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Team Cygames『ラヴニカの献身』ドラフト合宿レポート

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2月2日(土)~3日(日)、Cygames会議室にて恒例のTeam Cygamesドラフト合宿が行なわれました。いつもは新製品の発売週に実施していますが、今回は渡辺さんと八十岡さんが渡米していた関係もあり、1週遅い開催となりました。
土曜に4回、日曜に2回のドラフトを終えた昼のタイミングで、Team Cygamesメンバーへの取材を行ない、今環境についてや、プロ制度の変更などについて聞きました。

 

Staff
参加メンバー一覧(敬称略)順不同
山本賢太郎、市川ユウキ、渡辺雄也、八十岡翔太、行弘賢、中村肇、中村さら、瀧村和幸、川崎慧太、松本友樹、佐藤レイ、原根健太、石村信太朗、金川俊哉、辻川大河、井川良彦、夏目拓哉、村栄龍司

※上の写真は覚前さんの代わりに行弘さんに入ってもらい、「覚前さんっぽい表情をして」とお願いしたところです。かわいい。

 

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2卓に分かれ、タイムカウントつきでピックを行なっているところ。
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この日はちょうど節分だったので、昼食に恵方巻を!恵方である東北東を向き、恵方巻をほおばる皆さん。
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市川さんは最近熱心にジムに通っていて、ランニングが楽しいそうです。顔のラインもシュッとしてきました!
 

 

この週末、覚前さんはオーストラリアに行き、シドニーでのグランプリに出場していましたが、ちょうど4人にインタビューしている最中、覚前さんがトップ8に進出したというニュースが飛び込んできました(※最終成績はベスト4でした)。
覚前さんはグランプリ・静岡2018の優勝に続く好成績で、その前のプロツアーも4敗だったので、例年であればプラチナレベルもねらえる好調ぶりですが、ちょうどこのタイミングでプロポイントとプロプレイヤーレベルのシステムがなくなってしまったことがとても残念です。

 

 

●参加メンバーについて

――いつもの合宿メンバーである覚前輝也さんと高尾翔太さんがグランプリ・シドニーに行っていて、今回初参加なのが井川良彦さん、夏目拓哉さん、村栄龍司さんですね。
渡辺「あと久しぶりに来たサマラン(辻川大河さん)。お情けで……。」

――お情け?
八十岡「昨日(の辻川さんの戦績)、0-3、0-3ですからね。」
渡辺「やまけんが呼びたいって言わなかったら、絶対に呼ばなかった(笑)。」
山本「いやいやいや、俺のせいかよ(笑)。」
渡辺「そうだよ!」
八十岡「やまけんはサマラン好きだから。」
山本「大好きですよ(笑)。」

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辻川さん(右)と原根さん(左)による0-3をかけた熱いバトルを、市川さんと渡辺さんがプレイにツッコミを入れながら見物していました。

 

――皆さんは、『ラヴニカの献身』のプレリリースには行かれましたか?
市川「行ってないです。」
渡辺「プレリの日から、ドラキチ(関東のドラフトが好きな人たちが集まる、カジュアル寄りで大規模なドラフト会。合宿も実施)でのドラフトに行ってましたね。」

――山本さんはプレリに行ったと聞きましたが。
山本「行きました。木村さんと一緒に。」
(スタッフが当日まで木村さんに内緒でスペシャルゲストとして山本さんをお誘いしました!)
市川「えー、じゃあ誘ってくれたら俺も行ったのにー!」
山本「絶対来んやろ。」
(一同笑い)
市川「けどお店の人たち、やまけんが来てびっくりしただろうな。」
山本「いや、何も言われなかったよ。」
(実際には、対戦相手に「マジック、けっこうやるんですか?」と聞かれ、「あぁ、はい(やりますね。)」と答えるといったやりとりもあったそうです)

 

 

 

●アリーナとMOとリアルの違い

――今回はいつもより1週間遅いタイミングでの合宿ですが、皆さん「マジック・オンライン(MO)」や「MTGアリーナ」でドラフトの練習はかなりやってこられましたか?
市川「僕はアリーナでめっちゃやりました。」
八十岡「僕もアリーナでぼちぼち。」
渡辺「同じく、アリーナでそこそこやってきました。」
山本「俺はMOで10回とか、それくらいかな。」

