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【PTAKH】市川ユウキ/渡辺雄也のドラフト【Day1】

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●市川ユウキのドラフト

市川さんはとても珍しい10人卓になりましたが、プロツアー『イニストラードを覆う影』の時にもあったので、なんとここ最近で2度目です。
10人卓だとカードがほとんど戻ってこないので、普通と異なりカジュアルな感じのドラフトになるのですが、メンツに八十岡さんとプロツアーチャンピオンの座を争ったカルロス・ロマオや、殿堂プレイヤーのパトリック・チャピンなどがいて豪華な卓でした。

ピックの流れ

市川
まず《権威の殿堂/Edifice of Authority(AKH)》(石材カウンターで攻撃・防御を制限するアーティファクト)から入って、1-2で《潰滅甲虫/Decimator Beetle(AKH)》(-1/-1カウンターを移し替える黒緑の4/5)が流れてきたので、緑黒系のディフェンシブなデッキ組みたいなと。1-3が《主張/Lay Claim(AKH)》(コントロール奪取オーラ)で、じゃあ緑多色系にしようかなと思いました。

2-1と2-2は《グレイブディガー/Gravedigger(AKH)》(墓地のクリーチャーを戻す4マナ2/2)だったんですけど、そんなに強くなかったですね。リミテッドでは基本強いじゃないですか。でもこの環境だと、2/2っていうサイズがいまいちで、4マナで2/2出してたら守りきれない。《グレイブディガー/Gravedigger(AKH)》の評価をちょっと高くしすぎていたのが敗因かなという気がしますね。

3パック目の初手は何も取るものがなくて《苦刃の戦士/Bitterblade Warrior(AKH)》(緑の2マナ2/2督励で接死)、3-2は《ホネツツキ/Bone Picker(AKH)》。このあと《毒物の侍臣、ハパチラ/Hapatra, Vizier of Poisons(AKH)》が流れてきたり、上があまり取れてない中《大いなるサンドワーム/Greater Sandwurm(AKH)》(サイクリング付き7マナ7/7)が取れていいデッキになったかなと思ったんですけど、実際はあまり勝てず……。

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市川さんのデッキ(森7、沼6、島2、《進化する未開地/Evolving Wilds(AKH)》2)

対戦結果

市川
デッキは強そうだったんで2-1くらいできるかなと思ったんですけど、1戦目はティアゴ・サポリトに勝ち、2戦目は白黒の早いゾンビに負けて、3本目は入ってるカードが強すぎる青黒に負けて1-2です。6人ドラフトと8人ドラフトなら8人のほうがデッキが強くなるのと同じで、10人卓だとデッキが強くなっちゃうので、けっこういいデッキができたかなと思っても相手も強い感じでした。

ただ、緑と黒のカルトーシュが1枚も取れてなくて、こういう重いデッキの場合、絆魂や格闘でまくる要素がある程度欲しかった。それが取れてない分、まくれる目がないパターンが多かったのがきつかったですね。あと、-1/-1カウンターばらまきみたいな、タフネス1デッキに対して強いカードもあまり取れなくて。デッキとしての形は悪くないと思ったんですけど、特定のデッキに負けやすい感じでしたね。

22市川
 

 

 
●渡辺雄也のドラフト

黒白タッチ緑の中速デッキを構築した渡辺さんは、卓に薄かった黒を集めて豊富なサイドボードを作り、3-0となりました。

全ピック順

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1-1《不帰+回帰/Never+Return(AKH)》
1-2《突風歩き/Gust Walker(AKH)》
1-3《魂刺し/Soulstinger(AKH)》
1-4《華麗な苦悶/Splendid Agony(AKH)》
1-5《遺棄地の恐怖/Horror of the Broken Lands(AKH)》
1-6《天導+先導/Destined+Lead(AKH)》
1-7《遺棄地の恐怖/Horror of the Broken Lands(AKH)》
1-8《選定の司祭/Anointer Priest(AKH)》
1-9《死後の放浪/Wander in Death(AKH)》
1-10《色彩の断崖/Painted Bluffs(AKH)》
1-11《枯死コウモリ/Blighted Bat(AKH)》
1-12《謎めいた海蛇/Cryptic Serpent(AKH)》
1-13《死後の放浪/Wander in Death(AKH)》
1-14《ヒエログリフの輝き/Hieroglyphic Illumination(AKH)》

