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【WMC2017】最強の日本代表チーム、優勝への道(前編・準々決勝~準決勝)【Day3】

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すでに皆さんご存知の通り、我らが日本代表チームは最強のメンバーで見事世界一をつかみとりました!
世界選手権での〈MUSASHI〉優勝の記憶もまだ新しい中、取材班は1年に2回も世界を制する場面を目の当たりにすることができ、感無量です。
それでは、決勝ラウンドの3回戦について振り返っていきましょう。
(※日本チームのデッキはこちらに掲載されています)

 

 

 

●準々決勝:VS オーストリア

プレイヤー 相手のデッキ 勝敗
原根 赤単 ○○
渡辺 白青王神 ×○
八十岡 4Cコントロール ○○

※準々決勝のカバレージはこちらです

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今からステージに向かおうとする3人の後ろ姿。

 

ワールド・マジック・カップ3日目の今日は、トップ8チームによる決勝トーナメントです。
まず、日本は準々決勝でオーストリアと対戦。デッキ相性がいいうえ、こちらのほうが予選順位が上なため全員先手を取れて有利です。
原根さんは放送に映らない間にしっかり勝っており、渡辺さんは1本目負けましたが2本目は取り返します。
八十岡さんは2ゲームとも土地を多く引きましたが、負け筋をケアした丁寧な攻撃で着実にライフを削り切って、渡辺さんの決着を待たずに日本勝利となりました。

ちなみに、対戦で使用することを条件に発売前の『Unstable』の枠なし基本地形が特別に配布され、皆さんそれを使っていましたが、八十岡さんはこの準々決勝で土地を引きすぎたので準決勝からはいつものグルランドに戻していました。一方原根さんはUnstable土地との相性が良く、すんなり5マナまで伸びたり、欲しい時に6マナ目を引けたりしたそうです。

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オーストリアとの試合

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八十岡さんの勝利でトップ4進出です。

 

 

 

●準決勝:VS イタリア

プレイヤー 相手のデッキ 勝敗
原根 赤単 ×○×
渡辺 緑青打撃体 ○○
八十岡 青黒コントロール ×○○

※準決勝のカバレージはこちらです

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イタリアとの試合

 

準決勝のイタリアはデッキ相性に加え、全員後手でかなり厳しい戦いが予想されました。
しかし、最も相性が悪いと予測していた渡辺さんがかなりのスピードで勝利。その内容は、メングッチさんが先手3ターン目に《ならず者の精製屋/Rogue Refiner(AER)》スタートだったところ、渡辺さんは2ターン目《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》、3ターン目《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》、4ターン目《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker(XLN)》という怒涛のブン回り。
2本目は、メングッチさんがマリガンして土地2枚の手札をキープして、「3マ目を一生引かなかった」そうです。

原根さんは3本目、先手でいい回りの赤単に食い下がり、《領事の権限/Authority of the Consuls(KLD)》《賞罰の天使/Angel of Sanctions(AKH)》により盛り返す道が見えてきましたが、ライフが危険域にまで落ち込んでおり《稲妻の一撃/Lightning Strike(XLN)》を引かれてしまい敗北。
決着は八十岡さんの1-1からの後手の3本目次第となります。

八十岡さんは序盤攻め立てますが、相手が握っていた《バントゥ最後の算段/Bontu’s Last Reckoning(HOU)》により一気に更地にされてしまいます。あまりライフを削れないままさらに《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》も出され、見ていた多くの人が「もうだめだ」と思ったことでしょう。取材班も「トップ4なら歴代WMC最高記録だし、十分よくがんばった」という気持ちになりかけました。
しかし、相手が土地ばかり引いている間に八十岡さんが徐々に巻き返し始めます。最後は、6マナあるのに墓地の《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》を戻さずアタックしたキープレイが光って勝利。もし戻していたら、相手の手札の《ヴラスカの侮辱/Vraska’s Contempt(XLN)》と、その後引いた《本質の摘出/Essence Extraction(KLD)》によってライフを回復され、とどめをさせなくなるところでした。

 

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この場面はまるで相手の手札がわかっていたかのようで、生放送のコメント欄は「さすヤソ」だらけでした。

 

