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プレイヤーズツアー・名古屋2020レポート

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2020年に入り、大会システムが変わって初となる「プレイヤーズツアー」が、2月1日(土)~2日(日)にAichi Sky Expoで開催されました。
プレイヤーズツアーはシーズンごとにアジア・ヨーロッパ・アメリカの3か所で行なわれ、それぞれの上位入賞者は「プレイヤーズツアーファイナル」に出場できます。
今回、計193名が集まったアジアのプレイヤーズツアーには、Team Cygamesのメンバー4人全員が参加。また、Team Cygamesメンバーを含む10名でパイオニア・フォーマットの練習と調整を行なった結果、うち4名がトップ8に進出し、市川さん・山本さんと同じデッキを使用した原根健太さんが優勝を飾りました。
大成功と言える今回の事前調整および大会内容について、後日取材を行ないました。

 

 

 

●戦績まとめ

 

day1 市川 覚前 山本 八十岡
対戦相手 勝敗 対戦相手 勝敗 対戦相手 勝敗 対戦相手 勝敗
deck 赤黒 青赤 青赤 青赤



1 赤緑 × 緑黒 赤黒 赤白タッチ黒 ×
2 赤黒白 黒白 赤白 青白黒
3 青黒赤緑
(松本友樹)
赤白
(ムラカミ カズヤ)
黒緑
(Liu Yuchen)
× 赤黒サクリファイス
(Chen Yang)
deck バントスピリット 青単信心ツイン バントスピリット ディミーアツイン




4 ディミーアツイン ロータスコンボ × ディミーアツイン × 黒単 ×
5 ティムールロータス × 青白コントロール ティムールロータス 黒単
6 赤単アグロ
(Mussel Nicolas)
× ディミーアツイン
(Hayne Alexander)
× アブザンカンパニー
(Jhang Jheng Yu)
赤単
(Price Nicholas)
7 セレズニア鱗
(瀧村和幸)
× 黒単
(Wiegersma Jelger)
白単ヘリオット
(Winata Gregorius)
× 黒単
(アサノ クレナイ)
8 DROP 1 黒単 × 赤単 × イゼットハサミ
9 赤単 DROP ディミーアツイン
(Hayne Alexander)

 

 

day2 覚前 八十岡
対戦相手 勝敗 対戦相手 勝敗
deck 赤黒 青黒



10 青緑
(Butakov Dmitriy)
7-3 赤緑
(Kuo Tzu-ching)
× 7-3
11 黒緑
(Collins Michael)
× 7-4 緑黒
(ナカムラ アツシ)
8-3
12 黒白
(Christian Calcano)
× 7-5 白緑黒 9-3
deck 青単信心ツイン ディミーアツイン




13 ディミーアツイン
(Sze Hang Chan)
8-5 黒単 10-3
14 青白
(井上徹)
× 8-6 ディミーアツイン 11-3
15 5色ニヴ
(Lewis Jonns Ryan)
9-6 ディミーアツイン
(高橋優太)
ID


バントスピリット
(原根健太)
×

 

 

 

●チーム武蔵の調整

4つのデッキをトップ8に送り込んだチーム武蔵の調整。チームメンバー4人に加え、行弘賢さん、原根健太さん、高尾翔太さん、石村信太朗さん、宇都宮巧さん、川崎慧太さん(順不同)の計10人によって、マジック・オンライン(MO)における対戦データの集積や環境分析をメインに行なわれました。
結果として、市川さん・山本さん・原根さん・宇都宮さんが使用したバントスピリットが優勝。高尾さんの名を冠した「タカオーラ」を駆って行弘さんが準優勝、そして石村さんと覚前さんが使用した青単信心ツイン、八十岡さんが使用したディミーアツインがトップ8入りし、持ち込んだ4つのデッキがどれもすばらしい実績を残しました。

また『テーロス還魂記』ドラフトに関しては、1月末にCygamesにて恒例のドラフト合宿を実施し、少人数でレベルの高い練習を積んだ結果、本番での成績もそれぞれ好調でした。
詳しくは、市川さんの記事原根さんの記事も参照してください。

 

――今回、調整期間はどれくらいでしたか?
市川「データ集めはパイオニアの禁止改訂が出終わってから始めたんで、1月頭からですね。禁止改訂前のデータはそこまで信頼できないので。
おのおの好きなデッキをMOで回して対戦結果を入力してもらってたんですけど、それだけじゃなく今回はプレリミナリ(MOにおけるプレイヤーズツアー予備予選のような大会)がたくさんあったので、それも参考にしました。プレリミナリは人数がそんなに多くないので、5-0や4-1したデッキリストを照らし合わせると、何が何に負けて4-1になったのか、みたいのがけっこう読み取れるんですよね。それらのデータを分析して、いいデッキ悪いデッキを精査していく作業がほとんどでした。
で、最終週は恒例のヤソ邸合宿。ただリアルカードでの調整はまったくなくて、MOで気になるマッチアップのダイレクト対戦とかですね。パイオニアはリアルのデッキを用意するのがちょっと面倒すぎて……カード準備したり微調整のために入れ替えたりというのが、単純に時間効率が悪いので、オンラインに全振りしたのが今回はいい方向に働いたのかなと思います。」

