日本選手権2018レポート
9月8日(土)~9日(日)に静岡で開催された日本選手権2018(フォーマットはスタンダードとブースタードラフトの混合)についてのレポートです。
●市川ユウキの場合
4《霊気拠点》 4《水没した地下墓地》 4《異臭の池》 2《廃墟の地》 5《島》 7《沼》 土地(26)
クリーチャー(14) |
2《大災厄》 1《喪心》 2《検閲》 2《本質の散乱》 4《致命的な一押し》 1《至高の意志》 4《ヴラスカの侮辱》 2《アルゲールの断血》 1《暗記+記憶》 1《死の権威、リリアナ》 呪文(20) |
3《強迫》 1《菌類感染》 1《冥府の報い》 3《否認》 2《歩行バリスタ》 1《喪心》 1《魔術遠眼鏡》 2《本質の摘出》 1《バントゥ最後の算段》 サイドボード(15) |
スタンダード:デッキ選択の理由
市川「いろいろ回してみたんですけど赤黒は本当に性に合わなくて…デッキがまわった時だけ勝つデッキ、俺は使いたくなかった。んで、この前のGPリッチモンドのTOP8に2人入ってた青黒ミッドレンジを回してみたら結構感触が良くて、王神とも迷ったんですけど今の環境だとパッとしなくて消去法的に青黒で。見た目は赤黒に弱そうなんですが、結構MOでは勝率良くてこれにしようと決めました。まぁ本番では負けましたけどね。(笑)」
――ベースにしたのは?
市川「Mike Sigristのデッキですね。メインはほぼ同じで、サイドは2枚《ジェイスの敗北/Jace’s Defeat》を入ってるのを僕は《否認/Negate》に変えました。青以外にもカウンターできるんで日本選手権のメタでは《否認》の方が役に立つと思ったので。あと《アズカンタの探索/Search for Azcanta》を《アルゲールの断血/Arguel’s Blood Fast》に変えて全部でデッキに3枚にしました。最初はライフ減らしてドローしていっぱいさばいて、裏返ったら《スカラベの神/The Scarab God》を出す。サクれる状態で追放除去食らってもサクり返せればいいんで。《アルゲールの断血》はデッキのフィニッシャーにもかんでてリソースゲームにもなるので採用しました。でもこのサイドのパターンとってる人結構いるんで特にオリジナリティはないっすね。」
ドラフト:1日目
1-1《ペガサスの駿馬/Pegasus Courser》
1-2《光明の縛め/Luminous Bonds》
1-3《緑探しのドライアド/Dryad Greenseeker》
1-4《驚異的成長/Prodigious Growth》
1-5《優位宣言/Declare Dominance》
2-1《狂気の一咬み/Rabid Bite》
2-2《厄介なドラゴン/Demanding Dragon》
3-1《光明の縛め/Luminous Bonds》
市川「1-1の《ペガサスの駿馬》の他の候補に黒の3マナ2/2飛行のヴァンパイア《流血の空渡り/Skymarch Bloodletter》があって、カードの強さだけでいったら白が一段くらい上だからピックしたんです。でももともと白やりたくないとは思っていたから、やらないという固い意志で黒をピックすれば良かった。思い返せばそこが一番の反省点。1-2は普通にいい除去とれて1-3はロングゲームにも強いし、2マナ1/3の悪くないサイズの《緑探しのドライアド》。1-4で+7/+7オーラ《驚異的成長》が流れてきたから緑はいけるかなって思った。んで、1-5で《優位宣言》がきたんで緑単のオーラみたいなデッキを作っていこうかなって思いつつ、6~8手目で《ボガートの粗暴者(3マナ3/2威迫)》を取ったりして赤緑はあんまりイメージつかないけど、アーキタイプとして赤白もあるかなと思いつつ…。」
――白緑赤の3色で見ていったんですね。
市川「まぁそんな感じ。1パック目でそんなに白もとれてなかったし2-2では、赤の《厄介なドラゴン/Demanding Dragon》が流れてきて、1パック目に《ドラゴンの財宝/Dragon’s Hoard》ってゆうドラゴンが出るとドローできるカードを取ってたのを思い出してかみ合うから取りました。だけどここから赤いカードも兎角流れてこず…。3パック目は…何だっけな…初手も覚えてない。たぶん《光明の縛め/Luminous Bonds》だけど2手目からはもう覚えてない記憶喪失。(笑)いやーさすがに俺が競技イベントで組んだなかで最低だった。」