――山本さんだけMO派なんですね。
山本「まだアリーナやったことないです。」

――アリーナではピックの相手がbotなので(対戦は人間相手ですが、ドラフトではAIがピックしたパックが回ってくる形)、「ドラフトっぽい何か」ではありますよね。
渡辺「さすがにドラフトの練習としてはMOのほうがいいと思うけど、アリーナでの練習もやったかいはあった。」
八十岡「やりたい色が何でもできるんで、アーキタイプごとの適正な形みたいのを作りやすい。」
市川「ちなみに俺は、MOのドラフトリーグよりはアリーナのほうが練習になると思ってます。対戦しない人間相手にピックするより、botのほうがいい。」
八十岡「たいして変わらんよね。」
市川「たいして変わらんのと、めちゃくちゃ強いデッキと当たる確率が、アリーナのほうが低い印象。MOのリーグって、『何これ!? 』みたいな、アンコモンとレアだらけのデッキにもよく当たるんですけど、そういうのはアリーナだとあんまりないかな。」

――AI相手なので、変な偏りが起きにくいんですね。
市川「平均的なデッキでやり合う感じになる。それに、アリーナはテンポもいいから回数たくさんできて、効率いいしね。」

――では、今回の合宿に際して、アリーナやMOなどで環境把握はだいぶ進んでいる状態でしたか?
八十岡「まあ、進んだ気になってはいましたね。」
市川「やっぱりリアルとは全然違うんで。」
渡辺「アーキタイプの相対的な強さとか……」
八十岡「取れるカードの枚数とか。」

――アリーナと違って、取りたいようには取れないということですか?
八十岡「アリーナは、やりたい色を決めてやったらどんなデッキでもだいたいできますね。」
渡辺「リアルだと自分のポジションを見てやらないといけないから、そうはいかない。」
八十岡「デッキとしての着地点はけっこう似た感じになるのかなと思いますけど。」

――ただ、やっぱりリアルのドラフトのほうが2、3枚足りなくなりますよね。
八十岡「どうかな、ちょっと足りなくなるくらい。」

――アリーナのドラフトだと門デッキ(ギルド門をたくさん入れ、《門破りの雄羊/Gatebreaker Ram(RNA)》《門の巨像/Gate Colossus(RNA)》《燃え立つ門/Gates Ablaze(RNA)》などを使う多色デッキ)がすごく強いですが、リアルだとどうですか?

門破りの雄羊 門の巨像

燃え立つ門

渡辺「リアルでも強いですけど、アリーナと違って1周後にギルド門が帰ってくるようなことはないんで。今回リアルでどれくらいできるのか試して、ギルド門を取る手順が全然違うなというのは感じました。」
八十岡「アリーナでは別にギルド門は取らなくても適当に拾えるから。リアルだとやっぱり《燃え立つ門/Gates Ablaze(RNA)》とか、わかりやすいカードが回ってくるか引くかしないとできないです。そこのバランス感覚が難しくて、かなりシビアですね。」
渡辺「特に、実際のドラフトだと自分のピックしたカードを(パックの合間以外は)見られないんで、全然違うなって。自分が取ったギルド門の枚数だけじゃなくて、どの色の門を取ったか全部覚えてないと、何を取っていいのかわかんなくなる。」
八十岡「どれならタッチできるのか、わかんないよね。『ぎりぎりタッチできるかな?』みたいなカードが取れない。門の色まで全部覚えなきゃいけないのはめんどくさい。」

――門デッキはアーキタイプとしてはあるけど、難しいんですね。

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●環境雑感

――続いてこの環境についての雑感をお願いします。
八十岡「強い人が勝ちやすい環境かなと。前の『ラヴニカのギルド』環境はボロスやディミーアの決め打ちができましたけど、今回は決め打ちしたから強いというアーキタイプはあまりないので。」
渡辺「MAX値が高いアーキタイプはあっても、前の環境のボロスとかに比べると決め打ちするほどではない。」
市川「ボロスやディミーアほどの鉄壁感はないよね。」
渡辺「アーキタイプの強弱が少なくて、決め打ちのメリットが少ない。」

