【PTAKH】プロツアー『アモンケット』構築まとめ【Day3】
決勝の終了後に、〈MUSASHI〉の渡辺さん・覚前さん・市川さん・行弘さんの4名で早めの晩ご飯を食べながら、このプロツアーを振り返りました。
――プロツアー2位と3位入賞、お疲れさまでした。
渡辺「今回はチームで調整したのもよかったし、それぞれが使いたいデッキを使ったのもよかったね。」
――賞金は2位が2万ドル、3位でも15,000ドルとかなりの高額ですが、何に使う予定ですか?
行弘「洗濯機買います!」
市川「ドラム式が板。」
行弘「あと、パソコンも買い換えます。」
渡辺「僕は、家具を買います。昔からずっと使い続けてる椅子とかを、これを機に少しグレードアップしようかなと。」
――あと、あのヘッドホンからは何が聞こえているのか、ずっと気になっていたんですが……。
渡辺「相手の声だけ聞こえて、観客席や解説の音声は聞こえないようになってるという体なんですけど、実はそこそこ聞こえますよ(笑)。準決勝でマーティン・ミュラーが《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》めくったとき、すごい盛り上がったのがわかりましたし。あと、ほかの卓の声か何かが混ざって聞こえることもあります。まあ、ゲームが始まれば集中するので特に気にならなくなりますけど、重たいしできればつけたくはないですね。」
ヘッドホンはブレインズウォーカーのマーク入り
●デッキについて
5《森》 1《島》 1《山》 4《植物の聖域》 2《伐採地の滝》 4《尖塔断の運河》 4《霊気拠点》 1《見捨てられた神々の神殿》 土地(22)
クリーチャー(10) |
4《霊気との調和》 4《蓄霊稲妻》 4《織木師の組細工》 3《検閲》 3《造反者の解放》 1《否認》 1《コジレックの帰還》 4《天才の片鱗》 4《霊気池の驚異》 呪文(28) |
2《守られた霊気泥棒》 4《不屈の追跡者》 3《逆毛ハイドラ》 1《払拭》 3《否認》 2《光輝の炎》 サイドボード(15) |
※市川さんのデッキは、サイドボードの《否認/Negate(AER)》が1枚、《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》になっています。
4《山》 2《平地》 1《沼》 4《秘密の中庭》 4《感動的な眺望所》 4《乱脈な気孔》 3《鋭い突端》 2《泥濘の峡谷》 1《霊気拠点》 1《産業の塔》 土地(26)
クリーチャー(18) |
4《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 4《無許可の分解》 4《キランの真意号》 3《致命的な一押し》 1《木端+微塵》 呪文(16) |
2《先駆ける者、ナヒリ》 2《リリアナの誓い》 2《グレムリン解放》 2《死の宿敵、ソリン》 2《没収》 2《苦渋の破棄》 2《反逆の先導者、チャンドラ》 1《致命的な一押し》 サイドボード(15) |
――皆さんがそもそもティムール霊気池を選んだ理由は?
市川「環境のデッキの中で、単純に一番強いと思ったからですね。あと、環境で流行してるティムール霊気池は、マナクリ―チャーが入ってて4マナ域に《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》とか《ルクサの恵み/Bounty of the Luxa(AKH)》が入った、赤緑のマナランプみたいな構成が多い。僕たちのは《検閲/Censor(AKH)》とか《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》が入ったコントロールに近い形なんですけど、霊気池をメタったデッキでもこの形はあまりメタってないだろうなと。メタデッキの中でもポジジョンが悪いことはなさそうという考えで選びました。」
――赤マナのソースが足りないことがあったと聞きましたが。
市川「僕たちのデッキ構成は、赤い呪文がすごく少なくなってるんです。メインに《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》も入ってないし、《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso(KLD)》も2枚に抑えてるので。それで《霊気拠点/Aether Hub(KLD)》含め赤は13枚に抑えたんですが、確かに少ないんですよね。ただ増やそうとすると、代わりに青緑のミシュラランド(《伐採地の滝/Lumbering Falls(BFZ)》)を減らしたりしなきゃいけない。そうすると土地自体の強さが下がるんで、抵抗感がけっこうあって。土地のカードパワーの問題で、このマナベースになってるんです。
でもどっちがよかったか結論を出すのは難しいですね。ナベがトップ8入りを決めた試合みたいに、ミシュラランドがあったから勝てた場面もあるし、赤マナがなかったから負けた場面もあるし。」
――なるほど。このデッキで何か特別な調整ポイントはありますか?