――オンラインのほうが効率よく調整できるんですね。
市川「青白コントロールとか、時間が経つにつれてどんどん形が変わっていったじゃないですか。もし青白コンをメインで回してない人が、リアルカードでデッキを持ってたとしても、ちゃんとその通りアップデートしていかないと思うんですよね。古い形の青白コンが残ってて、それと対戦テストして『勝てたから、じゃあ青白コンには有利だな』ってなっても意味がない。リアルタイムでアップデートされ続けているデッキと当たれるのが、オンラインのメリットなんです。」
八十岡「今回、世界の人々が同時にパイオニアをMOでやってたというのがでかいね。ヨーロッパとアジアとアメリカでほぼ同時に大会があって、タイミング的にみんなMOでやってたから、統計の数が多くて、メタゲームの進化とかが可視化されてすごいわかりやすかった。ただスタンダードだとMOに人がいないから、次もMOで調整やればいいってわけじゃない。」

――スタンダードの調整になると、また別のやり方が必要になってくるんですね。
市川「そうですね。MTGアリーナは練習になりづらいからな……。」

――今大会のメタゲームを、どう予想していましたか?
八十岡「だいたい予想通りだったかな。上からディミーアツイン、黒単、青白スピリット、ニヴ=ミゼット、その他みたいな。」

――「大会直前の2日間は、チームで調整していた人たちも自分が使うと決めたデッキを一気に練習し始めるから、そのタイミングでのMOのメタが本物だ」と、市川さんが配信で話していましたね。
市川「実際のほうが青白スピリットが少なかったけど、だいたいMOもそんな感じでしたね。」
八十岡「その分、MOだと完全に死んでたニヴ=ミゼットが多かった。」
市川「MOではたぶんディミーアツインにけちょんけちょんにされてたから、まったく当たらなかったよね。」
八十岡「やっぱり、ニヴ=ミゼットがよくないかなと思っても、直前では使うデッキを変えられないんだろうね。MOだったらすぐ変えられるけど。」
市川「僕としては、ディミーアツインはMOではすごい多いけど実際は二番手くらいかなと思ってたんです。だから今回一番使用率が高かったのはけっこう驚きで、プレイヤーズツアーはレベルが高いんだなと思いましたね。みんなアンテナが高くて、3日前とかにデッキを変えた人がたくさんいることになるので。グランプリだったら絶対こうはならない。」

・プレイヤーズツアー・名古屋2020のメタゲームブレイクダウン

 

――グランプリのほうは、黒単が多かったらしいですね。
八十岡「黒単は同型の優位性をほぼとれないから、使ったプロはほぼいないんじゃないかな。ディミーアツインは海外プロ勢が持ってきてたから、その上乗せはあったと思う。それでも約20%いたから、意外と多かったね。これが旧来のプロツアーだったら、ツインは30%いたと思うけど。」

――そうすると、プレイヤーズツアーはグランプリとプロツアーの間くらいのメタゲームだった感じなんですね。
八十岡「ヨーロッパではまたかなり違うメタゲームだったから、面白いね。」
市川「アメリカではロータスコンボが多いという噂だし(※編注:取材はアメリカの大会前に実施)。アジアとヨーロッパの1週後にやらないといけないアメリカのプロが、今回一番大変だよね。1週前のでかい大会で強いデッキリストが出揃ってるから、デッキリストで出し抜くのは難しい。俺がアメリカ人だったら遠征したいもん。」
八十岡「もう“旧環境”になってるからね。」

――それでは、ここからはそれぞれの試合について聞いていきたいと思います。

 

 

 

●覚前輝也の場合
※覚前さんにはメールで取材を行ないました

02

ドラフトラウンド

――ドラフトでやりたかった戦略や、特に取りたいカードはありましたか?
覚前「エンチャントを主体としたドラフトがやりたかったです。コモン主体で、神のお告げシリーズを軸とした構築です。
基本的に青のエンチャントが全てのマナ域で優秀なのと、《塩水の巨人/Brine Giant(THB)》が使えるのもポイントだったので、青+緑以外の1色(緑だけ弱いので)で組む、という戦略で臨みました。」

・1日目のドラフトについて(3-0)
day1_kakumae
覚前「青の流れが1番良かったので、青単色でピックすることに成功。2パック目初手でめちゃ強の《アクロス戦争/The Akroan War(THB)》が出たので、理想的な流れになりました。」

・2回目のドラフトについて(1-2)
day2_kakumae
覚前「青の流れが悪く、緑が良かったのですが青に走ってしまい、1パック目を終えた段階で青4、赤2、緑1、白1、黒1、みたいなバラけたピックをした上でその後のレアにも恵まれず、弱い2色になりました。このドラフトでは色を変える勇気を持つべきでした。
自分の中で強いアーキタイプの完成形を持っていても、使えないタイミングのほうが多いということを意識し、臨機応変に対応するべきでした。」
03

