【MythicInvitational】ミシックインビテーショナル・予想以上の初日【Day1】
いよいよスタートしたミシックインビテーショナル。
そこにはe-Sportsらしさ満載の、予想を上回るイベントの光景が広がっていました。
まずは会場の様子をご紹介しましょう。
PAX Eastの会場に入ってしばらく進むと、巨大なアリーナのロゴが見えてきます。
今までのプロツアーとはがらっと雰囲気が変わり、いかにもe-Sportsっぽい派手な装飾のステージ、たくさんのビデオカメラと照明、巨大なスクリーンと、とても豪華な会場で、大勢の観客が巨大なスクリーンに見入っていました。
ミシックインビテーショナルの会場を上から見下ろしたところ
ステージ前にメインスクリーンがあり、その真下に司会者席
中央にフィーチャーマッチ用のステージがあり、そのほかのプレイヤーは左右のPC席で対戦します(自分の席が決まっていて、対戦相手と対面に座ったりはしません)。
観客との距離はかなり近いので、プレイヤーは対戦中にヘッドホンをつけ、外の音が聞こえないようにしています。
フィーチャーマッチのプレイヤーは花火の中から入場
フィーチャーでないプレイヤーのプレイする席(右側が行弘さん)
また、こちらとは別の場所で、マジックフェストのようにさまざまなイベントが行なわれています。
特に大きなイベントは、モダンかスタンダード+シールドのフォーマットで計6回開催され、優勝者はミシックチャンピオンシップへの招待権利が獲得できる「PAX East Championship」。
ほかにも、古今のさまざまなブースターパックをごちゃまぜに使うカオスシールドや双頭巨人戦、初心者向けに「プレインズウォーカーデッキ」を使ったトーナメントなど、さまざまなイベントで4日間遊べるようになっています。
まるでグランプリのように広々としたマジックのイベントエリア(写真は一般客の入場前)
毎日行なわれるさまざまなイベントの案内
ニコル・ボーラス柄のPAX East限定プレイマット。
上のプレイマットを取り扱うプレイマット専門店の店頭。まるで画廊のよう
●Aリーグ振り返り
3月29日(木)の今日は、渡辺さんと行弘さんが出場するAリーグおよびBリーグの試合が行なわれました。
ランダムに選ばれるデッキの相性が絶望的だったり、相性が良くても引きが悪いとあっという間に終わってしまったりと、BO1による戦いは予想以上にシビアなようでした。
渡辺さん、行弘さんとも初戦を落としてしまったため、ここから4連勝しなければ明日に進むことができなくなり、「4連勝縛りはきつすぎるー!」と苦しみながら次のラウンドに向かいました。しかし、結果的に渡辺さんは2ラウンド目で、行弘さんは4ラウンド目でトーナメント脱落となってしまいました。
参加者の75%が1日目で脱落してしまう大会ではありますが、わずか2試合で会場を去ることもあるこのトーナメントシステムは、かなりあっけない印象です。
渡辺雄也の場合
使用デッキ:ティムール《荒野の再生》/エスパー《ドビンの鋭感》
(デッキリストはこちらから)
対戦中の渡辺さん(中央奥)
〇対戦結果
1ラウンド目
対戦相手は、グランプリ・シドニー2018(チームモダン)でホロウワンを使い、女性として初めてグランプリ優勝したjesstephanさん(オーストラリア)でした。
第3ゲーム目のティムール同型で、互いに無駄カードがデッキに含まれる中、「相手だけ有効牌を引かれて」負け。
2ラウンド目
対戦相手は、チャレンジャー枠ですがプロツアートップ8経験などもあるオンドレイ・ストラスキーさん。
1ラウンド目と異なり有利なマッチアップでしたが、1ゲーム目は赤単用の初手をキープしたら相手のデッキが違って裏目を引き、2ゲーム目は土地事故で負けとなりました。
〇デッキ選択など
「めちゃくちゃツイてた」という先週のマジック・フェスト京都2019の反動なのか、「今日はめちゃくちゃ運が悪かった」という渡辺さんに、ざっくりと感想をお聞きしました。
渡辺「BO1はやっぱりダメですね。あのエスパーミラーを見て、初心者がアリーナやりたくはならないでしょ(笑)。
BO1にしたのは、新しい面を見せたかったんだと思うし、サイドボードって要素は難しいから、なくして敷居を低くしたかったんだとも思うけど、やっぱりマジックはもともとがBO1向けに作られていないので。
配信的には見やすくていいかもしれないけど、次以降もこのフォーマットでやりたくはないですね。今回はお祭りってことで、プロポイント的なものはなくて賞金だけだから別にいいですけど、次からは年7回のプロツアーのうちの3回相当がこういう、運要素の高いフォーマットになってしまうのはきつい。
僕はマジックって運2:実力8くらいの割合だと思ってるんですけど、今回に関しては運6:実力4くらいの割合になってるかなと。」
――サイドボードがあるBO3だったら、エスパーミラーの試合も全然違っていましたか?
渡辺「そうですね。エスパーはメインだとクリーチャー除去とか無駄カードがたくさんあるから、引きムラができちゃう。サイドからはそれを完全に抜く構築にすることもできるし、相手が逆にクリーチャーを入れてくると予想して除去を残したりといった読み合いも発生するので、全然違う試合になりますね。」
――今回は、BO3用のデッキをBO1用に調整したんですか? それとも、最初からBO1用にデッキを考えたんですか?
