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グランプリ・名古屋2018レポート 中編:覚前輝也

チーム写真_覚前2

覚前さんは玉田さん、原根さんとのチーム(チーム名はなし)で、3rdデッキの形を突き詰めた原根さんの貢献などもあり、最終順位は28位と健闘しました。まずは1日目の内容から順番にお届けします。

 

 

 

1日目戦績(6勝2敗

ラウンド チーム(6-2) 玉田(4-4) 覚前(6-2) 原根(4-3-1)
1 ×
2 ×
3 × × ×
4 ×
5
6 × × ×
7 ×
8 ×

 

day1_玉田
A:玉田さんのデッキ(ディミーア)

day1_覚前
B:覚前さんのデッキ(イゼット)

day1_原根
C:原根さんのデッキ(セレズニア+黒)

玉ちゃんは10人目の男!?

――チーム結成の流れは?
玉田「嘘はつかんでや? 正直に言ってや!?」
覚前「まず僕が、原根くんと組んでみたいなって前から思ってたんで誘ったんです。原根くんてすごいモチベーション高くてやる気あるじゃないですか? 武蔵の調整メンバーとしても一緒だし、前から話したことはあったけど組んだことなかったので、一度組んでみたかったんです。そのあと2人で残りの1人をどうしようって話し合ったときに、同じ志を持ってモチベーション高くて実力が近い人がいいなって思ってました。」

――第一候補は?
覚前「熊ちゃん(熊谷陸さん)。」
原根「僕、最初に覚前さんから提案されたとき、熊Pと3人ってめちゃくちゃおもしろそうじゃないですか、じゃあぜひそれでって言いました。」
玉田「ちなみにオレは第10候補らしいんで!!!!! オレの前の9人言うてよ~って!!!!!」

――その熊谷さんは誰と組んでるんですか?
原根「地元の方といつも組んでて、覚前さんはそれも知ってたのでちょっと難しいかもしれないと。それで、僕がけっこうガチで説得したんです。そしたらだいぶ考えてくれたんですけど、でもやっぱり『ごめんなさい、地元の友達と出たいんです』って返事が来て、じゃあどうしようかってなって、玉田さんに声かけたという。」
玉田「ちゃうちゃうちゃう~! まだ間に9人おるから!!!」
原根「いないですよ、じゃあ誰かあげてみてくださいよ。」
覚前「うん、とりあえず名前あげて。」
玉田「川崎(慧太)さん!」
覚前「うん、あと8人は?(※実際は川崎さんには声かけてない)」
玉田「・・・・・・・」

――止まった(一同笑い)。
玉田「じゃあ、2番目ってこと~?(小ニヤ)」

原根「ちなみに覚前さんから、『玉田さんに決まりました』って連絡来たあと、プロツアーで玉田さんに会って『GP名古屋誰と組むの?』って聞かれて、『玉田さんとですけど』って答えたら『え!? 僕なん? じゃあよろしくお願いします』って。意味不明(笑)。」
覚前「それはわかってて聞いたんよ、さすがに。」

――あ、わかってて聞いたんですね、やらしい!(笑)
玉田「誰がやらしいんや~。そんなことないからぁ! そんなやらしい男じゃない、オレは!」
覚前「知ってて聞いたよね? 玉ちゃん!」

――いや、今の話が事実なら相当やらしいですよ(笑)。
玉田「オレはやらしい男やったか~! いや、オレは覚前と組むのはわかってたけど、もう1人は知らんかったよ。」
原根「そんなバカな(笑)、LINEのログもありますよ。」
覚前「こっちも探したら証拠出てきて、玉ちゃんエラいことになるけど(笑)。」

