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【PTSOI】初の海外合宿を経て、いざマドリード!【Day 0】

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スペインのマドリードで開催のプロツアー『イニストラードを覆う影』が、いよいよ今日4月22日(金)からスタート。21日(木)は前日受付が行なわれる日ですが、取材班は現地到着が遅かったため会場には行けず、ホテルでチームメンバーと落ち合って夕食をとりながら今大会の準備についてお話をうかがいました。
 

 
●一軒家での合宿

今回、チームメンバーのうち山本賢太郎さんと渡辺雄也さんはマドリードに前乗りし、練習合宿を行なっていました。メンバーはまず、先週末のグランプリ・北京2016からそのままスペインにやってきたのが5名。山本さんと渡辺さんのほか、HareruyaProsの津村健志さんと井川良彦さん、発売直後の合宿にも参加していた石村信太朗さん。そして北京からいったん帰宅してあとからやってきたのが、グランプリ・神戸2016優勝者の平見友徳さんと同じくベスト4の藤村和晃さんの2名です。
計7名で、3階建ての一軒家をレンタルし、寝食をともにして練習しました。1日中マジックに没頭できてとてもはかどったとのことです。食事は、時間を節約するためにスーパーで買い出しした食材を使ってパスタを茹でたり、サンドイッチを作って食べたりしたそうで、とても楽しそうですね。
一方、市川さんと覚前さんは昨夜日本を出発して今日のお昼に現地入りし、合流しました。市川さんは都合がつかず合宿には参加できませんでしたが、合宿の進捗をネットでやりとりして外部オブザーバーのようになっていたそうです。
なお、海外勢の行なう合宿に日本人が参加するということは今までにもありましたが、日本勢だけで海外で合宿を開くのは今回が初めてではないかということでした。

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合宿を行なった一軒家の内装と外観、キッチンで料理する山本さん(撮影:井川良彦さん)

余談ですが、皆さんが北京からマドリードへ来る際はドバイを経由する飛行機だったのですが、北京発の飛行機が遅れたため乗り継ぎが間に合わず、ドバイで7時間も足止めされてしまうことに。しかし、カタール航空の待遇がよく、次の振り替え便に乗るまでの間ホテルに泊めてくれ、朝食や昼食も食べることができたそうです。
ドバイは豪華絢爛で信じられないほど海が青く、貴重な経験ではあったみたいです。

 

 

●スタンダードの調整&芋掘り

合宿では主にスタンダードの調整を行ないました。主力デッキを数多く持ち寄り、手分けしてリーグ戦のような形で対戦を重ね、勝率によって最終的に3つのデッキに絞り、あとはそれを個人の好みで選び微調整するということになりました。
そんな中、市川さんは「日本からゴミデッキを投げつけてみんなの時間を消費させるという重要なポジションをこなした」そうです。(笑)
市川さんから送られてきた「芋デッキ」のアイディアをもとに、合宿中のみんなで「芋を掘った」けれど、30分くらいでこの芋は食べられないということがわかりましたと言っていました。また、覚前さんも北京から帰った後、地元で「たまちゃん」こと玉田遼一さんと2日ほど朝9時から終電まで練習を続けていたそうなのですが、そこにも市川さんから「芋を投げつけられて」、1時間くらい調整したけどだめダメだったそうです(すかさず「1時間も使ったんだ!」と突っ込む渡辺さん)。市川さんいわく、「この環境のデッキビルドは難しい。宝石を掘るのは無理だけど、芋は100個投げれば当たるかもしれない」とのことでした。

 

 

●ドラフトのルール変更について

日本時間で20日(木)の未明に、「プロツアーでのドラフトは両面カードが見えないようスリーブに入れて行なう」という発表があり、ドラフトの戦術が大きく変わりました。しかし、今回の合宿ではドラフトに関しては練習をしていません。発売直後の合宿やグランプリ・北京2016で十分練習できるだろうから直前はスタンダードに注力するつもりでスケジュールを組んでおり、練習用のパックも持ってきていなかったためです。
両面カードありのドラフト戦術については前回の記事でくわしく触れていますが、この変更によって、どんなふうにドラフトが変わりそうかという予想を聞きました。

渡辺「僕は今日会場で1回軽くドラフトやりましたけど、全然別物ですね。」
覚前「普通のドラフトに戻りました。」
山本「単純に上の取ったものがわからなくなって、きれいに住み分けることはしづらくなりました。だからこそグチャったときの抜け道とか、いろいろな逃げパターンを持っている人が有利だと思います。」
市川「両面があると、本来ならニュアンスで色を汲み取ったりしなきゃいけないところを物理的に簡単に主張できるので、下手な人でも勝てる環境だったけどそうじゃなくなったかなと。」
おおむね、変更自体はいいことだけれども発表のタイミングが急すぎて練習できなかったので、せめて1週間前に発表してほしかったという意見でした。

 

 

●意気込み

最後に、プロツアーへの意気込みと目標成績を聞きました。
「長男」こと山本さんは今プロポイントが36ポイントあり、かなり好調なので今回のプロツアーでプラチナへのさらなる上積みを目指します。ただ今回のスタンダードは、“いいデッキ”ではあるけれど“ものすごくいいデッキ”というほどではないため、ドラフト5-1、スタン6-4が目標成績とのことです。
「次男」の覚前さんは「この中では僕だけちょっと(プロポイント的に)マズイですね(^ ^;)」と言いつつ、目標は「ドラフト4-2、スタン7-3できたらいいな」とのこと。
市川さんは「今回のデッキはビジュアルが強い。デッキはアートと一緒で、ビジュアルが強いというのは、今まで僕がさまざまなデッキリストを見てきて、強いデッキを美しいと感じたことが経験則として蓄積されているんです」と力説。3日目、ベスト8に残っていなければニコニコ生放送のゲスト解説に呼ばれる予定だそうですが、「ドラフト5-1から、構築7-2-1で……残念ながらゲスト解説は辞退することを目指して頑張ります!」と宣言。
それを聞いて末っ子の渡辺さんは「じゃあ、僕は決勝で瀬畑さんを倒します!」とのことでした。今回のプロツアーは、殿堂入り投票直前の大事な大会なのでいい成績を残すべく、好みではないけれど合宿でダントツの高い勝率を上げたデッキを自分の流儀に反しても使おうと思っているそうです。
それでは、本番の結果をどうぞお楽しみに!

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