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Team Cygames『ラヴニカのギルド』合宿レポート

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10月6日(土)~8日(月・祝)に、新セット『ラヴニカのギルド』発売に合わせてリミテッド合宿が開催されました。今回は土日の2日間でドラフトを練習し、3日目にはグランプリ・名古屋2018に向けてチームシールドを練習するという流れです。
全員がそろった日曜日に取材を行ない、環境雑感や最近のニュース、次のチームシリーズを戦う第3期の〈MUSASHI〉についてなどを聞きました。

 

Staff
参加メンバー一覧(敬称略)順不同
山本賢太郎、市川ユウキ、渡辺雄也、覚前輝也、八十岡翔太、行弘賢、中村肇、中村さら、瀧村和幸、川崎慧太、井上徹、松本友樹、佐藤レイ、原根健太、熊谷陸、石村信太朗、金川俊哉、玉田遼一、菅谷裕信

――今回はリミテッドのグランプリで優勝した方やトップ8の人が多くて、レベルの高いメンバーがそろっていますね。
渡辺「今までの合宿で一番レベル高いかも。」
八十岡「今一番成績が低いのがたまちゃん(玉田さん)だから、相当でしょ。」
市川「たまちゃんと俺が今回めちゃめちゃ成績沈んでるのは、そう考えると順当な気がするな。周りの実力が高すぎる。」

――誰が勝ってるんですか?
渡辺「今回は(松本)AさんとくまP(熊谷さん)が勝ってますね。」

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ドラフト風景03

19人が2卓に分かれてドラフトを行ないます。この環境は毎ラウンド考えることが多くて試合が長引くことがよくあり、全体的にドラフトに時間がかかるうえ、とても疲れるという感想が出ていました。

 

 

 

●環境雑感

――この環境についてざっくりお聞きできますか?
渡辺「ちょっと偏りが出るんですよね。コモンが全部弱いんで、ゴルガリがやりづらくて。」
八十岡「ゴルガリはシステムを作るって感じじゃないからね。」

――残り4つのギルドに偏りがちということですか?
渡辺「そういう気がしてます。」

――試合が長引きやすいとのことですが、理由は?
八十岡「フィニッシャーが全体的に少なめで、除去がまあまあ多い。アドバンテージ取るカードが多いから、壁とドローだけはあって勝たないけど負けにくい、みたいになりやすい。」
渡辺「互いに接死クリーチャー出して止まり合うとか。」
八十岡「地上が止まって、ペガサス(攻撃クリーチャーに飛行を与える《ペガサスの駿馬/Pegasus Courser(M19)》のこと。『ラヴニカのギルド』では《突撃するロック鳥/Roc Charger(GRN)》を指す)がアンコモンになっちゃったから、飛行での突破口がなかったりする。そもそも飛行が少ないような。」
渡辺「少ないし、殴り値が低い。」

――すると、飛行とかの突破口を持っているデッキが強いですか?
渡辺「強いかどうかはともかく、ゲームが終わりやすい。」
八十岡「ないとやっぱり勝たないけどね。」
渡辺「結局、強いデッキはレアリティが高くて、コモンのマルチカラーがしっかり取れてる。」
市川「そう考えると、イゼットが一番ゲームを決めやすそうだね。」
渡辺「イゼットとボロスかな……。赤が今回ゲームを決めやすい。」

――ドラフトではやはり、ギルドで住み分けるのが基本ですか?
覚前「僕、初めはそう思ったんですよ。イゼット・ボロス・ディミーアは住み分けられるけど、残り2つのセレズニアとゴルガリに関しては、多色のイメージでピックしていくのかなって思ってやってます。多色っぽくピックしていくうちにそれがゴルガリになるときもありますけど、いっぱい寄せ集めたほうが強いんじゃないかなって感覚ですね、現状では。」

――なるほど。ギルド以外の色の組み合わせはないですか? 赤緑とか。
渡辺「チャレンジした人は0-3しました。どうしてもマルチカラーのコモンが強いんですよね。」
市川「単色のカードで固める展開はあんまりない。」
八十岡「青白とか、いけないかな……たぶん無理だな。そもそも単色のカードが今回弱くて、ゲームを決めるカードがないんで、勝てないですね。」