市川さん曰く今まで競技イベントでつくったデッキの中でワーストだったそうです。
ピックの写真は“記憶にない感じ”を表現しています。
●覚前輝也の場合
2《霊気拠点》 4《泥濘の峡谷》 3《燃え殻の痩せ地》 4《竜髑髏の山頂》 11《山》 2《沼》 土地(26)
クリーチャー(15) |
3《反逆の先導者、チャンドラ》 2《ウルザの後継、カーン》 2《木端・微塵》 3《削剥》 3《マグマのしぶき》 1《無許可の分解》 2《ヴラスカの侮辱》 3《キランの真意号》 呪文(19) |
1《ウルザの後継、カーン》 1《ヴラスカの侮辱》 1《炎鎖のアングラス》 2《アルゲールの断血》 3《チャンドラの敗北》 2《大災厄》 3《強迫》 1《魔術遠眼鏡》 1《最古最誕》 サイドボード(15) |
スタンダード:デッキ選択の理由
覚前「とりあえず赤黒をまわしててMOでも結構勝つなって思ってたところにGPリッチモンドでSeth ManfieldがTOP8にはいったリストがミッドレンジ寄りで試したら感触が良かったんです。僕のメタ意識は赤黒アグロが多いと思ってて、赤黒アグロ以外のデッキに対しての耐性が若干下がるんですけど、赤黒に対しては微妙に有利につくので75枚同じのデッキを選びました。今回は会場に赤黒が4割くらいでしたが、勝ち残れば勝ち残るほど上位に赤黒があると見込んで、それに対して強いミッドレンジにしています。」
――印象的だった場面ありますか?
覚前「3ラウンド目であたった赤黒は普通の赤黒じゃなくて、赤黒エネルギーと当たりました。2ターン目にボブ《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》が出てきて、3ターン目に《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》んでその後《死の権威、リリアナ/Liliana, Death’s Majesty》みたいな感じ。結構変わったデッキでなんだこれって驚きました!」
ドラフト:1日目
――輝也…デッキは…?
覚前「捨てました!!!!!!(^-^)ゝ」
!!!!!!…ということで捨ててしまったので無しです。(笑)
ドラフト:2日目
1-1《浄化の輝き/Cleansing Nova》
1-2《吸血鬼の君主/Vampire Sovereign》
1-3《リッチの愛撫/Lich’s Caress》
1-4《骸骨射手/Skeleton Archer》
1-5《吸血鬼の新生子/Vampire Neonate》
2-1《飛行の先駆者/Aviation Pioneer》
2-2《本質の散乱/Essence Scatter》
2-3《悠長な再構築/Patient Rebuilding》
2-4《不吉な死霊/Fell Specter》
3-1《神秘の考古学者/Mystic Archaeologist》
3-2《吸血鬼の君主/Vampire Sovereign》
3-3《飛行の先駆者/Aviation Pioneer》
3-4《リッチの愛撫/Lich’s Caress》
3-5《本質の散乱/Essence Scatter》
覚前「1-1は《浄化の輝き》、《リッチの愛撫》、と5マナ2/4飛行のマルチ《威厳ある血王/Regal Bloodlord》の3択で、どれも色が白か黒だけどカードパワーがこの中で一番高い《浄化の輝き》をピックしました。1-2はとりあえず確保で《吸血鬼の君主》。その後ずっと黒の流れは良かったんですけど白が流れてこない。9~10手目あたりで青と緑が空いてそうだなとは自分の頭で感じてたので、黒は確定して残りの2パックで2色目を決めようと思いました。2-1は《飛行の先駆者》と緑の2マナ1/3《緑探しのドライアド》があって、自分の中で黒緑より黒青の方が組合せがよくて強いデッキになりやすいと考えてたし1パック目に《予言/Divination》をとれているので青が良いかなと思い《飛行の先駆者》をピックしました。2-3で《悠長な再構築》が流れてきて、これは青選んで正解だな、基本3-0するだろうと思ってました。」
――出来栄えは3-0ですね!
