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【PTGRN】渡辺雄也の準々決勝とチーム調整【Day3】

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2017年5月のプロツアー『アモンケット』以来となる、プロツアー3日目の取材をお届けします。
渡辺さんの出番は朝一番とのことで、9時に会場へ出向くと、フィーチャーマッチのエリアがそのまま決勝ラウンドに使われ、その前のテーブルと椅子はドラフトをするプレイヤーに開放されていて、ざわざわとした空気感でした。
ちなみに会場ではこの日、8人で受付に行くと人数分のドラフト用パックとスリーブがもらえ、何回ドラフトをやってもすべて無料という“無限ドラフト”的なイベントが行なわれていました。

昨夜の調整会では、夜1時半くらいまで市川さんの部屋に集まり、渡辺さんから「試してほしい」と言われた課題について、リアルとMOとで確認していたとのことです。
その結果、初戦の対赤白アグロには「ロクソドン型だから、《溶岩コイル/Lava Coil(GRN)》は減らさないほうがいいかも」という提案を、準決勝で当たる可能性のあるジェスカイコントロールに対しては、渡辺さんの考えていたものと1枚だけ異なるサイドプランを提出。渡辺さんもその理由を読んで納得がいったということでした。


●準々決勝
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試合開始前、放送でわかりやすいように、「墓地と追放エリアにある呪文の数と、このターンに唱えたインスタント・ソーサリーの数をダイスで表示してほしい」と指示を受けています。

※試合についてはこちらの公式カバレージもご覧ください

 

1ゲーム目は相手のスムーズな展開に対し渡辺さんは土地が多すぎ、ドローを重ねても土地ばかり重なってしまい負け。
2ゲーム目も相手のブン回りでしたが、あとで渡辺さんは次のように反省していました。
「序盤に1/2の鳥(《錆色翼の隼/Rustwing Falcon(M19)》)に撃った《ショック/Shock(M19)》が失敗。相手が2マナのアクションをパスして、3マナで《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal(DOM)》を出さずにアタックしてきたってことはほぼ《ベナリア史/History of Benalia(DOM)》の手札が透けていたので、《ベナリア史》のトークンに《ショック》を撃つべきでした。
ここでトークンに撃っていれば、次のターンから《奇怪なドレイク/Enigma Drake(AKH)》が出せるので、《ドレイク》で鳥はブロックできるけど、ベナリアトークンとは相打ちになっちゃう。ここがマッチを通して最大のミスで、すごくもったいないプレイでした。」

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3ゲーム目は、相手の攻撃をうまく止めることができ、《奇怪なドレイク》2体で攻撃することで、次の自ターンでの勝利を確実にするかどうかの選択を迫られる場面が来ます。相手の手札を知っている我々は、「今だー! 行けー!!」という気分なのですが、もし相手に《英雄的援軍/Heroic Reinforcements(M19)》があったら負けてしまうので、それをケアして1体で攻撃。これなら、次のターンに引けば勝つカードがそれなりにあるからです。次のターンに《ショック》を引けたため、相手の残りライフ17点を一瞬でぴったり削り切り、見事でした。

4ゲーム目、相手はダブルマリガン後2ターン目まで動かず、これはいけるかも?と思いましたが、そこから《ベナリア史/History of Benalia(DOM)》を連打され、頼みの綱の《つぶやく神秘家/Murmuring Mystic(GRN)》も即除去されてしまい、残念ながら敗北となりました。

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笑顔を届けられなかった“彼女”に謝罪。
対戦後、戻ってきた渡辺さんは2ゲーム目のミスを反省しつつ、対戦相手を「しっかりとマリガンしていい手札をキープしていて、マリガン判断がちゃんとできてた」と称賛。
日本時間だと4ゲーム目の時点で11日の24時を回り、12日になってしまっていたので、「(あずにゃんの誕生日は)日本時間対応だったかー」と残念がっていると、オーウェン・ターテンワルドさんが「お疲れさま、スクリーンで試合を見てたよ。残念だったけど、5回目のトップ8入りおめでとう」と言いに来てくれました。
また、賞品として『イクサランの相克』のフォイル版コンプリートセットももらいました。

渡辺さんは予選ラウンドを4位で通過しましたが、その後予選上位のプレイヤーが次々に敗北したことにより、最終順位は8位まで下がってしまいました。自分ではどうにもならないこととはいえ、プロポイントも賞金もかなり差があるので少し残念です。

 

 

 

Staff
~チーム調整の歩み~
スプレッドシートはどうやってできた?