渡辺「BO1用に考えました。BO3の環境にはいろんなデッキがありますけど、BO1だとミッドレンジは弱いんです。サイドボード後に相手に合わせて最強の形に組み替えられるデッキなので、メインだけだと中途半端で早いデッキには間に合わないし、遅いデッキには勝ちきれない。なので、早いデッキか遅いデッキのどっちかに寄せようと思ってました。
ちなみに、もし《運命のきずな/Nexus of Fate(M19)》がBO1で禁止されてなかったら、ネクサスデッキだらけになったでしょうね。どっちにも対応できるんで。」
――早いデッキか遅いデッキのどちらかということで、両方とも遅いデッキになったんですね。
渡辺「一応、単色アグロを倒すエスパーと、エスパーを倒すティムールという分け方です。
ただ、この2つだと3ゲーム目のときに、対戦相手はクリーチャー除去の入ったデッキを絶対使わないので、選択肢が生まれない。相手に裏目を引かせることができないし、相手のマリガンも簡単になってしまう。相手に楽をさせてしまうことになるので、クリーチャーデッキとノンクリーチャーデッキの組み合わせにしておけばよかったなと後で思いました。」
――なるほど、相手を悩ませることも大事なんですね。
渡辺「とにかくこのルールだと、デッキのランダムな当たり運と、3本目の先手後手の運が大きいですね。ビートデッキを使うと先手が取れなくて無理だったり、僕と行弘みたいにどれかのデッキタイプに強いアンチデッキを使うと、相性の悪いデッキに当たって無理だったり……。今は、必ずどれか1つの相手は『当たったら無理』と切り捨てないといけないような三すくみの環境なので。」
――1ゲーム目のデッキ選択がランダムじゃなく、自分で選べたとしたらどうですか? 読み合いをした結果、相性が悪いデッキに当たっても納得がいくのでは。
渡辺「そもそも、1ゲーム目のデッキは選べると思ってたんですよ(最初のころはルールにそう書いてあった)。行弘も同じように思ってて。
あと、1ゲーム目に負けたほうが2ゲーム目では必ず先手になると思ってた。これも実際は違って、1ゲーム目で先手を取らなかったほうが2ゲーム目で先手になるというルールでした。」
――えっ、そうだったんですか。Day0の記事で、私もルール文章をもとに「1ゲームに負けたほうが2ゲーム目では必ず先手になる」と書きましたが、修正しておきます。
渡辺「そういう前提条件が、そもそも全然違ってました。そのルールだったら、先にエスパーを出すつもりで考えてたんです。相手は、先攻後攻どちらになるかわからない1ゲーム目にアグロを出しやすくて、エスパーはアグロに勝ちやすい。また、ティムールは先手だと強いので、1ゲーム目にもし負けても2ゲーム目にティムールを出せば、先攻になれて1-1で取り返せるだろうと。
まあ、そんなわけで、今回はいろいろダメでしたね。」
――なるほど、今大会は初めてで実験的な部分も多かったと思いますので、今後は皆さんの意見が取り入れられていくのではないでしょうか。
行弘賢の場合
使用デッキ:ティムール《荒野の再生》/エスパー《ドビンの鋭感》
(デッキリストはこちらから)
Lewkさんとのフィーチャーマッチ
渡辺さんとまったく相談していないにもかかわらず、選んだデッキタイプは同じでした(リスト内容は異なります)。
ティムール再生は、普通なら除去が5枚くらい入っていますが、浅原晃さんに相談したところ「自分でプレイングがMPLの中でも下のほうだという自覚があるのなら、とがったほうがいい」というアドバイスがあり、中途半端はやめようと除去を全部抜いてとがらせたそうです。
対戦ですが、初戦は現世界チャンピオンのハビエル・ドミンゲスさんに負け、2ラウンド目はフィーチャーマッチで配信者枠のLewkさんに勝ち、3ラウンド目もプロツアー優勝者のアンドリュー・エレンボーゲンさんに勝ち。しかし、4ラウンド目でオンドレイ・ストラスキーさんに敗退となりました。
フィーチャーマッチで勝ったあと、インタビューされる行弘さん。「《ミラーリ予想》をぐるぐる回して、相手を拷問してるみたいでしたけど……」「いやー、楽しかったです(^ ^)」というやりとりが交わされていました。
八十岡さんも会場にやってきて一緒に観戦
●おまけ:マジックの歴史的な日を祝うパーティ
この日は夜から、ウィザーズ社主催のパーティがありました。プレイヤーの皆さんはゲストを招待することができたため、取材班も入れていただきました。
場所はおしゃれなクラブで、DJが音楽(PAX Eastにちなみさまざまなゲーム音楽のアレンジなども)をかけ、お酒を飲みながらみんなで交流を深めようという会です。
お店の入り口はこんな感じ。パスポートがないと入れないため、八十岡さんと行弘さんは門前払いを受けて帰りました……。
入口で写真を撮影してくれます。覚前さんは会場内のビデオカメラクルーにも「かわいいから」とやたら撮影されていました。
「ミシックインビテーショナルがスタートした今日は、マジックの26年の歴史の中で特別な日です!」と乾杯。
MPLプレイヤーでわちゃわちゃと集合写真を撮影。
渡辺さんがフロアで踊っていたカルロス・ロマオさんやハビエル・ドミンゲスさんらに挨拶に行くと、突然「ユウヤ! ユウヤ!」とコールが湧き起こりました。
だいぶ酔ったアンドレア・メングッチさんが、「ベスト16に入った俺を褒めてくれよ!」と絡みに来ました(笑)。
パックやアリーナのコードなどのお土産をもらいました。水筒は今大会の運営面でコラボしているOMEN社のロゴ入りです。
明日は八十岡さんと覚前さんの出番です。引き続き、ぜひ市川さんの放送もご覧いただきながら応援よろしくお願いします!