構築ラウンド


覚前輝也『青単信心ツイン』
プレイヤーズツアー・名古屋2020



7 《島》
4 《水没した地下墓地》
4 《異臭の池》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス》
4 《湿った墓》
2 《欺瞞の神殿》
1 《ヴァントレス城》


土地(26)


4 《潮流の先駆け》
4 《マーフォークのペテン師》
4 《タッサの神託者》
1 《凍結燃焼の奇魔》
4 《厚かましい借り手》
4 《老いたる者、ガドウィック》
4 《真実を覆すもの》


クリーチャー(25)


2 《魔術師の反駁》
4 《予期の力線》
3 《神秘を操る者、ジェイス》


呪文(9)


2 《思考囲い》
1 《無効》
2 《漸増爆弾》
1 《霊気の疾風》
1 《害悪な掌握》
4 《神秘の論争》
3 《漂流自我》
1 《神秘を操る者、ジェイス》


サイドボード(15)


 

――デッキ選択については、カバレージ記事にある通り「クロックパーミッション的な動きが自分に合っている」ということで選んだんですよね。
覚前「はい。あの記事を読んでもらえれば、補足することは特にないです。」

――1週間前にマジック・オンラインの大会(パイオニア・ショーケース)で優勝した赤単で出る選択肢はなかったですか?
覚前「赤単には明確に不利なデッキ(5cニヴ=ミゼットや白単ヘリオッドなど)があります。自分を強者だと思うなら、当たり運に左右されるデッキは極力使いたくないので、赤単を使う選択肢はなかったです。」

――デッキ作成者である石村信太朗さんと、どういったことを相談しましたか?
覚前「先にライザ(石村さん)が75枚組んでいて、そこから気になる部分を自分好みに変えました。また気になるマッチのサイドボーディングなどについて、意見を教えてもらいました。」

――相性のいいデッキ、悪いデッキは何ですか?
覚前「対白単ヘリオッドは一番有利なマッチです。ディミーアツインには不利だと思います。」

――デッキ公開制だから特に意識した部分はありますか?
覚前「サイドを散らすことを意識しました。サイドの種類が少ないと入れ替えが容易に想像つくため、相手のプレイが簡単になります。」

――構築ラウンドの振り返りをお願いします。
覚前「この青単信心ツインを使おうと思ったのは本番3日前くらいだったと思います。
本当はディミーアツインを使いたかったのですが、練習段階でミスが多発していたため本番で使うのは危険だと感じ、そう決断しました。しかしいざ青単信心ツインで大会に出てみると、ここでもプレイミスを連発してしまいました。
今大会はディミーアツインを使うのが一番良かったと感じています。同じ系統の青単信心ツインを使ったことに関しては悪くはなかったかなと思います。
ただ今思うと、総じて準備時間の使い方が悪かったと思います。
慣れてないデッキでも人が配信で回してるデッキをたくさん見たり、日々のデッキリストを観察したりすることで、練習時間の短縮やプレイスキルの向上につながりますが、そういった努力が足りてなかったのが、結果として現れたのかなと思います。」

――パイオニアというフォーマットについてどう思いますか?
覚前「自分はフォーマットを増やすことはあまり好きではありません。
有名なスポーツはほとんどルールが変わりませんよね。だからパイオニアができたのなら、長く続いてほしいです。」

 

 

 

●市川ユウキの場合

04

ドラフトラウンド(1日目2-1)

day1_ichikawa

――市川さんは、松本友樹さんとJelger Wiegersma(オランダの殿堂プレイヤー)に挟まれた席でしたね。
市川「流れとしては、初手が《アゴナスの雄牛/Ox of Agonas(THB)》(出た時に手札を捨てて3ドロー、脱出持ち)で、赤やりたいなと思いつつ赤単気味にピックして、青に寄せるか黒に寄せるか悩んで最終的に赤黒になりました。
《アゴナスの雄牛》は脱出に墓地が8枚必要なんで、4マナ3/3の3枚墓地に落とす接死(《毒の秘義司祭/Venomous Hierophant(THB)》)とか、2マナ2/1の2枚デッキ掘る接死(《ぬかるみのトリトン/Mire Triton(THB)》)とか、墓地を肥やす系のカードを意識して取っていきました。
そしたら2-2でレアの赤巨人(《地盤の巨人/Tectonic Giant(THB)》)が回ってきて。1パック目に赤ひたすら取って青けっこう流してたんで、うまく赤やらせてもらえたと。ただ上家のAさん(松本さん)が黒やってたので、黒の流れはあまりよくなかったですね。青の4/3/2の飛行アンコモン(《瞬き翼のキマイラ/Shimmerwing Chimera(THB)》)を2枚流したりしながら、やっぱり青やってもよかったなーと思ってました。
全体的に悪くはないけど、5マナ除去(《最後の死/Final Death(THB)》)とかもう少しいいカードが取れてたら3-0できるデッキでしたね。」

