日本選手権2022 –Tabletop Returns- レポート
久しぶりのTeam Cygamesイベントレポートをお届けします。5月28-29日に大阪で開催された、日本選手権2022 –Tabletop Returns-の大会結果となります。ついに、会場で直接チームメンバーの皆さんに会うことができ、懐かしさいっぱいでした。
会場はマイドームおおさか。ペアリングの紙が貼ってあったりと懐かしい光景でしたが、各テーブルにはアクリル板が設置してあります。
今回出場していたのは、市川さん、八十岡さん、覚前さんの3人です。1日目の終了後、焼肉を囲んでインタビューを行ないました。
(「年と共に好きな肉が変わってきたよね~」みたいな話が出ていました)
――3人とも、久しぶりの再会ですよね。
市川「ヤソ(八十岡さん)ですらめったに会わないからな。去年の秋ごろ1回と、年末に1回会っただけ?」
八十岡「瀬畑(市川さん)はあんまり、家から出ないからね。」
市川「てるや(覚前さん)は、2年以上ぶり?」
八十岡「名古屋(2020年2月頭のプレイヤーズツアー・名古屋2020)が最後でしょ。」
覚前「うん。」
――覚前さん、時間止まったみたいに変わってないですね。
覚前「そんなことないですよ、やっぱり年取りましたよ。体動かないですもん。チームに入った時っていくつでしたっけ?」
市川「いつ入ったんだっけ? えーと、7年前?」
覚前「27歳だったってことか。」
市川「7年!? やばっ! 早いな。もう、気づいたらジジババっすよ(笑)。」
――大阪に来て、久しぶりに顔を見られてうれしかった人はいましたか?
八十岡「てるやでしょ!」
市川「それはそう。」
八十岡「逆に、ほかに誰いたっけ?(笑)」
市川「たまちゃん(玉田遼一さん)いたよ。」
八十岡「別に、顔を見てうれしいことはないかな(笑)。久しぶりにふっじー(藤本知也さん)に会ったな。」
市川「誰?」
覚前「長岡(崇之)さんと仲良かった人。」
市川「あー、すごい昔(2011年)に日本選手権で準優勝してた人か。」
八十岡「6年ぶりとかに会った。今はマジックやってなくて、近所だから来たみたい。」
市川「やまけん(山本さん)は、いつリアル世界に出てくるんだろう……?」
●日本選手権の振り返り
市川ユウキ 初日戦績
勝/負/負/負/DROP
5《山》 3《島》 4《河川滑りの小道》 4《嵐削りの海岸》 1《ストーム・ジャイアントの聖堂》 1《天上都市、大田原》 1《反逆のるつぼ、霜剣山》 土地(19) 4《黄金架のドラゴン》 クリーチャー(7) |
4《鏡割りの寓話》 4《大勝ち》 4《表現の反復》 4《棘平原の危険》 4《ジュワー島の撹乱》 3《感電の反復》 3《電圧のうねり》 2《消えゆく希望》 2《自身の誇示》 2《予想外の授かり物》 1《渦巻く霧の行進》 1《セジーリの防護》 呪文(34) |
2《船砕きの怪物》 2《多元宇宙の警告》 3《軽蔑的な一撃》 3《ドラゴンの火》 1《消えゆく希望》 1《否認》 1《呪文貫き》 1《才能の試験》 1《家の焼き払い》 サイドボード(15) |
覚前輝也 初日戦績
勝/勝/負/勝/負/負/DROP
※覚前さんの5ラウンド目はカバレージに取り上げられています。
4《ザンダーの居室》 4《荒廃踏みの小道》 4《清水の小道》 4《河川滑りの小道》 3《嵐削りの海岸》 2《憑依された峰》 2《目玉の暴君の住処》 1《難破船の湿地》 1《沼》 1《山》 土地(26) 4《税血の収穫者》 クリーチャー(12) |
4《鏡割りの寓話》 3《勢団の銀行破り》 4《電圧のうねり》 2《冥府の掌握》 2《食肉鉤虐殺事件》 1《魂転移》 1《プリズマリの命令》 1《呪文貫き》 1《魂の粉砕》 1《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》 1《強迫》 1《絞殺》 呪文(22) |
3《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》 1《軽蔑的な一撃》 1《罠を探す》 1《否認》 1《強迫》 1《軽蔑的な一撃》 1《削剥》 1《真っ白》 1《魂転移》 1《食肉鉤虐殺事件》 1《プリズマリの命令》 1《欲深き者、エヴリン》 1《マインド・フレイヤー》 サイドボード(15) |
