【2019MC1】渡辺 雄也・山本 賢太郎・市川 ユウキのドラフト【Day1】
(八十岡 翔太・覚前 輝也のドラフトはこちら)
ミシックチャンピオンシップ in クリーブランド、その大事な初戦3回戦。
『ラヴニカの献身』ドラフトで、渡辺 雄也・山本 賢太郎・市川 ユウキの3名はどのように立ち回ったのか?早速インタビューしてみた。
■ 渡辺 雄也 青緑 1勝2敗
渡辺「とにかく3パック目が地獄でしたね……。」
渡辺「まず僕の初手は《旧き道のニーキャ/Nikya of the Old Ways(RNG)》《引き裂くシャーマン/Sunder Shaman(RNG)》《不正相続/Ill-Gotten Inheritance(RNA)》《的中/Get the Point(RNA)》《最後の支払い/Final Payment(RNA)》とあって、実質《引き裂くシャーマン》と《不正相続》との2択だったんです。前提として、僕はこの環境で緑はなるべくやりたくないと思っていて、それでもシミックならまだ許せるのですが、グルールは本当にやりたくなくて『このカードからしかグルールをやらない』というカードを心の中で決めていました。《引き裂くシャーマン》はそのカードではなかったのと、逆に黒はやりたい色だったので、とはいえそれでもめちゃくちゃ悩んだんですが、《不正相続》をピックすることにしました。これは間違いなくこのドラフトのターニングポイントの一つでしたね。結果、1-2と1-3で《一族のギルド魔道士/Clan Guildmage(RNA)》を流すことになって『終わったな』と思いました。」
渡辺「まあそれは結果論として、次に2手目は (《一族のギルド魔道士》の他に) 《生術師の使い魔/Biomancer’s Familiar(RNA)》《エリマキ神秘家/Frilled Mystic(RNA)》《不正相続》という3択で、ここもめちゃめちゃ悩みましたけど、ここで《不正相続》をピックすると黒が引けなくなって受けの余地が狭くなるのと、初手の《不正相続》をタッチする可能性まで考えて《生術師の使い魔》をピックしました。ただこれも単純なカードパワーでは《エリマキ神秘家》の方がおそらく上なので、難しいところでしたね。」
渡辺「その後も緑の流れは悪かったので、『アゾリウスになるかもな』と思って1パック目を終えたら、2パック目の初手が《エアロムンクルス/Aeromunculus(RNA)》と《門破りの雄羊/Gatebreaker Ram(RNA)》という2択で、さすがにここから門はバリューがそんなになさそうというのと、一応《生術師の使い魔/Biomancer’s Familiar(RNA)》とかみ合うことを考えて《エアロムンクルス》をピックし、そのまま2パック目は文句ない感じの流れが続いたんです。たぶん下家方面がラクドス→グルール→アゾリウスとかの並びでシミックがいなくて、カードがたくさん流れてきました。ただそれだけに3パック目が不安でしたが……案の定、でしたね。」
Pick
Deck
渡辺「1戦目のエスパーは相手の事故で勝てましたが、2戦目はフィーチャーマッチでジェンセン相手の3本目で『《のし歩く城塁/Lumbering Battlement(RNA)》が2枚入っているのを知っている状態で、《アゾリウスのロケット/Azorius Locket(RNA)》の返しで《火消し/Quench(RNA)》を構えるか《エアロムンクルス》を出すか』というシチュエーションで手札に《冷気をもたらす者/Chillbringer(RNA)》があったために後者を選んだ結果、《冷気をもたらす者》が《吸収/Absorb(RNA)》されるというプレイミスでマッチを落とし、続く3戦目のラクドスには手も足も出ませんでした。初手や2手目、あるいはジェンセン相手の3本目といったいくつかの分岐で別の選択肢を取れていたら2-1できていたと思いますが、すべて裏目に出た形でしたね。」
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
1 | 白青黒 | 〇×〇 |
2 | 白青 (ウィリアム・ジェンセン) | ×○× |
3 | 赤黒 | ×× |
――「海外のプレイヤーと同卓して、カード評価が大きく違いそうだなと思った点などはありましたか?」
渡辺「そんなになかったですね。さすがに発売5週後のプロツアーなので、みんなどの色が強いとか弱いとかは共通認識になっている印象でした。」
■ 山本 賢太郎 赤黒 1勝2敗
山本「初手は他に本当に何もなくて、グルールはマジでやりたくなかったけど仕方なく《強撃+脅威//Thrash+Threat(RNA)》。一応ラクドス・グルール・シミックのどれでも使えなくはないけど嫌々でした。そしたら2手目は《激昂した角獣/Enraged Ceratok(RNA)》でさすがにこのカードは強いのでピックし、3手目は《野蛮な一撃/Savage Smash(RNA)》でそれ以降も明らかなグルールの流れが続いたんです。上家は明らかにオルゾフをやっていて、《激情のエイリンクス/Frenzied Arynx(RNA)》と《砂利皮のゴブリン/Gravel-Hide Goblin(RNA)》がどっちも一周するような有り様でした。」
