日本選手権2017レポート(後編)
前編に続いて後編では2日目を振り返ってレポートをお送りします。
八十岡さん7-0全勝、渡辺さんと山本さんが6-1の一敗ライン、市川さんが5-2と好調な1日目が終了し、上位卓に集まるメンバーの2日目はどうだったのでしょうか…!
●渡辺雄也の場合
2日目ドラフトラウンドの戦績
2-1
渡辺さんのデッキ(島6、森6、平地2)
2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績11-3、最終順位5位)
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
11 | 白単エルドラージ | ○ |
12 | ティムールエネルギー | ○ |
準々決勝 | 白単エルドラージ(松本友樹) | ○ |
準決勝 | ティムールエネルギー(八十岡翔太) | ×(不戦敗) |
3《森》 1《島》 2《山》 1《沼》 4《植物の聖域》 1《伐採地の滝》 2《獲物道》 2《隠れた茂み》 2《尖塔断の運河》 4《霊気拠点》 土地(22)
クリーチャー(24) |
4《霊気との調和》 4《蓄霊稲妻》 3《削剥》 1《慮外な押収》 2《反逆の先導者、チャンドラ》 呪文(14) |
1《不屈の追跡者》 1《スカラベの神》 2《マグマのしぶき》 1《チャンドラの敗北》 3《否認》 1《大災厄》 1《光輝の炎》 1《栄光の刻》 1《慮外な押収》 1《霊気圏の収集艇》 1《反逆の先導者、チャンドラ》 1《生命の力、ニッサ》 サイドボード(15) |
デッキ選択の理由
渡辺「今回僕は2byeあって構築の対戦試合数が少なかったので、構築のデッキは賞味3-1できれば良いなと思っていました。そこでデッキ的に環境で1番強いと言われているティムールエネルギーに決め打ちして調整しました。Brad Nelsonが勝って、そこからティムールをメタったデッキも幾つかでてきたんですけど、なんだかんだティムールがずっと結果を残してたんでデッキの地力が高いなと。
《放浪する森林/Woodland Wanderer》がトップメタと言われている赤単に強くて同系にもメインボードはかなり強いです。《スカラベの神/The Scarab God》も同系に非常に強いカードで、このカードの有無でだいぶ戦績が変わってくるのでタッチ黒にしようとなりました。」
――他のデッキとの相性は?
渡辺「同系と赤単にはかなり有利に作れたと思っています。
今回はティムールと赤単が多いだろうと思ってたので、他のデッキには若干ガード下げています。たとえば11ラウンドであたった黒単ゾンビとかはあんまりいないだろうと思って、ゾンビに強いカードは軒並み抜いてきてました。想定通り試合は負けちゃいましたね。」
――白単エルドラージとは?市川さんもあたってて結構上位卓にいましたよね?
渡辺「いわゆるティムールエネルギーキラーと呼ばれているデッキで、相性そんなに良くないんですけど内容がわかっちゃうとそんなでもなくて。
あっちは単色でできること少ないんですけど、こっちは4色で対応しやすいんで。内容が
わかってたおかげでスイスラウンドでも決勝ラウンドでも当たったんですけど、たちまわりによっては相性が悪くありません。置かれたら自分のデッキが全く動かなくなる《厳粛/Solemnity》を置かれなかったのも大きかったですね。」
印象的だった場面
渡辺「準々決勝でAさん(BIG MAGIC所属プロ松本友樹さん)とあたったとき僕がありえないポカなミスをしちゃって普通だったら負けてたんですけどうまく勝てたみたいな場面がありましたね。
アヴァシンを出されたエンドにカードを引いたら《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》で、嬉しくなっちゃって相手死なないのに打っちゃって。でもAさんも墓地に置いちゃって、あれ?ってなってターンが巻き戻って…(笑)疲れてたのもあると思うんですけどお互い忘れてたんでやべっ!ってなりましたね。」
――個人的には9割勝てるのOPで言ってた目標を有言実行したのが驚きでした。
渡辺「あれは僕もまさかなるとは…ってびっくりですよ(笑)日本選手権のタイトルはまだとっていないので、ちょっとだけ悩みましたけどヤソと一緒に出たいなって思って。Team Cygamesにも入ってくれましたし同じチームメンバーだと本当に心強いです。」
