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グランプリ・北京2015 レポート

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10月23~25日に開催されたグランプリ・北京2015は、3人チーム戦によって行なわれ、Team Cygamesのメンバー3人がそれぞれ別のチームで出場しました。中でも市川ユウキさんの所属するチームは準優勝という好成績を収め、プロツアー『戦乱のゼンディカー』での雪辱を果たす結果となりました。帰国した3人に、大会の模様やチームでのシールドデッキ構築論などについてうかがいました。

 

大会結果一覧

  山本賢太郎・行弘賢・北原寛章チーム 市川ユウキ・三原慎二・渡辺雄也チーム 覚前輝也・八十岡翔太・加藤一貴チーム
1日目 7勝2敗 7勝2敗 6勝3敗
2日目 2勝3敗 4勝0敗1分け(ID) 5勝0敗
最終結果 22位 準優勝 5位

 

●どうしてこのチームに?

――そもそも、皆さんはなぜ北京でのグランプリに出ることにしたんですか?
山本「僕は1年前にアメリカのサンノゼで、行弘君(Dig.cards所属プロの行弘賢さん)と北原君とチーム戦のグランプリに出て、初日落ちして悔しかったから、『次のチーム戦も3人で出てリベンジしよう』という話があったからです。」

――北原さんとはどういったつながりなんですか?
山本「行弘君が和歌山にいたときの知り合いで、『絶対強いから一緒に組もう』って言われて、サンノゼが僕はほぼ初対面だったんですけど、プレイも普通にうまくて。」
市川「面白いんだよね。行弘賢が2人いるみたいな感じです。」
山本「うるさいです(笑) 一緒にやってて楽しいですけどね。」

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北原寛章さん(左)と行弘賢さん(右)
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

 

――市川さんは、そもそも北京に行こうと思ったのは?
市川「アジアでのグランプリは積極的に行くことにしていて、出るのは前提でチームをどうするかって感じでしたね。三原(槙仁)さんはかなり前に僕から誘っていて、あと1人は共通の知り合いってことで(BIG MAGIC所属プロの)松本友樹さんを誘いたかったんですけど、松本さんが次のプロツアーの権利を獲得したから、有給のやりくりで今回のグランプリはパスすることになったんです。プロツアーの帰りにそういう話をしてたら、ちょうどナベ君(TEAM MINT所属プロの渡辺雄也さん)が、組む予定の相手が仕事で行けなくなったという話だったから、『じゃあ一緒に出ない?』って誘いました。」

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左から渡辺さん、三原さん、市川さん
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

 

――まず三原さんを誘ったのはどうしてですか?
市川「けっこう仲いいんですよね。話はあんま合わないんですけど(笑) お互いに《ボール・ライトニング/Ball Lightning(M10)》(6/1トランプル・速攻、ターン終了時に生け贄となるクリーチャー)みたいなもんなんで、攻撃力だけ高くて互いに殴り合ってるみたいな感じで……たとえがよくわからないですけど(笑)。ともかく、よくしてもらってます。」

――なるほど(笑)。覚前さんのチームはどうですか?
覚前「マジック復帰後初めて出たプロツアーが、去年のプロツアー『マジック2015』で、そのときに加藤一貴君と仲よくなったんですね。チーム戦あるなら一緒に出ようって決めてて、『あと1人誰を誘ってみる?』って話したときに、最初に名前が挙がったのがヤソ(Hareruya Pros所属プロの八十岡翔太さん)だったので、ためしに声かけてみたら、意外と『いいよ』って感じで決まりました。」

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左から加藤さん、八十岡さん、覚前さん
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

 

 

●チーム内の役割とシールドデッキ構築法

――それでは、チーム内の3人での役割分担はどうしていますか? リーダーが1人いるんでしょうか。
山本「僕のチームは行弘君がリーダーで、8、9割デッキを決めて、残りを僕と北原君が微調整するくらいです。」

――行弘さんがデッキを3人分作るんですか?
山本「そうです。決まったら僕ら2人は色を変えるとかはしなくて、枚数の微調整だけですね。」

――色の担当はあらかじめ決まっているんですか?
山本「はい。僕が青系で、行弘君が赤緑上陸、残りを北原君が使うみたいな分担を、2日間とも実践していました。行弘君は赤緑上陸に青いバウンスを足すのが赤緑上陸を強くする秘訣だと考えていて、そのデッキタイプは行弘君が普段からドラフトでよくやってたんで、それをまず1つ作って使うと。青系は、青が単純に強いので、青黒にしろ青赤にしろ僕が使うということになって、残りは白黒とか緑黒とかになるんですけど、それを北原君に使ってもらうという分担でした。」