アゴナスの雄牛地盤の巨人

――墓地肥やしを重視したことで、《アゴナスの雄牛》は脱出できたんですか?
市川「けっこうできました。そもそもマナカーブが軽いデッキなんで、適当にポンポン出してって手札の残りが土地1枚とかで《アゴナスの雄牛》3ドロー、みたいな展開もあったし、あまり意図してなかったんですけど2マナ域が多く取れてたことによって素出しが強かったですね。」

構築ラウンド


市川ユウキ・山本賢太郎『バントスピリット』
プレイヤーズツアー・名古屋2020



2 《島》
2 《平地》
4 《植物の聖域》
4 《繁殖池》
4 《氷河の城砦》
4 《神聖なる泉》
4 《寺院の庭》


土地(24)


4 《霊廟の放浪者》
2 《幽体の船乗り》
4 《鎖鳴らし》
4 《無私の霊魂》
4 《至高の幻影》
4 《天穹の鷲》
4 《ネベルガストの伝令》
4 《呪文捕らえ》
2 《厚かましい借り手》


クリーチャー(32)


4 《集合した中隊》


呪文(4)


2 《蔓延するもの》
2 《安らかなる眠り》
1 《軽蔑的な一撃》
4 《拘留代理人》
4 《神秘の論争》
1 《残骸の漂着》
1 《大天使アヴァシン》


サイドボード(15)


 

――どうしてこのデッキを選びましたか?
市川「もともと、インバーターコンボ(《真実を覆すもの/Inverter of Truth(OGW)》+《タッサの神託者/Thassa’s Oracle(THB)》ないし《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries(WAR)》のコンボ)は使いたいと思ってたんです。同一ターンにプレイしなくてもいい2枚コンボで、単純に強いから使わないのは損だなと。
ヤソ邸に入った水曜昼の段階では、ディミーアツインか青単信心ツインのどっちかを使いたいと思ってて、水曜はずっと青単のほうを回してたんですけど、ディミーアツインにちょっと相性悪いなと感じて断念。最初は勝ててたんですけど、どんどん相手のスキルが向上して構築も良くなって、勝率が下がっていったんです。
で、ディミーアツインのほうは構築とプレイのどっちも、これからまだ詰めなきゃいけない面が多くて、自分ではちょっと厳しいかなと。それでデッキが暗礁に乗り上げてたところに、高尾(翔太)君が『バントスピリットいいんじゃない?』みたいなことを調整用のLINEグループに投げたのが、しばらく放置してたバントスピリットに立ち戻るきっかけになりました。
確かに言われてみれば、バントスピリットの天敵である赤単はMOでも全然当たらなくなったし、覚前君が赤単で優勝したにもかかわらず『使いたくない』と言ってる。赤単が使えるなら絶対使うタイプのプレイヤーが選ばないというのは、ある意味信頼できるデータかなと。それなら、環境にあるデッキを順に見ていくといいマッチアップが多いし、バントスピリットを使おうということになりました。デッキ提出締め切りギリギリの、木曜23時半とかそれくらいに決まった気がする。」

05

――デッキ構築について詳しくは市川さんの記事を見ていただくとして、《蔓延するもの/Permeating Mass(EMN)》という大穴クリーチャーが見つかってよかったですね。
市川「ずっと冗談で『こういうスピリットがいるよ』と言われてはいたんだけど、よく考えてみたら黒単に強いなということで。」

――デッキ公開制だから意識したことはありますか?
市川「サイドに《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn(SOI)》と《残骸の漂着/Settle the Wreckage(XLN)》を1枚ずつ入れたことですね。」

――“見せサイド”というわけではなく、実際に使うんですよね?
市川「入れますよ。ケアした結果持ってなかったとかケアしなかったら持ってたとか、そういう裏目を引かせられますからね。ああいうのは、見えて強いサイドカードです。」

――ちなみにみんなパッとデッキリストを見て、《蔓延するもの/Permeating Mass(EMN)》ってわかるんですか?
市川「構築の1回戦目、原根君と隣だったんですけど、まったく同じタイミングで相手から『これ何ですか?』って聞かれました(笑)。」

――やっぱりそうですよね。それでは、構築ラウンドの対戦振り返りをお願いします。
市川「6回戦の赤単アグロに誘発忘れで負けて、かなりツキを逃しました。
3本目の話なんですけど、相手はそれまで絶対第1メインではカードをプレイしないで、《呪文捕らえ/Spell Queller(EMN)》をケアして戦闘が終わってから《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster(M15)》を出したりしてたんですよ。
で、相手は《ゴブリンの熟練扇動者》2体、こっちは《ネベルガストの伝令/Nebelgast Herald(EMN)》がいて《呪文捕らえ》が手札にあって、『どうせ何もプレイしてこないだろうから、戦闘開始前に《呪文捕らえ》をプレイして《ゴブリンの熟練扇動者》を1体タップして、突っ込んできたもう片方の《ゴブリンの熟練扇動者》を空の《呪文捕らえ》でブロックするトレードになるだろうなー』と思ってたんです。」

