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Team Cygames『カラデシュ』合宿レポート

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9月30日(金)~10月2日(日)の3日間、プロツアー『カラデシュ』に向けて、Team Cygames恒例のドラフト合宿が行なわれました。今回は一部日程のみの方も含め全19名が参加。前回同様に2卓同時進行で、基本的に0-3した人が1回休みとなり、くじで卓のメンバーを入れ替えるといった形で進みました。

 

Staff
参加メンバー一覧(敬称略)順不同
山本賢太郎、市川ユウキ、渡辺雄也、覚前輝也、玉田遼一、三原槙仁、行弘賢、石村信太朗、瀧村和幸、川崎慧太、石黒聡志、浦瀬亮佑、熊谷陸、高尾翔太、中村肇、中村さら、彌永淳也、松本友樹、井上徹

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全体風景

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対戦中

 

 

 

●合宿について

――今回は、初参加の方が3人いらっしゃいますね。1人目はモダンのジャンド使いとしてグランプリ・広州2016の記事にも出てきた川崎さん。2人目の浦瀬さんはどういう方ですか?
市川「MOCS(マジック・オンラインの世界選手権にあたる大会)で準優勝してプロツアーの権利を取ったんですけど、彼、93年生まれのかなり若手なんです。」

――それはすごいですね。皆さん4人が1人ずつ、合宿に優先的に呼べる枠があるんですよね。その枠でお呼びしたということですか?
市川「そうです。」

――3人目の石黒さんは?
市川「ぐろちゃん(石黒さん)はやまけんの弟子です。」
山本「弟子ではないよ。仲はいいですけど。」
市川「じゃあ、やまけんの子分かな、まじでやまけんのこと慕ってるから。」
山本「MOPTQ(マジック・オンラインでのプロツアー予選)で権利を取ったので、僕の枠で呼びました。」

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奥側の席の一番手前が石黒さん、その隣が浦瀬さん

 

――この形での合宿ももう3回目となりますが、いかがですか?
山本「もうみんな慣れてきましたね。初めての人だけに部屋の使い方の説明とかすればいいので、楽です。」

――終わった後、みんなで飲みに行ってたりしているんですか?
市川「みんなではないです。僕はいつも初日の夜、てるや(覚前さん)とAさん(松本さん)と瀧村君の4人で飲みますね。昨日は、石黒君が山本さんと飲みたがってたから、俺とたまちゃん(玉田さん)と4人で行きました。そのせいで、山本さん『今日は遅刻する』って予告してましたからね。」
山本「19人いるから、1人くらい最初いなくても……」
市川「甘えとる!」

――さすがにTeam Cygamesの人は最初からちゃんといてくださいよ(笑)でも、合宿は朝9時から夜23時までだから、そのあと飲みに行って、翌日9時に来るのは確かにきつそう。
山本「ですよね。」
市川「甘えとる!!」
渡辺「むしろ、よく飲みになんて行けるなぁって思うよ。」

――覚前さんも、昨日の最後のほうは体力切れで頭が回らなかったとか。
覚前「20時過ぎてくると、さすがに。」
渡辺「昨日は買い出しの夕食が足りなくて、飢えてたというのもあります。」
市川「8,000メートル級の山で吹雪が確定してる状態です(笑)ここで1週間キャンプしないといけないから、食料を切り詰めなきゃいけない状態。チョコレートひとかけを区切って食べるみたいな。」

――それは確かに、最高のパフォーマンスはできないですね。まあ、高地トレーニングだったと思えば(笑)
市川「そもそもてるやは、その前日に3時半くらいまで飲んでたし。」

――それはすごい。
市川「まあ、ここまで人が集まれる機会もなかなかないからね。」

――せっかくだから親交を深めたいというのもわかります!

