【PTEMN】Team Cygamesシドニー合宿からプロツアーまで【Day0】
いよいよ今シーズンを締めくくるプロツアー『異界月』がやってきました!
Team Cygamesのメンバーのうち山本さん、覚前さん、渡辺さんの3名は、プロツアーの前週7月30日~31日にシドニーで開催されたグランプリ・シドニー2016に出場し、そのままシドニーに滞在。総勢12人で合宿を行なってスタンダードのデッキを調整しました。
●合宿前のいろいろ
――グランプリ・シドニーはどうだったか、簡単にうかがえますか?
山本「僕は3敗だったんで、まあまあよかったです。シールドが8-1、ドラフトが2-1、2-1。プロポイント2点は欲しかったんですけど、3点取れたので今回のプロツアーが楽になってよかったです。」
覚前「初日は7-2、2日目は0-3と3-0でした。1回目はデッキは強かったんですけど、慣れてないレア……《老いたる深海鬼/Elder Deep-Fiend(EMN)》とか使ったので、プレイするタイミングとかが難しくて、うまくプレイできてたら2-1くらいはできてたかもしれない。3-0したほうは、その段階でもう5敗だったから、卓の人がみんなレア取りばっかりしてたみたいで、その中でまじめにドラフトやってたのは僕くらいで、強いデッキができました。」
渡辺「初日は、デッキが弱かったんですけど《ギトラグの怪物/The Gitrog Monster(SOI)》と《墓所破り/Cryptbreaker(EMN)》に助けられて8-1でした。2日目は1回目のドラフトで、フィンケル(Jon Finkel)、BBD(Brian Braun-Duin)やオーウェン(Owen Turtenwald)のいる凄まじい面子の卓に入って、フィンケルとBBDには勝ったんですけど、最後に知らない方の《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope(EMN)》に負けました(笑)。2回目はリリアナとナヒリ、プレインズウォーカーを2枚引けたんですけど、あまりうまく生かせなくて1-2でした。」
――続いてその後の合宿についてうかがいたいのですが、トラブルありましたよね…。
渡辺「そうですね(苦笑)まず、7月28日(木)に先に5人が着いたんですけど、暖房すらない監獄みたいな宿で、これはやばいと。練習場所もちゃんと取れないし、事前に確認していた話と実際行ってみてハウスオーナーが言う内容が違ってて。しかも部屋の壁が一部ないところがあって、布がかけてあるだけなので外気がビュービュー入ってきちゃうっていう…。でも僕らの一存だけでは決められないので、あとから来る7人を待って、みんなと相談して別の場所を探しました。」
山本「そういうの三原さんがまとめてくれたから助かったよね。」
渡辺「金曜の夜に新しいところに移動したら、すごく環境はよくなったんですけど、ほぼ2日間あまり練習できなかった感じですね。そのあと土日にグランプリに出て、実質的な合宿は8月1日(月)~4日(木)です。」
最初の宿のベッドに寝る行弘さん。
広く夜景もキレイで、のびのび練習できた移動後のホテルにて。
●合宿の模様
合宿の参加メンバーは山本さん・覚前さん・渡辺さんのほか、松本友樹さん、三原槙仁さん、津村健志さん、井川良彦さん、高尾翔太さん、井上徹さん、玉田遼一さん、藤村和晃さん、行弘賢さん(順不同)です。
――12人で役割分担をしたんですか?
渡辺「月曜日は新しいデッキのアイディアを出す日にしようということで、新デッキを作る組と既存のデッキを回してアップデートする組に、適材適所で分かれました。新デッキを既存のデッキと戦わせていくと、既存のデッキも強くなっていくので。火曜日はそこで生き残った新デッキのアップデートをして、後半からはサイドボードの調整も始めて、水曜には各々使うデッキをほぼ固めて、細かいところを煮詰めるのに重点を置きました。僕とやまけんは既存のデッキ組、覚前は新デッキ組でしたね。」
――新デッキ組はどんな感じでしたか?
覚前「1日に1人1つか2つはデッキを作って、“門番”と戦って、このデッキはいけるってなったらもう片方の既存のデッキ組のほうに送り出して、最終判断するみたいな形でした」
山本「井上君がずっと門番やってくれてたね。」
――門番は既存のデッキを使ってるんですか?
覚前「SCGで優勝したバントカンパニーです。使用率も高かったし、それを倒せないようでは話にならないってことで。」
渡辺「10回ずつくらい戦って、負け越すようなデッキはだめで、5分5分くらいだったら感触しだい、7-3くらいあれば検討に値するって感じでした。」
――では、生まれては没になっていったデッキがたくさんある?