――すると卓でギルド5つを割り振るから、イゼットが3人になったりするわけですね。
八十岡「そうすね。イゼットはほぼ2人必ずいます。」
市川「まあ2人いても勝つしね。ゴルガリは卓に2人になるときついけど。」

――自分は3人目、もしくは4人目かもってなったら、途中で変えられます?
八十岡「どこで気づくかじゃないですか。4手目くらいだったら変えられるし、8手目くらいだったらどうしようもないみたいな。」

――ドラフトの難しさとしてはどうですか?
八十岡「簡単な部類だと思いますよ。初手で取った色に突っ走ってそのまま強かったら勝つみたいな、MOのドラフトリーグ向きの環境。」
市川「そうそう。やっぱり3-0する人って、途中で色を切り替えてない。さすがに4手くらい失うと、2色土地やフィニッシャーがちょっと足りなかったりして、安定性やマナカーブが悪くなって2-1どまり、みたいになるんですよね。だから、最初に取ったレアカードからそのままポジションがうまく噛み合った、みたいな人じゃないと3-0は厳しいかなって印象ですね。逆に、腕がある人は2-1はできるんじゃないかなと思ってます。まあ、僕は2-1しないんですけどね(笑)。」

ドラフト風景04

ドラフト風景05

 

 

 

●初手に取りたいレア

――マルチカラーのレアから突っ走って3-0を目指す場合、初手に取りたいレアは何ですか?
八十岡「《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun(GRN)》とか?」
市川「あー、突っ走りがいがあるね。俺はゴルガリの《地底王国のリッチ/Underrealm Lich(GRN)》でもいいな。」
八十岡「あれはマジで終わってる強さ。」
市川「唯一ゴルガリに走ってもいいと思えるカードかもしれない。これ、ライブラリー0枚でも負けないんですよ。すごくないですか?」

――えっ、そうなんですか?
市川「ドローを置換して、3枚見るから、ライブラリーがなかったら何も起きないんですよ。カードは引けないけど、ライブラリー0枚でも負けない。」

――へー、知らなかったです!
覚前「MOで、それ知らなくて横のやつ除去して、相手のライブラリー0枚だから勝ったわーと思ったら、何も起きなかったw」
市川「最初びっくりしたよ。」

パルン、ニヴ=ミゼット 地底王国のリッチ

渡辺「初手からそのまま行けるという想定だったら、ベスト3は《破滅を囁くもの/Doom Whisperer(GRN)》、《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun(GRN)》、《正義の模範、オレリア/Aurelia, Exemplar of Justice(GRN)》。」
八十岡「《不和のトロスターニ/Trostani Discordant(GRN)》も相当やばいと思う。ってか、単色ってことを加味するとデーモン(《破滅を囁くもの》)がダントツになっちゃうでしょ。基本、単色の強いレアが一番強いから。あれは6/6飛行トランプル、終わり。以上。」
市川「しかも、(諜報を使えば)それ以降がオール有効牌になるからなあ。さすがに取りたいね。」

破滅を囁くもの 不和のトロスターニ

覚前「マルチカラーだったら、《イゼット副長、ラル/Ral, Izzet Viceroy(GRN)》は?」
渡辺「めちゃくちゃ強いけど、イゼットだったら《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun(GRN)》のほうが強いよ。」
市川「《正気泥棒/Thief of Sanity(GRN)》も好きだな。」
覚前「あー強いね。殴ったら勝つ。」
市川「強いし、3マナだから引いたら絶対プレイできるのもいい。」
八十岡「ディミーアが強いっていうのもあるけどね。」
渡辺「《納骨堂のトロール/Charnel Troll(GRN)》もあり。これと、《地底王国のリッチ/Underrealm Lich(GRN)》からだったらゴルガリやりたい。」

イゼット副長、ラル 正気泥棒

納骨堂のトロール

――山本さんの発言がここまでまったくないのですがw、いかがですか?
山本「うーん、《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun(GRN)》よりは《正義の模範、オレリア/Aurelia, Exemplar of Justice(GRN)》のほうがいいかな。《パルン、ニヴ=ミゼット》はけっこう出ないときがあるから。」
市川「そうだね、門とかがちょっと欲しいよね。」
山本「出しやすさも考えて《正義の模範、オレリア》のほうがいいかなと。」

 

 

 

