【MCVI】2日目スタンダードラウンドまとめ【Day2】
2日目が終了し、八十岡さんは6敗、覚前さんは7敗1分で今シーズンを締めくくりました。それぞれの戦績と今後の予定、禁止カード予想についてまとめていきます。
なお金曜の朝に、次回プレイヤーツアーの出場権利に関するアナウンスがあり、シルバーレベルなど大幅に出られる人が増えました。来年2月のプレイヤーツアー名古屋にはTeam Cygamesが4人そろいそうなので、今から楽しみです。
会場に現れた《ロークスワインの元首、アヤーラ/Ayara, First of Locthwain(ELD)》と《誘いの魔女/Tempting Witch(ELD)》。衣装から煙が出るなど、めちゃくちゃクオリティの高いコスプレでした。
●八十岡翔太の場合
10 《森》 6 《島》 4 《繁殖池》 3 《神秘の神殿》 2 《総動員地区》 土地(25)
クリーチャー(19) |
4 《霊気の疾風》 3 《むかしむかし》 1 《夏の帳》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 4 《王冠泥棒、オーコ》 呪文(16) |
1 《厚かましい借り手》 2 《夏の帳》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《神秘の論争》 2 《否認》 2 《打ち壊すブロントドン》 4 《大食のハイドラ》 サイドボード(15) |
2日目ドラフトラウンドの戦績
2-1
2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績 10-6 最終順位70位)/シミックフード
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
12 | スゥルタイフード(中道大輔) | ○○ |
13 | ティムールフード | ○○ |
14 | セレズニアアドベンチャー(トマス・ヘンドリクス) | ×○× |
15 | ゴルガリミッドレンジ | ○○ |
16 | シミックフード | ○×-(トス) |
対戦について
八十岡「12ラウンド目はまあ、ブン回りましたね。もらったスリーブが貼りついてシャッフルしづらかったのが、2日目に入ってこなれてきて、やっとデッキが回りだしました。」
12ラウンド目の中道さんとの試合
八十岡「13ラウンドのティムールフードは、《王家の跡継ぎ/The Royal Scions(ELD)》と《主無き者、サルカン/Sarkhan the Masterless(WAR)》が入ってるやつなんですけど、《霊気の疾風/Aether Gust(M20)》が全部当たる(笑)。さすがにデッキが弱くて勝ち。
14ラウンド目は、1ゲーム目《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper(ELD)》を3枚引かれてドブン。
2ゲーム目はこっちが3ターン目《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World(WAR)》で奥義まで行ったんですけど、向こうも周りがよくて、《ニッサ》で土地が無敵でもチャンプブロッカーが永遠に出てくる。最終的に《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper(ELD)》4枚でドローしまくって、11枚くらい引かれた中にリング(《牢獄領域/Prison Realm(WAR)》)があれば負けだったけど引かれなかったので勝ち。
3本目はいい勝負だったけど《金のガチョウ/Gilded Goose(ELD)》4枚だけでほかの身を引けず、向こうのトップが強かったですね。
15ラウンド目は《悪ふざけの名人、ランクル/Rankle, Master of Pranks(ELD)》とか《戦慄衆の将軍、リリアナ/Liliana, Dreadhorde General(WAR)》、《虐殺少女/Massacre Girl(WAR)》、《悪意の騎士/Knight of Malice(DOM)》とかが入ってる、重めのコントロールチックなデッキですね。
16ラウンド目は、1ゲーム目は行ったり来たりして、最終的に《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World(WAR)》が着地して勝ったんですけど、ロングゲームで20分くらいかかりました。
シミック対スゥルタイはあっという間に終わるんだけど、シミックミラーはやりたいことが同じだから少しずつしか差が詰まらないし、先に動くと不利になりやすくて互いに構え合うから、時間かかるんですよね。
2ゲーム目はこっちが先に《ニッサ》着地するも相手に《意地悪な狼/Wicked Wolf(ELD)》と食物がいっぱいあって、毎ターン土地をチャンプで失いながら横から殴って相手のライフを1まで詰めて。相手は手札ゼロで、『カモン、ハイドロイド!』って言いながら《むかしむかし/Once Upon a Time(ELD)》を引いて、『ワンモアチャンス!』って言いながら撃ったら《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis(RNA)》が来て、返しに除去1枚あれば勝ててたんですけど、引かず負け。
この時点で残り5分しかなかったんで、3ゲーム目が終わるはずもなく。時間なかったから、一応相手に何もなかったら勝つプランでやりましたけど、相手に全部カウンターではじかれましたね。
で、相手がイタリアのゴールドレベルプロらしくて、ここで勝てばライバルズ入りしそうって話だったんでトスしました。」
最後の対戦相手に勝ちを譲り、握手を求められる
今後の予定
――今回得たミシックポイントにより、来期のMPLは確定ですか?
