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【WMC2017】トップ8進出! 日本チームの構築ラウンド2日目【Day2】

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3人の使用デッキはこちらに掲載されています。

 

 

 

●2日目前半戦

ワールド・マジック・カップ2日目では、4チームずつに分かれて戦い、計32チームから8チームにまで絞られます。
最初に日本が入ったグループには、ほかにオーストラリア、リトアニア、ペルーがいました。3ラウンド戦い、2勝すれば勝ち抜けとなりますが、ペルーとリトアニアに次々と勝利して順調にトップ16へと進出。
必ず2勝しなければいけないトーナメントルールなので、1戦目で勝てたのはかなり大きかったようです。「残り2試合、絶対に事故っちゃいけない」というのは相当つらいですが、「残り1試合だけ勝つ」ならばかなり気が楽だとのこと。

 

 

2日目の戦績・前半
8ラウンド目(VSペルー/WIN

プレイヤー 相手のデッキ 勝敗
原根 白青副陽 ×○○
渡辺 スゥルタイエネルギー ○××
八十岡 赤単 ○×○

9ラウンド目(VSリトアニア/WIN

プレイヤー 相手のデッキ 勝敗
原根 白青王神 ○×○
渡辺 赤単 ×○○
八十岡 ティムールエネルギー ××

※10ラウンド目は勝ち抜けにより試合なし
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プレイヤーはそれぞれ、国旗をテーブルに置いてプレイします。試合終了後、勝ったチームはここに国旗を戻します。

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敗退したチームの国旗は哀れにも箱の中に……。

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リトアニアとの試合

 

――どちらの試合も、原根さんが最後に勝って決まりましたね。
八十岡「基本、チーム2-0で勝つことはあんまりないから、だいたい原根君に託されてる。」
原根「リトアニア戦は、ほか2つのマッチアップが赤単VSエネルギー×2だったので、期待値は一緒で、王神ミラーに勝ったチームが勝つだろうってもともと話してたんです。」

――でも、原根さんのデッキはサードデッキ対決には有利なんですよね?
原根「いや、王神ミラーはさすがに運です。1ターン目に《査問長官/Minister of Inquiries(KLD)》出されて、タップで《王神の贈り物/God-Pharaoh’s Gift(HOU)》が落ちたらさすがに勝てない。相手がかなり起動したんですけど落ちなくて、それで勝った感じです。」

――《王神の贈り物》がそこにいなかったことによる勝利と。
原根「王神デッキ第一の負け筋が、『王神が見えず負け』ですからね。5回中1回くらいはあります。」

――ほかの負け筋にはどんなのが?
原根「第二の負け筋は、相手が先手でクロックを先に出されて、ずっと《削剥/Abrade(HOU)》とかを構えられて負ける、「先手を返せず負け」ですね。その2つがほとんどで、あとは土地事故です。」

 

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昼休み中に、生放送解説の鍛冶さんと行弘さんが日本チームの様子を見に来て、「日本チームがあと2勝したら、行弘さんが八十岡さんの物真似をする予定だ」と教えてくれたので、みんな俄然やる気が出ました(?)。

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ウィザーズ開発チームスタッフが、会場で各国のチームに話を聞いて回っていました。日本のプレイヤーはどんな商品を望んでいるのかという市場調査を行なっていたそうです。

 

 

 

●2日目後半戦

昼休みをはさみ、次のグループではベルギー、スロヴァキア、リトアニアとの組になります。フィーチャーマッチでベルギーを撃破しますが、続いてのスロヴァキアに惜敗。1つ負けただけで一気に崖っぷちとなり、恐ろしいプレッシャーがかかります。待つ間に原根さんは手汗が止まらず、何度か手を洗いに行ったそうです。

最後の対戦相手は再びベルギー。まず八十岡さんが勝ち、デッキチェックでゲーム開始が遅れた原根さんが1本目に負け。原根さんはデッキ相性的にサイドボード後まくり返せる目がほぼありません。となると渡辺さんが勝たなければなりませんが、1-1で迎えた3本目に相手の動きがあまりよくないところへ《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》が刺さって勝利し、トップ8入りを決めました。
ベルギーにとっては日本に2回も負けるトーナメントになったわけですが、最後は笑顔で握手を求め、「明日がんばって」と言ってくれました。

 

 