●グランプリ・名古屋2018のチーム戦に向けて

Team Cygamesの皆さんが今週末のグランプリ・名古屋のために組んだチームは以下の通りです。

Staff
渡辺雄也八十岡翔太・中村肇
市川ユウキ・瀧村和幸・石村信太朗
山本賢太郎・行弘賢・佐藤レイ
覚前輝也・玉田遼一・原根健太

渡辺「やまけんのチームはリミテッド巧者が集まってるね。」
市川「(原根・玉田・覚前チームを見て)はらたまてる……はらたまてる……」

――語呂がいいですね。明日(8日)はチームシールドの練習をするそうですが……
覚前「誰か来れないんじゃなかったっけ?」
市川「うちはライザ(石村さん)が明日仕事だから、代わりにはまさん(金川さん)にピンチヒッターに来てもらうことにしたよ。はまさんは引き出しがあるからね。」
覚前「確かにデッキタイプとかは似てるかも。」

――チームシールドってどんなふうに練習するんですか?
市川「まだまったく検討してません。」
渡辺「明日の朝にディスカッションして決めようかなと。」
八十岡「とりあえずやってみて、ってなるだろうけど。」
市川「たぶん、4チームでデッキ組んでみたら、この環境はこういうふうになるんだなってだいたい見えそうだし。」

(色の分け方について議論になるが、やはりやってみないとわからないという結論に)

市川「でも、ボロスを1日回したら痩せちゃいそうだよね。やばくない?」
覚前「やばい。しかもそのデッキが弱かったら……」
八十岡「絶対勝たん。」
市川「弱いボロス渡されたら0-8する自信あるね。」
渡辺「どこまでが許容範囲か、基準は決めといたほうがいいね。」
市川「普通のシールドだったら行けなくても行くしかないけど、チームシールドだったら選択肢が豊富だから、『このデッキで1日やれるのか』っていうゴーサインがすべてな気がする。」

――そういう、行けるかどうかのラインについて、明日話し合って共有していくんですか?
市川「共有はし得なので。」
八十岡「行けないデッキを行けると判断してしまうのが最悪なんでね。」
市川「『このデッキなら2敗くらいかな~』とか言ってたら全然無理で2-6みたいなことが、実際ありそうで怖いんだよなー。」

――プロツアーはまだ先なので(11月2週目)、スタンダードの準備はまだですよね?
市川「まだ全然です。このあとMOPTQもあるし。」
渡辺「スタンダードのグランプリが間に1回あるんですよ。」

――なるほど。では、そのあたりの結果待ちですね。
渡辺「一応トピックとしては、デッキの調整メンバーが2人増える予定です。浦瀬(亮佑)君と宇都宮(巧)君という、若い子を増やそうということで。」

――どちらもHareruya Hopes所属の、期待の新人さんですね、楽しみです。

 

 

 

●来期のグランプリ・システムについて

――先日発表されたPTQやグランプリの変更については、どのように思われますか? グランプリでプロツアーの権利を獲得した場合、同じ地域のプロツアーにしか出られないという変更が批判されていましたが。
市川「最悪の発表。さすがにアメリカ有利すぎるもん。」
覚前「それね。アメリカの人ならグランプリ出て権利取ってプロツアー出れるけど。」
渡辺「プロツアー6回中4回がアメリカなんで、日本のグランプリで権利を取っても出れるプロツアーは1年以上先、みたいな感じになる。」
市川「飛行機代を出したくないなら出したくないなりに、何か代わりの救済策が欲しいね。」
八十岡「プロツアーごとに参加人数が多かったり少なかったりするのを減らしたいんだと思うよ。これである程度人数が計算できるようになるから。いい面も一応あって、たとえば日本プロツアーが年末の京都だってわかってたら予定を立てやすいし、1年間そこに向けて頑張れる。1か月前くらいのギリギリのタイミングでヨーロッパやアメリカのプロツアーの権利を取っても、行けないことが多いから。」

――確かに。日本でプロツアーがあるならそうですね。
八十岡「もしアメリカ3回、ヨーロッパ2回、アジア3回でうち2回が日本みたいな感じで、プロツアーが8回あったら、文句は出なかった気がする。」
市川「今はアメリカ4、ヨーロッパ1、日本1だからね。」
八十岡「現状で批判が出るのは仕方ない。」