山本「ただそこでまだ1パック目だったということもあって《激情のエイリンクス/Frenzied Arynx(RNA)》をピックした結果、少し軽いところが足りない感じになっていたんです。代わりに遅く流れてきた《ラクドスのラッパ吹き/Rakdos Trumpeter(RNA)》が2枚取れていて、『ラクドスもいないのかな?』と思っていたのが伏線になりました。」
山本「2パック目の初手はグルールのカードが他に何もなくて《暴れ回る裂き角/Rampaging Rendhorn(RNA)》でしたが、2手目が問題でした。《ラクドスの火輪使い/Rakdos Firewheeler(RNA)》が流れてきて、『下がシミックだから返しの流れは緑が怪しい。それならラクドスに色変えした方がいいかも?』と余計なことを考えてしまい、上家がオルゾフだとわかっているにもかかわらずピックしてラクドスに行ってしまったんです。今考えると『マジで意味わかんないことしたな』と反省することしきりです……うまぶりましたね。」
Deck
山本「結局3-1で《生体性改造/Biogenic Upgrade(RNA)》を、3-2で《ザル=ターのゴブリン/Zhur-Taa Goblin(RNA)》を泣きながら流す羽目になり、完全に終わりました。グルールを嫌いすぎたのが敗因ですね……。」
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
1 | 白黒(イェルガー・ウィガーズマ) | ×× |
2 | 青緑 (グジェゴジュ・コワルスキ) | ×× |
3 | 黒赤緑 | ○○ |
山本「一瞬で0-2した3回戦目に当たった相手が全く同じ色をピックしていてしかも自分より弱いデッキだったので、お互い苦笑いすることしきりでした。」
■ 市川 ユウキ 赤緑 2勝1敗
市川「ナベもけんやまもグルールに行くか行かないかみたいな感じで苦しんでたみたいですが、僕はそこらへんのグルールプレイヤーとはわけが違いますからね。『行くときは行く』というのが身にしみついているわけですよ。……カード5枚くらい足りないけど。」
市川「ピックも特に言うことはないですよ。初手で他に選択肢のない《トロール種の守護者/Trollbred Guardian(RNA)》をピックしたら2手目に《引き裂くシャーマン》が流れてきて、一緒に門太郎くん (《門の巨像/Gate Colossus(RNA)》) もいたんだけど門はあまりアーキタイプの経験がなかったから、よっしゃグルールやるか!であとは一直線です。自分はこの環境で緑やるのもそんなに嫌いじゃないので。」
市川「1-6くらいで《一族のギルド魔道士》も流れてきて順調だなと思っていたら、大変なことがわかりました。1-9で《組織のギルド魔道士/Syndicate Guildmage(RNA)》が、1-10と11で《最後の支払い/Final Payment(RNA)》が流れてきたんです。『これはもしや……オルゾフが卓にいない……?』と思いましたね。2パック目も僕がカニ (《成長室の守護者/Growth-Chamber Guardian(RNA)》) とかを取っている間オルゾフのカードだけは無限に流れ続けていて、『オルゾフいないならグルールいけるやん!』と思いながらピックしてました。」
Deck(島1、山7、森6)
市川「2勝1敗は御の字でしたね。オルゾフに当たったらどんなに弱い相手でも一瞬で弾け飛ぶアーキタイプなので。」
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
1 | 白青 | ○○ |
2 | バント(イヴァン・フロック) | ×○○ |
3 | 白青(ウィリアム・ジェンセン(フィーチャーマッチ)) | ○×× |
市川「最後に当たったウィリアム・ジェンセンのデッキは《集団強制/Mass Manipulation(RNA)》を2枚の《精神純化/Clear the Mind(RNA)》で使いまわす『どコントロール』で、Reid Dukeとかもそんな感じのクリーチャー超少ないコントロールデッキで3-0していたのとかも見ると、今回の海外勢のドラフト戦略だったっぽいですね。」
3-0 in the #ptcleveland draft with one very insightful Sphinx pic.twitter.com/1n0nOAnzSV
— Reid Duke (@ReidDuke) 2019年2月22日
八十岡:オルゾフ 2勝1敗 覚前:アゾリウス 1勝2敗 渡辺:シミック 1勝2敗 山本:ラクドス 1勝2敗 市川:グルール 2勝1敗 と、初日のドラフトでは奇しくも5人で5つのギルドを分け合った形となったTeam Cygames。 だがグルールという明確な不人気アーキタイプに飛び込む選択肢をとれなかった渡辺や山本は、ポジションを失って厳しいデッキになってしまった。 ドラフトという競技は己のポジションを正確に測り、しかるべき時にはきちんと飛び込む強靭な精神力が求められる。 ミシックチャンピオンシップという、ピックの時間制限もある一発勝負の大舞台では、トッププレイヤーですらも道を見失いかねない。そんなドラフトという競技の難しさを象徴した結果となった。 Ivan選手との試合は終始楽しそうでした
Ivanが「ユーキかーい!!」と震えだして勝ち(ワールドチャンピオンシップ2014を参照)。2-0
— Yuuki Ichikawa (@serra2020) 2019年2月22日