八十岡「まあ、下にいる人全員が勝って追い越されるみたいな、よほどのことがない限りは大丈夫です。あと次のMCVIIでトップ4に入るとワンチャン世界選手権の権利が来るかも、くらいですね。ただ世界選手権2月だし、プレイヤーツアー名古屋も2月だから、あんまりそんな暇はない(笑)。」
――それでは、また来年も忙しい日々が続きますね。体に気をつけて引き続きがんばってください。
●覚前輝也の場合
行弘さんとの対戦
11 《森》 7 《島》 4 《繁殖池》 2 《神秘の神殿》 土地(24)
クリーチャー(20) |
4 《むかしむかし》 3 《霊気の疾風》 1 《神秘の論争》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 4 《王冠泥棒、オーコ》 呪文(16) |
1 《霊気の疾風》 3 《恋煩いの野獣》 2 《否認》 2 《自然への回帰》 4 《夏の帳》 3 《大食のハイドラ》 サイドボード(15) |
2日目ドラフトラウンドの戦績
2-0-1
2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績 8-7-1 最終順位176位)/シミックフード
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
12 | 赤黒アグロ | ○×○ |
13 | 4色プレインズウォーカー(行弘賢) | ×○× |
14 | バントフード(ベン・スターク) | ×× |
15 | シミックフード(アレクサンダー・ヘイン) | ×× |
16 | シミックフード亜種 | ○×○ |
対戦について
覚前「12ラウンド目はなんかプレイがダーティな相手で、直接何かされたわけではないけど、2分間くらいずっと振り返ってはジャッジの位置を確認してるんですよ。いいから早くプレイしろと。しかも3本目、相手がけっこう負けそうな場で、ジャッジがついてたにもかかわらず残り時間をしきりに見てましたからね。長考すれば負けを引き分けにできると思ってそうでした。自分のターンなのに時計を見るって、それくらいしかないでしょ。なんか有名なやつなのかなと思って周りの人に聞いたけど、みんな知らなかったですね。
13ラウンド目は先手でブン回られて負け、次はこっちが先手で普通に回って勝ち、また先手で回られて負け、みたいな感じです。
14ラウンド目も先手取られて、単純に2回ともブン回られた感じですね。相手の《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World(WAR)》にさわれず、《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis(RNA)》2枚出される間に僕は《金のガチョウ/Gilded Goose(ELD)》を3枚引いてただけという。
15ラウンド目は、2ゲーム目に100%勝ってたところから自分のせいで負けました。1ターン目、相手は《島》置いてゴーだったんで、3マナ青カウンター(《神秘の論争/Mystical Dispute(ELD)》)持ってるのが僕の中で確定してたんです。その後もずっと持ってる動きしてて。
で、僕は手札に2マナバウンス(《些細な盗み/Petty Theft(ELD)》)1枚だけ持ってて、相手が《ニッサ》を出したタイミングにフルタップになったから、能力+1するのにスタックして、《ニッサ》の横にいる《意地悪な狼/Wicked Wolf(ELD)》をバウンスすれば、次のターンに《ニッサ》を落とすことができたんです。それがベストな行動だったんですけど、なぜかそのときは別にいいかと思って『OK』って言ったんです。撃ったほうがいいって直感は働いてたんですけど、まあカウンターされても《ニッサ》は落とせるから、深く考えずに『まあどっちでもいいかな』くらいにその時はなってたんです。流れでOKしちゃったというか。
結局、+1の解決後にバウンス撃って、当然カウンターされるんで、《厚かましい借り手/Brazen Borrower(ELD)》が消えて(=出来事の追放領域に行かず墓地に行って)、返しで《ニッサ》は落とせたんですけど、《厚かましい借り手》がいなくなったことによって2枚目の《ニッサ》に対処できず負け、みたいな感じです。