――まぁともあれ10番目ではなかったですね!
玉田「うん、まぁ。逆に10番目のほうがおもしろかった。オレは常に、記事の読者のことを意識してるから!」

――順当に玉田さんになったということで(笑)。

チーム写真_覚前1

デッキ作成の流れ・1日目

このチームではまず全部のギルドを並べて「これが強そうだから確定」のように検討するやり方をとっていますが、今回は“弱そう”なのが最初に見つかりました。練習時から「レアパワーの低いボロスは絶対やめよう」と話していて、それに合致するボロスだったのですぐに候補から消えました。
ボロスを早々に消した分、使えるカードが移ってきてイゼットはデッキになりそう、残りはある程度カードのあるセレズニアにしようと決まりました。残りをゴルガリにするかディミーアにするかで、とりあえず並べてみたところ、「ディミーアでいけそうかな?」ということに。
(原根「まぁ後で見返すと全然やばいんですけど……。」)
ゴルガリにして緑のカードを使うとセレズニアが弱くなって、弱いゴルガリと弱いセレズニアができてしまうということもあり、さらに練習のときから玉田さんはディミーアをなるべくプレイするようにしていたので、それならディミーアにしようと決まりました。

――今の環境って、ディミーアがなるべく組めたら組みたい感じですよね?
原根「まあ、ディミーアが一番サクッと決まることが多いですね。ただ、このディミーアはちょっとヤバめ。」
玉田「普段なら全勝してるはずのオレが苦戦やからね!」
覚前「単純にこのディミーアはクリーチャーが強くなくて、除去もあんまり少ないし、コモンで欲しかったのも全然ない。」
原根「除去もないしカウンターもない、だからといってフィニッシャーがあるわけでもない。このディミーアはあまりにも弱そうなので、今回もう少し緑の出がよかったら、セレズニアと共存しつつゴルガリを作りたかったです。」
玉田「プール弱い。オコやぞー!」
原根「《霧から見張るもの/Watcher in the Mist(GRN)》とかがいっぱい出てくれると、すごいスムーズに進むんですけどね。」

iOS-の画像
↑原根「この4枚がディミーアに必要で欲しかったカードですが、全部1枚ずつしか出なくて……」

原根「あと、イゼットとディミーアを組もうとした場合、《霧から見張るもの》の枚数はすごい重要で、3枚とかあると1枚と2枚で分けられるんですけど。プールのリストもらったときに一番最初にこのカードをチェックして、【1】って書いてあってがっかりしました(苦笑)。」

――ギルドを変えればよかった、みたいなことはないですか?
覚前「それはないです。」
玉田「僕らがそんなミスをおかすわけない!」
原根「ギルドはこれでしか組めないですけど、しいて言えば僕の使った緑白タッチ黒は、構成が変わっていた可能性がありますね。プレイアブルなカードを並べたら30枚くらいあったので。トークンを主軸にした“召集”のデッキとか、もっと殴る感じに寄せるとか、あとは細かなカード採択とかすごいパターンがあって、いろんな方向性があったなと。苦手なディミーアに5回当たってるんで、まぁ何に当たるかはわからないですけど、でもサイド後ディミーアに対して強くなる構成にもできたかなと思っています。」

チーム覚前_構築

練習について

覚前「発売した週末のCygames合宿で、各々の考えや方針をディスカッションした後に本番で使用するデッキを合宿終了時に予め決めました。今回は玉ちゃんがディミーア、僕がイゼットかボロス、原根くんがゴルガリかセレズニアですね。合宿後からは各々アーキタイプの理解を深めたくずっと練習してました。」

――どのくらいやったんですか?
原根「基本おのおのMOで回してって感じですけど、僕は月曜に合宿が終わって、火水木と友達と集まって仕事終わりに19~23時くらいまでチームシールドをがつがつやってました。ゴルガリはけっこう好きだったんですけどセレズニアは全然やったことなくてノウハウがなかったんで、そのへんを中心に。片っぱしから集められるドラフトと違ってシールドだと与えられたものしかできないんで、ありもので組むセレズニアがどんな感じになるかを意識して練習しました。」
覚前「僕はGPまでの期間MOのドラフトでイゼットorボロスの決め打ちピックのみをして、この2アーキタイプで本当に必要なカードが何かを探し続けることをしました。あとグランプリ前日はみんながいるタイミングなんで、会場でいろんな人と話して、かなり考えを修正できてよかったです。」
原根「覚前さんも1回僕がリアルで練習してるときに来てくれたりして、やれるかぎりのことはけっこうやってきました。」