――そうすると、差をつけるのはどれだけ勝ち筋があるか、とかになってくるわけですか。
八十岡「そうですね。勝てるカードが少ないんで、最終形を意識しないとマジで勝てないデッキになりやすい。」
渡辺「強いレアがめっちゃ多いんで、それにどうやって対抗するかとかも大事。2回に1回くらいは初手にレアを取ってる気がする。重い多色のレアを取ってもほぼデッキに入るんで。」
八十岡「前より多色化が許される環境なんで、多色レアから入りやすいっていうのはあるかもしれないですね。前は2色の強いレアよりも単色の強いコモンのほうがいいこともありましたけど、今回は2色のレアからでも裏目が少ない。」
渡辺「前の環境では、後手で2、3ターン目に何のアクションもしなかったら死んでたんですけど、今回は盤面を放置していてもたいしたことされないんですよね。序盤殴られてても、ロケットを置いて、4ターン目に5マナ域のクリーチャーを出したらだいたい止まる場が多いので。攻める力が弱くて、遅い環境だなと。」
市川「高マナ域にタフネス偏重のクリーチャーが多いよね。5マナ2/5警戒(《アゾリウスの騎士判事/Azorius Knight-Arbiter(RNA)》)とか、5マナ3/7(《地下墓地のクロコダイル/Catacomb Crocodile(RNA)》)とか。」
渡辺「接死持ちも多いんで、デカブツで殴るのもあまり正当化されないし。」
八十岡「《宇宙粒子波/Cosmotronic Wave(GRN)》みたいな、押し込むカードがラッパ(《燃えさかる炎/Burn Bright(RNA)》)くらいしかない。」

燃えさかる炎 名称未設定-1

――つまり、序盤の不利が積み重ならず、場がいったん止まったあとに多色のレアで決めることになりやすいと。グルールデッキは勝ちきれない、というのもそういう理由からですか?
市川「グルールとラクドスが今回のビートダウンカラーなんですけど、絡め手がないんですよ。ラクドスはまだ、場が詰まってから《不正相続/Ill-Gotten Inheritance(RNA)》とか威迫持ちとかでまだ押し込めるけど、グルールは点で攻める感じなので(高いタフネスのブロッカーに対処しないと勝てない)。」
渡辺「強いグルールはすごく強いんですけど、弱点もメチャクチャ多い。」
――では、ギルドの評価としてはグルールはつらめだと。
渡辺「ダントツで下ですね。」
八十岡「弱いうえに人気が高いのが最悪。卓1でやっとなのに、卓2になることが多い。」
市川「グルールのアンコモンとかが、けっこう魅力的なんだよね~。」
八十岡「+2/+2格闘(《野蛮な一撃/Savage Smash(RNA)》)とかもまあまあ遅い巡目で来るから、空いてるのかと思ってグルールに入るとだいたいゴミデッキになる。」
――逆に強いギルドは?
渡辺「赤が絡んでないオルゾフ、シミック、アゾリウスです。単純に赤が弱いので。」

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●初手に取りたいカード

――恒例の質問ですが、初手に取りたいレアカードは何ですか?
市川「僕は白黒エンチャント《天上の赦免/Ethereal Absolution(RNA)》で決まりですね。」
山本「俺も白黒エンチャントです。」
――昨日の全勝デッキによく入っていたとか。
市川「昨日は8個の全勝デッキが生まれたんですけど、この《天上の赦免/Ethereal Absolution(RNA)》が入ってたデッキが2つ、青のコンマジ(《集団強制/Mass Manipulation(RNA)》)が入ってたデッキが2つでした。」

天上の赦免 集団強制

市川「《天上の赦免/Ethereal Absolution(RNA)》は受けが広いのがいい。オルゾフだけじゃなくてアゾリウスにタッチしてもいいし。最悪、ラクドスコントロールみたいな形にタッチしても使える。」
渡辺「これがあればほぼ勝ちますからね。《集団強制/Mass Manipulation(RNA)》も強いですけど、白黒エンチャントと違って、こっちは使えない時もあるんで。」
市川「絶対に青ベースにしないと使えないからね。」