覚前「ところがどっこいですよ…相性の悪いマッチとマリガン基準を誤って事故り負けてしまいました。初手土地が1枚だったんですけどデッキが結構強かったし、2色ランド《水没した骨塚/Submerged Boneyard》を含めて僕のデッキには土地が18枚入ってる。且つ《前兆語り/Omenspeaker》が手元にあって後手だった。→だからドローできる数多いし、土地がもう1枚は手元にくると思ったんです。でもそれがミスでした。」
●山本賢太郎の場合
2《霊気拠点》 4《泥濘の峡谷》 3《燃え殻の痩せ地》 4《竜髑髏の山頂》 11《山》 2《沼》 土地(26)
クリーチャー(18) |
4《削剥》 3《反逆の先導者、チャンドラ》 2《ウルザの後継、カーン》 3《マグマのしぶき》 2《ヴラスカの侮辱》 2《木端・微塵》 呪文(16) |
3《チャンドラの敗北》 2《大災厄》 2《アルゲールの断血》 3《強迫》 1《ウルザの後継、カーン》 1《ヴラスカの侮辱》 1《霊気圏の収集艇》 1《死の権威、リリアナ》 1《魔術遠眼鏡》 サイドボード(15) |
スタンダード:デッキ選択の理由
山本「あまりスタンダードはやってなかったんですけど、GPの結果とかRPTQの結果見てて、赤黒が一番自力があるデッキなのは間違いないのは判明してると思ったんです。そこで一番多い赤黒に有利になれる構成って何かなって探している時にSeth Manfieldが使ってたデッキがメインに《ボーマットの急使/Bomat Courier》がなくて《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》の被害を食らわないかたちのもので。ものすごく赤黒アグロに有利ってわけじゃないけどこれ以上の構成もないなと思って選びました。」
――75枚同じですか?
山本「いえ、メインは2枚、サイドは4~5枚変えました。先ずメインは3枚あった《キランの真意号/Heart of Kiran》を乗り手がそんなにいない盤面があったんで安定して活躍できる《ピア・ナラー/Pia Nalaar》に。あと、晴れる屋の環境名人戦で伊藤敦さんが優勝した時に使ってた青単ストーム対策用に《削剥/Abrade》を増やしました。サイドは、《炎鎖のアングラス/Angrath, the Flame-Chained》を《死の権威、リリアナ/Liliana, Death’s Majesty》に変えました。サイド後によく出される《チャンドラの敗北/Chandra’s Defeat》がアングラスに引っかかってしまう為です。この変更は結構良かったかな。」
ドラフト:1日目
山本「1-1は3マナ2/2飛行《エイヴンの風魔道士/Aven Wind Mage》ですね。すごいパックが弱くて、《エイヴンの風魔道士》か緑のアンコモン《優位宣言/Declare Dominance》2択くらいしかなかった。緑は基本的にやりたくなかったんで《エイヴンの風魔道士》をピックしました。そしたら上家から白の強いアンコモンが2枚《信仰の伝令/Herald of Faith》と《秘儀術師の檻/Hieromancer’s Cage》が流れてきて。あ、これは白をいけっていうサインだなって思って青できるかわかんないけど白メインにしようと思いました。僕この環境はアーキタイプドラフトがすごい好きで結構好んで狙っているんですけど、その中でもアーティファクトシナジーっていうのが過小評価されている傾向にあってできるなら狙いたいなと思っていたんです。アーティファクトシナジーの鍵となるカードって4マナ3/2のアーティファクトがいたらカードを1枚引ける《星学者/Scholar of Stars》なんですが、これが1パック目、2パック目の一周したあとに残ってたんです。せっかくだし青白アーティファクトシナジーデッキを組もうと。《空の技師/Aerial Engineer》と《霊気盾の工匠/Aethershield Artificer》もアーティファクトシナジーでピックできて、組み終わったときには2-1かなと思ったら予想通り2-1でした。」
ドラフト:2日目
山本「1-1が《願いのジン/Djinn of Wishes》、1-2が《悠長な再構築/Patient Rebuilding》流れてきたんで青はもう確定にしようと思って。せっかくだから昨日組んだようなアーティファクトシナジー寄りの青白も狙えたら狙いたいなと思ってピックを進めていきました。《技量ある活性師/Skilled Animator》が4-5手目くらいに流れてきたんでより一層青白のアーティファクトシナジーデッキを組みたいと思いました。2パック目の初手に《空の技師》がきたんですけど、これは同卓に同じようなデッキを組んでいないんだなと思って…案の定1周しても戻ってしてきたんで青白だなって。あとは順当に青と白とアーティファクトのカードを寄せ集めていきました。いざ組んでみたら白いカードが3枚くらいしか入ってなくてほぼ青単でした。2-1よりかなって思ったら、案の定2-1でした。」
●八十岡翔太の場合
24《島》 土地(24)
クリーチャー(21) |
4《執着的探訪》 2《本質の散乱》 3《航路の作成》 4《魔術師の反駁》 2《潜水》 呪文(15) |
4《否認》 1《遵法長、バラル》 3《ジェイスの敗北》 2《本質の散乱》 2《神秘の考古学者》 3《霊気溶融》 サイドボード(15) |
スタンダード:デッキ選択の理由
八十岡「赤黒、青黒、グリクシス、赤単、他にもいろんなデッキを回したけど一番手ごたえがあったのが青単だったので、青単使いました。」
――参考にしたデッキはありますか?