●市川ユウキの場合
2日目ドラフトラウンドの戦績
2-1
市川さんのデッキ(森7、平地6)
2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績7-5、最終順位119位)
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
11 | 黒単ゾンビ | × |
12 | 白単エルドラージ | × |
4《感動的な眺望所》 4《尖塔断の運河》 4《霊気拠点》 1《崩壊する痕跡》 4《イプヌの細流》 2《シェフェトの砂丘》 2《平地》 土地(21)
クリーチャー(24) |
3《安堵の再会》 4《来世への門》 4《復元》 4《王神の贈り物》 呪文(15) |
2《賞罰の天使》 2《否認》 4《難題の予見者》 2《栄光をもたらすもの》 4《削剥》 1《払拭》 サイドボード(15) |
デッキ選択の理由
市川「実家の長野に帰ってるときに長野杯というローカルイベントに出たんですけど、その時に昨年の日本代表だった竹下さんがまわしてて青白パターンと赤白パターンの弱点を補い合ってるような構成のいいとこ取りデッキだったので良いなぁと思ったのがきっかけですね。
MOでまわしても感触がよくて、晴れる屋の環境名人戦に出た時もトップ8入ったし結構調子良いと思ったので決めました。ティムールに強いというのも明確な理由の一つです。
とはいえ安定性のないデッキなんで、《王神の贈り物》を引けないと負けちゃうんですよね。勝つときは引けるし、勝たないときは引けないなって感じ!」
――このデッキ結構好きそうでしたよね。
市川「そうですね、まわしてて面白いし、いろんな相互作用もある。《王神の贈り物》で《発明の天使/Angel of Invention》をつるのがこのデッキの目標なんですけど、その《発明の天使》を墓地におとさないで手札にためておいて普通にプレイするという選択もあって……
『カードを見て捨てる』と書いてあるカードが十何枚あってそれら全て選択肢なので、このあと2ターン目3ターン目後にどうなるのかを想定してカードを引いていかないと負けちゃうのがやっててすごい面白い。リスクはあるし安定性はないけど爆発力がすごいあるし粘り強さもあるのでプレイしてて楽しいですね。」
●八十岡翔太の場合
2日目ドラフトラウンドの戦績
2-1
八十岡さんのデッキ(森7、沼5、島1、山1)
ピック順
2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績12-2-1、最終順位 準優勝)
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
11 | マルドゥ機体 | ○ |
12 | – | 引き分け(ID) |
準々決勝 | 4色エネルギー(廣澤遊太) | ○ |
準決勝 | ティムールエネルギータッチ黒(渡辺雄也) | ○(不戦勝) |
決勝 | 4色エネルギー(原根健太) | × |
4《森》 1《島》 1《山》 4《植物の聖域》 2《伐採地の滝》 2《燃えがらの林間地》 3《尖塔断の運河》 1《さまよう噴気孔》 4《霊気拠点》 土地(22)
クリーチャー(21) |
4《霊気との調和》 2《マグマのしぶき》 4《蓄霊稲妻》 3《削剥》 1《慮外な押収》 2《霊気圏の収集艇》 1《領事の旗艦、スカイソブリン》 呪文(17) |
1《多面相の侍臣》 2《チャンドラの敗北》 2《自然のままに》 1《儀礼的拒否》 1《侵襲手術》 2《否認》 1《ジェイスの敗北》 2《光輝の炎》 2《慮外な押収》 1《領事の旗艦、スカイソブリン》 サイドボード(15) |
デッキ選択の理由
八十岡「さすがに強いでしょ!みたいな感じで決めました(笑)グランプリデンバー2017で1-2フィニッシュしたじゃないですか。(Brad NelsonさんとBrian Braun-Duinさんが75枚同じデッキリストのティムールエネルギーで優勝、準優勝した)
それでデッキパワーが高いのと、ティムールエネルギーが結構好きなデッキなんで選びました。他に良いデッキが無かったというのもありますけど。」
――他のデッキはまわしましたか?