――アゾリウスとかでないと使いづらいですか?
市川「多色で使いたいよね。巻物泥棒(ダメージが通るとドローできる青の1/3、《門道の密行者/Gateway Sneak(RNA)》のこと)と相性がいいから。ギルド門出して殴って、ドローして土地が伸ばせる。」
八十岡「(《集団強制/Mass Manipulation(RNA)》を撃つなら)8マナで撃ちたいからね。」

――なるほど。
八十岡「あとは《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis(RNA)》もマジで強い。」
市川「あれ、あんまり使ってる人見ないけど、今回出てなくない?」
渡辺「俺、もう2枚取ってる。3-0したうちの2回は入ってたよ。」
八十岡「おいおいおい!(笑)。《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis(RNA)》はX=6で撃ったら勝ち。フィニッシャーとしても、ドロー&ライフゲインも、すべて兼ねてる。」
渡辺「あと僕が引きたいのは、《生体性軟泥/Biogenic Ooze(RNA)》ですね。」
八十岡「あれはお化け。」
渡辺「S級レアが多い環境ですけど、中でも《天上の赦免/Ethereal Absolution(RNA)》、《集団強制/Mass Manipulation(RNA)》、《生体性軟泥/Biogenic Ooze(RNA)》の3枚はSS級あるかなと。」
八十岡「マルチカラードロー(《ギルドパクトの秘本/Tome of the Guildpact(RNA)》)、好きなんだよなー。」
山本「へえー、それ強いんだ。」
八十岡「僕、初手に引きたいカードはこれでいいです。」
山本「控えめだね。」
市川「まあ強いし、アーティファクトを対策できるカードは全然ないからね。」

ギルドパクトの秘本 ハイドロイド混成体

生体性軟泥

 

 

 

●プロ制度変更について:MPL勢

12月に、マジックのプロ制度の変更が発表されました。プラチナやゴールドといったプロプレイヤーレベルがなくなり、それにともなって、大会で入賞してプロポイントを獲得し上のレベルを目指す、といったプロプレイヤーのあり方も変更を余儀なくされました。
代わりに、世界のトッププレイヤー32名からなる「マジック・プロリーグ(MPL)」がスタートし、Team Cygamesからは渡辺雄也さんと八十岡翔太さん、ほかに日本人としては行弘賢さんと佐藤レイさんがメンバーに選ばれました。彼らは年に7万5千ドルのプロ報酬を得て、デジタル版マジックである「MTGアリーナ」の大会で競い合うことになります。
同時に、今までの「プロツアー」は「ミシック・チャンピオンシップ」と名前を変えました。大会形式は今までと変わりませんが、ここで勝ってMPLへの加入を目指すというのが、今後のプレイヤーにとっての1つの目標となっていきそうです。

――前の取材から大きく世の中が変わりました。まず、MPLに選ばれた渡辺さんと八十岡さんは、アリーナでの大会とリアルの元プロツアー「ミシック・チャンピオンシップ」、両方に参加するわけですが、デジタルとリアルカードをどういう比率で両立していこうと考えていますか?
渡辺「大会の時期はかぶってないのと、種目がまったく別物なので……BO1のスタンダード(アリーナで採用される、サイドボードのない1本勝負のフォーマット)って、通常とはまったく別物のゲームなので、それがどれくらい違うかを把握するところからスタートですね。基本的にはプロツアーが年7回になったようなものかなと。」

――では、直前の大会に対して集中的に練習することになりますか?
渡辺「そういう感じかなと思います。逆に、グランプリには今までのような価値がなくなったので、正直国内グランプリも出なくていいかなと思ってるくらいです。」
市川「7回もプロツアーがあるって考えたら、同じ月にかぶってるグランプリとかには魅力を感じないよね。」
渡辺「次回のグランプリ・京都2019は、ミシック・インビテーショナル(MPLのスタートを記念した、64人のプレイヤーがアリーナで競う大会)の1週間前なので、正直出なくてもいいかなと。」
八十岡「でも(ミシック・インビテーショナル用の)デッキ提出は終わってるし、暇だからいいんじゃない?」
渡辺「あっ、そうか。デッキ提出が2週間前なんです。まあ、京都に行きはするかな。」