今回、デッキ選択に大きく貢献したのがさまざまな調整データを集約したスプレッドシート。貴重な情報であるため詳しい内容についてはご紹介できませんが、これがどのようにして生まれたのかを、作成者である原根健太さんと原案の市川さんに聞きました。

台風の夜に

――市川さんから原根さんにシート作成の依頼があったと聞いていますが、いつごろですか?
原根「台風に直撃されたグランプリ・香港2018のとき、直接帰国できなくて韓国のホテルに1泊することになったんですけど、瀬畑(市川)さんと同室で、次に向けての活動をいろいろと話したんです。
そこでデータを取りたいって話になって、瀬畑さんは個人でスプレッドシートをずっと記録しているというので、どういう感じなのか聞いて、『こういう項目を入れたい、こういう情報は逆にいらない』といったことをヒアリングして、『じゃあ1回形にしてくるんで、できたらまた見せます』という感じです。
で、1週間後くらいに、暫定で作ったものを見てもらって、さらに要望をもらって……。」

――あ、1週間でできるようなものなんですか。
原根「実際に作るのにかかったのは数時間です。」

――全然詳しくなくて恐縮ですが……もともとはGoogleのスプレッドシートという、誰でも使える機能ですよね。
原根「そうです。ベースはエクセルで、それをオンライン上で共有する機能です。僕はスプレッドシートは全然使ったことなかったんですけど、エクセルはあったので。」

――エクセルの知識を生かして、スプレッドシートの機能を追加で勉強して作ったんですね。
原根「スプレッドシートはオンライン上で管理されているものなんで、全員が同時に更新できたり、ログインしているユーザーが右上に一覧で見えたりといったリアルタイムでの更新機能みたいなものがいくつかあって、エクセル+αのような感じです。そういう部分だけ少し勉強した感じです。」

――じゃあ、原根さんがサクッと作って、市川さんからフィードバックを受けて完成させたと。
市川「あとは実際に使いだしてから、みんなから『こうしたほうがいい』って意見がいろいろ出たんで。」
原根「『こういうデータが見たい』って言われて実装したりとか。やっぱり作ってる側と使ってる側では感じ方が違うので、みんなに『気づいたことがあればすぐ言ってください』と伝えてあります。」

――今のはバージョンどれくらいなんですか?
原根「けっこう細かくメンテナンスしたんで、バージョン1.6とか1.7くらいですかね。」

――今後も使い続けていくんですよね?
市川「プロツアーごとにあのデータが増えてくって考えたら、すごい資産だよね。」

画像からデータへ

――そもそも、最初に市川さんからそういう話が出たきっかけは何だったんですか?
市川「前回のプロツアーの反省会で、今年は〈MUSASHI〉があまり勝たなかったんで、人数を増やさないとって話になって、でもリアル調整に平日から参加できて、なおかつ十分なレベルの人って縛りがあると増やせない。なんで、MOベースで人数を増やす必要があると。MOでやったことをチーム内での収益にするにはどうすればいいか、ってところからのスタートだった気がします。」

――みんなの意見を可視化したってことですよね。
市川「そうです。今までは僕がMOでやったことをメモ帳に書いて、スクリーンショットを調整チームのLINEに上げたりしてたんですけど、それってあとからは見直さないんで、データとして残らない。」
八十岡「LINEのアルバムベースだと、数字は見えないしさかのぼれない。それを全部エクセルに落とし込んだような感じだよね。」
市川「画像だけだと視認性が非常に低いんです。」
原根「目で見てなんとなく判断するみたいな感じでしかない。それで、感覚値に寄りすぎてるみたいなところはありましたよね。『このデッキいいよ』って言われても、どれくらいいいのかよくわからない。」
市川「あと、過去に〈MUSASHI〉でデッキ調整が成功したときって、MOベースでのパターンがけっこう多いから、視認性を上げたほうが気づきが得やすいかなと。ホロウワンのときなんか、もしMOでのデータを出してれば、この対戦相手は勝率が高いってことがわかったりしたと思うんですよ。」

――ただ今にして思えば、もっと早くにそういう、「データを集約して見える化する」って案は出てもおかしくなかった気がします。
市川「まあ、今まではふんわりしててもなんかうまくいってたんですよね。でも昨シーズンはあまりうまくいかなかったんで。」

――成績があまり伸びなかったことがきっかけで、ステップアップできたんですね。
市川「まあ、成績が伸びないのに同じことを続けてるのは、狂気ですからね(笑)。さすがに違うことを試さないと。」
原根「つぶれる会社みたい(笑)。」
市川「根性ではどうにもならないんで、やり方を変えていかないと。」

最初はいちいちシートにデータを打ち込むのを面倒に感じていた人たちも、得られるリターンのほうが大きいこともあってすぐに慣れたそうです。
ただ、まだ改善できる点は多いので、どうすればデータを入力するのも見るのも楽なシステムにできるか、次回に向けてさまざまなアイディアが皆さんの間で飛び交っていました。

 

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調整チームの集合(?)写真。高尾翔太さん(右の一番上)は今回のプロツアーの権利がないにもかかわらず、時間を割いてたびたびリアル調整に参加してくれ、貢献度が高かったと遠いアメリカの地から感謝が述べられました。
(囲みここまで)
プロツアー『ラヴニカのギルド』を終え、最終的に〈MUSASHI〉はチームシリーズで3位(1位とは5ポイント、2位とは1ポイント差)となり、とてもいいスタートを切れました!
次はグランプリ・静岡2018のレガシーおよびスタンダードが待ってます。
また、渡辺さんによるイゼットドレイクの解説記事も追って掲載しますのでご期待ください。

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