【WORLD】1日目構築ラウンドまとめ【Day1】
大会を観戦していた覚前さんも一緒に晩ご飯へ。
スタンダードが始まる4ラウンド目、さっそくフィーチャーされたのは八十岡さんでした。英語版のプレイヤー紹介で「普通じゃないカードを使う」と紹介されており、八十岡さんがどんなデッキを持ってきたのか、皆さん興味があったようです。
紹介文に「メタゲームを攻めるためにunusual(普通じゃない)カードを選ぶ、傑出したデッキビルダーとして知られている」とあります。
4ラウンド目のフィーチャーマッチに八十岡さんが登場。1ゲーム目は《王神、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, God-Pharaoh(HOU)》の上から《破滅の刻/Hour of Devastation(HOU)》を撃つという見せ場を作り、深夜3~4時ごろでだいぶ眠くなっていた日本の生放送視聴者の皆さんの目を覚まさせたのではないでしょうか。
そしてスタンダード4回戦ののち1日目が終了すると、3人とも「相手が全員強すぎて、プロツアーよりずっと疲れる」と疲労困憊の様子でした。プロツアーよりは1ラウンド短いのですが、レベルの違いが如実に疲労度となって表れるようです。
デッキレシピが5ラウンド目の段階で公開となっていますので、今日の戦いとデッキについて聞きました。
●渡辺雄也の場合
ジェリー・トンプソンさんとの試合
1日目ドラフトラウンドの戦績
1-2
1日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績 4-3)
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
4 | 青黒コントロール(Gerry Thompson) | 負け |
5 | 赤単(Marcio Carvalho) | 勝ち |
6 | トレジャーレッド(Donald Smith) | 勝ち |
7 | 赤単(Christian Calcano) | 勝ち |
4《森》 1《島》 2《山》 4《植物の聖域》 2《隠れた茂み》 2《根縛りの岩山》 3《尖塔断の運河》 4《霊気拠点》 土地(22)
クリーチャー(23) |
4《霊気との調和》 4《蓄霊稲妻》 3《削剥》 1《慮外な押収》 2《霊気圏の収集艇》 1《反逆の先導者、チャンドラ》 呪文(15) |
1《多面相の侍臣》 3《チャンドラの敗北》 2 《呪文貫き》 2《否認》 1《ジェイスの敗北》 2《慮外な押収》 2《反逆の先導者、チャンドラ》 2《生命の力、ニッサ》 サイドボード(15) |
――デッキ選択の理由を教えてください。
渡辺「イクサランのカードを入れたデッキをいろいろ試したけど、赤単とティムールを仮想敵にすると勝てなかったんです。最終的に赤単かティムールかの二択で、赤単もかなり強いんですけどティムールが好きだったんで。」
――赤単と対戦するとティムールのほうが有利なんですか?
渡辺「基本的にはティムールのほうが若干有利、くらいです。後手番でまくれる要素があるので。」
――デッキの調整ポイントとしては何がありますか?
渡辺「できるだけ事故らないように。4色にしなかった点です。あとメインに《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》を2枚入れて赤単へのガードをすごい上げてます。」
――実際、赤単に当たって3回とも勝っていますね。
行弘「4色ティムールともけっこうやったけど、純正のほうが強いかなと。」
渡辺「M10ランドが入って緑赤ベースにしたほうがマナが安定するから、3色目の青と4色目の黒を捻出するのがすごく大変なんです。前は4マナ6/6(《放浪する森林/Woodland Wanderer(BFZ)》)があったからメインで《沼》を使う意味があったけど、今は《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》くらいしかないし、サイドも正直取りたいものがないから色を絞ろうという結論でした。色を増やすメリットとデメリットを考えると、デメリットのほうが大きいかなと。」
――行弘さんがティムール・エネルギーに決めた理由は?
行弘「単純に、不利な相手が一番少ないからです。ほぼすべてのデッキに5割で戦えるのがティムールの強みですね。コントロールを使うと赤単に厳しいし、赤単はティムールよりメタられやすい面があるので、ティムールが一番丸い選択かなと。」
八十岡「そもそも選択肢が少なかったよね。魂の緑黒はどうしたの?」
行弘「少しやったけどすぐあきらめた(笑)。《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》と《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》にボコボコにされて、「このデッキはとっくの昔に寿命が尽きてたんだな」ってわかったよ(笑)。ミシュラランド(《風切る泥沼/Hissing Quagmire(OGW)》)と《闇の掌握/Grasp of Darkness(OGW)》がない緑黒は弱すぎる。」
――《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》と《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》を超えられないと、デッキとして生きていけないんですね。
渡辺イクサランは部族のテーマだからクリーチャー推しだけど、その2枚はクリーチャーデッキに強すぎて。あと《削剥/Abrade(HOU)》のせいで使いたいアーティファクトも使いにくいし。
――なるほど。では、対戦のほうで何か印象的なことがあれば。ジェリー・トンプソンさんとの対戦は、プロツアー決勝の再現でしたね。
渡辺「トンプソンが青黒を使ってたのはちょっと意外でした。あと、トンプソンがプロツアー『アモンケット』のときに原根(健太)君と当たってたらしくて、『今年の日本代表は強いね。ケンタハラネはいいプレイヤーだよ』って褒めてました。」
――おお、うれしいですね!