――グランプリにかける比重は軽くなりそうですね。
渡辺「今までの、グランプリでプロポイントを取らなくちゃいけないっていうのから解放されたんで、年7回の大会に対して集中することになりますね。なので、僕に関してはグランプリへの準備の分がまるまるアリーナに移行する感じです。」

――八十岡さんはどうですか?
八十岡「僕は基本、アリーナに集中ですね。リアルはほどほどに……いつも通りくらいで。結局プロツアーは今までの感覚と一緒ですけど、BO1は本当にゲームが違うんで、仕入れないといけない情報が多いと思ってます。なんでBO1の練習がメインになるかなと。あと、僕アリーナけっこう好きなので。」

――確かに、MOはもうほぼやってないそうですね。
八十岡「やってないです。アリーナのサクサク感がよくて、気づいたら5時間くらいやってる。単純に僕はゲーム自体が好きなんで、マジックじゃなくてもいいんですけど、アリーナより手軽にできるデジタルゲームってかなり世の中でも少ないはずなんで。」
市川「へえー! そうなんだ。」
八十岡「アリーナほど早いゲームってまずないから。ドラフト始めて全部終わるまで1時間とかだし。あと賞品のパックが増えてくのも好きなんで、『ラヴニカのギルド』のカードはドラフトだけで全部集めました。」
――それは相当やってますね!

――渡辺さんと八十岡さんは、1月末にシアトルで行なわれたMPLの「ブートキャンプ」に参加されたそうですが、どういうことを学んだんですか?
八十岡「大まかな内容しか言えないかな……。」
渡辺「ブライアン・キブラー(殿堂プレイヤーで、マジック以外もプレイする古くからの人気配信者)の配信講座が面白かったね。基本的なところから、配信してる人じゃないとわからないような、『そうだったんだ』っていうようなことも含めて、配信をやるときの心得をいろいろ教えるという。たとえば、食べ物を食べながらやらないとか。」
市川「へえー!」

――市川さんは、配信中にけっこう食べますよね(笑)。
市川「食う食う。ズルズルズルーッ!(麺をすする仕草)って(笑)。」
渡辺「その講座が、初日は一番長かったよね?」
八十岡「うん、疲れた。全部英語だったし。」
渡辺「通訳はいるんですけど、逐一全部しゃべってくれるわけじゃなくて、要点をまとめてくれるって感じなんで。」
八十岡「あとはアリーナの大会やシステム周りについて、どうしてほしいかとかフィードバックを話したり。」
渡辺「あと、ほぼ1日使って撮影もしましたね。アリーナの宣伝用に使うんだと思います。『アリーナへようこそ!』みたいな内容をしゃべらされました。」
八十岡「今度のミシック・インビテーショナルとかで流すと思いますよ。」

 

 

 

●プロ制度変更について:非MPL勢

――市川さんと山本さんに関しては、アリーナで2月のランキングでトップ8に入れば、ミシック・インビテーショナルに招待されるという発表がありましたが……。
市川「いやまあ、やっぱりプロツアー(ミシック・チャンピオンシップ)がありますからね。」

――やはりリアルのプロツアーのほうがメインですか?
市川「どれくらいのペースでアリーナをやればトップ8に入れるか、まったく見当がつかないんですよね。」

――廃人レベルじゃないとダメなのか、もしくは実力があれば意外となんとかなるものなのか……。
市川「さっきヤソと話してて、プロツアーの練習を全部アリーナにあてた場合は、15~20%くらいの確率でトップ8に入るんじゃないかという話だったんです。」

――おおー。微妙な確率ですね。
市川「でも、(プロツアーの前週の)グランプリ・メンフィスに行くことを決めちゃってるからなあ。それでも行けると思う?」
八十岡「向こうでアリーナやってれば、行けると思うよ。プロツアーまでにミシック(アリーナでの最高ランク)になっといて、プロツアー終わってから本格的に順位を上げればいい。内部システムがどうなってるか公表されてないから確実なことは言えないけど、たぶん最後の2日くらいしか価値ないから。」
市川「そうなんだ。」
八十岡「やったらポイントがたまっていくわけじゃなくて、レーティング制のはずだから。試合を数やっても、負けたら下がっていくから。」
渡辺「ミシックに上がった後に、どれだけ負けないかが一番大事だと思う。」
山本「じゃあ、マラソンとは違うんだね。」
八十岡「そう。レーティング制だと、最後のほうは、1回負けたら3回くらい勝たないと取り戻せないみたいになるはず。」
山本「じゃあ、ワンチャンあるかな。」