――ずっとプロツアーに出続けているような、トップレベルの皆さんにとってはあまり関係ないですか?
市川「ゴールドレベル以上の人はわりとどうでもいいかな。」
八十岡「でも、旅券が……。1シーズンにプロツアーが2回ある場合は、どっちか1回分しか旅券が出なくて、もう片方も欲しいと思ったらその地域のグランプリに出ないといけない。」
(隣で話を聞いていた)原根「一番クリティカルなのは、『シルバーレベルになりたい』くらいの立ち位置の人ですね。1年後くらいのプロツアーの権利をゲットしても、いったいどれだけプロポイントを積めばいいのかとか、計画が立てられないので。今までならたとえば、グランプリで勝ってプロツアーに行ってみたら6ポイント取れたから、じゃあシルバーレベル(20ポイント)を目指そうって頑張るようなパターンもありえましたけど、今後は難しそうです。」
渡辺「地元で頑張ってグランプリで勝ったり、PTQを抜けてプロツアーに行くような人にとっては厳しい。」
八十岡「PTQで勝てばどこのプロツアーでも出られるから、そこで頑張れってことでしょ。参加資格が必要な特別PTQみたいなのも追加でできるらしいし。グランプリの立ち位置が、カジュアル寄りに変わったんだと思う。」

――グランプリはもう少しカジュアルなお祭りにして、プロツアーを目指す人はPTQへという住み分けを意図してるんですかね。
八十岡「そんな気がします。」
市川「グランプリの賞金は広く浅くなって、それはけっこういいかなと思います。グランプリの賞金形態が参加人数とかによって変わるようになったんですけど、日本のグランプリは常に多いほう……上から2番目のプライズプールなんで。確か優勝賞金は20万くらい下がってるんだけど、下が150位くらいまで、25000円くらいもらえるはず。」
渡辺「今は12勝3敗でノーマネーとかあってやばかったけど、4敗くらいまでお金がもらえるようになるね。」

――それはうれしいですね。

 

 

 

●来期の<MUSASHI>について

――最後に、来期のチームシリーズの話をお聞きしたいと思います。
八十岡「(山本さんに)もう(チームシリーズ登録の)申し込みした?」
山本「えっ、まだ……。」
八十岡「なぜ待機しているのか(笑)。」
渡辺「さっさと登録しようよ。」
山本「いや、一応ちょっと……今日みんなに会ってからと思って。」

(ここで行弘さんが登場)

――では、来季のチームシリーズは変わらずこの6人で〈MUSASHI〉としてやっていくということで。
行弘「……僕はそうだと思ってますけど(笑)、やまけんがまだ提出してないらしくて……。」
市川「現状、山本賢太郎のたなごころ1つにかかっているけど?(笑)」
山本「……いや、この6人です。いいと思います。」
渡辺「じゃあ、リーダーの承認を得られたので、行弘賢の身に何も起きなければ(笑)、この6人で決まりです。」
行弘「いや、何も起きないです。サスペンド(出場停止)は出ないというメールもウィザーズから来ましたので、大丈夫です。」

――それでは行弘さんから、今期への抱負をお願いします。
行弘「前の年は飛躍の年だったと自分では思っていて、すごく調子が良くて順風満帆に行った年だったと思っているんですけど、最後でDQ(失格処分)になってイカロスみたいに地に落ちて……」
(一同笑い)
市川「飛んで火に入るイカロスだったかー。」
行弘「翼が溶けて落ちて、リセットになっちゃったので、心機一転というか、一からやり直しかなと思っていますね。去年の大失敗を今年は取り返せるように、去年以上の活躍ができたらと思っています。」
覚前「去年以上って言ったら、世界一ってこと?」
行弘「とりあえず、世界選手権にまた出たいね。」
八十岡「今年は出てないことになってるからね。」
行弘「ゲリトン(参加をボイコットしたジェリー・トンプソン)と一緒で、出てない扱い。」
市川「じゃあ、今年の世界選手権は22人しかいなかったんだ。」

――では改めて名誉挽回……? 汚名返上?
行弘「汚名返上のほうが近いかな。名誉返上……はしてしまったから(笑)。」

――ちなみに、トンプソンさんが抗議のためにボイコットした件については、現地ではどうだったんですか?
行弘「プレイヤー内でもかなり話題になりました。」

――賛同を表明すると、自分がプロプレイヤーとしてやっていくにあたって弊害が生じるかもしれないから、ちょっと見守るわって人も多かったんですか?
行弘「いや、ほとんどの人が『ゲリトンよくやった』って感じでしたね。」

