Articles

【MCVII】2日目・八十岡翔太編【Day2】

day2_1top_b

2日目から登場となった八十岡さんは、5Cゴロス入りファイアーズデッキをひっさげ注目を集めましたが、当たりたかったジェスカイファイアーズが早々に負け組となってしまって1回しかマッチングせず、マナスクリューも多めで最終成績は4-3、トップ16(賞金1万ドル)となりました。
フィーチャー席に呼ばれた際は、エキサイティングではあったものの負け試合の3ゲーム目しか放映されませんでした。夜通し起きて生放送を見ていた日本のファンの皆さんには物足りなかったでしょうが、帰国後に八十岡さんがご自身の放送で回して見せるほか、リベンジのために年末のThe Finalsにもこのデッキで参戦するとのこと。この「dream」デッキの本領発揮は、まだまだこれからかもしれません……!

 

 

 

●八十岡翔太・試合振り返り


八十岡翔太『dream(5Cファイアーズ)』
MC7



1 《平地》
1 《島》
1 《沼》
1 《山》
1 《森》
3 《繁殖池》
3 《寓話の小道》
3 《神秘の神殿》
2 《神聖なる泉》
2 《踏み鳴らされる地》
2 《寺院の庭》
1 《血の墓所》
1 《ヴァントレス城》
1 《聖なる鋳造所》
1 《蒸気孔》
1 《天啓の神殿》
1 《疾病の神殿》
1 《静寂の神殿》
1 《凱旋の神殿》


土地(28)


3 《ハイドロイド混成体》
4 《不屈の巡礼者、ゴロス》
2 《帰還した王、ケンリス》
3 《豆の木の巨人》
2 《裏切りの工作員》


クリーチャー(14)


4 《成長のらせん》
4 《時を解す者、テフェリー》
4 《創案の火》
2 《時の一掃》
4 《戦争の犠牲》


呪文(18)


2 《霊気の疾風》
2 《敬虔な命令》
2 《否認》
2 《自然への回帰》
3 《神秘の論争》
2 《炎の一掃》
2 《狼の友、トルシミール》


サイドボード(15)


1日目スタンダードラウンドの戦績(4-3)/5Cファイアーズ

ラウンド 対戦相手のデッキ(相手の名前) 勝敗
1 ジェスカイファイアーズ(Matthew Nass) ×〇〇
2 ゴルガリアドベンチャー(Ally Warfield) 〇××
3 ジャンドサクリファイス(Miguel da Cruz Simoes) ××
4 青白コントロール(Ben Stark) ×〇〇
5 ジャンドサクリファイス(Marcio Carvalho) 〇×〇
6 ゴルガリアドベンチャー(Chris Kvartek) ×〇×
7 ゴルガリアドベンチャー(Jordan Cairns) ×〇〇

Naro Photography

デッキについて

――このデッキは、MCの前からいろんな人が作って回してましたね。まだあまり映っていなくて未知数なので、回す人へのアドバイスはありますか?
八十岡「このデッキに関して教えることはキープ基準くらいしかないからなー。あとはまあ、《創案の火/Fires of Invention(ELD)》をいつ貼るか。下手に貼って壊されるとリカバリーきかなくなるんで、無駄に貼らない、とかかな。」

――今大会のデッキ分布が前もってわかっていたとしても、このデッキを使いましたか?
八十岡「サイドはちょっと変わったかもしれないけど、使いますね。ゴルガリアドベンチャーが、五分か相手の構成次第ではちょっと不利って感じなんで、サイドでなんかしてもいいかなくらい。青白コンに対してはないときついんだけど、《否認/Negate(M20)》の枠をどうしようかなって思ってたところはあったし。」

対戦について

――各試合の内容を教えてください。

●ラウンド1
八十岡「1ゲーム目はダブルマリガンで、土地2枚、《創案の火/Fires of Invention(ELD)》、《豆の木の巨人/Beanstalk Giant(ELD)》っていう5枚の初手をキープして、3マナ目が出ることなく負け。
2ゲーム目も土地多めの手札をキープしたらドローも土地ばっかだったけど、向こうもリアクションばかりの手札で、カウンターでタップアウトしたスキに《創案の火》を通して勝ち。
3ゲーム目はきれいに回って勝ちました。」

●ラウンド2
ゴルガリアドベンチャーとの試合で、3ゲーム目だけ配信に映りました。
相手の《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper(ELD)》2枚でドローされまくりながらたびたび逆転しそうになりますが、そのたびに相手が解決策を引くというシーソーゲームで、スクリーンで見ているプレイヤーたちもかなり盛り上がっていました。
そして、墓地に《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King(ELD)》がいる状態で《帰還した王、ケンリス》を出し、このままターンが返ってくれば「無限ケンリス」で勝ちという場面になったのですが、そこで相手が《穢れ沼の騎士/Foulmire Knight(ELD)》をプレイしてドローした2枚が両方とも除去で、《帰還した王、ケンリス》を除外されてしまい、その後は《創案の火》が3枚集まってきて敗北。
試合が終わったときには、見ていたプレイヤーたちから大きな拍手が贈られました。スクリーンでのリプレイに対しこんな拍手が起きることはめったにないので、感動的でした。