呪文捕らえネベルガストの伝令

ゴブリンの熟練扇動者

市川「そしたら、そのタイミングだけ突然、相手が第1メインに《損魂魔道士/Soul-Scar Mage(AKH)》をプレイしてきたんです。全然先にプレイする必要ないんですけど。
『じゃあ取るか』と思って《呪文捕らえ》出して、戦闘に入って《ゴブリンの熟練扇動者》のトークンが出た後に『あ、《ネベルガストの伝令》でタップするの忘れてたな』と気づいた。それで《ゴブリンの熟練扇動者》に6点殴られたのが響きすぎて負けました。
たぶん、相手も誘発忘れ狙いだったんじゃないかと思うんですよ(笑)。だってそこまで一貫して第2メインだったのに、急に第1メインでプレイする必要がない。」

――それはとんでもないテクニックですね(笑)。
市川「次のターン、返しの《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn(SOI)》でほぼ勝ち確だったんですけど、ここでツキを逃したのがトーナメントのすべてだなと。まあ、誘発が多いデッキなんで、ちょっとリアルで回しといたほうがよかったかなと思いました。」

――確かにオンライン調整がメインだと、リアルでの誘発に慣れておく必要はあるかもしれませんね。
市川「特にこのデッキはそうですね。ただ、そもそもデッキが決まったのがギリギリだったんで……。」

――対戦を振り返って、デッキ選択やカードの取捨選択に思うところはありますか?
市川「ここをこうしとけば……みたいのはあんまりないですね。4つデッキを走らせて、自分が選んだやつだけトップ8に残らなかったらイヤだなあとぼんやり思ってたので、原根君がトップ8に入ったのはやっぱりよかったかなと。優勝はちょっと余計でしたけど(笑)。」

 

 

 

●山本賢太郎の場合

06

ドラフトラウンド(1日目2-1)

――ドラフトのほうは、やりたい戦略などはありましたか?
山本「この環境は黒がめちゃめちゃ混む印象だったんで、なるべくやらず、緑も避けて残りの3色のどれかに寄せられたらという戦略でした。」

day1_yamamoto

山本「初手が、黒の2マナ2/1接死で出た時2枚墓地落として2点ゲインする《ぬかるみのトリトン/Mire Triton(THB)》か、青の2マナ1/3飛行で信心分だけパワーマイナスする《挽歌の歌い手/Threnody Singer(THB)》の二択で、たぶんカードパワー的には黒のほうが強いんですけど、戦略通り青のほうにしました。
2手目で赤の3マナ4/2で相手のターン中に呪文唱えると1点飛ばす《夢忍びのマンティコア/Dreamstalker Manticore(THB)》が来たんで、青赤を意識して1パック目は緑と黒をダダ流ししてたら、2パック目以降青がめちゃめちゃ回ってきて、結果的に卓で1人だったんです。」

ぬかるみのトリトン挽歌の歌い手

――青は人気が高いのにすごいですね。
山本「なので、ほぼ青単タッチ赤みたいな、けっこう強いデッキになりました。カウンターがたくさん入ってて気持ちよかったですね。ただ除去がなかったんで、2戦目に白の4マナ3/4飛行のペガサス(《太陽の恵みの執政官/Archon of Sun’s Grace(THB)》)だけに負けちゃったんです。2枚あった全体4点火力(《嵐の怒り/Storm’s Wrath(THB)》)もその時は引けなくて……。」

07

構築ラウンド

※デッキリストは市川さんと同じです

――どうしてバントスピリットを使うことにしたんですか?
山本「ディミーアか青単、どっちかのツインを使おうと思って、木曜にヤソ邸に行ったらみんな心が折れてたんで(笑)、これはダメなのかなと。それで試しにバントスピリットでディミーアと1回やってみたら意外と相性いいかなってなったんで、消去法でこれになりました。」

――みんなの気配で判断したんですね。
山本「ちょっとやべぇなと(笑)。バントスピリットはそもそも、少し前に回したとき感触がすごい良かったんです。赤単がきついからいったんはさじを投げたんですけど、てるや(覚前さん)が赤単あきらめるなら、環境にもそんなにいないよねってことで。」

――でも、覚前さんが優勝デッキリストをアップしたことにより「じゃあこれを使おう」と思った人もいたのでは?
八十岡「実際、その直後はMOで“てるや式赤単”がけっこう増えたんですよ。」
市川「でも2日くらいで一瞬でいなくなったね。」

――移り変わりが早い。ただ、市川さんと山本さんはそれぞれ赤単に当たって負けていますね。
八十岡「まあ、1回は当たっちゃうね。(同じバントスピリットを使った)宇都宮君もいいところで当たって負けてたし。でも原根君は1回も当たらなかった。」