相手は手札4枚で盤面は不利で、フルタップで《ニッサ》を展開するしかなかったから、スタックで狼を戻してれば《ニッサ》を落としたうえで僕の《厚かましい借り手》は生きるんです。
これはけっこう精神にきましたね。自分がもうちょっとスタンダードをやりこんでたら起こらないミスだったんですけど、そこで勝ち確を負けにしたことで、自分がやってなかったと痛感しましたね。逆に、MPLはちゃんとやってるなというか。
16ラウンド目はドラフトラウンドでも当たって勝った人です。デッキリスト見たとき、これには絶対負けないなと思いました。相手、《ニッサ》2枚に《ハイドロイド》1枚なんですよ。代わりに1マナ1/1の出来事で1ドロー(《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper(ELD)》)が入ってて、出来事は《厚かましい借り手/Brazen Borrower(ELD)》と《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast(ELD)》しか入ってないんです。それだけのために《ニッサ》と《ハイドロイド》減らしてたら同系対決に勝つわけないなと。」
今後について
覚前「今回のMCを通して、いろいろと思うところがありましたね。
来る前は正直、マジックへのモチベーションがそんなに高くなかったんです。なぜならかかってるものがほとんどなかったから。今回でシーズン終わりだからポイント増えても意味ないし、次のプレイヤーツアーの権利もたぶん降ってくるだろうなと思ってたので。日本人の参加者が100人以上いる大会で、今プラチナの僕が出れないってことはさすがにないだろうから……。
で、今回は構築10ラウンドで5勝5敗なんですけど、負けたうち4敗はMPLメンバーと当たってるんです。MPLじゃない人ならやっぱりミスもあるからまあまあ勝てるんですけど、MPLは本当にうまくて、力の差をはっきり感じました。
MPLはもともと強いのに、強い者どうしでリーグ戦やってるからますます強くなるし、MPLからはずれたら年収なくなるから維持に必死じゃないですか。そういうのが自分には全然ないから、このままじゃかなうわけないなと。」
八十岡「MPLは勝手に試合やらされるから必ず走らなきゃいけないけど、そうじゃない人はモチベーション保ちづらいよね。」
覚前「今の状態って、かなり虚無虚無プリンなんよね(笑)。」
八十岡「一生懸命にライバルズ(来年からできるMPLの下部リーグ)を目指すってのはけっこうきついけど、まあ適当にやっていってライバルズに入れたらそこからMPL目指してがんばったらいいんじゃないかな。アリーナでライバルズに入るためのポイント稼ぐチャンスはけっこうあるから。」
覚前「まずはライバルズリーグを目指して、その中なら自分と同じくらい、ゴールドレベルくらいの実力の人がいっぱいいると思うから、そこで切磋琢磨して強くなって、MPLに挑戦したいな。」
――それはいい目標ですね!
覚前「今回、デッキ選択とか構築とかはよかったと思うんですけど、練習不足だったからシミックフードミラーのサイドに《夏の帳/Veil of Summer(M20)》4枚入れたりしてたんですよね。で、『これ手札で腐るな』と思って減らしたのがMC本番。それくらい事前にわかってるべきなのに、自分のデッキをどうやって回すかに終始してて、サイドプランを煮詰めるところまでちゃんとできてなかったんです。」
――でも、練習してないというわりにはアリーナのミシックランキングで20位を維持してたりするんですよね? かなりやりこんでいるのかと思っていました。
覚前「アリーナは上1ケタくらいからはすごい上がるの難しいですけど、その下はポンポン上がるんでけっこう簡単ですよ。相手もそんな強くないですし。」
――そうすると、今後はリアルでの練習も必要になってきますか。
覚前「うーん、ただ相手が……。たとえば仲いい井上(徹)君とかを誘って、アリーナで個人的に練習してもいいですけどね。くまP(熊谷陸さん)とシミックミラー1日10マッチとかやりたいな~(笑)。」
――めちゃくちゃ長くかかりますね(笑)。では、今後の抱負としてはどんな感じですか?