八十岡「適当に自分で作りました。」
――行弘さんも青単ですが。
八十岡「結構内容違いますよ。たまたま青単で一緒だったねみたいな感じでした。行弘のはベーシックな青単なんですけど…1マナ1/2のブロックされない《這い寄る刃/Slither Blade》が入ってないのが一番大きい違いですね。青単自体はプロツアー『ドミナリア』の時から軽く組んでました。今の環境って青系のコントロールが増えてて、このデッキは青単ストーム、青黒ミッドレンジ、エスパーコンとか青いデッキにはほぼ全てに強くて、赤黒に対してもそんなに悪くないので選びました。」
――2日間通して印象的だった場面は?
八十岡「5ラウンド目で緑黒と当たってかなり絶望的な盤面からトップデッキして勝ったところかな。相手の盤面には《巻きつき蛇/Winding Constrictor》と《歩行バリスタ/Walking Ballista》が2体、自分の盤面は《遵法長、バラル/Baral, Chief of Compliance》と《大嵐のジン/Tempest Djinn》で、相手がバリスタを打ってくれたおかげで(1ターン次落ちなくなるんで)生き延びて、んで僕がトップデッキでバリスタ引いて飛ばして、そのままジンで殴り倒して勝ちました。あとドラフトだとrizerとの試合が結構面白かったです。」
ドラフト:1日目
八十岡「1-1が《暁の天使/Angel of the Dawn》と《リッチの愛撫》があって…一昨日くらいから話してたんですけど、卓に白が多くなりそうだからってことも予想して《リッチの愛撫》をとりました。2-1は《悠長な再構築》引いたんです、あとはまわってきた青いカード引いてっただけですね。2-2は《どんでん返し/Switcheroo》。6手目くらいで2マナ1/3飛行《至高の幻影/Supreme Phantom》がまわってきて、これはかぶると結構強いんです。ワンチャンでないかなって思ってとったら、3パック目で出て2枚になったという。この環境にスピリット全然いないんで。3-1で《吸血鬼の君主/Vampire Sovereign》引いてラッキーという。デッキの出来栄えは78点。除去が少なかったのがちょっと…ですけどそんなに悪く無かったかな。」
ドラフト:2日目
八十岡「1-1で《破滅の龍、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, the Ravager》をひいて、両面なんで卓の人全員わかるんですけど他のカードが弱かったんでこれを使えるデッキ組めたらいいな的な感じでピックしました。1-3で《本質の散乱/Essence Scatter》取ったりその後もカウンターとったりして最初は青黒いこうかなと思ってたんですよ。でも2パック目で《奇怪なドレイク/Enigma Drake》が1周してきて青赤が卓にいないなってわかったんで2枚目もとって、ここで青赤でいくかなと思いつつ。それなのに3-4で《悠長な再構築》が流れてきて…やっぱり青は空いてるんだなって。反省点としては、《吸血鬼の君主》《流血の空渡り/Skymarch Bloodletter》《異様な忍耐/Abnormal Endurance》の3枚
が青黒いこう思って早めにとってた3枚なんで無駄になってるのと、《流血の空渡り》を取ったとき4マナ3/2飛行《噛みつきドレイク/Snapping Drake》がいっしょにあって…すごい悩んだんですけど…もう少し青赤意識しても良かったかなって思いますね。デッキ的にはそこまで悪くないデッキだったんですけど…勝たず死亡という。(笑)」
●渡辺雄也の場合
14 《山》 4 《泥濘の峡谷》 4 《竜髑髏の山頂》 2 《霊気拠点》 1 《沼》 土地(25)
クリーチャー(24) |
2 《木端+微塵》 1 《マグマのしぶき》 4 《削剥》 1 《キランの真意号》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 呪文(11) |
4 《強迫》 3 《チャンドラの敗北》 1 《マグマのしぶき》 2 《大災厄》 1 《耕作者の荷馬車》 2 《ウルザの後継、カーン》 2 《最古再誕》 サイドボード(15) |
スタンダード:デッキ選択の理由
渡辺「プラチナになる為にGPリッチモンドと、GPロサンゼルスに行ってきました。その2大会ともスタンダードだったのとマジック25周年記念プロツアーも僕はスタンダード担当だったので8月はスタンダードを重点的にやっていました。
