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【MCVI】八十岡翔太・覚前輝也のドラフト【Day2】

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2日目のドラフトで、またも強豪プレイヤーだらけのテーブルに放り込まれた八十岡さんと、“1枚で勝てる”レアを2枚引き当てた覚前さんのドラフトについてお届けします。

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八十岡さんの卓にはマーティン・ジュザさんやガブリエル・ナシフさん、(昨日に引き続き)ブライアン・キブラーさんといった、殿堂プレイヤーらが集っていました。

 

 

 

●八十岡翔太の場合

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八十岡さんは3種のスペルが3枚ずつ入った見栄えの美しい赤緑デッキを組み、デッキ内のほかのカードとシナジーがほぼない《僻森の追跡者/Wildwood Tracker(ELD)》と《ギャレンブリグの従者/Garenbrig Squire(ELD)》を《ケンリスの変身/Kenrith’s Transformation(ELD)》で鹿に変える「鹿ビート」を決めて2-1でした。

 

ピックの流れ

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※上段が1パック目、左から右に向かって1-1、1-2、1-3……と並んでいます

 

八十岡

1パック目
1-1《切り離す一撃/Sundering Stroke(ELD)》
1-2《不死の騎士/Deathless Knight(ELD)》
1-3《誓いを立てた騎士/Oathsworn Knight(ELD)》
1-4《カボチャ変化/Turn into a Pumpkin(ELD)》
1-5《ギャレンブリグの聖騎士/Garenbrig Paladin(ELD)》
1-6《レッドキャップの略奪者/Redcap Raiders(ELD)》
1-7《共に逃走/Run Away Together(ELD)》
1-8《限りない食欲/Insatiable Appetite(ELD)》
1-9《胞子頭の蜘蛛/Sporecap Spider(ELD)》

八十岡「1パック目はかなり絶望的でしたね。

1-1は《調和のアルコン/Harmonious Archon(ELD)》(6マナ4/5飛行、ほか全部3/3の白神話レア)と5マナ4/4先制(《獅子の爪、エイリン卿/Syr Alin, the Lion’s Claw(ELD)》)と7マナ7点火力(《切り離す一撃/Sundering Stroke(ELD)》)が来て、普通に強いし、下とかぶるのがイヤということで火力を。下に白やってもらったほうがわかりやすいし、下の下まで白になる可能性が高いから、そうすると返しもコントロールしやすいということで。
ただ1-2では赤いカードがろくになくて、緑単とか緑黒に行けたら一番強い《不死の騎士/Deathless Knight(ELD)》をピック。
1-3で《誓いを立てた騎士/Oathsworn Knight(ELD)》(3マナ4/4、ダメージ軽減してカウンターを取り除く)が回ってきて、これは黒行けるのかなと。黒単とか緑黒、最悪黒赤になってもいいかなと思ってたら、1-4に緑黒のカードも赤いカードもなくて、《カボチャ変化/Turn into a Pumpkin(ELD)》(4マナバウンス、一徹で食物生成)は普通に強いし、一応青黒や青赤の可能性を見つつピック。
1-5で緑の5マナ5/5(パワー2以下にブロックされない《ギャレンブリグの聖騎士/Garenbrig Paladin(ELD)》)が来たけど、これは緑のシグナルとしては弱いんですよね。
その後はパックが弱かったから、デッキに入るレベルのカードを取ってただけ。ずっと白祭りで白いカードはみんな一周してて、でも全部流してたから「白やっとけばなー」と思いながら1パック目終了。」

八十岡

2パック目
2-1《筋骨隆々/Outmuscle(ELD)》
2-2《筋骨隆々/Outmuscle(ELD)》
2-3《筋骨隆々/Outmuscle(ELD)》
2-4《勇敢な騎士、カラ卿/Syr Carah, the Bold(ELD)》
2-5《豆の木の巨人/Beanstalk Giant(ELD)》
2-6《僻森の追跡者/Wildwood Tracker(ELD)》
2-7《僻森の追跡者/Wildwood Tracker(ELD)》
2-8《限りない食欲/Insatiable Appetite(ELD)》
2-9《レッドキャップの略奪者/Redcap Raiders(ELD)》

