラダムリーの呼び声》 1《紅蓮破》 1《稲妻》 1《残響する真実》 1《血染めの月》 サイドボード(15) |
デッキ選択の理由
八十岡「もともと《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman(RTR)》は禁止になるだろうと思ってたんで、なったらアントを使う予定だったんですけど、なぜかアントまで被害を受けて(《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》が禁止になり)、けっこう困りましたね。あれでアントが2割減くらいになったんで。で、昔使ってたんでオムニテルで。基本コンボデッキが使いたくて、オムニテルかアントのどっちにしようかって感じだったんですけど、グランプリ・ミネアポリス後の月曜くらいにオムニテルになりました。最後の3日間くらいはけっこうずっと回してたんで、そこそこわかってきたなと。」
――このデッキは、何か特殊な調整ポイントとかはあるんですか?
八十岡「強いて言えば《予報/Predict(ODY)》が入ってるとか、ごく細かいとこしかないんで……。一応、サイドに《血染めの月/Blood Moon(9ED)》を取ったのが一番珍しいですかね。オムニテルって《狡猾な願い/Cunning Wish(JUD)》を使うんでサイドはウィッシュボードになるんですけど、ウィッシュボードの部分は極限まで削って、そのぶんほかのサイドカードを増やしました。」
対戦について
――印象的な試合などあれば教えてください。まずは1日目の試合について。
八十岡「このデッキ、勝つときはだいたいトップデッキなんで、かなり多いですよ。
ラウンド7では、1本目、ラストターンで《全知/Omniscience(M19)》引くしかないとこで引いてライフ2で勝ったし、3本目もライフ残り4で相手の手札はカウンターの山ってところで《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All(CHK)》引いて、ライフ2残って《母聖樹》からショーテルエムラ決まって勝ちとか。」
――おおー。
八十岡「ラウンド4のコガモの時は、コガモがデュアルランド4枚並べて手札に《赤霊破/Red Elemental Blast(4ED)》2枚抱えた状態で、《血染めの月》が刺さって勝ち。ラウンド5の茶単相手も、手札に《実物提示教育/Show and Tell(USG)》と《全知》があるけどそれ以外何もないラストターンに《定業/Preordain(M11)》引いて、《定業》から《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》引いて、そこから《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》見つけて勝ち、とか。このデッキ、そんなのしかない。」
――観戦してたら、ドラマチックで楽しそうですね。
八十岡「ラウンド3の対カナスレは、1回ミスって負けましたね。1ターン前まで《目くらまし/Daze(NEM)》をケアしてたはずなんですけど、『別にあったらしかたないか』みたいな感じでケアしない動きしちゃって、結果的にそこ撃たなかったら勝ってたみたいな。あれはミスりましたね。」
――2日目の試合はどうでしたか?
八十岡「最初の2ラウンドはブン回った(2キルと3キルを繰り返した)んですけど、だんだん回らなくなってきましたね。最後のほうとか、いつでも勝つみたいなとこでまったく引かなかったり。《実物提示教育》から《全知》張ったのに、4ターン土地しか引かずに負けとか。」
プロツアーを振り返って
――この形式のプロツアーはどうですか?
八十岡「うーん、あんまり好きじゃないですね。個人戦が3つで、チーム戦としての戦略が存在しないんで、面白くないですよ。強いデッキ持ってくるだけじゃないですか。チームリミテッドだったら、3つデッキを作るときに3つ中くらいにするか2強1弱にするかとか、チームスタンダードでも強い人にどのデッキを割り振るかとか、ABCの席順でどの席にコントロールが多いから誰をどこに配置するかとか……。このルールだとそういう工夫がない。あとみんなフォーマットが違うんで、基本的に相談もないし。」
――逆にプロツアーのよかったところはありますか?
八十岡「170チームしかないから有名チームに当たりやすくて、どのラインにいても知り合いと当たるんで楽しくはありました。全員2日目に進めることもあって、カジュアル感がありましたね。25周年記念なんでいいですけど、プロツアーというよりグランプリの楽しみに近いですね。互いにしゃべりながらやったりするんで、あまり緊張感がないみたいなところが。結論としては良くも悪くも、ってとこです。」
最終ラウンドの残り時間もあとわずか、LSVと木原惇希さんの対戦をみんなで観戦しています。
2日目のチーム成績:3勝4敗
合計成績:6勝8敗(101位)