【MCⅤ】初日まとめ:八十岡 翔太【Day1】
MPLプレイヤーにとっては、一つ一つの大会における勝利以外にも大事なものがある。
それは、コンスタントに勝ち続けること。MPLのリーグ、テーブルトップのMythic Championship、アリーナのMC……MPLプレイヤーたちはそれらの順位に応じて得られるMythic Pointのトータルによってランク付けされており、シーズンを通じた成績が奮わなければ、一つ下のRivalsリーグに降格してしまうというのが来年以降の制度だ。
そしてこの大会が終わればシーズンも終盤にさしかかるという状況で、現在のスタンディングにおいて八十岡 翔太の順位は当落線上に近い。それはつまり今回のMCでの勝利と敗北の一つ一つが、この一年の八十岡の活動の価値を決めかねないということを意味している。
そのような状況で八十岡は、2マナ以下のマナブースト12枚、土地26枚という先進的な「シミックフード」を開発した。その結果、はたして2日目に進出することができたのか。
初日の対戦結果と、八十岡のインタビューをお届けしよう。
■ 結果:2勝4敗 (初日敗退)
ラウンド | 対戦相手 | 勝敗 |
---|---|---|
1 | Takeshi Senoo (ゴルガリアドベンチャー) | 勝ち |
2 | Andrew Cuneo (シミックフード) | 勝ち |
3 | Ondrej Strasky (バントフード) | 負け |
4 | Lucas Esper Berthoud (バントゴロス) | 負け |
5 | Sebastian Pozzo (バントゴロス) | 負け |
6 | Eric Froehlich (マルドゥ騎士) | 負け |
八十岡「マリガンの数がやばかったね。相当事故った。しかも事故り方が大体ワンランド。このデッキでワンランドばっか来るのって、何のための土地26なのかと。」
八十岡「ミスったかなと思ったのは『マリガン後に何を戻すか』で、マリガンしてるから土地を戻して少しリスキーに狙っていかないとダメだったけど、土地残したせいでフラッドしたりしたから。難しいんだよなーロンドンマリガン。」
八十岡「『ランド3枚、マナクリ、4マナのカード、重いカード×2』とかね。ランド2枚だけキープして3枚目引くことに賭けるかどうか。ランド引かなかったらほぼ負けだけど、フラッドしたらどうせ負けるから。」
八十岡「最終戦は仕方なくダブマリした後、戻す前の7枚が『土地土地土地、《成長のらせん/Growth Spiral》《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》《大食のハイドラ/Voracious Hydra》《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》』。相手はマルドゥ、こっち先攻。悩んで『土地3、《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》《大食のドラゴン/Voracious Dragon》』を残したんだよね。先手なら《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》間に合うかもだし、《意地悪な狼/Wicked Wolf》の受けにもなるし。まあランドランドランドって引いて終わったんだけど。」
八十岡「『土地2、《成長のらせん/Growth Spiral》《大食のハイドラ/Voracious Hydra》《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》』でキープできてたら、3ターン目X=2の《大食のハイドラ/Voracious Hydra》、4ターン目何かで誤魔化して、5ターン目X=4の《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》でリカバリーみたいなプランが狙えたかもしれない。ただ結局後からどっちを都合良く引くか次第で、ランドを残してスペルを引くに賭けるか、スペルを残してランドを引くに賭けるかでしかない。」
八十岡「あと1回あったのが、ダブマリで『ランド4、マナクリ、《意地悪な狼/Wicked Wolf》《意地悪な狼/Wicked Wolf》』。ランド2枚を戻すか、《意地悪な狼/Wicked Wolf》1枚を戻すかみたいな。フードがないから《意地悪な狼/Wicked Wolf》のバリューもそんなにないかなっていうところなんだけどね……まあロンマリは難しいということで。占術マリガンの方が良かった。いるかいらないか、だからね。」
八十岡「ロンマリは半分くらい結果論になりやすいからね。ランドを下に送ってランド引かなかったらゲームにならんし。」
■ 調整をやり直せるとしたら?
