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Cygames&晴れる屋対談 ~ともに目指すマジックの地平~

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このたび、山本賢太郎プロがHareruyaProsからTeam Cygamesに移籍したことをきっかけに、Cygamesの木村唯人と晴れる屋代表の齋藤友晴氏、両者の対談が実現した。
ともにマジック「マジック:ザ・ギャザリング(以下マジック)」業界の発展を目指す2人が語る大きな夢とは?

齋藤友晴

齋藤友晴
マジック専門のカードショップ「晴れる屋」の代表取締役社長であり、同店所属のプロチーム「Hareruya Pros」の一員としてプレイヤーとしても活躍。

 

木村唯人

木村唯人
Cygames常務取締役で、Team Cygamesの仕掛け人。本人もマジックプレイヤーであり、前回のグランプリ・千葉2015では2日目にも進出している。

なぜTeam Cygamesは生まれたのか

齋藤:
今回の話、僕はすごくわくわくしてます。やまけん(山本賢太郎)は10年くらい前、僕が東京に出て来たとき、最初にいたコミュニティが一緒で、それ以来の付き合いなんです。ここ数年のすばらしい成績と今回Cygamesさんにいただいたチャンスで、「マジックで生活していきたい」って希望を実現しやすくなったと思うので、応援したいですね。
クールというか、シャイなやつですけど、市川ユウキさんと仲がよくて、その2人が同じチームで軸になるというのは、すごくいい相乗効果がありそうだし、面白そうだと感じてます。
とはいえ、けっこう突然でしたよね?

 

木村:
そもそもTeam Cygamesを作りたいと思ったのは、e-Sportsが流行っていて、「League of Legends」とかは大きなスポンサーがついてプロプレイヤーが生活できるレベルになってる中で、うちもゲーム業界のプレイヤー側に貢献したいと思ったとき、僕がマジック好きだというところからです。中学のころからマジックをやっていて、社会人になって遠ざかっていたんですが、『タルキール覇王譚』から復帰しています。
あと、日本人が強くて世界と戦えるレベルなのも、マジックの注目すべき点ですね。世界中の人がやっているゲームで、日本人がこれだけ強いというのはもっと注目されるべきで、もったいないと思うんですよね。

 

齋藤:
日本のプレイヤーは、あまり統率のとれてない状態でも地力が強くて勝ってるから、もっと協力体制をとれる環境が整ったりやり方が一歩進んだりすれば、もっと圧倒的に勝てるポテンシャルがあると思います。
今、あまり統率がとれてないのは、みんなそれぞれ仕事を持っていて、同じように時間やタイミングを合わせて練習できないっていうのも1つの理由なんですよね。そこで、スポンサーがついてプロとして生活していければいいのかなと。

 

木村:
そうですね。うちが入ることによって、ほかの会社からもスポンサーが入ってくるんじゃないかと期待しています。プロとして生活している人がいればみんながそれを目標にしやすいだろうし、まずは環境作りの第一歩として始めようと思います。

 

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マジックでは、招待者のみが参加できるトップレベルの賞金制世界大会「プロツアー」が年4回開催されており、最近のプロツアーにおいては、日本の選手たちが決勝ラウンドでたびたび活躍している。 プロツアー『ニクスへの旅』準々決勝で、当時世界ランキング2位のReid Dukeを打ち破った市川ユウキ(右)。
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

 

 

02

渡辺雄也(左)は日本最強のプレイヤーとして世界に名を知られている。写真はプロツアー『タルキール覇王譚』の準々決勝より。
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

 

 

03

プロツアー『タルキール龍紀伝』で準優勝した八十岡翔太(左)は、長年の功績を認められ「プロツアー殿堂」にも選ばれている。
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。

 

日本のプロリーグ

齋藤:
Cygamesさんがスポンサーになったと初めて聞いたときに一番ワクワクした思いつきがあって、国内のプロリーグみたいなのがやれるんじゃないかと。今の段階ではまだまだかもしれないですけど、数年後とかにはやれたらいいな。

 

木村:
やりたいですね。

 

齋藤:
ほかのスポーツみたいなプロリーグ……全部のチームにスポンサーがいて対戦するマジックの大会は、ほかのどこの国にもまだないですからね。
あとそういうのができたとして、野球のドラフト会議みたいなことをやったらおもしろくないですか? まだスポンサーがついてない人を集めて大会をやって、新人を発掘して指名するとか。

 

木村:
プロ発掘も兼ねてるような大会をやれたらいいなと思いますね。たとえば「Cygames Cup」を開いて、上位の人を晴れる屋さんとうちで取り合って、交渉のテーブルについてもらうみたいなのとか、いろいろ考えられますね。

大規模賞金制大会

木村:
「Cygames Cup」をやるなら、どちらかというとグランプリのようなのをやりたいんですよ。自由参加で大規模なものを年に数回。勝った人たちとうちのプロたちとで、エキシビジョンマッチをやったりしてもいいし。

 

齋藤:
今のところグランプリにあってそれ以外の大会にないのは、上位に入るともらえるプロツアーの権利で、そこは多くの競技プレイヤーにとってかなり大事なんですよね。プロツアーの権利がなくても、どれだけスペシャルなものを提供できるかが、盛り上がるための鍵かなと思います。

 

木村:
たくさん人を集めて実績を作っていけば、いずれプロツアーの権利もつけてもらえないか、お願いできるかもしれない。

 

齋藤:
そうですね。まずは実績を積み重ねていくのがいいですよね。

 

木村:

じゃあ日本選手権でもやりましょうか。
こないだスクウェア・エニックスさんがグランプリで「LORD of VERMILION III」の試遊台を置いたりしてましたよね(※編注:マジックとのコラボを記念して、グランプリ・静岡2015で試遊台の設置とプロモカードの配布が行なわれた)。
携帯ゲーム業界でも、あんな感じで試遊台を置くためにスポンサーを募る、ということもやればできると思うんです。日本独自の大会を開いてスポンサーを集めれば、賞金や副賞もつけられると思うし。イベント会社も絡めて、いろいろできるかなと。

 

齋藤:
いいですね。そこで優勝するとプロへの道が開ける!とか。

 

木村:
サブチームみたいなのも作ろうと思っているので、トップ8はそこに入る権利がもらえる
とかですかね。

 

齋藤:
ああ、二軍で活躍したら一軍に上がれる仕組みはいいですね。やっぱりプロにつながるかどうかでモチベーションが変わる人はいると思うので。

無限の可能性

木村:
ゲーム業界から見ると、マジックプレイヤーはいいお客さんになりうるので、「スポンサーになりたい、広告出したい」とみんな思うはずなんですよ。みんなまだ知らないからそうなってないだけで。

 

齋藤:
そうですね。マジックプレイヤーはみんなけっこうお金持ってますし(笑)、根っからゲーマーですからね。

 

木村:
これをきっかけに、マジックプレイヤーがTCG業界以外にも広く認知されてスタープレイヤーが生まれて、日本独自の大きい大会にスポンサーがたくさんついて賞金もたくさん出て……というのが最終的にできたらいいなと思ってます。今は大会に出る競技人口がめちゃくちゃ増えてるから、チャンスですね。

 

齋藤:
そうですね。気が早すぎますけど、大会やるならぜひ運営手伝わせてください!

akusyu
それぞれ立ち位置は違っても、日本のマジックのさらなる発展と「ワクワク感」を求める2人。これからどんなことが実現していくのか、皆さんの目で確かめてほしい。

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