2日目の戦績・後半
11ラウンド目(VSベルギー/WIN

プレイヤー 相手のデッキ 勝敗
原根 スゥルタイエネルギー ○×○
渡辺 白青王神 ×○
八十岡 赤単 ○×○

12ラウンド目(VSスロヴァキア/LOSE

プレイヤー 相手のデッキ 勝敗
原根 マルドゥ機体 ××
渡辺 ティムールエネルギー ××
八十岡 白青王神 ○○(2本目は相手のスリーブ不備によるゲームロス)

13ラウンド目(VSベルギー/WIN

プレイヤー 相手のデッキ 勝敗
原根 スゥルタイエネルギー ×
渡辺 白青王神 ×○○
八十岡 赤単 ○○

 

――原根さんの白青王神は、スゥルタイエネルギーには不利という話でしたが、11ラウンド目では勝利していますね。
原根「後手だと絶対勝てないので、1本目が取れないと終わりなんです。ただ逆に、1本目は相手にそんなに対抗策がなくて。《人質取り/Hostage Taker(XLN)》をうまく引いて《顕在的防御/Blossoming Defense(KLD)》で守る展開ができないといけない。また、1本目の取りこぼしがないようにこちらはメインに《燻蒸/Fumigate(KLD)》を入れたりもしているので、先手なら1本目は少しだけ有利ですね。2本目以降は不利ですが。」

――じゃあ、3本目を勝てたのがすごいということですか。
八十岡「まあ、3本目はこっちが先攻だから4割くらいはあると思いますよ。」
原根「相手が2ターン目に出してきたクリーチャーを、こっちが先攻なら3マナの《博覧会場の警備員/Fairgrounds Warden(KLD)》で抑え込めるから、なんとかゲームになるんです。」

――あと、相手がマナフラッド(土地の引きすぎ)でしたね。
原根「あれは100%マリガンだったと思います。まあ、相手がちょっと油断してたいしたことのない手札をキープしたのにつけこめたのかなと。」

――12ラウンド目で当たったスロヴァキアとはチームシールドの時に一度対戦していて、その時は中央のイヴァン・フロックさんが左右のプレイヤーをフォローしながらプレイして大変そうでしたが、構築ではどうでしたか?
原根「僕の相手は自分の意志が皆無でしたよ。キープからプレイする順番まで全部イヴァンに聞いてました。」
渡辺「途中からイヴァンが気の毒になってきて、エネルギーのサイコロ置いたりして手伝いました(笑)。」

――そうなんですね。そこまで相談していないように見えたんですが。
原根「僕が2ゲームで土地を3枚しか置けず事故って負けたので、相談するまでもなかったというのはあるかも。にしても、イヴァンの性能の高さを思い知りました。あの状態でゲームできるのはすごい。」

――渡辺さんの対イヴァン戦は、デッキ的に不利なんですか?
渡辺「いや、ティムールには有利なんですけど、イヴァンは盛大にぶん回ってたし、こっちは2回とも土地を5枚くらい多く引いてました。3枚くらいならまだ許容できるけど5枚は無理ですね。」
原根「イヴァン、3ターン目に《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》からの、4、5、6ターンで3連続ドラゴン(《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》)でしたね。」
渡辺「まさにくそドブン(笑)。」

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原根さんの相手のプレイヤーがイヴァンさん(左)に相談しているところ。

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原根さんはデッキ的に試合が長引くためいつも最後まで戦っていますが、「最初の1回はきつかったけど、毎回最後まで残るからそういうものだとわかって慣れました。逆にすぐ終わる試合はマナスクリューで負ける時とかで、長引いたほうがデッキとしては有利なので安心感があります」とのことでした。

09
八十岡さんはデッキも本人のプレイングも早いので、毎ラウンドあっと言う間に試合が終わっていました。また、会場でたびたびサインや写真を求められており、人気がうかがえます。ニースのファンから「大会前にいつもどれくらい練習するんですか?」と聞かれ、「グランプリは1日、プロツアーは2週間、1日あたり20時間くらいMOで練習する」と返事をし、驚かせていました。

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渡辺さんは、「今年は仲間への信頼度が高くて自分のデッキの調整にほぼ専念できたから、今まで出た中で一番楽だった」としみじみ言っていました。また、ほぼいつもラウンドの最後に原根さんが勝負を決めておいしいところを持って行っていましたが、今日最後のラウンドでは渡辺さんの勝利がトップ8入りをもたらしました。