――とはいえ、「じゃあ俺もボイコット」って感じにはさすがにならない?
行弘「同意はしても、立場がありますからね。たとえばスポンサードされてる人とかは無理ですし。」
市川「スタッフとかは怒ってたみたいだね。」
行弘「それはそう。訴えられないだけよかったと思うよ。」
市川「そうなの? 自由参加だから別にいいんじゃないの?」
行弘「いや、航空券も出して招待してるから、それだけお金かけたイベントでいきなり当日になって来ないっていうのは、さすがに。」

――彼の意見は、皆さんとしては賛同できる内容でしたか?
行弘「プレイヤーとしては、彼の言うことが通ったらうれしいなとは思いますけどね。全部が全部、そううまくはいかないでしょうけど。」
渡辺「全プレイヤーの目標である世界選手権を辞退したというのは、すごいな、よくやったなと思います。」
市川「ウィザーズがすぐに『わかった、考え直す』ってなるのは難しいと思うけど、世論が『そうだ、その通りだ』ってゲリトンに寄ってくれたら、やった意味はあると思う。僕は支持したいと思います。」

――みんなが思っていたことを代弁してくれた感じですか?
市川「そうですね。プレイヤーが軽視されているとか。」
八十岡「あの内容の中では、サスペンドに関しては早くなんとかしてほしいかなと。」

――と言いますと?
渡辺「イカサマ師だって名指しされてるプレイヤーが、サスペンド(出場停止)から復帰後、グランプリのトップ8に入ったりして活躍してるという……。」
市川「(サスペンド期間が)1年半は短いね。」
渡辺「5年とかでいいよ。」
行弘「俺は、1回目は1年半でもいいけど、2回目は永久BAN(追放)になるべきだと思ってる。2回目があるってことがそもそもおかしい。」
市川「2回目は出来心とかじゃないもんね。」
行弘「2、3回くらって、まだマジックしてる人も中にはいるからね。」

――その人がグランプリのトップ8に入ってるのは、あやしいってことですか?
渡辺「このゲーム、イカサマしても実力がなければ勝てないんで、彼らはもともと実力があるんです。またイカサマしてるかどうかはわからないけど、怖いなと。」
行弘「イカサマ師には2パターンあって、普通にやっても勝てないからイカサマをする人と、自分より下手な相手に負けたくないってプライドがあるからイカサマをする人がいるんです。」
八十岡「(前者のような)弱いイカサマ師はすぐにいなくなるんですけど、強いイカサマ師は負けるマッチでたまに勝ちを拾って、トップ8に行く。」
渡辺「もともとグランプリで12勝3敗くらいはできる実力を持ってて、その3敗のうち1つをイカサマで2敗にして、それでトップ8に入るとかなので。」

――それだとなかなか見つからなくて、根絶は難しそうですね。
行弘「それにダブルセットランド(1ターンに土地を2回置く)なんかは、意図的かどうかわからないですし。本当に勘違いで置いちゃうこともけっこうあるし、常習犯がいたとしても見つけられないんですよね。(ジャッジから受ける)警告はデータが残るから、あまりに多ければ見つかるんですけど。」
市川「ジャッジを呼ばないこともあるからね。相手に『それ2回目ですよ』って言われたら『そうだっけ、ごめんごめん』って戻してジャッジを呼ばずに終わればデータは残らないんで、常習犯かどうかはわからない。」
渡辺「基本的にはジャッジ呼んだほうがいいね。」

行弘「ともあれ、去年築き上げたものをゼロにしてしまって……ゼロと言うか、マイナスですね。80くらいまで行ってたのが、マイナス200くらいまで行ったので……」
覚前「マイナス200は下すぎるでしょ(笑)。」
行弘「まあ間違いなく去年の最初よりは悪いから。」
八十岡「去年の最初が40くらいあったでしょ。それがゼロになったくらい。」
市川「まあそうだね。今年はゼロからまた積み上げ、って感じだよね。」
行弘「なので、〈MUSASHI〉のメンバーとまた1年間がんばって、今年こそチームシリーズのほうでもリベンジしたいですね。」
渡辺「そうだね。心機一転、携帯も新しくしたしね。」
行弘「いや、世界選手権のあと本当やばくて! もともとはポーカーをやるために延泊することにしてたんで、気持ち的にはすぐ帰りたかったけど帰れないからカジノとか行ってたんですけど、スロットで大負けして、ポーカーも1000ドル負けて、帰りの空港で携帯を盗まれたんですよ。」
市川「やばすぎる。踏んだり蹴ったりじゃん(笑)。」