渡辺「覚えてないけどけっこうありますね。」
全マッチの勝敗をデータで残し、客観的に判断できるようにしていました。
――合宿中、日本とのやりとりは?
渡辺「日本にいるせばちゃん(市川さん)、瀧村(和幸)さん、KK(加藤健介)さんとかとも情報共有はしてたんですけど、文章で意見交換するのはけっこう難しくて、時間制限もあるので、日本との連携は次回の課題ですね。」
市川「難しかったですね。」
――日本にいた市川さんのほうは、7月30日(土)にBMO(BIG MAGIC主催の大会)に出場されていましたね。
市川「その前の晩に瀧村さん、加藤さんと、どういうデッキが一番伸びしろがあるか考えて、いろんなバリエーションのある緑黒を試してみようということで、同じデッキを作って、BMOに出ました。それで、誰もトップ8に入れないようならデッキとしてはあまり強くないという判断基準でやったら、誰も残らなかったので、こんな感じのデッキで出たけどいまいちだったよという情報を投げた感じです。で、翌日にヤソ(八十岡翔太さん)と一緒に練習しようって話になったんで、BMOで浅原(晃)さんが使ってた面白いドレッジデッキを、あーだこーだ言いながら調整してみたら、思ったよりバントに勝てなくて心折れたりして、そんな紆余曲折を経て今に至ります。」
渡辺「あのデッキ、バントにそんなに強くないからね。」
市川「プレイの仕方がわかってたら、バントがやや有利になる。」
――浅原さんがBMOで勝ったのは、デッキ内容が知られてなかったからというのが大きいですね。
市川「そう。まあでも、デッキリストをどこまで公開されてる状態でどこまで勝ったかに重きを置く基準は難しくて、ローグデッキはデッキが知られてないこと込みで強いと思うんですよね。判断が難しいところです。」
●はたしてどうなる?
――日本でも合宿組でもバントカンパニーを仮想敵として、どう勝つかをコンセプトにしていた感じですか?
市川「そうですね、でも僕はバントカンパニーが好きなので、いろいろバージョンを作ったりしてました。バントに勝てるバントとか、バントに勝ちに来てるデッキに勝つバントとか。」
渡辺「どのパターンが勝てるのか、ふたを開けてみないとわからないね。」
――ずばり、今大会の環境予測は?
市川「いろんなパターンのバントが3割以上……4割はいなさそうですけど。」
渡辺「それにバントに勝つためのデッキ……前からいる緑白とかも1割弱はいるだろうし、黒コントロール系も1割くらいはいそう。」
――合宿参加組の3人は合宿でデッキを決めたということですが、自信のほどは?
渡辺「あんまないです。」
――えっ、そうなんですか。
覚前「ちなみに僕はめっちゃないです。」
――デッキの出来上がりに自信がない?
渡辺「メタデッキで、全体的にやや有利な想定なんで、手ごたえはそこそこなんですけど、使われるとまずいカードが1枚あるんで、メタ的に大丈夫かどうかはやってみないとわからない感じです。」
覚前「対戦相手があまりわかってなければ戦えると思うけど。」
渡辺「サイドボードにも奇抜なアイディアを入れてるので、そういうところは多少武器になるかなと思います。」
山本「正直僕も、今回使うデッキはあまり回してないので、プレイの精度的に、自分の経験値が足りてないところはちょっと不安です。合宿で一番勝率がよくてサイドも完成されてるんでデッキは心配してないんですけど。」
市川「俺は宇宙一バントカンパニーがうまいので、バントカンパニー使いますよ! 俺のバントカンパニーという黒塗りの高級車には、リー・シー・タンすら突っ込んでくるからね(笑)。」
――では、今季最後のプロツアーとなる今回、改めて目標をお願いします。
山本「あと上乗せ2点でプラチナなので、6敗1分以上です。まあ、感覚的にはゴルフで2メートルのパットを沈めるくらいかなと。」
市川「そうとう行けそう。」
覚前「僕は4敗でゴールド目指します。」
渡辺「僕は世界選手権に出られるだけのポイントを稼ぐというのが目標です。僕は今アジア枠3位なので、誰かに抜かされたら落ちるし、その場合は世界の補欠枠みたいなほうに回るんですけど、そこにひっかかるくらいのプロポイントを確保したいです。」
市川さんはどうですか?