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【MCVII】2019年を締めくくりにロングビーチへ【Day0】

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12月6日(金)~8日(日)、Mythic Championship VII(MCVII)がアメリカのロングビーチで開催となります。

MCVで訪れたロングビーチに再び、強豪が集いました。
世界中から選ばれた67名のみが参加しているこの大会に、今回はTeam Cygamesから2名が出場しています。MPLとしてすべてのミシックチャンピオンシップへの参加権利を持つ八十岡さんに加えて、今回は覚前さんが特別招待されました。
招待理由は特に明らかになっていないので推測ですが、プラチナレベルプロであることや、前回のアリーナMCに招待された市川ユウキさんとのチーム〈MUSASHI〉つながり、あるいは今年初めのミシックインビテーショナルへの出場などが評価されたのでしょうか。

今回もフォーマットはスタンダード。MCVからVIIまで3連続で『エルドレインの王権』スタンダードとなっていますが、最初のMCVは《死者の原野/Field of the Dead(M20)》対《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns(ELD)》の合間を縫ってハビエル・ドミンゲス選手のグルールが優勝し、続くMCVIでは《死者の原野》が禁止となったため、スゥルタイ・フードとシミック・フードが大勢を占める「食欲の秋」となりました。
そして今回、MCVIIではフードデッキの根幹となっていた《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns(ELD)》《むかしむかし/Once Upon a Time(ELD)》《夏の帳/Veil of Summer(M20)》が禁止となり、大きく環境が変わりました。
前日に発表された全員のデッキ分布を見ると、いわゆる「猫かまど」と言われるサクリファイス系と、《創案の火/Fires of Invention(ELD)》デッキが2強。そこへアドベンチャー系とフラッシュ系が食い込んできたような感じになっています。
はたしてどのデッキが勝ち上がるのでしょうか?

 

 

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ロングビーチはアメリカ西海岸のロサンゼルスの南側に位置するリゾート地です。町並みは全体的にレトロでかわいらしい雰囲気。気温18度くらいでやや暖かく、日差しが明るくて道に花や木々が多いこともあり、南国ムードが漂っています。

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ロングビーチの街中にある劇場前広場に、超巨大なクリスマスツリーが。夜になると町のあちこちがクリスマスのライトアップで華やかでした。

 

 

 

●前日インタビュー

大会前日、八十岡さんと覚前さんは朝から昼過ぎまで大会用の撮影や、動画インタビューなどを収録。
ただ覚前さんは乗り継ぎのトラブルで荷物が届いておらず、前日の私服のまま撮影せざるを得なかったのと、ちゃんと荷物が届くかどうか心配でテンション低めだったそうです。
その後は2人ともホテルでゆっくり休み、夜に晩ご飯を兼ねて簡単に取材を行ないました。

 

――まず、覚前さんはどういった調整を経てこのラクドス・サクリファイスを選びましたか?
覚前「11月18日に禁止改定が出て、そこからデッキ提出まで10日間くらいだったんですけど、最初はとりあえずアリーナのランクマッチを3日くらいやって、まあまあいいデッキができたなと。その後友達に電話して……前から仲いい加藤一貴なんですけど、練習付き合ってもらったらそのデッキが確かによさそうってなったんで、それから1週間かけて2人でそのデッキをブラッシュアップしていった感じです。
毎日10時間くらい練習してたんですけど、そのうち毎日4時間以上は2人で通話しながら、画面共有して僕のプレイングが正しいかどうか相談したり、環境にある主なデッキを10種類用意してもらって順番に回してもらって、それぞれのサイドプランを考えたりしてました。」

――そういう練習ができるのはすごくありがたいですね。普通にランクマッチだけやってたら、当たりたいデッキには当たらないですし。
覚前「めっちゃ助かりました。残り6時間のうち、4時間はアリーナで練習して、2時間はいろんな人の配信見てました。放送見るのが好きなのはオンドレイ君(Ondrej Strasky)とかジェンセン(William Jensen)なんですけど、今回は見たいデッキ回してる人をツイッターとかで探して、無差別に見てました。」

――配信を見るのが練習に不可欠だと、前回(http://team-cygames.com/2019/11/17/6263/)も言っていましたもんね。サクリファイス系デッキはジャンドとかのパターンもありますが、ラクドスになったのはなぜですか?
覚前「序盤からプレッシャーをかけられるデッキがもともと好きなのと、今回試した主なデッキ10個のうち、8個には相性がいいんですよ。残り2つは、ジャンドサクリファイスには五分で、ジェスカイファイアーズには不利です。」

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夕食はシーフードレストランにて。八十岡さんが付け合わせに「ホウレンソウとニンジン」を頼んだら、なぜか「ホウレンソウとホウレンソウ」になってしまい、ポパイみたいになっているところです。

 