渡辺「《見捨てられた神々の神殿/Shrine of the Forsaken Gods(BFZ)》は本当に強かったです。これのおかげで《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》が1ターン早く出せて勝ったシーンがたくさんあったんで。やまけん(山本さん)が最初にこれを回してて、入れたほうがいいって言ったから入れんですけど、非常にいいアイディアでした。」
――もともとのレシピは山本さんのものだったんですか?
渡辺「いや、もとはかずあき(藤村和晃さん)がMOPTQで優勝したやつですね。」
――では、もっとこうしたらよかったといった反省点はありますか?
渡辺「これだけゾンビがいるなら、《光輝の炎/Radiant Flames(BFZ)》の3枚目を取ってもよかったですね。」
市川「あと《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra(KLD)》の3枚目はいらなかった。」
渡辺「なんなら《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra(KLD)》自体いらなかった。機体用に入れたんですけど、機体は負け組だったので。今回に関して言うなら、機体へのハードルを上げすぎたかなと。」
市川「《造反者の解放/Dissenter’s Deliverance(AKH)》も《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra(KLD)》も、3枚はいらなかった。」
渡辺「事前情報として機体が一番手だったのでこういう構成になりましたけど、もしメタがわかっているならそのあたりが改善点になるとは思います。」
市川「どうしてもふたを開けてみないとわからないからね。」
――サイドボードが1枚違うバージョンについてはなぜですか?
渡辺「ゾンビ用に《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》を1枚取るか、コントロール用に《否認/Negate(AER)》を3枚にするかの違いです。自分は1枚くらいじゃゾンビとの相性の悪さは変わらないと思って、同系とかを対策するため《否認/Negate(AER)》にしてました。ゾンビを対策するなら、《光輝の炎/Radiant Flames(BFZ)》3枚目にしといたほうが勝てたと思います。」
――決勝戦はともかくとして、金曜と土曜の対戦戦績一覧を見ると、不利なはずの黒単ゾンビにけっこう勝っていますね。
市川「ちゃんとやってみたら、実はけっこういけるってわかりました。」
渡辺「3.5:6.5で不利って言いましたけど、実際やってみたら4.5:5.5くらいの不利かなと。サイドをちゃんとすれば、五分まではいけると思います。」
――覚前さんが機体を選んだ理由は?
覚前「機体が性に合うからというのはありますけど、もし前もってもっと黒単ゾンビのことがわかっていたら、自分好みのデッキだったからそっちを使いたかったですね。身内での調整に時間を使っていたので、MOで流行していた黒単ゾンビのことをあまりよくわかっていなくて。なので、リアルの調整とMOとのバランスも大事かなと思いました。」
●〈MUSASHI〉がトップを走る!
今年のプロツアー・チームシリーズは、これにて上位4チームが出そろいました。
トップは我らが〈MUSASHI〉、2位は「Genesis」、3位は「MTG Mint Card」、4位は強豪チーム「Puzzle Quest」に1ポイント差で競り勝った「Lingering Souls」です。
京都で開催される次のプロツアー『破滅の刻』では、この上位4チームでポイントを競い、世界選手権に出場できる上位2チームを決定することになっています。
前回との累計で〈MUSASHI〉の総合成績は119ポイントとなり、2位のGenesisに25ポイントも差をつけています(MTG Mint Cardは88、Lingering Soulsは74)。
〈MUSASHI〉は毎回アベレージが高いチームなので、移動が楽でコンディションを整えやすい京都では、ぜひ皆さんに勝ちまくって余裕のトップ通過を決めてもらいたいものです。
帰国したら2週間後にはグランプリ・神戸2017が待っていますが、渡辺さんはモダンを全然やっておらず、プロツアー前にしばらく取り組んでいた市川さんのお勧めデッキを使うことになりそうです。
さらにその翌週には、皆さんグランプリ・マニラ2017に行く予定とのこと。治安がよくないので、なるべく一緒に行動しようと相談していました。夏の世界選手権まで、まだまだ旅は続きます。
最後に、このたびは日本との時差が大きい中、たくさんの方々に深夜まで寝ずに渡辺さんと行弘さんを応援していただき、本当にありがとうございました。引き続きこれからもどうぞよろしくお願いします!
おまけ:プロツアー『アモンケット』小ネタ集
市川さん(奥側左から2人目)が1回目のドラフトで放り込まれた10人卓。ほかのテーブルよりややきゅうくつです。
渡辺さんがトップ8入りを決めた直後、ステージ下でこぶしを突き上げる市川さん。
トップ8プロフィールの書類を記入しているところ。この後プレイヤーたちには「プロプレイヤーの規範としてのプレイを心がけ、子供も生中継を見ているから汚い言葉を使ったりしないように」などの諸注意が与えられました。
決勝ラウンド進行中、対戦準備をする2人を遠巻きに見守る人の壁ができていました。