――その分担は前々から決めていたんですか?
山本「事前の練習でだいたい決めてました。練習はプロツアー『戦乱のゼンディカー』後に1回と、金曜日に北京に着いてから会場で2回、それとは別に行弘君が1人でヤソ邸でデッキ構築の練習をしてくれたという感じですね。」

――山本さんのチームは、リーダー1人とそれに従う2人なんですね。市川さんはどうですか?
市川「3人の中では僕が明確に一番下手なんで、リミテッド力は4.5割:4.5割:1割みたいな割合でしたね(笑)。デッキ構築のときも三原さんとナベ君がだいたいやってくれました。カードをまず全部並べて、みんなでディスカッションしてアーキタイプを決めて、それぞれにカードを分けてから各自でデッキを組んで、そのあとサイドについて討論するというやり方でやってました。ただ初日はデッキを組んでから一人回しをしなかったので、三原さんと僕の間でカードの受け渡しをちょっとミスって、僕のデッキが弱くなっちゃったんです。だから2日目はデッキを組むまでの時間をもう少し短くして、一人回しをしてからディスカッションしたら、それがすごいうまくいきましたね。」

――一人回しで完成度が上がったということですね。
市川「あと、山本さんのところと同様、ある程度みんなの得意なアーキタイプを前から把握していて、僕はサイドボーディングが少ないビート系のデッキを担当すると決めてました。」

――どうしてですか?
市川「シールドのサイドボードって相当難しくて、色を変えたり、先手後手でカードをすごい入れ替えたりする人もいますけど、そういう知識量はまだ僕にはないんで。サイドは2、3枚替えるくらいのデッキがいいってことで、ほとんど変えようがないビートを使いました。」

――なるほど、シールドのサイドボードにはかなりの腕が必要なんですね。覚前さんのチームの役割分担はどうですか?
覚前「初日はヤソが9割で、僕と加藤一貴が0.5ずつでした(笑)。」

――それはすごいですね。
覚前「でも、それで結果的に3つともデッキ構築間違えちゃったんですよ。晩ご飯食べたあとで2時間くらい、『こことここが間違ってたから、明日は失敗しないようにみんなで意見出し合って修正していこう』ってみんなで話して、2日目は4.5:4.5:1くらいの分担になりました。まあ僕が1なんですけど(笑)。2人の話してることを聞いてたら、『うん、間違いないな』ってなるんで、あえて意見を言う必要がないんですよね。」
市川「そうそう、うまい人と組むとそうなるんだよね。」
覚前「初日はヤソに負担かけすぎたのが申し訳なかったです。明確に練習時間が足りなかったんですよ。2日間ヤソの家に泊まって練習したんですけど、デッキを組んだだけで回してなかったんです。初日組んだときにはまあまあ強いデッキができたと思ったんですけど、回してみたらそうでもなかったので、実戦もちゃんとしとかないといけなかったです。初日の反省を生かして、2日目は5連勝できたのでよかったですね。」

――1日目の間に強くなっていったんですね。色やアーキタイプの担当はどうなってましたか?
覚前「多色系は絶対ヤソにやらそうと思ってて、加藤君が『白はあまり使いたくない』というので僕が白系を引き受けて、加藤君はそれ以外ってことでまとまりました。」

――基本的には、自分の使いやすいデッキを担当するのがポイントなんですね。
覚前:そうですね。

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デッキ構築をする覚前さんのチーム
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

 

 

●席の配置とアドバイスの仕方

――チームでのA~C席の配置についてもお聞きしたいです。真ん中がやはり司令塔なんでしょうか?
山本「真ん中のB席は両脇を見やすいので、リーダーが座ることが多いですね。僕たちも行弘君がBで、何か困ったことがあったら聞く感じでしたね。」
覚前「僕らもリーダーのヤソが真ん中でした。」
市川「うちも三原さんがBでした。」

――そうすると、真ん中に座る人が一番強いことになりますか?
市川「おおむねそうなりがちですね。でもツートップのチームもあります。たとえば3人中1人何もできないようなヤツがいる場合は、そいつが真ん中にいて、脇から操作されてるみたいな感じなんです(笑)。そういうチームは座った瞬間にわかりますよ。たまにあるよね、そういうチーム。」
覚前「あるある。」