チーム写真_覚前3

 

 

 

2日目戦績(4勝2敗、最終順位28位

ラウンド チーム(4-2) 玉田(4-2) 覚前(5-1) 原根(3-3)
9 × × ×
10
11 ×
12 × × ×
13
14 ×

 

day2_玉田
A:玉田さんのデッキ(ディミーア)

day2_覚前
B:覚前さんのデッキ(イゼット)

day2_原根
C:原根さんのデッキ(ゴルガリ+白)

デッキ作成の流れ・2日目

――2日目についても、デッキ構築について教えてください。
原根「昨日とまったく同じかもしれない。ギルドごとに全部並べたら、またボロスが一番最初に消えて。昨日より弱くて、本当に何のとりえもなかったんで。」
玉田「僕らだいたい思考停止してディミーアとイゼット組んでるんで。」
原根「それは言いすぎ。」
覚前「思考はしてるよ。」
原根「ちゃんと消去法で。5つしかギルドなくて1つ消えたらもうあと4つですから。」
覚前「んで、昨日もイゼットが一番強かったんですけど今日さらに強くなったんで、イゼットはすぐ確定しました。」
原根「ディミーアも昨日より全然いいです。レアもあるし除去もあるし。」
覚前「その2つは昨日よりパワーアップしたんですけど、最後3つ目のデッキ、緑系は昨日も弱かったのにさらに今日は弱くなって、だから3rdデッキをどうするか考えなきゃならなかったんですけど……。」

――そこは特に聞きたい話ですね。
原根「僕が事前に、3rdとして組みそうなデッキパターンをいろいろ探してて、ゴルガリのバニラビートダウン……《用心深いオカピ/Wary Okapi(GRN)》とか《野生の角獣/Wild Ceratok(GRN)》とか、何の能力もないクリーチャーを入れまくって肉弾戦をしかけて、どんどん消耗戦をしていって、最後に《感情化粧師/Moodmark Painter(GRN)》や《活胞子ワーム/Vigorspore Wurm(GRN)》の宿根能力を使って勝つみたいなプランを考えたんですよ。」

用心深いオカピ 野生の角獣

原根「これなら6戦あったら3勝はできそうな、3rdデッキとしてはギリギリのスペックを満たす形を事前に見つけていて、本当にどうしようもなくなったときはこれを組もうと。んでプールをパッと見たときセレズニアがダメで、2人が赤青黒を使ってるからそれしか組めないってなって。」

――事前準備が生きましたね。
原根「ちなみに僕がこのデッキを考えてけっこう友達とかに共有してたんですけど、そしたらそれを友達からまた聞きした人と最終戦で当たって、『この組み方教えてくれてありがとうございました、また聞きなんですけどこれが組めたんで2日目に残れました』って言われました(苦笑)。僕が教えた友達も初めて2日目行けたって言ってたんで、結果的にはまぁまぁ有効だった。すごいビンボー戦略なんですけど、意外と勝つなって。」
玉田「まぁそれで俺が負けそうになったっていう。」
2人「ははは」

3rdデッキの仕事ぶり

ちなみにこの貧乏デッキこと「ゴルガリバニラビートダウン」では、《活胞子ワーム》がいるときに《感情化粧師/Moodmark Painter(GRN)》《群集のギルド魔道士/Swarm Guildmage(GRN)》《ギルドパクトの大剣/Glaive of the Guildpact(GRN)》のどれかで《活胞子ワーム》に威迫をつけると、2体以上にブロックされない×2体以上にしかブロックされないの組み合わせにより、なんと誰にもブロックされなくなるという、
「今週の原根の必殺コンボ」が生まれます。
また、今回は出ていませんが緑黒だと《オクランの暗殺者/Ochran Assassin(GRN)》(アンコモンの3マナ1/1緑黒マルチ、接死、ブロック強制)があるので、《感情化粧師》などでパワーを上げると、1対4交換などをとることもでき、かなり強く使えます。

iOS-の画像-(1)