キャプチャ
《穢れ沼の騎士/Foulmire Knight(ELD)》から《壮大な破滅/Epic Downfall(ELD)》と《戦争の犠牲/Casualties of War(WAR)》をドローされ、《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King(ELD)》を除去された場面
MagicのMythic Championship VII – Day 2をwww.twitch.tvから視聴する
――あのトップデッキ2枚のどっちかが除去じゃなければ勝ってましたね。
八十岡「《帰還した王、ケンリス》が残れば一生負けないし、次のドローにパイロ(《炎の一掃/Flame Sweep(M20)》)積んでるから、それで流して終わりだった。あそこで2枚ともトップデッキはやばいよ。あとは一応あのターンに《豆の木の巨人/Beanstalk Giant(ELD)》釣って殴る手もあったけど、それだとちょっとダメージが足りないんだよね。」

――映らなかった1ゲーム目と2ゲーム目はどんな感じだったんですか?
八十岡「1ゲーム目は圧倒的ドブンで一瞬で勝ち。2ゲーム目は《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper(ELD)》2枚に引かれまくって負けでした。」

●ラウンド3
八十岡「相手はトップ8に残ったジャンドサクリファイス。
1ゲーム目は《成長のらせん/Growth Spiral(RNA)》から3ターン目に《創案の火/Fires of Invention(ELD)》を貼ったけど、その時点での手札が土地4枚と《戦争の犠牲/Casualties of War(WAR)》。次のターンも、その次のターンも土地引いて、その次のドローが《戦争の犠牲/Casualties of War(WAR)》で負け。何もできず、《創案の火》貼った意味ゼロ。
2ゲーム目は相手が猫・かまど・猫・かまどみたいなスタートで、それだけでチュルチュル吸われて負けました。」

●ラウンド4
――この対青白コントロールの試合はすごく長くて、八十岡さんがいつまで経っても出てこなかったので心配していました。
八十岡「終わったとき、お互い残り2分だった。1ゲーム目がすごいロングゲームで、序盤からカウンターをいっぱい引かれて《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King(ELD)》を2枚きれいに処理されて、《老いたる者、ガドウィック/Gadwick, the Wizened(ELD)》を3回出されて消耗戦の結果、最後は《啓示の終焉/Finale of Revelation(WAR)》のX=10で、墓地を全部ライブラリーに戻して10枚ドローして土地5枚アンタップ。それで負けた時点で残りが10~15分くらい。
2ゲーム目は互いにサイドから入ったカウンターを撃ち合ったり全体除去を撃たせたりして、最終的に向こうの手札が4~5枚あったけど《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King(ELD)》を通して勝ち。
3ゲーム目が始まる時点で残り6分で、向こうは序盤にカウンターが引けなくて、こっちの《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler(WAR)》から《創案の火/Fires of Invention(ELD)》が通った。最終的に、こっちの《戦争の犠牲/Casualties of War(WAR)》で向こうの《時を解す者、テフェリー》と土地、自分の《創案の火》を割って、あとは《帰還した王、ケンリス》置いて《否認/Negate(M20)》構え。相手の全体除去を《否認》して勝ちでした。」

――途中で《創案の火》を自ら割ってカウンターに切り替えるという、コントロール相手のプランですね。

●ラウンド5
八十岡「次がマルシオ戦。1ゲームはドブンして《戦争の犠牲/Casualties of War(WAR)》を4ターン目から3連打。1発目は相手が撃たせてきて、それはクリーチャーと土地しか割ってない。そのあとに手札から《魔女のかまど/Witch’s Oven(ELD)》と《パンくずの道標/Trail of Crumbs(ELD)》出してきたから2発目で割って、次のターンにもう1回出てきた《魔女のかまど》とクリーチャーを3発目で割って終わり。
2ゲーム目はちょっとミスったかな。コンマジ君(《裏切りの工作員/Agent of Treachery(M20)》)と《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim(M20)》、あと白2マナの赤黒除外(《敬虔な命令/Devout Decree(M20)》)を持ってて、コンマジ君で相手の《パンくずの道標》をパクるか、《ゴロス》を出すかという選択。」