――それはそれで、戦法としてはアリですね。
市川「あと、ワントップが前提の話ですけど、真ん中の席は早いデッキが多いですね。早く終われば、両脇を見られるので。」

――じゃあ、あえて早いデッキに対して強いデッキを作り、真ん中に座るという戦略も……?
市川「あってもおかしくないと思います。」

――そういった、個人戦とは違うチーム戦ならではの戦術として、チームメイトにアドバイスができるということがありますが、その仕方にコツはありますか?
山本「『チーム戦は相談ができるから、お手本プレイになる』って誰かが言ってたんです。人に相談すると手堅い、丸いプレイになりやすいと思います。」
市川「リスクをとらなくなる感じかな。」

――リスクをとってゲーム展開を早めるより、ケアしてゆっくりいこう、となりがちですか?
山本「そうですね。それで、僕たちのチームは『個人でやろうね』って感じだったんです。なんか、そっちのほうがいいかなって。そのゲームを1から10までプレイしてる自分と、7くらいから見始めた他人とでは、感じ方とかも違うと思うので、本人に任せようと。

――相談すると、期待値が一番高そうな丸いプレイになりがちだけど、プレイヤー本人はゲームの最初から勝ち方までを一貫して見ていて、一見期待値は劣りそうだけど一貫した手というものがあるから、横から口出しはせずに任せると。
市川「そうですね、聞かれなかったら何も言わないほうがいいですね。横から『こうなんじゃないの?』って言うのは、プレイとしてあまりよくない。」
覚前「ある程度のプレイヤーなら、微妙に思ったら自分から聞くよね。」
市川「うん。」

――横で見てて気になることがあったとしても、聞かれてもいないのに『なんで?』とか言うのはよくないんですね。
覚前「そういうこと言うと、相手に情報がばれちゃいますからね。」
市川「相談するには、相談するなりのリスクがあるんですよ。『ここで聞くってことは、こいつ持ってないな』とかってわかっちゃうんで。」

――チーム戦は相談できるのがメリットですが、相談は最低限にするべきということですね。
市川「間違いないです。」

 

 

●山本チームのグランプリ

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――続いて、各チームに細かくグランプリでの話をお聞きしたいと思います。まず山本さんのチームなんですが、このチームだけ日英のカバレージに詳細が載ってなくて……。
山本「ほんまそれ。なんで? って思いましたよ(笑)。」
覚前「『ほんまそれ』って。ちょっとキレてるやん(笑)。」
市川「海外だと行弘が知られてなくて、山本さんのワントップチームだと思われてるんじゃないかな。」

――そうかもしれませんね。
山本「初日は7勝2敗で、カードプールは強かったです。北原君の白黒デッキをちょっと弱くしすぎてしまったので、もう少しパワーカードを入れていればもう1勝くらいできたかなと思います。」

――7勝2敗はだいぶ好成績だと思いますが……。
山本「いやでも、目標がトップ4だったので、2敗だとちょっときついかなというムードはありましたね。」

――2日目の成績があまりふるわなかったですね。
山本「2日目は2勝3敗で終わってしまったんですけど、もうカードプールがめちゃめちゃ弱くて、やばかったです。一番強いレアが《うねる撃ちこみ/Serpentine Spike(BFZ)》だったんですけど、市川君のチームに当たったとき、その《うねる撃ちこみ/Serpentine Spike(BFZ)》がサイドにあって『なんだあいつら!』ってなりました(笑)。」

うねる撃ちこみ

――プレイングでカバーできるとかいうレベルではなく、使えないレアばっかりだったんですね。
山本「もうデッキ構築の段階でみんな真っ青になってました(笑)。僕のデッキがワントップみたいな感じで、賢ちゃんのデッキはまあまあ中の下くらい、北原君のデッキは見るも無残な、『こんなのどうやって勝つんだ?』みたいなデッキになっちゃったんです。でもそのデッキは色が違ったかなと。青白のすごく軽い飛行ビートと、緑黒の軽いカードが全然ないけど中盤戦以降はけっこう戦えるデッキの二択だったんですけど、そこで青白を選んだのがミスだった気がします。あまりにもプールが弱くて、スピードで勝つしかないって思考になっちゃって、ちょっと気持ちが痩せてたかなと思います。緑黒にしていたら、相性のいいデッキはいくつかあって、そこには勝てるって仕上がりにできそうだったので、そっちがよかったんじゃないかっていのうは、終わったあとで反省しました。」

 

 

●市川チームのグランプリ

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――市川さんのチームは、初日に小学生チームと当たったんですよね。
市川「初戦負けて2ラウンド目で当たって、まわりにすごい写真撮られて面白かったですね。」