 

 

●「カラデシュ」環境雑感

――それでは、この環境について雑感をお聞きしたいのですが。
渡辺「なんというか……できることが多い基本セットですね。ビートもコントロールもコンボも全部できます。三すくみみたいになってて、コントロールは早いビートダウンを受けられるけど、コンボに負ける、ビートはコンボに強いみたいな感じです。コンボっていうのは、高レアリティのカードをうまく組み合わせるといろいろなことができるタイプです。」

――なるほど。
渡辺「あと、機体がシステムとしてあまり強くない。コモンの3マナ4/3(《改革派の貨物車/Renegade Freighter(KLD)》)だけは別格で強いんですけど、それ以外はそんなでもなかった。」
市川「デッキを選ぶし、複数枚欲しくもないし。」
渡辺「機体ばかりになってもしょうがないし。」

――《領事の旗艦、スカイソブリン/Skysovereign, Consul Flagship(KLD)》は、さっき出ているところを見たら大変なことになってましたが。
市川「あれ、なんで搭乗3なんだろうね?《アラダラ急行/Aradara Express(KLD)》は搭乗4だけど、どう考えてもあれより運転難しそうでしょ。オートマなのかな?」
渡辺「3だったらだいたい誰でも乗れるからね。」

――機体に関しては思ったほどでも、ということでしたが、エネルギー関連はどうですか?
渡辺「思った以上に強かったです。」
市川「エネルギーを貯めるやつがけっこう強い。」
渡辺「僕の中では、エネルギーはコンボ枠ですね。1枚1枚は大したことないけど、集まるとすごいという。《亢進する亀/Thriving Turtle(KLD)》も、気づいたら5ターン目に5/8で殴ってきたりするから。」

――ただ、エネルギーに寄せたデッキは卓内にそんなには多くいられないですよね。
渡辺「エネルギーに完全に寄せるなら、許容人数は多くて2人ですね。」

――強い色、弱い色はありますか?
渡辺「黒は強いかなと思います。ビートもコントロールもできるので。」
市川「白は、弱いというほどでもないけど使いづらいと思う。ビートしかできないから、つぶしがきかない。」
渡辺「白だけ受けが狭いし、単体のカードパワーもそこまででもないような。」

――ところで、マスターピース(ごくまれに出現するイラスト違いの特殊フォイル版アーティファクトシリーズ・「Kaladesh Inventions」のこと)は出ましたか?
渡辺「3枚出て、2枚取りました。」
覚前「手ぇ出てまう!(笑)」
渡辺「いや、マスターピースを取ったとき、《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》と《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force(KLD)》流してるからトントンかそれ以下だよ。取ったのは《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》と、《彩色の灯籠/Chromatic Lantern(RTR)》。もう1枚出たのは《雲石の工芸品/Cloudstone Curio(RAV)》かな。巨人はともかく、それ以外はそんなにテンション上がらないです(笑)」

――マスターピースはドラフトで出て使えるものとそうでないものの差が激しいですね。

Torrential-Gearhulk_EN_HRR Chromatic-Lantern_EN_HRR

Cloudstone-Curio_EN_HRR

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この取材を行なった直後、《精神の眼/Mind’s Eye(MRD)》が出現しました。

 

 

●成績について

――(取材時点で)今まで10回ドラフトが行なわれていますが、皆さん好調で2-1以上が多いですね。

 

3-0 2-1 1-2 0-3
山本 3回 1回 3回 1回
覚前 1回 5回 2回 1回
市川 3回 2回 3回 1回
渡辺 4回 3回 4回 0回

市川「見た感じ、てるやは2-1が多くて一番よさそう。」
覚前「勝ち数的には+3しかないから、たいしたことないよ。」
市川「でも、2-1を平均して出せるほうがすぐれている気がするけどね。俺2-1が少ないのが怖いんだよな。3-0か1-2みたいな、極端な感じだから。」
覚前「うらやましいけどなー、でも怖いっちゃ怖いか。」