――準決勝のイタリア戦は、渡辺さんのデッキ相性が特に悪いから不利という話でしたよね。
原根「それに、全員後手なんです。」
八十岡「マッチアップもあまりみんなよくない。」
渡辺「メングッチ君の動きが悪かったから勝てたみたいなものです。」

――どういう点が不利なんですか?
渡辺「インスタントタイミングで動けるカードをヤソに全部あげてるから、相手はインスタントでこちらの干渉手段を防いでくるけど、こっちはソーサリータイミングでのアクションが多い分不利です。」
原根「ただ、始まるまではわからなかったけど、打撃体にも欠点があったんですよ、2マナ圏が少ないという。」
渡辺「確かに、初手7枚でキープしたのに初動3ターン目だったんで。」
原根「赤が入ってないから、2マナに《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》がない。だから、ナベさんの2ターン目のマナクリ(《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》)にさわれず、クリーチャーも出せなくて、それで3ターン目に《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》が出てしまった。」
渡辺「そこに後手でもまくれる要素がありましたね。」
原根「始まる前はすごく不利だと思ってたけど、唯一の勝てる目を引いたというか。」

――そういう穴をうまくつけたんですね。

――八十岡さんの最後の試合、6枚目の土地を置いてから、《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》を永遠で戻さずに2体でアタックしたシーンについて教えてください。あそこで、ニコ生のコメントがすごい盛り上がってたんですよ。「天井に目がついてるんじゃないか」とか。相手の手札がわかっていたからそうしたんんですか?
八十岡「あの場面はまず、《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》がいるだけでアド取ってて、相手も放置できないから除去撃ちたいはずなんですよ。でもあそこで《地揺すりのケンラ》を戻すとタップアウトになるから、《地揺すりのケンラ》に除去を撃たれて、もう1枚除去とか引かれると《損魂魔道士/Soul-Scar Mage(AKH)》1体だけになっちゃって、あと3~4ターン続くゲームになるんです。《地揺すりのケンラ》を戻さず2体で殴って相手に除去を使わせてから、《地揺すりのケンラ》が墓地からにらみを利かせてる状況というのが、相手にとっては一番やりづらいので。」

――でも、普通に考えたら《地揺すりのケンラ》を戻して「はい、これで勝ち!」って殴っちゃいそうです。
八十岡「基本有利な場なので、リスクを取る必要がないんですよ。」
原根「あと、あの盤面は相手の残りライフが4とかしかなかったから、1点がかなり大きいんです。もしまだライフ20とかだったらリスク取りますけど。」
八十岡「1ドローでも赤単にはあげたくないから、相手も《ヴラスカの侮辱/Vraska’s Contempt(XLN)》を《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》に撃たざるを得ない。それならライフも回復されないし、こっちとしては相当大きいんですよね。」

――確かに。
八十岡「あそこで最悪なのは、《地揺すりのケンラ》を戻して殴ったら青巨人(《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》)出されて、《地揺すりのケンラ》を除去されて《ボーマットの急使》をブロックされて、盤面に《損魂魔道士/Soul-Scar Mage(AKH)》と青巨人だけが残るって状況なんです。でも、《地揺すりのケンラ》を戻してなければ、《ボーマットの急使》を除去されて1枚ドローして、以降は4/4トークンと青巨人のにらみ合いプラス、ドローしたカード1枚分になる。」

――つまり、相手の持っていた手札2枚が除去でも青巨人でもいいという殴り方なんですね。
渡辺「逆に、あの場面はそうする以外ない……あれ一択だと思いましたけどね。」
原根「もし《地揺すりのケンラ》を戻そうとしたら、止めようと思ってました。リスクが大きすぎるので。」
渡辺「まあ言えることとしては、“ケンラバックは素人”。」
八十岡「コントロールに対しては、中盤以降《ボーマットの急使》をいかに生かすか、どう効率よく除去を撃たせるかが大事なんです。手札をうまく使って1枚、2枚のアドを取っていくみたいな。」

 

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ギリギリで踏みとどまっている原根さんの戦いをのぞきこむ2人。

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ここでインタビューが入り、八十岡さんの「コントロール使いが考えていることは手に取るようにわかる」という名言が飛び出しました。

 

後編・決勝に続きます!

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