八十岡「いや、してないです。まわすまでもない。あと僕MOでティムールしか持っていないから(笑)それでもちょっと購入したんですけどね。」
――GPデンバー優勝デッキとどの辺を調整しましたか?
八十岡「全然違います。
いろんなかたちで回したんですけどティムール自体がマナベースが少しきついデッキで。赤マナがとにかく出ないんで、それで使う《炎呼び、チャンドラ/Chandra, Flamecaller》や《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》やドラゴン等を全部抜いて基本緑ベースにしました。青赤と青緑が多いので青は勝手に出ちゃってるんで、ランドを緑青中心にして色マナを楽にしています。
今の環境はクリーチャーデッキが多いのと同系やゾンビ系、機体対策も考慮して速いデッキを作ろうと意識しました。多めに9枚除去を入れていてティムールだと一番多いと思います。4マナのカードが《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra》が3枚、5マナのカードが《領事の旗艦、スカイソブリン/Skysovereign, Consul Flagship》1枚と《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk》が1枚、《慮外な押収/Confiscation Coup》が1枚しか入ってないのでデッキがすごい軽いです。」
――八十岡さんのデッキのキーカードは何ですか?
八十岡「特にないけど、しいて言えばトラッカー《不屈の追跡者/Tireless Tracker》ですかね。
ゲームの意識がミッドレンジというよりビートなので、4マナ5マナまでいって勝つというよりは序盤2ターン、3ターン目で出したクリーチャーで殴り勝つみたいな感じ。サイド後も先行の場合は結構軽いクリーチャーを残して殴るよりにするんですけど、後行だと2マナのマナクリとかを減らして除去に変えて、お互い《不屈の追跡者》とか《慮外な押収》とかで長いゲームプランになります。僕のデッキの構成はその辺が枚数が多いから同系には有利ですね。」
●山本賢太郎の場合
2日目ドラフトラウンドの戦績
2-1
山本さんのデッキ(山7、平地7)
2日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績9-3、最終順位17位)
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
11 | ティムールエネルギー(中村修平) | ○(不戦勝) |
12 | ティムールエネルギータッチ黒 | × |
4《ラムナプの遺跡》 1《屍肉あさりの地》 4《陽焼けした砂漠》 15《山》 土地(24)
クリーチャー(26) |
2《焼夷流》 4《削剥》 4《ショック》 呪文(10) |
2《チャンドラの敗北》 4《反逆の先導者、チャンドラ》 4《栄光をもたらすもの》 1《屍肉あさりの地》 2《ピア・ナラー》 2《グレムリン解放》 サイドボード(15) |
デッキ選択の理由
山本「赤単・機体・黒緑・王神・ティムールとか環境にあるデッキをリーグで一通り試してみて、単純に赤単が一番勝率が良くて感触もよかったんで赤単でいいかなと。ゾンビには不利で、ティムールは五分で、コントロールやランプには有利ですね。」
――シンプル!
山本「うん(笑)今の環境ってエキスパンションが8セットもあってデッキがめちゃくちゃ多い環境なんで、これに有利とかメタ的な理由ではなくて勝率が良かったデッキをスタンで使おうかと。割とデジタル的な考えでしたね。11ラウンド目で修平さん(Hareruya Prosの中村修平さん)とあたって快くトスってもらったのが嬉しかったです。」
というわけで、新メンバーの八十岡さんが12月1日(金)~3日(日)にフランスのニースで行われるワールド・マジック・カップ2017に日本代表選手に選ばれました!
渡辺さんが既に代表キャプテンとして出場が決定していたので、Team Cygamesから2名も出る快挙。
12月のWMCまでに、グランプリ静岡や世界選手権、プロツアー『イクサラン』などマジックの大会が目白押しです。引き続きレポートをしていきたいと思いますので、お楽しみに。
WMC日本代表選手に選ばれた直後の頼もしい2人。
決勝戦終了後に代表選手に選ばれた3人。渡辺さん曰く「チームリーダーJスピ(Hareruya Prosの原根健太さん)を筆頭に我らプラ殿が脇を固める」そうです。豪華すぎる…!!!