八十岡「返しで緑か赤は回ってくるだろうと思って2パック目開けたら何もなくて、まあ《筋骨隆々/Outmuscle(ELD)》(4マナ格闘、一徹で破壊不能付与)は緑で一番強いコモンなので。そしたら三連続で回ってきて、緑単まだいけるかなと。緑単なら1-2の《不死の騎士/Deathless Knight(ELD)》も使えるし、1-1の《切り離す一撃/Sundering Stroke(ELD)》だけタッチするとかもありだなとか考えてたら、2-4で《勇敢な騎士、カラ卿/Syr Carah, the Bold(ELD)》が来て。僕の開封パックで、《レッドキャップの略奪者/Redcap Raiders(ELD)》(3マナ3/2、人間以外をタップで強化)はほぼ一周するだろうとわかってたから、緑赤アグロが組めるかなということで。

確か2-2に《ヘンジの槌、ファレン卿/Syr Faren, the Hengehammer(ELD)》があったけど、1パック目終わった段階では全然そういうデッキじゃなかったから、「もしかしたら一周するかも」と思って流してたことも念頭にあって、ここからは取れてなかった軽いクリーチャーを押さえに行きました。《七人の小人/Seven Dwarves(ELD)》(同名クリーチャーで強化される2マナ2/2)とか、2マナ3/1の出来事つき騎士(《リムロックの騎士/Rimrock Knight(ELD)》)とか、人間じゃない軽いクリーチャーが欲しかったんですけど、全然出なくて。2パック目終わった段階でクリーチャーが足りてないなと。」

八十岡

3パック目
3-1《金のガチョウ/Gilded Goose(ELD)》
3-2《限りない食欲/Insatiable Appetite(ELD)》
3-3《ジンジャーブルート/Gingerbrute(ELD)》
3-4《ギャレンブリグの従者/Garenbrig Squire(ELD)》
3-5《ギャレンブリグの従者/Garenbrig Squire(ELD)》
3-6《怒り狂うレッドキャップ/Raging Redcap(ELD)》
3-7《ケンリスの変身/Kenrith’s Transformation(ELD)》
3-8《雉狩り/Fell the Pheasant(ELD)》
3-9《ヘンジの槌、ファレン卿/Syr Faren, the Hengehammer(ELD)》

八十岡「3-1は《金のガチョウ/Gilded Goose(ELD)》と《獰猛な魔女跡追い/Fierce Witchstalker(ELD)》(4マナ4/4トランプルの食物つき狼)と《ヘンジの槌、ファレン卿/Syr Faren, the Hengehammer(ELD)》が出て、『全部欲しい~』って頭を抱えて。ただ4マナ域はすでに3枚あって濃くなるから、一応食物シナジーとかもあるしさすがにカードとして強いから《金のガチョウ》に。

3-2は《ジンジャーブルート/Gingerbrute(ELD)》かこれの2択で、《金のガチョウ》を取って食物はけっこう供給できるようになったから、3枚目の巨大化を取ることで、重ねて撃って+10/+10とかもできるということで。
このへんはとにかく低マナ域のクリーチャーが欲しくて、見たら取る感じで。《ギャレンブリグの従者/Garenbrig Squire(ELD)》(2マナ2/2、出来事を唱えると+1/+1)は人間なんで《僻森の追跡者/Wildwood Tracker(ELD)》(1マナ1/1、人間以外がいれば+1/+1)とかとシナジーしないから、本当は取りたくないけど、ないよりはマシかなと。
3-6の《怒り狂うレッドキャップ/Raging Redcap(ELD)》(3マナ1/2二段攻撃)は《限りない食欲/Insatiable Appetite(ELD)》(食物を消費して+5/+5インスタント)とかとも相性がいいんで、けっこううれしかったですね。
3-9で《ヘンジの槌、ファレン卿/Syr Faren, the Hengehammer(ELD)》が一周してきたんですけど、《獰猛な魔女跡追い/Fierce Witchstalker(ELD)》も一周してきて、『緑いねー! だったらもっといいの来るやろ!』と(笑)。どっちにするかは悩んだんですけど、ブン回りを強くしたほうが勝つかなということで《ファレン卿》にしました。2色デッキで緑緑は安定しないから、どっちがよかったかはいまだにちょっと怪しいですけど、《ファレン卿》で勝てた試合はかなり多かったので、まあよかったかなと。巨大化とも格闘とも相性いいんですよね。」

 

八十岡さんのデッキ(森9、山6、《お菓子の小屋》1)
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対戦結果