――詐欺にあったという話も聞きましたが……。
行弘「スロットやってたら、おっさんに『もっといい台があるから来いよ』ってめっちゃ強引に連れて行かれて、面倒な酔っ払いに絡まれたなと。手持ちが40ドルくらいだったからそれを使い切ったらやめればいいやって思って、使い切って席を離れたら、いきなりボーナスステージボタンみたいなのが表示されたんですよ。『いや、もうこれ関係ないから』っておっさんに言われたんですけど、次の瞬間におっさんの友達がスッと来てボーナスボタンを押して、突然ボーナスステージが始まったんですよ。つまり、僕が貯めたストックを、ボーナスボタン押したら吐き出すみたいなシステムになってて、おっさんの友達にスッと取られた。」

――何も知らない人にお金を払わせて、おいしいところだけ奪い取ると。
市川「コンビ打ちやね。すごいな。」
行弘「高級ホテルだったし、カジノにそんな痩せた考えのやつおらんやろってイメージだったんだよね。これはさすがに来るとこまで来たなって。マジで帰りの飛行機落ちるんじゃないかなって本気で心配だった(笑)。」

――まあ、ラスベガスで下ブレ要素を全部吐き出したということで。
行弘「そうですね。ちなみに、僕DQになったあと、DQを出されたフランス人のジャッジから、ツイッターでフォローされました(笑)。」
市川「それ、監視されてるやん!」
行弘「いや、その人は理解を示してくれて、上にすごいかけあってくれたんだって。『僕はDQを出すけど、このようなハイプレッシャーな中でヒューマンエラーが起きるのは仕方のないことだと思う』みたいに言ってくれた。
俺はその人に、『僕はあなたに感謝しています、あなたのおかげで目が覚めました』みたいな話をあとでして、それでフォローされたのは、なんか救われたなって……。」

――確かに、ジャッジとプレイヤーとのいい関係があってこその、公正な大会ですもんね。
行弘「DQを出されたときは、『ああ確かにそうなるべきだな』と思ったから、それ自体はショックではなかったし……ショックだったのは、応援してくれてる人たちの期待を裏切ったことと、トーナメント関係者に対して世界最高の舞台を壊してしまったことに対してで、それだけが悔しかったですね。」

――リアルタイムで生放送を見てましたが、すごい空気になりましたからね……。
行弘「そういう、日本で楽しく観戦していた人たちに対しても本当に申し訳なかったですね。」

市川
俺、白米だけ3杯くらい食べましたからね。ニュース見て一瞬で米炊いて、『めっちゃ味するな、この白米! うめぇーーーーー!!!!』って(笑)。

行弘「これ! この発言、絶対カットしないで書いといてくださいね!」

 

 

――では、「7人目の〈MUSASHI〉」こと原根さんにも、この機会にコメントをいただきたいと思います。Hareruya Prosを辞めてフリーになられたということですが、今後も〈MUSASHI〉メンバーと一緒に調整していかれる感じですよね?
原根「そうですね。」

――よろしければこの場を借りて、今期の抱負をお聞きできればと思うのですが。
原根「抱負ですか……」
市川「晴れる屋OB会のメンバー、増えてきたよね。」
渡辺「やまけんとヤソのほかに、今日ははまさん(金川さん)、くまP(熊谷さん)、(佐藤)レイ君と3人いるね。」

――チームが組めますね。
原根「僕としては、フリーになって何か大きく変わることは特にはないと思います。プロツアー制度の変更とかもあって、ゴールドレベル維持はけっこう必須条件になりつつあるので、そこを定着できるように実力をつけることが今は第一だと思っています。」

――今年も頑張ってください。

さっそく今週末の10月13日(土)~14日(日)はグランプリ・名古屋2018! この7人が4つのチームに分かれて出場しますので、皆さん応援よろしくお願いいたします!

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