今の環境は赤黒が一番強いなって…ここまでは皆辿り着くんですけど、いざ赤黒を使うって時にどんな感じで負けるかっていうのをパターンを取ってたところわかった事があるんです。赤黒って、黒マナがすごい出づらい構成になっててマナ基盤が弱いんですよ。《ゴブリンの鎖回し》を出すために《山》をたくさん入れなくちゃいけないのをどうにか改善できないかなって思って試行錯誤したんですけど画期的な打開策が見つからず…だったら逆に赤単気味にしようと思ってメインに黒いカード一枚も入ってないかたちの赤黒にしました。
《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》を入れないで、メインボードで土地さえ引ければしっかりプレイができるという構築にしたんです。
赤黒のミラーマッチの場合、《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》や《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider》など1~2マナで攻めてくることが多く、それに対して3マナの《無許可の分解》で対処したくないと思ったんです。
他にも《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》に対処する方法も本来だったら、2マナ除去2枚で4マナでできるのに、《無許可の分解》を含めると5マナになっちゃうのとか、そもそも黒マナが出ないこともあったり。あと、マナベースの問題で《霊気拠点/Aether Hub》を使ってると1回だけは出せるんですけど、“1回しか”出ないんで《屑鉄場のたかり屋》や《木端+微塵/Cut+Ribbons》までは補えるんですけど《無許可の分解》までカバーしようとすると足りなくなってしまう事が多いと思ったんで…じゃあ今回は、《無許可の分解》無しの構成で組んでみようと思って構築したらすごく感触が良かったんです。今回は自信のあるサイドボードがしっかりできたので、他のマッチアップ落とさないように《ボーマットの急使/Bomat Courier》もメインで入っています。」
――そのサイドプランとは?
渡辺「《最古再誕/The Eldest Reborn》を普通1枚のところを2枚にしています。サイド後ってお互いにクリーチャーカード抜いて、《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》や《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》、《再燃するフェニックス》などマナの重いカードをちょっと多めに取って叩きつけあいみたいなゲームになりがちなんですけど、そういうときに《最古再誕》は相手の叩きつけてきたカードに対処しつつ、相手の手札を捨てさせて、最終的に自分か相手の墓地からクリーチャーかプレインズウォーカーの中で一番適したカードをつれるから、1つで3度おいしい。実際にGPロサンゼルスから日本選手権まで1度も負けてないし、赤黒同系に対しては完璧なぐらい練り上げられたと思っています。
もう1つあまり他の人に入っていないカードとして《耕作者の荷馬車/Cultivator’s Caravan(3マナのアーティファクトでタップすると好きな色マナが出せて搭乗3で5/5になる)》があります。メインで黒マナが不安定って話をしたじゃないですか?サイドに《大災厄/Doomfall》とか《強迫/Duress》とか黒ががっつり入ってて、こいつらを出すときに《耕作者の荷馬車》が役立つんです。自分の盤面に土地が《山》3枚みたいな時でもこいつ自体を出して、そこから黒マナを出してって…と動ける。相手が青系で《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》が入ってて+1されても《耕作者の荷馬車》が5/5になれるんでちょうど倒せる。《強迫/Duress》も早いターンに出しやすい。一番役割があってかつ感触が良かったのがこいつですね。」
――なるほど。《最古再誕》を2枚にしたのと、《耕作者の荷馬車》で黒マナに安定性を持たせたんですね。
渡辺「そうそう。でも今回あまり青単いないだろうと思って来たらいやがって。(笑)デッキに全く不満はなくて、もしもう一回日本選手権出るってなってもまた同じリスト使うと思うくらいで100点付けてもよいです。環境がもう凝り固まってるところを細かい調整部分で差をつけれたのかなぁと思ってます。」
――キランが1枚というのも珍しいですよね?