裏切りの工作員 不屈の巡礼者、ゴロス敬虔な命令

八十岡「相手の手札に《フェイに呪われた王、コルヴォルド/Korvold, Fae-Cursed King(ELD)》があるのがわかってたから、《パンくずの道標》をパクって、《コルヴォルド》が出てきたら《敬虔な命令》してから《ゴロス》を出そうと思ってそうしたら、《強迫/Duress(M20)》で《敬虔な命令》を落とされて、《コルヴォルド》が定着してしまって負け。
素直に《ゴロス》から行ってればよかった。《パンくずの道標》をパクっても何もしないから、7マナのエンチャント破壊と同じでしかない。《ゴロス》だったら相手は何かしら対処しないといけないから、試合のターン数が伸びることになって、実際2ターン後に《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis(RNA)》引けてるんで、伸ばしたほうがよかった。7マナのエンチャント破壊でこっちが1ターン飛ばしたことで向こうが楽になったんで、やっぱり微妙だったかなと。
3ゲーム目は《創案の火/Fires of Invention(ELD)》を貼ったけどすごいマナフラッドしてて、《戦争の犠牲/Casualties of War(WAR)》しかなかったからそれを4連打して勝ち。うち1回は土地と食物しか割ってないし、たいして強くなかったですけどね。それで時間稼いでる間に《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King(ELD)》が引けて、そしたら2秒で終わった。」

●ラウンド6
八十岡「1ゲーム目は相手が先攻できれいに回られて、先後の差で負けって感じですね。
2ゲーム目は相手が受けの手札で、こっちがミッドレンジ風に全部出していって勝ち。
3ゲーム目は土地を引ければ《創案の火/Fires of Invention(ELD)》から《時の一掃/Time Wipe(WAR)》が撃てたんだけど、引けなかったという。ちょっとヌルキープだったかな。」

●ラウンド7
八十岡「3人しかいないゴルガリアドベンチャーの3人目に当たるというね(笑)。
1ゲーム目、相手のメインにディッチャ(《自然への回帰/Return to Nature(ELD)》)が1枚だけ入ってて。4ターン目に《創案の火/Fires of Invention(ELD)》を出せば5ターン目からめちゃくちゃ回るけど、1ターン待っても勝てそうみたいな感じで、手札は《成長のらせん/Growth Spiral(RNA)》が2枚。悩んで「まあ出すか、ディッチャ1枚だし」って出したら割られてあったまった(笑)。
1ターン目待てば5ターン目に《創案の火》と《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim(M20)》出して、ディッチャがあったとしてもどっちか1枚は残ったんだけど。」
(一緒にいた佐藤レイさん「ポーカーとか麻雀と一緒で、そういうのって“算数”じゃないんだよね。」)

八十岡「2ゲーム目は、相手が序盤のクリーチャーがなくて《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon(RIX)》とか《強迫/Duress(M20)》とかが多い受けハンドで、こっちが上から順番に出して勝ち。
3ゲーム目は向こうが《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast(ELD)》の1マナ1/1トークン、2ターン目何もなくて、3ターン目に5/5野獣を出すか《ドリルビット/Drill Bit(RNA)》を撃つかの二択で、日和って手札破壊してきた。《創案の火/Fires of Invention(ELD)》を抜かれたけど手札がすごい濃くて、《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King(ELD)》、《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim(M20)》、《裏切りの工作員/Agent of Treachery(M20)》、みたいな。
タイミングよく引いた《創案の火/Fires of Invention(ELD)》と《戦争の犠牲/Casualties of War(WAR)》がきれいに刺さって勝ちです。」

――ここまでの話を聞いていると、八十岡さんのデッキと対戦する場合、受けハンドで待ってるとやられるんだなということがわかりました。対戦するんだったらガンガン攻めていかないといけないんですね。

八十岡「そうです。」

――今日1日、デッキの本来のパフォーマンスを発揮できなかった試合もけっこうありましたか?
八十岡「ちょっと土地事故が多かったですね。土地28枚なんですけど、土地が0~1枚の初手がよく来たし、4マナ目の土地が置けない試合も何度かあったし。《戦争の犠牲》3枚・《不屈の巡礼者、ゴロス》2枚・《帰還した王、ケンリス》2枚の意味わかんない手札とか来た(笑)。」

――それはとんでもない(笑)。今大会で、1日目をスキップできたことについてはどうでしたか?
八十岡「ミシックポイント24点確定でもらえるのはうれしいですけど、暇っすね(笑)。理想は、『試合やって勝って24ポイントもらえてうれしい』なんですけどね。ただデッキ分布がまばらでわかりやすい環境じゃないから、当たり運で下ブレしない点はうれしいかな。」

――ともあれお疲れさまでした、The Finalsも楽しみにしています。

 

 

また、八十岡さんにはMCIからMCVIIまで、MPLとして駆け抜けた2019年の振り返りインタビューも行ないました(後日掲載予定)。多忙な中で時間をかけずに勝つ方法やMPLが今後どうあるべきかなどをも含めたっぷり語っていただいたので、ご期待ください。

21
行弘さんや吉野さんも、八十岡さんを応援すべく会場を訪れており、みんなでスクリーンを見ているところです。

  • Top