――中国の小学生ですか?
市川「たぶんそうです。小学5、6年くらいかな? 僕の相手はもっと小さかったかな。ナベ君の対戦相手がちょっと年長で中学くらいで、学年が違いそうだったんで、兄弟なのかもしれないですね。かわいかったですよ。(プレイヤーにダメージが通るとライブラリを1枚除外する)嚥下能力で、強いスペルがめくれるとガッツポーズとかしてめっちゃ喜んでました。」

――それは微笑ましい。
市川「2日とも幸運なことにカードプールはすごく強くて、中の上から上の下くらいはあったと思うんですが、初日はとにかく構築ミスが響きましたね。三原さんが緑軸の多色デッキで僕は赤緑上陸だったんですけど、《肥沃な茂み/Fertile Thicket(BFZ)》(ライブラリを5枚見て基本土地をトップに置けるタップインランド)はパッと見、色マナサポートになりそうだと思って三原さんの緑多色デッキに2枚入れたんですけど、本当は赤緑上陸のほうが必要だったんです。このデッキは8枚目くらいまでずっと土地が伸びてほしくて、1ターンでも止まってほしくないデッキなんです。俺らが一人回しをしなかったばかりに三原さんのほうに入れてしまって、僕のデッキが一段階弱くなってしまったのが反省点でした。」

――なるほど。

肥沃な茂み

市川「そういうのもあって、2勝2敗までいったんですよね。そこから5連勝しないと初日を抜けられないって成績になってしまって、3人の中では『構築ミスだったな』ってもう反省会ムードだったんですけど、そこからなんとか勝てて。2日目は初日の反省を生かして一人回しをちゃんとした結果、ナベ君のデッキ構築はかなり変わったんで、それはほんとによかったと思います。」

――そういう『今日はもうダメかな』みたいな、負けが込んでるときのチームの暗い雰囲気ってありますよね。そういうときの切り替え方ってありますか?
市川「うーん、一戦一戦、勝つだけだと思います。どう気持ちを盛り上げようとしたって、盛り上がらないですよ。」
山本「個人個人が勝つしかないです。ほかの人が負けたとかは考えてもしょうがないんで、自分のゲームを精いっぱいやるだけですね。」

――そういうものなんですね。決勝で敗れたRich Hoaen(リッチ・ホーエン)・Mike Hron(マイク・フロン)・Craig Wescoe(クレッグ・ウェスコー)チームとのドラフトに関しては、何か反省点とかありますか?

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左からCraig Wescoe(クレッグ・ウェスコー)、Rich Hoaen(リッチ・ホーエン)、Mike Hron(マイク・フロン)
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

市川「僕の下がリッチで、準決勝の彼のドラフトを会場内のストリーミング放送で見てたら、青赤決め打ちみたいな感じだったんですよ。『じゃあ俺が上で青赤決め打ちするわ』って話して実際そうしたら、リッチのデッキがそんなに強くなくなって、そのピック方針は成功してたと思います。問題としてはウェスコーが弱すぎたことですね。瀧村君(準決勝でリッチたちのチームに負けた瀧村和幸さん)たちも言ってたけど、『ウェスコーがあんなに弱いって知ってたら、もっとピック絞らずに行ってよかった』と。チームの勝敗の分岐点はナベ君が《希望を溺れさせるもの/Drowner of Hope(BFZ)》を流したことで、リッチがそれで勝ったから、それはもう間違いない。でも、ナベの対戦相手のウェスコーがそんなに強くないということが前提条件としてわかっていれば、ナベはそれを流さなかったと思うんですよ。それをカットして、今のデッキのままでも十分勝てるから。」

――相手の力量を見誤ったということですかね。
市川「僕とフロンの対戦は、プレイヤースキル的に考えてたぶんフロンが勝つから、俺とフロンのところは俺が負け、ナベとウェスコーのところは順当にいけばナベが勝つってなったら、勝敗を決めるのはリッチと三原さんの対戦なんですよ。だから、リッチに強いカードを絶対流してはいけなかったというのが結論です。」

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決勝のラストで、最後のリッチVS三原戦をみんなが見守る
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

――そこはドラフト前にある程度読めてたところだったんですね。
市川「だから、3人の中で意識統一できていたらよかったなと。『ウェスコーはあまり強くないから、俺とナベでリッチを絞っていこう』って。その確認が取れてたら、決勝は勝ててたかもしれないですね。」