渡辺「それは下振れする要因を減らすためです。このデッキに入ってる他の伝説系《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》や《ピア・ナラー》は場のクリーチャーなんでブロックに使ったりとか単純に相手が除去打ってきたりするんですけど、《キランの真意号》は搭乗要員を確保しなければならないことと、重ね引いたときに単体で動かないっていうマイナス面があって、そこをケアして1枚にしました。あとメインボードの捕捉で、普通は《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》が1枚入ってるんですけど、これも下振れ要因なので無くしました。動くと強いんですけど後手の時だと順当にゲームしていって手札が1枚になるのって6ターン目以降になって、6ターン目以降ってもうゲーム上で働くことほぼないので。その代わりに常に安定して後手の時でも強い《再燃するフェニックス》を4枚にしてます。」
――“安定感”を重視するというのが渡辺さんらしいですね。
渡辺「結局マジックって確率のゲームで、その確率をどこまで1%か2%とかの誤差の範囲を調整するかで。5%で事故る可能性があっても95%であればOKなのか、5%事故る確率あるのは嫌だから98%回るように調整しようなのか、どっちの考え方をするかですよね。僕は5%事故るのが嫌なタイプなので、98%目指そうという感じです。上振れしても120点とるよりも、僕は常に100点取りたいなという気持ちです!」
ドラフト:1日目
ピックは映像を見てね!
mtgjpのマジック:ザ・ギャザリング 日本選手権2018 Day1をwww.twitch.tvから視聴する
渡辺「まぁ何を考えてたかというと…
1-1はパックが弱くて緑の5マナ5/5《用心深いベイロス/Vigilant Baloth》か《抗戦/Make a Stand》ってカードで、両方とも初手は嫌なんですけど…色だけで比べると白が強くて緑もやってもいいかなと思ったんですけど、白を固めようと思って《抗戦》から入りました。
1-2は《暁の天使》で嬉しい。1-3は《凛々しい騎兵隊/Gallant Cavalry》。1-2と1-3は横にクリーチャーを並べると強いカードなのでかみ合ってて文句なし。
まぁこっからが地獄なんですけどね…。(笑)
以降白いカードがピタっと消える!
1-4は本当に何もなかった。M19は赤白ってアーキタイプがが強くて受け軸もしっかりとれているんで一応赤には手をつけようと。1-5は赤いカードがなくてどうしようかなと思ったんですけど、ほぼ1周してくるだろうと《活力回復/Revitalize》があって白黒の組合せもありだなとか考えつつ…。1-6でこの強い《狂気の一咬み/Rabid Bite》が流れてきて、緑空いてるなと判断して、ここから緑をピックしていきました。んで、2色目は赤黒緑の3択になりました。1パック目の自分の8手目が終わる時には、白が3枚、緑が3枚、そして《活力回復/Revitalize》もちゃんと1周してきてこの時点で赤はないだろうと僕の中ではきりました。」
――2パック目は?
渡辺「白いカードが2パック目でそこそことれて3パック目ではとれないだろうと思ってましたね。《狂気の一咬み》2枚目もとれたのは良かった。あとはこの白緑のマルチカラーのカード《サテュロスの結界師/Satyr Enchanter》も取れてたんでもう白緑ベースでデッキを組もうと。
2パック目で赤の2色ランドをとったのは、3パック目で強い赤の入ったカードをピックする為です。緑白は自分の中で決めてて、3パック目で《苦悩火/Banefire》とか、《殲滅の龍、パラディア=モルス/Palladia-Mors, the Ruiner》が流れてきたときに活かす用にピックしました。」
「3パック目は1-1がカス《野生林の鉤爪/Talons of Wildwood》。3-4で《星冠の雄鹿/Star-Crowned Stag》が流れてきたのは飛び跳ねそうでした。あと2パック目終わった段階で2マナのカードが全然なかったので3パック目で《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》と《僧帽地帯のドルイド/Druid of the Cowl》とかを早めにピックしてました。デッキの出来栄えは55点です。(笑)」
ドラフト:2日目
渡辺「75点くらいのデッキ。1日目と比べて全体的にプールが強かったです。」
――1日目も2日目の緑白ですね。
渡辺「狙ってたわけではございやせん。(笑)ちなみに僕今回は緑か白はやりたいなって思ってやってました。人気が薄そうだろうという読みで白ができなかったら緑から固めたいなという事前の戦略でした。
1-1で緑ダントツのトップアンコモン《蔦草牝馬/Vine Mare》。このカードこの環境でTOP3に入るくらいのアンコモンです。これだったら緑やりたいなと思ってたんでほぼノータイムでピック。一応パックの中身確認して緑がもう1人卓にできるかなと思ったんですけど、《野生林の鉤爪》は返ってくるだろうと思って。