――プロツアーだと安定した2-1は欲しいですね。
覚前「2-1したいなら、赤黒ビートがお勧めだよ。黒のコモンにプレイアブルが多いから、使えるカードが多い。」

――覚前さんは赤黒ビートで2-1してるんですか?
覚前「9回中4回くらいはやってます。」
渡辺「でもそれ、決め打ちしかできなくなるから、赤黒ができないときの選択肢とかももっと増やしたほうがいいよ。」
覚前「確かに。」

――渡辺さんは、前回の合宿も含めて0-3を一度もしてないんですね。
全員「すごい!」

――何か秘訣があるんでしょうか?
渡辺「うーん、デッキの中に勝ち筋を作ることですね。とりあえず、これとこれを組み合わせたら勝てるだろうというようなカードは入れます。ほかがいまいちでも、これさえ決まればというものがあれば、1回も勝てないということはないと思います。」

――0-3しないやり方については、「なべごく」も参照してくださいということで。

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最初のドラフトパックをチェックする山本さん

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井上さんの後ろでピックについて検討する覚前さん

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見学中の金子さんも巻き込み、玉田さんと感想戦をする市川さん

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青緑エネルギーデッキのドラフトを進めていたら、あまりにも強力すぎるパックを引いてしまい椅子から崩れ落ちる渡辺さん

 

 

●プロツアーでの目標

――10月14日(金)からのプロツアーに向けて、準備は進んでいますか?
渡辺「いや全然。」
市川「先週マジで仕事忙しくて、プレリリースにも行けてないし。」
山本「今週末にSCG(StarCityGamesの大会)の結果が出るから、そこから構築スタートですね。」

――では、プロツアー『カラデシュ』での目標をお願いします。
山本「優勝です。」

――おお!
市川「それ、いつも俺が言う役だったのにー。」
山本「でもそれ、本心じゃないでしょ? キャラづけっていうか、リップサービスでしょ?」
市川「うぉい!(笑)本気だよ! 常に狙ってるよ!!! 山本さんは逆に本気なの!?」
山本「プロツアーとかグランプリとか関係なく、常に優勝。」
市川「じゃあ僕の目標は、準優勝ということで(笑)」

――グランプリ・京都2016に続いてまた山本さんと市川さんで決勝戦が行なわれたら………静かに見守ることにします…!覚前さんはどうですか?
覚前「今年4回のプロツアーの合計で、勝率60%以上を目指します。」
市川「おー、具体的だ。」
渡辺「毎回10勝6敗くらいってことか。」
山本「なかなかできてる人いないけどね。」
渡辺「難しいけど、アベレージを保つっていい目標だと思う。」
覚前「今の実力からして、それくらいがちょうどいい目標かなと。」
渡辺「僕は、プロツアー本戦じゃないんですけど、前日の殿堂セレモニーで英語のスピーチを噛まないこと。そもそもスピーチがまだできてないんですけど……。」

――ニコ生でも映像が流れますし、注目を浴びますので、そこはなんとか。
渡辺「噛まない、コケない、汚さない(衣装を)。この3つで行きたいと思います。本戦のほうは、殿堂プレイヤーとして不甲斐ない成績にならないよう、いつもの自分らしく行けたらなと思います。」

――わかりました。皆さんがんばってください。

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※おまけ

覚前「ドラフトはこの合宿でいい練習ができたけど、問題は構築! 勝ち越したことあるかな? ってくらいなんだよね……。」

――構築が特にうまいのって、合宿メンバーの中だと誰なんですか?
(みんなが黙って市川さんを指す)

市川「お、突然みこしにかつぎあげられたぞ?!」
覚前「でも本当にそう思うんで。」
市川「これこそリップサービスってやつ~!(笑)」

今回の合宿では2日(日)の昼に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の取材が行なわれました。プロツアー『カラデシュ』のニコニコ生放送内で、合宿のビデオが流れるそうです。インタビューや、合宿中の風景を編集したものになるとのことですので、ぜひご覧ください。
また、Team Cygamesスタッフによるプロツアー会場からのレポート記事もお楽しみに!

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ウィザーズ社による合宿風景の撮影

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