八十岡翔太 初日戦績
勝/勝/負/勝/負/勝/ID
※2日目は4勝2敗で、最終順位は10位となりました。11ラウンド目の試合がカバレージになっています。
1《森》 4《ジアトラの試練場》 4《岩山被りの小道》 4《荒廃踏みの小道》 3《闇孔の小道》 3《憑依された峰》 3《バグベアの居住地》 2《死天狗茸の林間地》 1《耐え抜くもの、母聖樹》 土地(25)
|
4《闇市場の巨頭》 2《祝祭の出迎え》 2《しつこい負け犬》 2《ジェトミアの情婦、ジニー・フェイ》 2《作業場の戦長》 1《嘘の神、ヴァルキー》 1《焼却するもの、ジアトラ》 クリーチャー(14) 4《鏡割りの寓話》 呪文(21) |
3《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》 2《作業場の戦長》 2《強迫》 2《真っ白》 2《豪火を放て》 2《勢団の銀行破り》 2《未認可霊柩車》 サイドボード(15) |
――最初に、覚前さんが抜けた日本選手権予選の話を聞きたいです。
覚前「最低8人集まらないと、予選が開かれないんですよ。17時の開始の段階で、集まったのが3人。」
市川「5人足りないじゃん(笑)。」
覚前「店主が1人呼んで、4人確保できたんです。お店が(大阪の)あびこだったんですけど、日本橋の晴れる屋で日本選手権予選やってたから、それに負け次第来れるように時間を遅らせて、人を引っ張ってくることに(笑)。みんなが来るまで待ってたら、開始時刻20時になりました。」
市川「20時スタートはすごいね。」
覚前「晴れる屋で決勝戦が始まったのが19時半で、決勝に残ってたなかちか(中島主税)さんが負けたら来るって言ってて、その時点で7人待ってた。」
市川「え、じゃあなかちかさんが勝ってたら、1人足りなくて開催されなかったってこと?」
覚前「なかちかさんは勝ったんだけど、対戦相手の人に『今からこっちに行ってくれないか』って頼んでた(笑)。」
市川「面白い(笑)。」
覚前「それで、その人が急いで来てくれて、1回戦目で僕と当たって、僕が勝って即帰ったっていう(笑)。」
市川「やば(笑)。」
八十岡「奇跡の予選だね。」
覚前「決勝はジャンド同型対決だったんですけど、相手の人が土地の置く順番をミスったので勝ちました。知り合いやったんで、あとで一緒に飲みに行った時、土地の置き方間違えた~ってめちゃくちゃへこんでましたね。まあ、そういういろいろが噛み合って今回出場できたって感じです。」
八十岡「予選って結局何回出たの?」
覚前「5回かな? 決勝で負けたのが3回あって、そのうち1回はりゅうじ(村栄龍司さん)に負けた。」
八十岡「ひそかにがんばってたんだね。」
覚前さんのフィーチャーマッチ
――皆さんが今回の日本選手権2022で使ったデッキの、選択理由を教えてください。
市川「ドラゴンコンボは単純に好きなデッキなんですけど、CS(ニューカペナ・チャンピオンシップ)の時はチーム内でいい形にならなくて、挫折したんです。CSでめっちゃ勝ってて、いいなと思って選びました。CSに出た研究体コンボを持ってきてもよかったんですけど、こっちのほうが上位互換なんで。」
八十岡「時間なかったんで、CSと同じジャンドです。そもそもデッキ提出が水曜って情報知らなくて、CSのあとの月曜に知って、水曜は予定あったから実質火曜の夜には提出しなきゃいけなかったんで。CSでちょっと弱かったところだけいじりました。《焼却するもの、ジアトラ》が《作業場の戦長》になったり、《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》がちょっと減って《強迫》が増えたりとか。サイドの《古き神々への拘束》は弱すぎて1回も使わなかったから抜いたり、そういう微調整です。」
覚前「予選ではジャンドを使ってたんですけど、弱いなと気づいて。エスパー強いから使いたいけど、100点のプレイができないなら、使う価値がないなと。短時間でプレイを100点に究めるのは無理だと思ったから、エスパーに強いデッキを探して、結果的にグリクシスになりました。」
――メタゲームはどんなふうになると予想していましたか?