――そこをかいくぐれるかどうかが、運命を分けましたか。では、対戦を振り返っていかがでしたか?
山本「負けた4回戦のツインと7回戦のヘリオッドは、どっちも惜しいゲームだったなと。『あと1体《集合した中隊/Collected Company(DTK)》でめくれれば』とか、『これが《呪文捕らえ/Spell Queller(EMN)》だったら』みたいな、1枚差のいいゲームって感じでした。」

――デッキ選択自体は良かったですか?
山本「そうですね。自分の力量的にバントスピリットはたぶんベストな選択だったなと思ってます。ツインはデッキは強いけど、サイド含めてプレイヤーの力量がすごい問われる。バントスピリットは基本、引いたもの出してくだけなので(笑)。」
市川「クリーチャーしか入ってないからね。」
山本「リストも満足です。4と2と1しかないので。」
八十岡「普通ちゃう?(笑)」
山本「いや、3がないのはいい。」
市川「わかる! 3は気持ち悪いんだよね!」

 

 

 

●八十岡翔太の場合

08

ドラフトラウンド

――やりたい色などはありましたか?
八十岡「僕はコモンアンコモンで組みやすい青赤か、赤白をけっこうやりたい寄りでしたね。青黒もいいけど、除去やレア引かないときついから、やろうと思ってやれる組み合わせじゃないんで。」

・1日目のドラフトについて(2-1)
day1_yasooka
――1日目のドラフトは「ちょっとカードが足りなかった」とのことでしたが。
八十岡「赤白と赤青の両天秤でやってて、1パック目で白の流れが悪いから青のほうがいいかなと思ってたところに、2-1で白がすごく濃いパック引いたんです。赤いカード取って、白いカードを4枚くらい放流して、どれか戻ってきたら赤白でいいかなと思いながら、白いカードを微妙につまんでたら1枚も1周してこなくて、赤白終わったなと。2つ上に浅原(晃)さんがいて、絶対青やってるんで、ドロー系が何1つ流れてこなくて……だから赤白行きたかったのもちょっとあった。
それで3パック目は赤青でやったけど、カードがちょっと足りなくて、2マナが2枚しかない。なんで、きれいに回られた赤白に1戦落としてますね。」

・2日目のドラフトについて(2-1)
day2_yasooka
――2日目のドラフトは記事にもなっている通り、3-3の《キオーラ、海神を打ち倒す/Kiora Bests the Sea God(THB)》で完成した青黒コンですね。
八十岡「カウンターと壁とドローだけ取って、あとは“神待ち”。神が来なかったら狼エンチャント(《狼のまとい身/Mantle of the Wolf(THB)》)タッチして頑張るつもりで多色用のカードもちょこちょこ取ってたけど、結局青黒でほぼ完成したんで使いませんでした。」

構築ラウンド


八十岡翔太『ディミーアツイン』
プレイヤーズツアー・名古屋2020



4 《島》
2 《沼》
3 《湿った墓》
3 《異臭の池》
4 《水没した地下墓地》
2 《欺瞞の神殿》
1 《ヴァントレス城》
1 《ロークスワイン城》
2 《廃墟の地》
3 《寓話の小道》


土地(25)


2 《タッサの神託者》
4 《真実を覆すもの》
1 《スカラベの神》


クリーチャー(7)


4 《致命的な一押し》
4 《思考囲い》
4 《選択》
3 《検閲》
1 《湖での水難》
1 《思考消去》
1 《英雄の破滅》
1 《神秘の論争》
1 《悪意ある妨害》
1 《衰滅》
3 《時を越えた探索》
3 《神秘を操る者、ジェイス》
1 《悪夢の詩神、アショク》


呪文(28)


2 《ヴリンの神童、ジェイス》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《強迫》
2 《破滅の刃》
2 《否認》
2 《肉儀場の叫び》
2 《神秘の論争》
1 《夢を引き裂く者、アショク》
1 《最後の望み、リリアナ》


サイドボード(15)


 

――八十岡さんは、ディミーアツインが最強と予測し、ミラーマッチに勝てるように調整したらこのデッキになった感じでしょうか?
八十岡「やってた感じ、黒単以外には不利がつかない。勝ってくるのはディミーアツインになるだろうと思ってたんで、上に行ったら同型と当たるだろうから、それと苦手な黒単を意識して調整で寄せていった感じです。」

――でもほかの人たちは、難しいからこのデッキを選ばなかった?
市川「まあ、デッキリスト見ればわかる通り、ヤソコンなので(笑)。」
八十岡「別に俺のコピーじゃなくて、カニスター型(※編注:ディミーアツインの基本形はカニスターことPiotr Głogowskiが配信で広めた)でも十分よかったでしょ。」
市川「ヤソのリストは1/3(《タッサの神託者/Thassa’s Oracle(THB)》)が2枚で、アグロへのガードがちょっと下がってるんですよね。カニスターのは3枚。直前のプレリミナリのリスト見てると、基本は4枚入りなんです。アグロに対しては1/3で受けて、6/6(《真実を覆すもの》)出すっていうイージーな勝ちパターンを目指してるんで。
なんで、オーソドックスな構築だったらイージーに回せるかなとは思ったんですけど、メタゲーム上でアグロが少ないと予想してるにもかかわらずアグロに強い形を持ち込むのはナンセンスだし、上に行けばディミーアミラーを見据えたディミーアツインがいるだろうことを考えると、やるならヤソみたいなリストのほうがいい。とはいえアグロにガードを下げた場合、除去の撃ち先とか、カウンターの打ちどころとかがゲームに与える影響が大きくて、プレイングがイージーじゃなくなる。」