――そうですか。あと決勝の三原VSリッチ戦では、リッチの誘導するプレイがうまかったという話を、渡辺さんがツイッターで書いていましたが……。
市川「あれは僕もちょうどプレイしてたんであまり詳細を知らないんですけど、アナログ軸な情報だと思うんですけどね。」
覚前「確かマッキー(三原槙仁さん)が、『そのターンに相手が無理に2点入れて来た』って言ってたんだよね。その意図を読み取れていれば、返しに勝つための何かがあるなってわかったから、負けなかったって話だった。」

――そのへんはやはりリッチがリミテッド巧者という感じですね。

※この話をあとで渡辺さんにも確認したところ、2ゲーム目、リッチがかなり長考したあと、《希望を溺れさせるもの/Drowner of Hope(BFZ)》を出しつつ能力でブロッカーをタップさせ《影の滑空者/Shadow Glider(BFZ)》で2点ダメージを入れるまでの流れを、2秒で一気にまとめて行なってすぐにターンを返してきたので、2点入れる部分に無理があるとそのときは感じなかったといいます。マジック・オンラインのように1つずつ手順を追ってプレイすればわかる部分ですが、そこをアナログならではのやり方でプレイしたリッチが一枚うわ手だったということでしょうか。

 

 

●覚前チームのグランプリ

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――覚前さんのチームは、ギリギリ40位で初日を通過し、2日目5連勝するも残念ながらオポ落ち(勝敗数に差がなくても、対戦相手の成績によって変わるオポーネント・マッチ・ウィン・パーセンテージによって順位が下がってしまうこと)でしたね。
覚前「悲しみです。」

――先ほどもお聞きしたように、初日はうまくいかなかったデッキ構築を2日目で修正したということでした。
覚前「初日は赤黒欠色を使ったんですけど、4枚くらい組み間違えてて、そもそも赤黒って色自体も間違えてて、かなりデッキ弱かったですね。個人成績は4勝4敗1分けです。2日目の赤白ビートは上の下くらいあって強かったです。」

――2日目最終戦のカバレージに、チームの勝敗を決める大事なゲームで、チームメイトの助言でマリガンしたらいい手札が来て、『チームメイトあってこその勝利』といったことが書いてありましたが……。
覚前「間違いないですね。僕は微妙にキープ寄りの手札かなと思ってたんですけど、2人ともどっちかというとマリガンって感じだったんで。」

――そういうアドバイスは時々求めてたんですか?
覚前「僕は時々ヤソに聞いてました。そのほうがいい結果になることが多いので。」
市川「キープするかどうかが、一番相談するよね。」

――でも、人によってキープ基準って違いませんか?
市川「リミテッドの場合は、そこの判断が優れてる人っているんで、俺は苦手なほうだからよく聞いてた。」
覚前「自分は最近よくマリガンで失敗するから、このチームで聞くようになって、今までの自分のキープ基準が間違ってたことに今回気づけましたね。」

――リミテッドのうまい人はマリガンの判断がうまくて、そこは学んで行ける部分なんですね。
覚前「そうです。チームメイト2人ともリミテッド相当うまいと思ってるんで、マリガンは聞き得です。」

 

 

●次のチーム戦は?

――しかし、チーム戦はやっぱり面白いですよね。
覚前「チームメイトから学べることも多いし。同じチームで次の大会があったら、かなりいけると思います。」

――次のチーム戦は、来年の10月に京都でグランプリがありますね。ちょっと先ではありますが、今回お聞きした話はきっと読者の方たちにも役立つかと思います。ところで、今後のチーム戦ではTeam Cygamesのメンバーで組んだりしないんですか?
市川「けっこうそれ言われたんですけど、分散したほうが普通に考えて勝率上がりますからね。」

――確かに。
市川「この3人で組んだら1チームだけど、分散すれば勝率上がって、『Team Cygamesがまた勝ったな』ってイメージになりやすいですからね。この3人で組んで勝てれば、そりゃそれが一番いいですけど、確率論としてはおかしいから。それに、3人ともチームシールドにおいてのリーダーシップはないほうなので。」
覚前「今の段階でこの3人が組んだらけっこうやばいよね(笑)。」
山本「ふわふわした感じになりそう。」
市川「まあ、数年後みんながすごく強くなってたらわかんないですけどね。」

――今のところ、散らばったほうが勝率が高いということですね。それではどうもありがとうございました。

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グランプリ・北京2015はあと一歩で優勝に届かなかったということで、悔しそうな顔で準優勝の盾を持つ市川さん。社内に飾りたいと思います!これからどんどん盾やトロフィーの数が増えていくのを期待したいところですね。

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