――それでは、八十岡さんのほうはどういう調整でこのデッキになりましたか?
八十岡「忙しくてあまりプレイできなかったんでいろんな人の配信見たりして、かまど系とスカイファイアーズがトップ2だから、そこに弱いデッキは持っていきたくないなと。脳内でそれに対して強そうなデッキをいくつか考えて、コントロールチックなデッキも試してみたけど、環境的に受けるデッキはかなり弱い。通ったら負けってカードが多くて、受けてても最終的に《パンくずの道標/Trail of Crumbs(ELD)》が通って5枚くらい引かれてアドバンテージ取られるとか、そういうのがあるから、攻めるデッキのほうがいいなと。
で、かまどデッキはムラが激しいんであまり好きじゃなくて、そもそも《創案の火/Fires of Invention(ELD)》が使いたかった。で、どういう形にするかですけど、ジェスカイはあまり強くないと思ってて、《成長のらせん/Growth Spiral(RNA)》かマナクリーチャーから3ターン目に《創案の火》を貼るのが一番強いから、前のプロツアーのときもけっこうファイアーズ回してたんで、それをベースにいろいろいじった結果こうなりました。」

――《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns(ELD)》がいなくなった今こそ《創案の火》、ということですね。
八十岡「最初はマナクリーチャー型を試してたんですけど、土地が詰まって《創案の火》がちゃんと生きない展開が多いのと、マナクリーチャーばっかり引くと何もしないデッキになるのでやめました。マナクリーチャーがいなければ、相手の《轟音のクラリオン/Deafening Clarion(GRN)》とか《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant(ELD)》とかを腐らせられるんで、除去が効かない構成のほうが強いなと。
あと、この構成ならいったん《創案の火》を貼れば土地以外引いてもほぼ有効牌だから、グダっても勝てる。マリガンに強い構成でもありますね。今のスタンダード環境、平均マリガン数が0.7くらいあると思ってて、かなりマリガンするので。」

――2強デッキに対してはメタっていると思いますが、それ以外のデッキに対しての相性はどうなんですか?
八十岡「フラッシュ系がちょっとあやしいかな。今回、イゼットフラッシュとシミックフラッシュが合わせて10%くらいいたんで……。やってる感じ、サイドそこそこ取ってるのでけっこう勝ちはするんですけど、メインはやっぱりきつい。まあこっちはマストカウンターを連打するので、2ターン目に2/1フラッシュ(《塩水生まれの殺し屋/Brineborn Cutthroat(M20)》)を出されなければ、どこかで向こうの手が尽きますね。あと赤黒アグロもきついけど今回いないんで。」

――「dream」というデッキ名の由来は?
八十岡「子供の夢を詰め込んだデッキということで(笑)。相手に対しては悪夢の可能性もあるし。」

――なるほど、うまいですね。
八十岡「2ターン目《成長のらせん/Growth Spiral(RNA)》から3ターン目に《創案の火/Fires of Invention(ELD)》貼ればまず負けない。そこからのバリューは世界一のデッキなんで。」

覚前「でもそんなに回らんよね?(笑)」

八十岡「《金のガチョウ/Gilded Goose(ELD)》→《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns(ELD)》と同じくらいだよ。」

覚前「でも《金のガチョウ》は《むかしむかし/Once Upon a Time(ELD)》で探せるじゃん。」

八十岡「一応このデッキも占術土地7枚入ってるから、それで探せるよ(笑)。」

覚前「デッキが未知数すぎてわからへん(笑)。」

――実際に回ってるところを見ないとよくわからないですよね。全体のデッキ分布を見て、どんな印象でしたか?
八十岡「フラッシュがちょっと多いなくらいで、だいたい予想通り。ジェスカイファイアーズに強いから持ってくる人はいるだろうと思ってましたけど。2日目から出場のジェンセンが持ってきてるのは、ジェスカイファイアーズがかまど系を倒して上がってくるって読みなのかなと思います。」

――覚前さんはどうでしたか?
覚前「ジェスカイファイアーズが少なかったらいいなって願望はありましたけど、やっぱり多かったですね。そこがちょっと心配です。」

――今回の目標は?
覚前「日曜日に行ってみたいなというのはあります。でもフィールドがあんまりよくないから……。フラッシュ系全般にはかなり相性いいから、そういうところに当たれれば。」

――MPLに当たるか、そうでないかでも難易度はけっこう変わってくる印象があります。
覚前「まあ、相手がうまいと自分のパフォーマンスを出し切れないってことはありますね。対応がうまいと自分の想定と違ってて、ミスって負けるみたいな感じで。その点で言うと、自分がやりこんでるデッキであれば、どういう相手であろうとミスはしにくいので。」

――八十岡さんはいかがですか?
八十岡「今回は準優勝以上。そうするとワンチャン世界選手権出場なんで。ポイント的には0-4も3-4も一緒ですね。」

――お2人ともがんばってください!

 

 

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デザートに頼んだのは、砂糖がたっぷりかかったドーナツにシロップをしみこませ、バニラアイスとキャラメリゼしたナッツを添えた、“スイーツ界の二郎”のような一皿。

八十岡さんは2日目からですので、明日は会場で配信を見ているとのことでした。
さて、今年最後のMythic Championshipでの彼らの活躍やいかに? 市川さんも解説として3日間出演する公式の生放送をぜひご覧いただきつつ、Team Cygamesレポート記事をお待ちください!

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