――なるほど、カニスター型なら回しやすい代わり、上に行くと厳しくなるんですね。
市川「実際、上のほうはディミーアツインが多かったけど、最終的にミラーマッチでヤソやあんちゃん(高橋優太さん)に討ち取られるみたいなパターンが多かったので、予想としては間違ってなかったと思います。」
八十岡「どこを目標にするかだね。カニスター型でも、赤単、黒単、ハサミとかにはほぼ落とさないから、(次のプレイヤーズツアーの権利が取れる)5敗ラインくらいは固かった気はする。ドラフト4-2、構築6-3くらいでいいなら。」

――目標が5敗なのか、それとも優勝なのかで変わってくると。
八十岡「それに、ちょっとプレイヤーを過信しすぎたかもしれない。プロツアーだったら、ディミーアツインに勝てるディミーアが必要だったと思うけど、プレイヤーズツアーではそうでもなかった。青黒が流行ったのは本当に直前だったんで、せいぜい2日でまずディミーアツインに慣れて、さらにそれに対して強くする追加の一段階が必要だから、そこまでやる人はほとんどいなかった。逆にグランプリだったら、そもそもディミーアツインを使う人が少ないけど。」

――八十岡さんがレイヤーをちょっと上に行きすぎた、ってことですかね。デッキ構築については……1枚差しが多くてよくわからないんですが……。
八十岡「コントロールってメインは遊びで、サイド後にどれだけ勝率上げられるかが大事なんで。サイド枠が足りないから、よくサイド後に1枚入るようなカードを無理やりメインに入れた結果こうなりました。」

――対戦結果を見ると、苦手な黒単に3勝1敗で勝ってますが、どうしてですか?
八十岡「4回も当たったのはツイてなかったからで、勝ったのはツイてたから(笑)
4回戦は順当に負けて、5回戦は1本目が《衰滅/Languish(ORI)》から《悪夢の詩神、アショク/Ashiok, Nightmare Muse(THB)》、2本目は除去連打で勝ち。
7回戦はかなりツイてて、3本目のシビアなゲームで《真実を覆すもの/Inverter of Truth(OGW)》出さざるを得なくて、5枚のデッキの中身が《選択/Opt(ELD)》と《タッサの神託者/Thassa’s Oracle(THB)》と要らない3枚。手札は《検閲/Censor(AKH)》だけで、返しに死ぬ状態。《検閲》のサイクリングと通常ドローで《選択》と《タッサの神託者》の2枚を引かなきゃ負けってところで、2枚とも引いて勝ち
13回戦は、3本目にコンボそろってる初手キープしたらドローが全部土地で、ブチ切れる(見切り発車でコンボを決めに行く)しかなくて4ターン目に《真実を覆すもの》出したけど、ライブラリーが2枚しかないから、2ターン何もせず待たれたら負ける。どうせ土地しかないし《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries(WAR)》出したら、相手が《残忍な騎士/Murderous Rider(ELD)》持ってて、スタックで《神秘を操る者、ジェイス》除去られたら終わってたけど、《真実を覆すもの》を除去して殴ってくれたんで《神秘を操る者、ジェイス》でライブラリーなくして勝ち。」

――さまざまなツキに恵まれたと。
八十岡「まあ大会勝つときって、だいたいそんなもんです。」

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●プレイヤーズツアーの今後はどうなる?

――今回のプレイヤーズツアーは、今までのプロツアーとどこが一番違いましたか? 覚前さんは、「ドラフトをやってない人が多かった」とコメントしていました。直前予選で抜けた人なんかは、確かにやってないでしょうね。
市川「あのフィールドだったら俺でもドラフト勝てるなと思いました(笑)。」
八十岡「まあプレイヤーのレベルはプロツアーとは違いますね。あと、会場がガヤガヤしててうるさい。プロツアーはシーンとしててジャッジのコールと紙の音しか聞こえない感じですけど、今回はサイドイベントとかいろんなアナウンスが混ざっててうるさかったし、どれが自分に関係あるアナウンスだかわからない。緊張感に欠ける、集中しづらい環境ではありました。人数の少ない昔のグランプリみたいな感じ。」
市川「あとやっぱり、グランプリとプレイヤーズツアーを併催する理由がわからない。金土日の3日制じゃない日本では、プレイヤーズツアーで初日落ちしたらグランプリに出られないのは、何とかならないのかなと。初日落ちした65%の人がヒマになっちゃう。」
八十岡「会場の問題なのかなー。もっといい方法あるんじゃないかとは思う。」
市川「グランプリがサイドイベントみたいな扱いなのも、コストをかけて開催してるものなのに、存在感がないからコンテンツの消費の仕方として単純にもったいない。」