市川「エスパーミッドレンジ、ドラゴンコンボ、グリクシスみたいなイメージだったんですけど、エスパーは予想通り多くて、ドラゴンコンボは人気になりそうだと思ってたらそんなにいなかったですね。あとティムールコントロールも多かった。」
覚前「僕はエスパーがトップメタだと思ってて、その次にグリクシスとドラゴンコンボがけっこういるかなと思ったんですよ。なので、エスパーに有利だからグリクシスを選んで、なおかつグリクシスのミラーにも有利な構成で持ってきたつもりなんです。ドラゴンには不利なんですけど、エスパーとグリクシスの2つをメタって来ました。」
八十岡「メタゲームのことは一切気にしてなかったですね。割合が多いって言っても10%とか15%なら、だいたいどんなデッキもまんべんなく当たると思ってたんで、あんま気にしても仕方ない。実際、ティムール、グリクシス、エスパーミッドレンジ、エスパーコントロール、いろんなデッキと当たって、多様な環境かなと。一時期はエスパーミッドレンジばっかの時もありましたけど、そこから減って、特に偏りを感じなかったですね。」
――今日、特に印象的だった場面はありますか?
八十岡「廣澤(遊太)君とのフィーチャーの試合かな? 1本目、大事なとこで2回トップデッキして勝った。6マナのときに6マナドラゴン(《焼却するもの、ジアトラ》)トップデッキして、ちょっと不利から持ち直して、そこからまたしばらくゲームが続いて、かなり不利な場面で《嘘の神、ヴァルキー》トップデッキして逆転、みたいな。」
市川「ちょうど7マナぴったりだったし、ミシュラ(廣澤さんの黒いクリーチャー化土地)と《しつこい負け犬》でちょうど落ちないんだよね。マジでパーフェクトだった。」
八十岡「奇跡のトップデッキ。《欲深き者、エヴリン》出されてちょうど土地が飛んでからの《ジアトラ》だったから、『せこいやろ!』って言われた。」
《焼却するもの、ジアトラ》が駆けつけてきたシーン
市川「3敗目した時(4ラウンド目)は、カウンターのないジャンドでけっこう有利なマッチアップだったんですけど、《感電の反復》+《予想外の授かり物》を2回撃ったのにマジで何も引かずに1ゲーム目落として、今日はわかりやすく負ける日だなと思いました。」
八十岡「それはさすがに勝ち確ムーブだからね。」
市川「2ターンフリーで8枚ドローして勝てんかー! ってなりました。」
覚前「僕は6ラウンド目ですね。勝てばトップ64という試合で、ナヤルーン相手に1本目は取ったんですよ。2本目、9割勝ちで次のターンには相手が畳みそうなタイミングに、《スカルドの決戦》がトップからめくれて、そこから《スカルドの決戦》ループに入ってまくられたんです。《スカルドの決戦》以外は勝ちだったのに。
3本目もまったく同じ局面になって、次のターン勝ちって時にまったく同じ感じで《スカルドの決戦》をトップデッキされるっていう、確率1%以下みたいな負けを引きました(笑)。」
市川「《スカルドの決戦》はすべてを解決する(笑)。」
――久しぶりに紙の大会をやった感想は?
市川「いやもう、マジでめんどくさいっす(笑)。今回めんどくさいデッキを使ったってのはあるんですけど。」
八十岡「今の環境がよくないね。ゲームは長いし、いろんなトークンがいっぱい出るし、両面カードもあるし、複雑だから時間がかかる。」
市川「適正なプレイスピードでやってても、時間やばいよね。原根君とのフィーチャーマッチで、7ターンくらいでサクサク終わったんだけど残り時間聞いたら35分って言われて、『これで10分もかかったの!? 』ってびっくりした。」
八十岡「俺もエスパーと当たったとき、2-0で勝ったけど40分かかったから、3本目まで行ってたら終わらなかった。キキジキ(《鏡割りの寓話》)がよくないね。1章でトークン出す、2章で2枚どれ捨てるか悩む、3章でひっくり返す、死ぬともとに戻す……だから。」
市川「毎ターンやることが多すぎる。あと、目の前のアクリル板もわずらわしいし。相手の言ってること全然聞こえなかった。」
八十岡「あれはできればやめてほしいね。」
――アリーナから始めたような、紙に慣れてない相手っていたんですか?