――八十岡さんが2009年に、MOでのプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得したときは、マラソン制度だったんですよね?
八十岡「あれは純粋にポイント積み重ね式なんで、やばかったです。負けても減らなくて、勝ったらポイントが入るシステム。」
渡辺「負けても下がらない、『シャドウバース』のマスターポイントみたいな感じですかね。」
八十岡「負けてもいいから、勝率や精度はあんまり関係ない。勝った数だけ。」
市川「起きたらまず、その日全部のデイリーイベント(MOでの大会。当時はリーグ戦がなかった)にジョインするんでしょ?」
八十岡「1時間ごとにトーナメントが始まるから、それをひたすらやってた。」
渡辺「僕は当時横で見てたけど、すごかったよ。」
市川「(プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの座を競っている)相手は3人交代制で回してたって説あったし。」
八十岡「でも、そういうことやってたのは最後の2週間くらいだけですけどね。もともと期間は1年あって、ずっとみんなダラダラやってて、残り2か月の時点で(1位の八十岡さんと2位の人との間に)200ポイントくらい差があったのが、そこから2週間前の時点までに170ポイントくらい差を詰められた。」
渡辺「ちなみに、1回のイベントで勝ってもらえるポイントは全勝して3ポイントです。」

――その激しいレースをなんとか走って逃げ切ったと。それを考えたら、アリーナでのランキング争いはまだやりやすそうですね。
市川「もしマラソン方式なんだったら、プロツアーに行くから絶対無理だと思ってやる気なかったけど、マラソンじゃないんだったら、アリーナで構築やってもいいかも。」
渡辺「最後の1、2日は胃に穴が開きそうだけど。」
八十岡「最後必死にがんばって、9位で終わってこうなる(ぐったりしたポーズ)。」
市川「でもまあ、アリーナで調整するかMOで調整するかの差だから、アリーナでやったほうがいいかなって感じ。プロツアーに向けての練習ができてリターンも入るなら、やり得でしょ。」

――山本さんにもぜひアリーナをやってほしいです。
渡辺「やまけんは気づいたら黙々とやってそう。」
山本「なんか俺、アリーナ向いてる気がしてきた。」
渡辺「本当、食わず嫌いでやらないのはもったいないよ。」

――あのMOが大好きな津村健志さんでさえ、完全にアリーナ派になったらしいですから。
渡辺「コガモ(津村さん)、年始に会ったとき『MO最高です』って言ってたのに、1週間後にはアリーナでミシックまで行ってたからね。」
山本「すごいな。」
市川「俺ももともとMO派だったけど、アリーナやり始めたら『いいじゃん』ってなったから。」
(みんなが口々に山本さんにアリーナを勧めまくる)
山本「じゃあ、やります。」
市川「配信やってても、『アリーナでマジックを始めました』みたいな人はすごいいるんで、アリーナには未来を感じるね。」
――プレリリースにもアリーナからのご新規さんが増えているそうで、マジックの新時代が来るかもしれません。今年は山本さんや市川さんにとっても、新たな挑戦が見られるかも? ということですね。どうもありがとうございました。


その後、無事アリーナデビュー
 

 

皆さんはこの合宿でリミテッドを仕上げて、週明けからはスタンダードの調整に切り替えて行くとのこと。来週末はRPTQで、そのタイミングに合わせて八十岡さんの家に集まり、構築合宿を行なうそうです。その翌週には渡辺・市川・覚前・行弘・高尾・川崎・原根・宇都宮の8人でグランプリ・メンフィスに行き、1週間滞在してそのままプロツアーのあるクリーブランドに移動と、どんどん忙しくなっていく予定です。
次にお届けするレポートは、プロツアー『ラヴニカの献身』の現地からとなります。どうぞお楽しみに!

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