覚前「やっぱり今回MPLたちと対戦して、うまいとカッコいいなって思ったし、マジックは好きだから、次の大会前は練習して勝ちたいなと。シーズンが更新されたら、また気持ちを新たに頑張りたいです。」
●禁止カードをズバリ予測
――最後に、18日に発表予定の禁止改訂について、お2人に予想を聞きたいです。今回は《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns(ELD)》を使用したデッキが69%だったそうですが、どう思いますか?
覚前「多すぎ!」
八十岡「《オーコ》が悪いわけじゃなくて、赤と白が弱いのがすべてですね。ほかの色に魅力がないからここまで偏るんで。今回プレインズウォーカーも白だけいないし、赤と白の1マナのクリーチャーがすごい弱い一方で、緑には《金のガチョウ/Gilded Goose(ELD)》という最強の1マナがいるから、パワーバランスが悪いことによる今の結果という感じですね。《オーコ》が強いのは間違いないけど、赤と白のアグロがもっと強ければすぐ落ちると思うんで。
もしかしたら、次のカードセットがテーロス次元だし、白を強化していいバランスになるはずだったのかもしれないけど。
あとは《夏の帳/Veil of Summer(M20)》がなければコントロールは強かったはず。コントロールなら、《オーコ》や《ニッサ》を出されてもちよっと損するだけで戦えたはずなんだけど、《夏の帳》のせいで息してない。」
――18日に《オーコ》は禁止されると思いますか?
八十岡「まあ、順当に考えれば。現状すべてのクリーチャーとアーティファクトがどんなに強くても全部鹿だから、ほかの神話レアすべての価値を下げるよりも《オーコ》を禁止した方がいいという考えになるかどうか。トーナメント的には、《金のガチョウ/Gilded Goose(ELD)》がなくなれば相当よくなりそうですけど、心情的な納得は得られないんじゃないですかね。」
覚前「カード強くても騎兵とか使う気にならんもんね。僕は絶対《オーコ》禁止になると思ってます。」
――じゃあ、帰ったら《オーコ》を売りに行きますか?
覚前「いや、下がり切ったとこで買います(笑)。株です。」
八十岡「モダンやレガシーで4枚ずつ使われてるし、ヴィンテージでも使われてるから、将来的に絶対上がる。」
覚前「《オーコ》は1枚で勝てるし、レガシーだと《意志の力/Force of Will(ALL)》で切れるのがいいよね。
八十岡「そう、手札で腐らないし、ライフ回復できてバーンとかにも強くなるからね。」
覚前「《オーコ》のついでに何か、《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper(ELD)》とかもついでに禁止されるのがちょっと怖いですね。そしたら、緑だけ禁止されすぎだからほかの色もちょっと抑制しようってなって、雑に禁止が増えたらイヤだなって。」
八十岡「ここで《オーコ》を禁止した場合、ほかのカードも相乗効果で弱体化するから、緑が急に弱くなりかねない。次どうなるかちょっと怖いですね。」
禁止改定後、来月にはすぐにスタンダードの大会MCVIIがあり、新環境直後ということで調整に難儀しそうです。なお《オーコ》が禁止された場合に次に来そうなのはアドベンチャー系(緑黒、白緑、赤緑)、《荒野の再生/Wilderness Reclamation(RNA)》、青白コントロールという予測がされていました。
それぞれ、次に向けてのモチベーションを高めつつ、明日はTeam Cygamesイチの喋り上手、市川ユウキさんが解説をつとめる決勝ラウンドの生中継を観戦しようかなとのことでした。
大会を終えて一息ついた晩餐
おまけ:問題です。行弘さんが体で表しているカードは何でしょう?
(ヒントとしてはとても古く、イラストの知名度が高いクリーチャーです)
答えは次の記事で!