渡辺
1-1は、パックに強い緑が4枚あったので、自分は絶対緑から引こうと思いました。実際1周したら緑は全部消えていて、《死後の放浪/Wander in Death(AKH)》(墓地からクリーチャー2枚を戻すソーサリー)が帰ってきたので、黒をやる方針でスタートしました。
1-2のとき、《忠臣/Loyal Retainers》のマスターピースがありました。生け贄に捧げると墓地から伝説のクリーチャーを戻せるっていうやつなんですけど、とりあえずテキストを読んで『うーん、《突風歩き/Gust Walker(AKH)》でいいか』って(笑)。
あとは順番に黒いカードを上から取っていって、緑はけっこういい流れでしたけど、絶対混むから、参入したら最終的に必ず弱くなると思って全部流しました。

1-6で《天導+先導/Destined+Lead(AKH)》(黒で破壊不能付与、緑の余波でブロック強要の分割)が来て、裏だけ撃てればと。上5人がこれを取らないってことは黒緑がいないなと思ったので、マイナスカウンターシナジーのカードがうまく取れたらいいなと思いました。
1-10の《色彩の断崖/Painted Bluffs(AKH)》はうれしかったですね、《先導/Lead(AKH)》(分割の余波の緑)が撃ちやすくなるので。
1パック目はほぼ黒単で、2色目は白か青かなと考えてました。

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2-1《栄光の神バントゥ/Bontu the Glorified(AKH)》
2-2《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials(AKH)》
2-3《野望のカルトーシュ/Cartouche of Ambition(AKH)》
2-4《無情な狙撃手/Ruthless Sniper(AKH)》
2-5《演習ミイラ/Sparring Mummy(AKH)》
2-6《野望のカルトーシュ/Cartouche of Ambition(AKH)》
2-7《レト一門の槍の達人/Rhet-Crop Spearmaster(AKH)》
2-8《荷降ろし/Unburden(AKH)》
2-9《オケチラの名のもとに/In Oketra’s Name(AKH)》
2-10《魂刺し/Soulstinger(AKH)》
2-11《砂丘甲虫/Dune Beetle(AKH)》
2-12《呪われた者の揺り籠/Cradle of the Accursed(AKH)》
2-13《荷降ろし/Unburden(AKH)》
2-14《ルクサ川の祭殿/Luxa River Shrine(AKH)》

渡辺
2-1では、白黒ゾンビ《むら気な召使い/Wayward Servant(AKH)》と《栄光の神バントゥ/Bontu the Glorified(AKH)》があって、うまく使えた時にすごく強くなる後者を取りました。最終的に抜けましたけど。
2-2で《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials(AKH)》が来たので、1-8で作っておいた白の受けで使うことに。あとは、赤は全然見ないし、緑ももちろんいない。来たものを取っていく感じで順当に白を固めていきました。

黒カルトーシュが2枚取れて、単純にカードが強いのと、緑に単しても絆魂でライフレースしやすくなるので、これは行けそうだなと。2-10で、《魂刺し/Soulstinger(AKH)》(4マナ4/5で-1/-1カウンター2個を死亡時移し替え)と《不毛地の蠍/Wasteland Scorpion(AKH)》(3マナ2/2接死)があったんです。それで卓の黒がすごく薄いなと感じて。これは黒が濃くなってカードがあふれるだろうからと、ハンデス《荷降ろし/Unburden(AKH)》を取ってサイドプランをかなり厚くしました。