渡辺「本人にそれを伝えるかどうかは迷ってるところです(笑)。」(編注:あとでツイッターで報告していました)
●八十岡翔太の場合
1日目ドラフトラウンドの戦績
2-1
1日目スタンダードラウンドの戦績(通算戦績 3-4)
ラウンド | 対戦相手のデッキ(相手の名前) | 勝敗 |
---|---|---|
4 | 4色エネルギー(Brad Nelson) | 負け |
5 | 赤黒(Paulo Vitor Damo da Rosa) | 勝ち |
6 | 青黒コントロール(Josh utter leyton) | 負け |
7 | ティムールエネルギー(Owen Turtenwald) | 負け |
3《島》 2《沼》 1《山》 3《異臭の池》 4《水没した地下墓地》 4《尖塔断の運河》 4《竜髑髏の山頂》 2《進化する未開地》 1《廃墟の地》 土地(24)
クリーチャー(3) |
4《致命的な一押し》 4《選択》 3《削剥》 3《アズカンタの探索》 2《本質の散乱》 2《蓄霊稲妻》 3《不許可》 3《至高の意志》 1《バントゥ最後の算段》 1《無許可の分解》 3《天才の片鱗》 2《ヴラスカの侮辱》 1《破滅の刻》 1《王神、ニコル・ボーラス》 呪文(33) |
2《豪華の王、ゴンティ》 1《多面相の侍臣》 3《強迫》 2《マグマのしぶき》 1《チャンドラの敗北》 3《否認》 2《本質の摘出》 1《焦熱の連続砲撃》 サイドボード(15) |
――デッキ選択の理由は?
八十岡「単純に《アズカンタの探索/Search for Azcanta(XLN)》を使いたかったからです。あのカードはただ強い。青黒コントロールはほぼアズカンタコントロールになるんで。あと、M10ランドが入ったことによって土地が強くなって、友好色が強くなりましたね。」
――ほかのデッキとの相性はどうなんでしょうか。
八十岡「ティムールエネルギーは、メインはほぼ勝つんですけど、サイド後は五分かちょい不利、リストがわかっていれば五分くらいあると思います。赤単はそこそこ有利です。サイド後は特に、軽い除去がすごい入ってるんで。ただ青黒コンにはめちゃ弱いです。コントロール対決なら純正のほうが強いんで。あとは有象無象のミッドレンジがいたら相性よかったんですけど、1人もいなかったですね。」
渡辺「いるわけないでしょ~。」
八十岡「いやいや、いつもは何人かいるから。今回は遊びがない。」
渡辺「今回は遊ぶための時間がなかったから。」
八十岡「ティムールと赤単のカードがもっとスタン落ちして弱体化してたら、もっと新環境らしい遊びデッキがいたと思うけど、みんな残ったまま強かったから、じゃあいいかって固いデッキ選択になっちゃったね。」
――八十岡さんのデッキの特徴は?
八十岡「ごく普通のグリクシス・コントロールです。特徴と言うならフィニッシャーが少ないことかな。重いところを引いて負けるのを減らしたいんで。《アズカンタの探索/Search for Azcanta(XLN)》さえ起動してればいつかたどりつくし、さばききっていれば《アズカンタの探索》がフィニッシャーなんで。」
――そういえば、「デッキのカードを1枚直しかった」といったコメントがありましたが。
八十岡「単純に、もう1枚土地を入れときゃよかったなって。土地24枚なんで。最後に入れたのが《至高の意志/Supreme Will(HOU)》なんですけど、まあなくてもなんとかなったかなと。《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra(KLD)》と《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》だけ打ち消したいのと、シングルシンボルだから絶対撃てるし。ただ、土地とどっちがよかったかは今の段階ではまだわからないですね。」
――それでは、対戦で印象的な場面などあれば。
八十岡「ブラネル(Brad Nelson)戦は、まだデッキリストが公開じゃないタイミングだったので、サイドを微妙にミスりましたね。もうちょっとなんとかなった気がします。
あと最後のオーウェン(Owen Turtenwald)戦は、トップデッキされまくったり裏目ったりして負けて。相手が二流プレイヤーだったら3ゲームとも勝ててる試合なんですけど、さすがに一流だった。こっちが100点のプレイをできなくて、90点くらいのプレイだと勝てない。」
行弘「グッドプレイヤーは常にドローも強い、ってのはマジックの本質だからね。」
●明日へ向けて
――明日のドラフトは、なんと3人とも同じ卓なんですよね。
行弘「卓全体が強いし、3人でつぶしあう確率もかなり高いから、さすがに3人とも勝ち越せる確率は5%くらいしかないですよ。」
八十岡「全員レアを引いて、なおかつ住み分けるしかない。」
――明日の楽しみは、少しでも賞金を増やすことですか?
八十岡「いや、プロポイントです。」
行弘「ここからは無限コインブロックみたいなもんですから。ジャンプすればするほどコインが出る。」
なお、行弘さんはドラフトラウンド2-1、スタンダードラウンド1-3で通算戦績3-4で折り返しです。
トップ4へのラインは9勝4敗1引き分け程度なのですが、現在1人だけ全勝のウィリアム・ジェンセン選手がこのまま勝ちまくってくれればラインが下がり、5敗でも抜けられる可能性が上がります。なので、日本人選手たちと合わせてぜひジェンセン選手も応援してください!
今回、参加者全員にパーカーが配られました。かっこいいデザインで、裏地がモコモコしていて着るとかなり暖かいそうです。
それぞれの名前が入った、世界に1着しかないものです。
裏面にはトロフィーのワッペンが。