市川「いや、あんまいなかったかな。予選が紙オンリーだから、特別招待じゃない限りは紙やってきてますからね。」
●チャンピオンシップと世界選手権
――ちょっと話は変わりますが、市川さんと八十岡さんに、先週のCSの感想を一言いただきたいです。
市川「おもしろかった。開催時期が発売から3週間後くらいで、今までのCSと比べて比較的早かったし、間に大会も全然なかったじゃないですか。だから、エスパーが多いことは想定できたけどデッキの形も固まってないし、ほかのデッキたちも予測がつかなくて、ふたを開けてみたらすごくいろんなデッキがいて、チームデッキが勝ったりとか、昔のプロツアーっぽくてよかったですね。」
八十岡「ただ今回はオンラインの悪い面がけっこう出てて、1回戦目にトラブルでByeが複数出たり、回線落ちで揉めたりしたんですよね。」
市川「ルール上、回線依存のクラッシュにはウィザーズが責任を持たないんですが、フランス勢が一斉に回線落ちしたことがあって、それはクライアントのせいなのか、フランスの回線のせいなのかって話で。」
八十岡「やってる側は原因がわからないから。」
市川「めちゃくちゃ揉めて、1時間くらいかかったよね。」
八十岡「自分は被害を被らなかったけど、そういうオンラインのデメリットは感じましたね。あとはワールド(世界選手権)招待の仕組みとかもちょっと……。」
――何か、PV(パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ)さんが苦言を呈してましたね。
市川「基本的にはポイントレースでワールド招待されるんですけど、チャレンジャー(リーグメンバー以外)は上から8人出れて、リーグメンバーは上から5人しか出れない、みたいなシステムなんです。だから、リーグメンバーのほうが圧倒的に勝ってるにもかかわらず、ワールドに出れないんですよ。」
八十岡「CS3回分のポイント合計を数えるから、チャレンジャーはそもそも3回全部出るのが難しくて、チェイン(CSで10勝5敗以上すると次のCSにも出られる)して3回出れた人はほぼワールド確定、みたいな感じ。リーグメンバーはみんな3回ともCS出れるから、その中で勝ち数を競わなきゃいけない。」
覚前「だから、PVほどの実力があってもワールド出れないんだ。」
市川「そうそう。」
八十岡「でも、そういうシステムだってことは最初からわかってたわけだし、PVがワールド出れなくなったあとで、自分が惜しいラインだったから文句言うってのは、ちょっとカッコ悪いかなとは思うけどね。」
覚前「せばちゃんって、ワールド出たことあるの?」
市川「1回ある。プロツアー連続トップ8になった2014年。」
覚前「すごい。やまけんは?」
市川「やまけんは2回くらい。1回はその年一緒に出てる。」
覚前「ワールドってやっぱり敷居高かった?」
市川「あんときは参加者24人くらいで、PV、(スタニスラフ・)シフカ、(ウィリアム・)ジェンセン、オーウェン(・ターテンワルド)、ナベ(渡辺雄也)……みたいな、すげーやつらしかまわりにいなかったからね。あんだけ強いやつしかいないと、逆に面白い(笑)。」
覚前「笑ってまうよね(笑)。」
市川「今回のワールドはそれに比べると、チャレンジャーが多いから『誰?』って感じは否めないかな。」
八十岡「まあ日本人が多いから、日本人の視聴者はいいかもしれないけど、世界的な注目度はあんまりだと思う。PVもLSV(ルイス・スコット=ヴァーガス)もマルシオ(・カルバリョ)も出てないのか、みたいな。」
――そんな世界選手権ですが、意気込みをどうぞ。
市川「トップ4! トップ4だと来シーズンのプロツアー全部出れるんで。」
八十岡「俺は優勝で。」
このほか、今度みんなで山に登ろうという話も出ていました。登山やバーベキューといった企画も、「チーム所属選手の健康を維持するため」という名目で行なえば、記事にできるかも……?
市川「健康はマジで大事。ようやくアリーナの大会に慣れてきたと思ったらリアルマジックが戻ってきて、もう膝ガクガクだもん(笑)。今日めちゃくちゃ疲れたー!」
●おまけ(大阪城)
今回の会場マイドームおおさかの近くには大阪城があり、大会の合間を縫って近くまで歩いて写真を撮ってきました。
大阪城の周りの立派な外堀の石垣も圧巻の景色でした。
また大会の会場近くに観光名所があれば、写真などでご紹介できたらと思います!