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3-1《断固たる修練者/Unwavering Initiate(AKH)》
3-2《栄光半ばの修練者/Glory-Bound Initiate(AKH)》
3-3《権威の殿堂/Edifice of Authority(AKH)》
3-4《遺棄地の恐怖/Horror of the Broken Lands(AKH)》
3-5《グレイブディガー/Gravedigger》
3-6《天導+先導/Destined+Lead(AKH)》
3-7《超常的耐久力/Supernatural Stamina(AKH)》
3-8《野望のカルトーシュ/Cartouche of Ambition(AKH)》
3-9《補給の隊商/Supply Caravan(AKH)》
3-10《悪運尽きた造反者/Doomed Dissenter(AKH)》
3-11《造反者の解放/Dissenter’s Deliverance(AKH)》
3-12《砂丘甲虫/Dune Beetle(AKH)》
3-13《バントゥの碑/Bontu’s Monument(AKH)》
3-14《オアシュラの耕作者/Oashra Cultivator(AKH)》

渡辺
3-1は何もなくてパッとしないパックでした。3-2の《栄光半ばの修練者/Glory-Bound Initiate(AKH)》と3-3《権威の殿堂/Edifice of Authority(AKH)》はさすがに接待です(笑)。
3-5で、《グレイブディガー/Gravedigger(AKH)》と《最後の報賞/Final Reward(AKH)》(5マナ追放除去)があって黒空いてるなって感じだったんですけど、ここに《ドレイクの安息地/Drake Haven(AKH)》(サイクリングか手札を捨てて2/2ドレイク生成)があったんです。エンチャント破壊を取れてないから、『これを流すと3-0できないかも?』ってめちゃくちゃ悩んだんですけど、それに負けても2-1はしたいなってことで《グレイブディガー/Gravedigger(AKH)》にしました。結局《ドレイクの安息地/Drake Haven(AKH)》とは当たりませんでした。
3-6でまた《天導+先導/Destined+Lead(AKH)》が来て、守りながら最終的にこれで勝つデッキだなというのが固まりました。

3-10に帰ってきた《悪運尽きた造反者/Doomed Dissenter(AKH)》(死亡時にゾンビを出す1マナ1/1)がすごいうれしかったですね、《魂刺し/Soulstinger(AKH)》がうまく運用できるようになったし。一番の勝因はこれが帰ってきたことだと言ってもいいくらいです。最終的に黒カルトーシュも3枚取れたし、プロツアーのプレイヤーって2マナ域のビートが好きなんですけど、そういうのを止められる壁役のカードとかも取れたし。今回ポジションがよくてカードがめちゃくちゃ取れたので、豊富なプールでメインは丸く組んで、サイド後は相手のデッキに合わせて大幅に変えてました。

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豊富なサイドボード用カード

対戦結果

渡辺
「ほぼ2-1はできるデッキで、相性のいいところと当たれば3-0できるかなという感じでした。ちょっと相手のマリガンが多めだったこともあって、うまく3-0できました。あとタフネス1デッキに3回中2回当たったので、ボコボコにしました。3枚目のカルトーシュで相手が目ん玉飛び出してました(笑)。
2枚の《天導+先導/Destined+Lead(AKH)》もめちゃくちゃ活躍しました。ゲームを決められるカードなんで、この順目で取れるのがびっくりです。黒カルトーシュはゲームをすごく動かせるので、こんな順目で取れるカードじゃないと思うんですけど、それが多く取れたのも含めて、まわりとの環境理解の差が出たかなと思います。

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●〈MUSASHI〉好調!

Team Cygamesでは山本さんと渡辺さんが見事3-0しましたが、〈MUSASHI〉のほかの2人、行弘さんと八十岡さんも、それぞれ青黒と赤黒デッキでともに3-0。これにより、〈MUSASHI〉は6人の合計戦績が15-3でチーム順位のトップに立ちました。8人に1人しか生まれない3-0が6人中4人もいるというのはさすがにすごいことで、みんなの成績を聞いた市川さんが驚愕していました。

https://twitter.com/serra2020/status/863098902953820160

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場内の画面にチームの暫定順位が表示されており、〈MUSASHI〉が1位です。

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「ドラフトの勝ち方はナベに聞く」がモットーの殿堂プレイヤー・藤田剛史さんが、渡辺さんに話を聞きに来ていました。

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