原根「最終戦の1ゲーム目はこのコンボが決まって勝ちましたね。《活胞子ワーム》出して、盤面に《ギルドパクトの大剣》が置いてあったんで相手が投了。」
玉田「相手もわかってたってこと?」
原根「そう、意外だった。これ気づかれなかったら詰みだなぁって思ってたんで……あ、知ってるんだって思って。」

――ちゃんとカードの能力1枚1枚を理解していないとできないコンボですね。
覚前「そう、しかもまだ発売して1週間じゃないですか? しかもゴルガリって触りづらいアーキタイプなんですよ。一番弱いアーキタイプだからこそ、選択肢を見つけてくれるって一番大事じゃないですか。強いアーキタイプだったら入れるカードなんかはだいたい決まってますやん。」
原根「3勝はできるって言ったらGOサイン出してくれると思うんで、しんどいけどこういうデッキも突き詰めておこうって。」
覚前「もし原根君が突き詰めてくれてなかったら、『ゴルガリも厳しいね、じゃあまたデッキ考え直そう』ってなって、ぐちゃって負けてた可能性もあるんで。原根くんが基本理詰めでデッキ構築とかも考えてくれるし、いろんな引き出しを見つけてくれたんで、すごく頼りになったなって僕は思ってます。」
原根「まぁさんざんやった結果、そんなに勝たないなという結果なんですけどね(苦笑)。」
覚前「いや、予想以上。このデッキ渡されて勝てって言われたら普通厳しいもん。」
原根「僕の緑系はボロスに当たりたかったんですけど、2日間通してディミーアにめっちゃ当たって、玉田さんがボロスにすごい当たってて、そこが逆だったらなーって。」

――座席が逆だったらよかったですか?
原根「そこはどうしようもないんですけど。ただディミーアに2日間で8回当たって、いくら何でも多いだろうって(笑)。ボロスは2回ですね。相手のデッキが単純に強いってもあるんですけど相性的にもよくないんで……。」

Staff

ここでギルド同士の相性について、少しだけ解説してもらいました。

・ディミーアは単純に強く、そのうえでセレズニアとゴルガリにはかなり強い。接死とカウンターがあって重いクリーチャーに強いから。
・ボロスは早いのでディミーアに対して強め。
・イゼットはまんべんなく戦えて、ボロスには強い。
・セレズニアはボロスに強い。クリーチャーのサイズが勝っていて盤面に苦労しないから。
・ゴルガリはあまり有利な相手はいないが、セレズニアには接死が突破されないぶん有利。

――ここのチームが一番、チームとして3rdデッキをどうするかについてチーム全体で重きを置いていたように感じました。
覚前「それは原根君のおかげです。」
原根「いつも勝手にやってます(笑)。僕はサードデッキを組むことがいつも多いんですけど、今回も聞いたら玉田さんがディミーアかイゼット、覚前さんがイゼットかボロスだったんで、じゃあ僕が残りのゴルガリかセレズニアやりますって、自然に。ただ、僕サイドボードがあんまりうまくないんで……もうちょっとうまくやれる人だったらあと2勝はできたかなって。サイドプランがうまくできなくて負けた試合が2回ありましたからね。そこは申し訳なかったなって思いました。デッキを十何枚変えるっていうのができなくて……。想像力が足りなかったです。」
覚前「ゴルガリとセレズニアに関しては対戦相手のアーキタイプによって有効なカードが全然違い一番難しいアーキタイプだと感じていましたが、前日にチームメイトで集まって話しをした際、原根くんの知識は特にゴルガリに関しては理論的に完璧に説明出来るほどのもので凄く刺激を受けました。」

後編「山本賢太郎の場合」に続きます!

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