――要望としては、2つを分けて開催して、どっちも楽しめるようにしてもらいたいということですかね。
八十岡「日本はもともとグランプリの数が少ないのに、プレイヤーズツアー初日落ちしてもグランプリに出られないから、次も同じシステムだとして出られるグランプリが2回少ない。その分、権利取れる確率が下がってる(※編注:グランプリに優勝することでプレイヤーズツアーファイナルの出場権が得られる)。」
市川「この形式だと、プレイヤーズツアーを目指したいと思う人が減っちゃうんじゃないかな。初日落ちしたら、友達はグランプリでワイワイやってるのに自分は何もすることなくて、プレイヤーズツアー出る意味あるのかなって普通の人は思っちゃいそう。
あと、配信にしても、プロツアーの配信を見るのってグランプリに出るようなプレイヤーで、強豪のプレイを見てプロツアーに憧れて、PTQに行ったりする。でも今回はそういう層はグランプリに出てるから配信見てなくて、視聴者層とも合致してない気がする。それも含めて、併催する意味が感じられなかったかな。」

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――パイオニアというフォーマット自体はどうでしたか?
市川「楽しかったですよ。やっぱり新しいフォーマットだから研究しがいがあったし、いろんなデッキが出てきて、チームで調整するバリューがあった。」
八十岡「僕は、青黒が強いから楽しいね(笑)。純正青黒が強い環境なんて、何年ぶりかわかんないよ。今までずっといじめられてきたから。」

――確かに、青黒でコンボが強いってなかなかないですよね。
八十岡「サイカトグ(《サイカトグ/Psychatog(ODY)》と《激動/Upheaval(ODY)》のコンボデッキ)以来ですよ。」
市川「青黒ってカラーリングがあんまり強いと問題が起きそうだからなー。」

――山本さんはどうですか?
山本「コンボもビートもコントロールもある、バランスのいい環境だと思います。スタンダードとモダンより面白いなと。」
市川「ただ、今後パイオニアの大会がどれくらい行なわれるかが気になるよね。」
八十岡「あんまりグランプリとかでやるって発表されてないよね。今回の反応を見てるのかも?」
市川「ありうる。モダンはちょっとやりたくないから、パイオニアのほうがいいな。」

――今回はチームでの調整が大成功でしたね。自分が調整してたものじゃないデッキに、直前で乗り換えてノウハウを得る、ということができるのはチームならではですよね。
市川「逆に言えば自分の気に入ったデッキにオールインしやすいということでもあるし。」

――今後もこの形で調整が行なわれるんでしょうか?
市川「もしプレイヤーズツアーに出れないとしても、グランプリも同じフォーマットだし、次もやるんじゃないかな。」
八十岡「グランプリだとドラフトはないけど、合宿はやる?」
市川「ゆーて、直前予選くらい抜けるでしょ!(笑) 抜ける前提でドラフトやっとくよ。」

――皆さんは今後の予定は何がありますか?
市川「僕はすぐPTQ(プレイヤーズツアー予選)があります。来週は宮崎にも遠征するし。時間がなさすぎて、スタンダードはふんわりとしかやれてないんですけど。」

――5月に行なわれる次のプレイヤーズツアーの権利獲得を目指すんですね。覚前さんもPTQを回って「3回で抜ける予定」だと言っていました。
市川「最近は人数も少なめだし、てるやならさすがに3回で抜けられそう。」
山本「僕はリアルはちょっと……オンラインのほうでPTQ出ようかなと思ってます。」
市川「オンラインだと、まずPPTQ(予選の予選)抜けなきゃいけないから大変だよ?」
山本「まあ、それも含めて頑張って行こうかなと。」

――八十岡さんはプレイヤーズツアーファイナルが4月にありますよね。
八十岡「確かその直前に、アリーナのほうのミシックチャンピオンシップがありますね。あと、14~16日の3日間、朝4時から世界選手権の解説やります。」

――あとは、武蔵の皆さんで原根さんの祝勝会が開かれるんですよね?
市川「あります。ステーキ派と赤坂の料亭派で分かれたんですけど、料亭になりました!(笑)」
八十岡「肉はまあ、次のトップ8くらいでも行けるからね。」
市川「料亭はさすがに優勝じゃないと無理だから。」
山本「(料亭のWEBサイトを見ながら)一番上のコースがいいな。カニがいいね。」

↑実際の祝勝会で出た豪華メニュー


↑その後市川さんは宮崎でPTQを突破


↑さらにその後覚前さんもPTQ突破

大会システムが刷新され、Team Cygamesの皆さんが今後どうなっていくのか正直わからない状態で2020年がスタートしましたが、今回のプレイヤーズツアーではチームとして今までに培ってきた調整のノウハウを生かし、個人の力だけでなくチームの強さをいかんなく発揮してくれました。引き続き、皆さんの活躍を楽しみに見守っていきたいと思います。

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