八十岡「1ラウンド目は、相手が緑黒で《カラスの仕返し/Revenge of Ravens(ELD)》(クリーチャーに攻撃されるとコントローラーに1点ダメージを飛ばすエンチャント)を貼るデッキだったけど、こっちは1体ずつがでかいからあまり機能しなくて。
あと《お菓子の小屋/Gingerbread Cabin(ELD)》(森が3枚あれば食物を生成する森)を入れるかどうか、悩んでたんですよね。1マナ圏が3枚あるし2マナ圏も緑ダブルシンボルの《ヘンジの槌、ファレン卿/Syr Faren, the Hengehammer(ELD)》とかいるから、こいつがタップインになっても大丈夫かどうか、一人回しして確かめたらあったほうがいいと。そしたら、これから出した食物で《限りない食欲/Insatiable Appetite(ELD)》で+5/+5できて、ぴったり差し切りました。

2ゲーム目は、《豆の木の巨人/Beanstalk Giant(ELD)》と《ヘンジの槌、ファレン卿/Syr Faren, the Hengehammer(ELD)》と《僻森の追跡者/Wildwood Tracker(ELD)》がいて、《ファレン卿》に《限りない食欲/Insatiable Appetite(ELD)》使って、《筋骨隆々/Outmuscle(ELD)》も撃ってたので8/8、《豆の木の巨人》が7/7、《僻森の追跡者》が10/10になりました(笑)。」

豆の木の巨人 ヘンジの槌、ファレン卿

僻森の追跡者

八十岡「ちなみに7点火力は何の役にも立たなくて、取らなきゃよかった(笑)。1、2ラウンド目は一度も引かなくて、下家の最強白単と当たった3ラウンド目だけ引いて、やっと撃てると思ってたら、一生7マナ目が出ず、これを抱えたまま負ける×2回。
6マナあって土地引けば勝てる状況で、《谷の商人/Merchant of the Vale(ELD)》で3ターンルーティングを繰り返して1枚も土地引かず、最後の《ケンリスの変身/Kenrith’s Transformation(ELD)》についてるドローで除去引かないと負けるってところでついに土地引いて、『遅い(怒)!!!!!』って。これが除去とか、別のカードだったら勝ってましたよ。

ただ、相手の《羽ばたき狐/Flutterfox(ELD)》2体が《紋章旗/Heraldic Banner(ELD)》で3/2になってて、あと《ジンジャーブルート/Gingerbrute(ELD)》がいて、こっちのライフが8だったんですよ。
こっちにも《ジンジャーブルート/Gingerbrute(ELD)》がいて、それをエンドにサクるかどうか悩んでて。今サクったら相手の《ジンジャーブルート/Gingerbrute(ELD)》が止まらなくなるけど、6マナで2回ルーティングできる。さすがに土地来るだろうと思って、そこではサクらず、次のターンにブロックしてからサクったんですけど、それで1回しかルーティングできなくて、土地が来るのが1枚分遅くて7点火力が撃てず負け。
エンドにサクってもライフ1残るから、サクってもよかったかなと。ただ相手のデッキは《ジンジャーブルート/Gingerbrute(ELD)》3枚体制だったから、1点増えたら負けてたんで……。なんとか2-1したかったんで、2-1できてまあよかったなといったところです。」

 

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八十岡さんが《ジンジャーブルート/Gingerbrute(ELD)》を起動してから《ケンリスの変身/Kenrith’s Transformation(ELD)》をつけるとブロックされない3/3になるという小テクを披露したところ、「能力はすべて失われるのでは?」と相手がジャッジを呼んで説明を求めているところ。《ジンジャーブルート》がブロックされないのはこのターンに得ている特性なので、なくなりません。

 

 

 

●覚前輝也の場合

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覚前さんはドラフトの流れがよく、ボムレア2枚に恵まれた青タッチ黒デッキを組みましたが、2ラウンド目のみ時間切れ引き分けとなってしまい、惜しくも3-0はなりませんでした。

 

ピックの流れ

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※上段が1パック目、左から右に向かって1-1、1-2、1-3……と並んでいます

 

覚前

1パック目
1-1《魔法の眠り/Charmed Sleep(ELD)》
1-2《魔法の眠り/Charmed Sleep(ELD)》
1-3《極小/So Tiny(ELD)》
1-4《極小/So Tiny(ELD)》
1-5《欲深い衝動/Covetous Urge(ELD)》
1-6《ヴァントレスの聖騎士/Vantress Paladin(ELD)》
1-7《不可解な幻視/Unexplained Vision(ELD)》