 

 

 

●対戦を振り返って

――今日1日を振り返って、一番苦しかった場面はどこですか?
八十岡「赤単は、つらいと感じた時にはもう負けてますからね(笑)。」
原根「心境としては、やっぱり最後の試合を待っているときですね。1つ前に負けた後で、ここを勝たないとっていうのが、全然落ち着かなくて。」
八十岡「しかも、次の相手がリトアニアかベルギーってわかってて、どっちも一度勝った相手とはいえ、デッキ相性はよくないですからね。」
原根「どっちが勝ってもきついって感じでした。」
八十岡「ベルギーは、原根君はどうやっても不利で、ナベもちょい不利、自分は五分。リトアニアのほうが、原根君が王神ミラーに勝てれば勝つんで、まだマシ。
原根「王神ミラーもきついですよ(笑)。しんどかったのは、どっちが次の相手になるかは一切干渉しようがなくて、ただ待つしかなかったことです。」

――逆に、会心の場面は?
八十岡「やっぱり、《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》トップデッキですね。」

――ああ、見てました。最終戦のベルギーに勝った3本目ですね。隣で見ていた中国の選手と顔を見合わせて「ワーオ!」ってなりました。
八十岡「厳密にはラストターンじゃなくて、あと1、2ターンくらいは一応あったんだけど、相手の《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》に3枚積まれた状況だったからほぼまくれないし、ここで土地だったら負けだなー、《ハゾレト》引けば勝てるなー、引かないかなー、引いた!って(笑)。」
原根「僕デッキチェックで暇だったんで見てたら、その瞬間パーン!って音が聞こえましたもん。そのパーン!の風圧で、相手が吹っ飛んでた(笑)。」

――頭を抱えてのけぞってましたね。
原根「後ろのギャラリーもうわー!って、風に押されてました。あれは確かに会心の一撃でしたね。」
八十岡「実は1回目のベルギーでもあんな感じで《ハゾレト》をトップデッキして勝ったんですよ。あのときはまあまあ対等な場だったんですけど。」

――じゃあ、相手としては「またかよー!」というのもあったんですね。
八十岡「まあ赤単ミラーなんで、そういうゲームなんですけど。」

――ほかにも何かありますか?
渡辺「僕はなんだかんだで、一番最後に撃った《否認/Negate(AER)》ですかね。」

――ああ、動画に映っていました。
原根「その前のコンバットもよかったですよ。途中から見てたからあまり状況は把握してなかったんですが、ガッと行った時に、ああこれは勝ったんだなと確信しました。」
渡辺「あんちゃん(高橋優太さん)に言わせると、“勝つ時のナベ”ってやつだね。詰みのアタックをしかけて、《否認/Negate(AER)》があれば無理って状況を作って、実際持ってたという。」
原根「対戦相手も、『これ《否認/Negate(AER)》持ってるよね』って言いながらプレイしてましたよ。」

 

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八十岡さんが、トップデッキした《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》をプレイしたところ。相手は大きくのけぞってから戻ってきたところです。

というわけで、最終日はまずオーストリア代表と準々決勝で対戦します。八十岡さんの相手が4色コントロール、渡辺さんの相手が白青王神、原根さんの相手が赤単です。
それに勝てば、イタリア対中国の勝者と準決勝を行なうことになりますが、渡辺さんの相手が打撃体デッキだときついので、イタリアには当たりたくないそうです。
また、2日目時点での順位が高いほうのチームが、最初のゲームで全員先手を得られるので、日本より順位が低い中国が勝ってくれたほうが与しやすくなるのですが、果たしてどうなるでしょうか……?

12
今日は試合が早く終わったので、おしゃれなレストランで晩ご飯。
八十岡さんが、見るべきお勧めアニメについてや、さらにソーシャルゲームの『アイドルマスターシンデレラガールズ』について、豊富な知識をひたすら語り尽くしていました。帰りに渡辺さんが「この2週間ヤソと一緒にいて、マジックに関してはいつも『いいんじゃない』とかしか言わないけど、今夜は今までで一番しゃべってた。ヤソ劇場だったね」と言っていました。
とても明日、大事な世界一を決める大会があるとは思えない雰囲気でしたが、帰り際に配布された対戦相手のデッキリストを見て皆さんは「だいたいわかった」となり、特に練習はする必要がないようでした。

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