1-2は普通に緑のカードで《ケンタウルスの狩猟者/Centaur Courser》。1-3は緑のカードが1枚もなくてどうしようかなと思ったんですけど、まだ2色目を決めるのが怖かったんで、どんなデッキにも使いやすい無色の《怪しげな書架/Suspicious Bookcase》をピックしました。
1-4は欲しい緑のカードがなかったんで白でそこそこ強い《凛々しい騎兵隊/Gallant Cavalry》をとって、1-5で優秀なソーサリー《優位宣言/Declare Dominance》が流れてきて、ここで緑を大体決めましたね。
1-6の《貪欲なハーピー/Ravenous Harpy》は1枚でシステムを組めるカードなんです。システムというかアーキタイプを組めるカードなんで、とりあえず取っておいて、もしかしたら赤黒にいってもいいしと思って。
ここまではよかった。
1-7で《暴虐の龍、アスマディ/Vaevictis Asmadi, the Dire》がいて…すごい強いんですけど3色なんで取りづらい。黒に手を出した直後なんでめちゃくちゃ悩んだんです。でもこの環境の緑の特徴なんですけど、マナを延ばして重いカードをたたきつけるより2ターン目に軽めのクリーチャーを出して3ターン目に《野生林の鉤爪》みたいなエンチャントをつける方が強いんです。
そもそも《野生林の鉤爪》が返ってくることを想定してドラフトしてたんで緑をやるならこっちの方がキーパーツだと思って2マナ2/2警戒の《緑林の歩哨/Greenwood Sentinel》をピックしました。1パック目終わった段階ではほぼ緑単で、2色目どうしようかなって感じでした。」
渡辺「2パック目は2-2で白のボムレア《弱者の師/Mentor of the Meek》と《殺害/Murder》があって、めちゃくちゃ悩んだんです。この時点で黒のカードが3枚、白のカードが1枚ってのを覚えておいて。普通だったら《殺害》を取りたくなっちゃうんですけど、緑黒って色の中でのシナジーがあんまりなくて、この黒いカードを使うと緑をかみ合うみたいなのなくて…逆に白いカードがあるおかげでエンチャントを使うと輝くみたいなカードがあるんです。
《野生林の鉤爪》を2枚とれてたのが大きかったですね。
エンチャントが1パックの中で2枚とれてたってのが加味して緑白の横断の方にしようかなと決めました。このタイミングで《殺害》を取ると絶対に白にいかなくなるので。例えばこの後にエンチャントがどんどん流れてきても緑白エンチャントを組めなくなるので。
2-5で緑黒マルチの《毒矢尻の射手/Poison-Tip Archer》が流れてきたせいで、2-2の選択を死ぬほど悔いるんですけど…とりあえず両天秤にしとこ!と思ってピック。2-8でとった《ブランチウッドの鎧/Blanchwood Armor》が自分が緑単であるほど強いんで、あ、このカード出たから緑単に寄せていこうと思いました。
あとこの8手目でこのカードがくるってことは卓に緑が濃いデッキがいないってわかって、緑単に寄せれば卓内のポジションはいいなって。
2パック目の段階で緑のカードが14枚あって、黒いカードが4枚、白いカードが3枚。2色目は3パック目で決めようと思っていました。」
渡辺「3パック目ではトラウマになりそうな出来事が…。
3-1で《覚醒の龍、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, the Arisen》を引いちゃって…こいつ赤黒青だけど…俺緑単に寄せようって決めたばかりなのに…って。(笑)
でも日本選手権の1敗ラインだしさすがにないなって思って、自分の勝利期待値を上げるため《ケンタウルスの狩猟者》をとりました。
僕が流したニコル・ボーラスが修平さんまで流れていくことがなければ…何もいう事はなかった…。修平さんが4手目でとってて4手目でニコル・ボーラスそれはやりすぎだろうと思いながら涙を流し。(笑)
3-2で除去の《光明の縛め/Luminous Bonds》をとって
3-5で《ブランチウッドの鎧》の2枚目がきたんでここで完全に緑に寄せていこうと決めました。2色目は正直どっちでもいいかなと思ってて、そしたら1-7でながした《暴虐の龍、アスマディ》がまた回ってきて、ここでは下に流せないなと思ってここはカットしました。あとフォイルでかっこよかったんで。(笑)
3-8の自分がエンチャント・呪文をとなえるたびにカードを引ける《サテュロスの結界師/Satyr Enchanter》を引いて完全に緑白に決めました。緑白オーラの一番必要なカードをここでひけた耐えた~。(笑)
3-10では《樫変化/Oakenform》があったんですけど、ニコル・ボーラスやアスマディを流している手前サイド後にも相手のデッキに触れる《垂直落下/Plummet》の方が必要だと思ってこっちをピックしました。」
●チームサイゲト――ク
(※取材日:9/8~9)
――MTG展が9/11から始まりますけども、にはみなさん行きますか?