――公開されたデッキや実際に対戦してみて、『調整のやり方をこうすれば良かったなー』とか『デッキのこの部分は変えた方が良かったなー』みたいな部分はありますか?
八十岡「《拘留代理人/Deputy of Detention》を使ったバントフードが一番よかったね。やってること近くて、同型は白の部分で有利だから。」
八十岡「先手の2ターン目《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》は返す手段がないから、シミックベースのデッキ自体は結局使ったとは思うね。《金のガチョウ/Gilded Goose》がせめて《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》だったら、2ターン目に《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》出すのに色マナの条件が厳しくなるからまだマシだったんだけど、《金のガチョウ/Gilded Goose》はラノエより強いね。」
八十岡「今回コントロールを使った人が一人もいなかったけど、コントロールが0人の大会なんて過去初めてなんじゃないかな。何人かコントロール好きもいたんだよね、CuneoとかNassifとか、あとPozzoも結構好きだし。けどみんなゴロスかシミック。コントロール好きは基本的に『勝てない』と思ったらそのデッキ使うからね。もし今回Wafo-Tapaがいたら何使ったのかはちょっと気になるね。」
市川「ワフォはエスパースタックスでしょ、さすがに(笑)」
■ 禁止改定を行うとしたら?
――改めてこの環境のスタンダードで禁止改定が行われるとしたら、どうなりそうだと感じましたか?
八十岡「まあ《死者の原野/Field of the Dead》は確実に禁止になると思うけどね。スタンダードにあっちゃダメだねあれは。しかもいま土地に触るカード何もないからね。《裏切りの工作員/Agent of Treachery》とか《死者の原野/Field of the Dead》デッキに使われちゃってるし。」
八十岡「《血染めの太陽/Blood Sun》か《廃墟の地/Field of Ruin》かどっちかあれば違ったかなーと思うけどね。まともに土地を壊せそうなのが《豪奢+誤認/Bedeck+Bedazzle》くらいしかない。あとは《戦争の犠牲/Casualties of War》か。両方とも《夏の帳/Veil of Summer》で消されるんだけどね。《荒廃ワーム/Ravager Wurm》で壊せてたらなー。」
八十岡「ていうか《夏の帳/Veil of Summer》は強すぎるだろ!あんなカードあったら環境の青と黒いなくなるよ。1マナの《謎めいた命令/Cryptic Command》、いやターン中効果が続くからそれより強い。《夏の帳/Veil of Summer》と《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》を飛ばせばコントロールもまだいけるからね。」
――《むかしむかし/Once Upon a Time》はそうでもないんでしょうか?
八十岡「あれはまあまあ……《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》っていうデッキと合いすぎてるっていうのはあるけどね。あとあまりにも3マナ4マナまでのアクションに比重が寄りすぎてるからっていうのはあるね。結局カードプールが狭くて弱いカード入れざるをえない場合の穴埋めだから。」
八十岡「シミックから禁止出すとしたら《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》かなー、いや《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》かなー。まあでもどっちでもいいな。どっちかがなければ結構何とかなる。《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》さえいなければ単体除去に弱くなるから。」
――ありがとうございました。
残念ながら八十岡も初日で敗退となり、Team CygamesのMythic Championship Ⅴはここで終了となった。
日本人からは唯一行弘 賢が、独創的なマルドゥアグロを駆って2日目に進出している。
今シーズン、残るMCは11月のリッチモンド (テーブルトップ) と12月のロサンゼルス (アリーナ)。闘いが終わった後、「まあ半年くらいライバルズでのんびりしてもいいかもね」と嘯いていたりもした八十岡だが、きっと残る2回のMCのどちらかで優勝トロフィーを掲げ、来年もMPLの一員として最高峰のプレイを見せてくれるに違いない。
写真提供:Wizards of the Coast LLC