覚前「1-1はアンコモンとレアでピックに値するものがなくて、コモンの中で一番強かった《魔法の眠り/Charmed Sleep(ELD)》にしました。
そこから青寄りでピックしてたら1-5ですごく強い《欲深い衝動/Covetous Urge(ELD)》が回ってきたので、青単気味でできそうだなと。」

覚前

2パック目
2-1《メア湖の海蛇/Lochmere Serpent(ELD)》
2-2《鋼爪の槍/Steelclaw Lance(ELD)》
2-3《穢れ沼の騎士/Foulmire Knight(ELD)》
2-4《惑乱スプライト/Hypnotic Sprite(ELD)》
2-5《フェアリーの荒らし屋/Faerie Vandal(ELD)》
2-6《共に逃走/Run Away Together(ELD)》
2-7《氷の女王/Queen of Ice(ELD)》

覚前「2-1で《メア湖の海蛇/Lochmere Serpent(ELD)》が出たので、青単タッチ黒で行こうかなということで黒いカードも少しつまんで、青と黒のカードを強い順に取っていった感じですね。
2-2は、デッキに入りそうなほかのカードが微妙で、そんなに強くないカードをピックするくらいなら、デッキ的に相性が悪くて出されたら負けに直結しかねない《鋼爪の槍/Steelclaw Lance(ELD)》(赤黒+2/+2装備)をカットすることにしました。」

覚前

3パック目
3-1《呪われた狩人、ガラク/Garruk, Cursed Huntsman(ELD)》
3-2《惑乱スプライト/Hypnotic Sprite(ELD)》
3-3《黄金の卵/Golden Egg(ELD)》
3-4《黄金の卵/Golden Egg(ELD)》
3-5《黄金の卵/Golden Egg(ELD)》
3-6《ヴァントレスの聖騎士/Vantress Paladin(ELD)》
3-7《秘本の略奪者/Tome Raider(ELD)》

覚前「3パック目で《呪われた狩人、ガラク/Garruk, Cursed Huntsman(ELD)》を剥いたんで、緑もタッチしたいなと思ってたところに、都合よく《黄金の卵/Golden Egg(ELD)》を連打できてついてました。このあとで4枚目も来たんですけど、さすがにおなかいっぱいでした(笑)。
ドラフト全体を通して、青やってって言われたから青やって、特に悩むところもなく、めちゃくちゃラクでしたね。最初から最後まで青の流れがよくて、かつレアにも恵まれて。いつもこういうドラフトだったらいいんですけどね~。」

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覚前さんのデッキ(島11、沼4、森1、《ヴァントレス城》1)

 

※デッキを見た行弘さんから、メインに入っていない《願い爪のタリスマン/Wishclaw Talisman(ELD)》を入れたほうがよかったというアドバイスがありました。「強いレアが2枚あるので、相手が持ってくる1枚よりもこちらが有利になるから」とのこと。

対戦結果

覚前さんがドラフト後、試合の前に「デッキ強いよ」と八十岡さんと行弘賢さんに見せたところ「2-1しそうなデッキだね」とシビアな意見が返ってきました。覚前さん自身は3-0できるデッキと評価していて、「間を取った結果が2-0-1」とのこと。
勝った試合では《呪われた狩人、ガラク/Garruk, Cursed Huntsman(ELD)》を出した瞬間に相手が投了するなどし、「それまでイーブンだった試合がいきなり10対0になるので簡単」という感想でした。

1ラウンド目の相手は、対戦中覚前さんにいろいろと話しかけていました。あとで覚前さんに聞いたところ、以前モダンのプロツアーで当たったことがあるそうで、その時は2-0で勝って相手にフリープレイを求められ、その後6-0まで行き、「あの時のことを覚えてるよ」という話を振られていたそうです。
2ラウンド目は時間切れで引き分けましたが、覚前さんのライブラリーが残り5枚で、手札に《メア湖の海蛇/Lochmere Serpent(ELD)》と3マナ以下カウンター(《催眠の輝き/Mesmeric Glare(ELD)》)があり、相手のライフが22でこちらのライフは5。時間の余裕があれば、相手の妨害をカウンターしつつ《メア湖の海蛇》で4回殴って勝っていた可能性が高めでした。

現状トップ8がねらえるラインではなく、次のプレイヤーツアーの権利も降ってきたので、あとは賞金をいかに引き上げるかという勝負になっており、プレッシャーが少ない中で残り一戦一戦勝っていきたいという話でした。

 

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昼ご飯を食べながら、禁止カード予想などに興じる皆さん

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