八十岡「行きます。」
渡辺「行くけど何やるんだろう?」
八十岡「歴代のいろんなカードの展示や、有名プレイヤーの名シーンとか集めてつくったPVあったような。あとはフィーチャーテーブルか。」
渡辺「あと毎日『ラヴニカのギルド』の新カードが発表されるね!」
山本「僕も行くよ、限定販売のプレインズウォーカーセット買ったし。」
市川「え!?…そういえば25周年プレイマットがね、国内ショップでね4万で売り切れてるんだよね。」
八十岡「俺3枚持ってるよ。」
市川「3枚も持ってるの!?俺1枚あげちゃったし。」
――市川さんと覚前さんは行かないんですか?
市川「なんか全然興味ないんだよね~そういうの俺。」
覚前「マジック展あることも知らなかった。」
一同「えーーーーーーっ!(笑)」
戦う二人、詰め寄るジャッジ。(マジック展に行きました。 pic.twitter.com/lbrnx1CcFK
— Yuuki Ichikawa (@serra2020) 2018年9月13日
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行ってる~~~
――では続いて、10/5発売の『ラヴニカのギルド』についての感想や期待するものについて。
八十岡「ギルラン(ショックランド/ギルドランド)入っててショックだったけどね。」
市川「え、ショックなの?なんで?」
八十岡「だってあのカード強すぎて。ラブニカって基本10個のギルドがあるんですけど、最初の5個がギルランが含まれて強くなって、残りの5個は入ってなくて強弱が偏るんですよ。でもまぁ今回は前半5、後半5だからまだましで。昔は4-3-3で出ましたからね。」
市川「最後の3可哀そうだよね。」
――そういえばラヴニカ・ギルド診断は皆さんやりましたか?
市川・山本・渡辺・八十岡「やりました!!」
市川「やまけんもやってる!」
山本「俺、ゴルガリ。なんか陰険そうなやつらみたいな感じだったよ。」
市川「俺も―!陰険やだな~。(笑)」
八十岡「俺はイゼットっす。」
渡辺「僕はディミーアです。」
市川「輝也は?」
覚前「やってない。」
一同「今やってー!」
ポチポチ
八十岡「輝也セレズニアになるんじゃ?」
市川「性格的にポヨポヨしてるからセレズニアっぽいな~。」
覚前「ぽよぽよ。」
山本「なんか質問おかしくなかった?(笑)パーティーであなたはどうしてますかみたいな。」
市川「直訳がね。」
八十岡「要はギルドの性格みたいなもんだからね、あれ。ボロスとか軍団とか兵隊とかだから輝也はならなさそう。瀬畑は10回やったら10回ゴルガリになりそう。」
市川「ちょっとどうゆう風に俺を見てるわけ?(笑)」
覚前「あ!出た!俺セレズニア議事会です。あなたに思いやりに溢れてますって書いてある。」
一同「セレズニアっぽいよ。予想通り!」
市川「セレズニアは争いを望まない人だから。でもゴルガリも結構良いこと書いてあるよ。あなたは現実的な視点で人生を見ることができ、あなたのコミュニティを守る事に全力を尽くす人です…だって。」
八十岡「コミュニティに対してすごく仲間意識が強い感じだよね。この診断結構当たってるよね。」
市川「当たってる当たってる。でも、やまけんの仲間意識とは…。」
一同「(笑)」
山本「ちょっと違うかなって…(笑)」
――そういえばプロツアーが6回になることについては?
八十岡「プラスですね、マイナス要素なし。」
――もらえるプロポイントは?
八十岡「まだ発表されてないです。」
山本「賞金だけが、変わらないよっていう感じですよね。」
八十岡「まだ何も決まってないみたいです。今プロプレイヤーアドバイザーたちが集まって話してるんじゃないですかね。」
というわけで、この後もチームサイゲト――クは続いていくのでした。
まとめ
チームメンバーの戦績
名前 | 戦績 | 最終順位 |
---|---|---|
市川ユウキ | 3勝4敗 | 578位(初日落ち) |
覚前輝也 | 5勝4敗 | 394位(R10ドロップ) |
山本賢太郎 | 9勝4敗 | 41位 |
渡辺雄也 | 11勝3敗 | 7位 |
八十岡翔太 | 6勝3敗 | 272位(R10ドロップ) |