ヤソの新カードレビュー『マジック基本セット2021』
みなさんこんにちは、八十岡です。
今回は『基本セット2021』のカードレビューになります。
基本セットと言えば、僕がマジックを始めたのがちょうど基本セットの『第5版』が発売されたあたり(1997年)で、最初の頃は『第5版』を買い続けていました。それもあって長いマジックの中でも『第5版』は2番目に記憶に残っているセットです(1番は『テンペスト』)。
当時はまだレアリティシンボルがなく、パックに入っていた場所で判別するか、雑誌などを見て確認しないかぎり、レアかコモンかもわかりませんでした。しかも今だったら間違いなくコモンであろうカードがレアに結構あり、思い返すとなかなかひどいセットだったなと思います。
《ドラゴン・エンジン》
アーティファクト・クリーチャー-構築物
(2):ドラゴン・エンジンはターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。
クリーチャー-狼
(T):クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
ソーサリー
白の1/1の市民クリーチャー・トークンを4体生成する。
ちなみにこれらはまだマシなほうのレアです。
このころはブースターパックの値段がまだ高く、1パックが約500円しました。英語版のほうが少し安かったのでたまに英語版を買い、辞書で単語を調べたりもしましたね。
そして、そのころ出ていたエキスパンションがミラージュ・ブロック(『ミラージュ』『ビジョンズ』『ウェザーライト』)だったので、そのへんも多少ですが買っていたわけですよ。
で、なんでこんな話をしたかというと、その『ミラージュ』のストーリーのメインキャラクターでもある3人が久しぶりにカードになって戻ってきたからです。昔のカードと一緒に彼らを紹介していこうと思います。
●ミラージュ・ブロックからやってきたキャラクター
マンガラ
以前より《マンガラの祝福》などカード名としては登場していたが、初めてカード化されたのは『時のらせん』(2006年)。スタンダードでは《一瞬の瞬き》、レガシーでは《カラカス》とのコンボでよく使われていた。
どちらかというと戦闘的?な《コロンドールのマンガラ》に対し、今回の《外交官、マンガラ》は名前どおり優れた外交官としての彼をうまくカードに落とし込んだ形になっている。ただ多人数戦でこれを出した場合、ほかのプレイヤーから逆に狙われる気もするので、そこはプレイヤーの政治的手腕が問われているのかもしれない。
ケアヴェク
本人自身は知らなくても、《ケアヴェクの悪意》や《ケアヴェクの火吹き》と聞けばわかる人も結構いるんではなかろうか。《ケアヴェクの悪意》に関してはかなり好きなカードで、当時使っていた思い出もある。
《ケアヴェクの悪意》
インスタント
この呪文を唱えるための追加コストとして、あなたがコントロールするすべてのパーマネントを生け贄に捧げるとともに、あなたの手札を捨てる。
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは5点のライフを失う。
《ケアヴェクの火吹き》
ソーサリー
ケアヴェクの火吹きがスタックに積まれているかぎり、それを対象とする呪文はそれを唱えるためのコストが(2)多くなる。
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。ケアヴェクの火吹きはそれにX点のダメージを与える。
ケアヴェクもマンガラと同じく『時のらせん』で初めてカード化したわけだが、「リミテッドでまぁまぁ強い」レベルだったので特に使われることもなかった。しかし今回の《悪意に満ちた者、ケアヴェク》は《魂の裏切りの夜》を内蔵しており、かなり期待が持てる! トークンデッキなどが環境に出てくるなら間違いなく使われるだろう。
余談だが、《魂の裏切りの夜》は絶対使われるだろうと踏んで発売当初たくさん買い込んだ思い出の1枚(実際どうだったかは、そのころのスタンダードに詳しい人に聞いてみよう)。
ジョルレイル
《獣たちの女帝ジョルレイル》
伝説のクリーチャー-人間・スペルシェイパー
(2)(緑),(T),カードを2枚捨てる:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールする土地は、ターン終了時まで3/3のクリーチャーになる。それは土地でもある。
カードとしての初出は『プロフェシー』で、伝説のスペルシェイパー(手札を捨てて特定の呪文の効果を再現できるクリーチャー)シリーズの1人として登場。『時のらせん』ではタイムシフト枠で再録された。
当時のリミテッドでは強かったイメージがあるが、構築では相手の土地をクリーチャーにして全体除去ですべて吹き飛ばすといったファンデッキでしか使った記憶はない。ただ伝説のスペルシェイパーは《神の怒り》と同じ能力を使う《獅子将マギータ》や《精神錯乱》を使う《心を削るものグリール》など、派手なのが多くかなり好きだった。
《獅子将マギータ》
伝説のクリーチャー-人間・スペルシェイパー
(2)(白)(白),(T),カードを2枚捨てる:獅子将マギータ以外のすべてのクリーチャーを破壊する。それらは再生できない。
《心を削るものグリール》
伝説のクリーチャー-ホラー・スペルシェイパー
(X)(黒),(T),カードを2枚捨てる:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードをX枚、無作為に選んで捨てる。
今回の《ムウォンヴーリーの世捨て人、ジョルレイル》はかなり強そう。最近はキャントリップがついているカードが多いので簡単に猫トークンを量産できるし、起動能力でそのまま勝ちにつながるのもポイントが高い。スタンダードでは結構見かけることになる気がする。
そして、この3人を紹介したら彼を紹介しないわけにはいかない。
テフェリー
いつの間にかレギュラーメンバーであるかのように出てくるようになった、皆大好き(大嫌い?)テフェリー。『時のらせん』でも一緒にいた4人だが、今回も揃っての収録だ。
使える能力はまさかの“フェイズアウト”効果。ミラージュ・ブロックにあるテフェリーの名前が付いたカードのほとんどがフェイズアウトする能力なので、そのあたりの再現も含めてだとは思うが、まさかまたこのキーワードを見ることになるとは。とにかく初心者にはわかりづらいルールで、僕もきちんと理解していなかった(その後何度かルール変更があり、今はかなりわかりやすくなったらしい)。
テフェリーといえば毎度むちゃくちゃなことをやってくるが、今回はインスタントタイミングで能力が使えるプレインズウォーカーという離れ業をやってのけた。効果自体は地味だが、かなり固いプレインズウォーカーだし、最近は墓地利用が多いため見た目以上に強い可能性が高いと思う。
個人的に使ってみたいカード1位。《ムウォンヴーリーの世捨て人、ジョルレイル》と相性がいいのもいい感じ。
それから、懐かしいついでに、このカードも。
バリン
《練達の魔術師バリン》
伝説のクリーチャー-人間・ウィザード
(2),パーマネントを1つ生け贄に捧げる:クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
あの打ち消されない全体除去呪文《抹消》を放ったことで有名なバリン。最初のカード化は『ウルザズ・サーガ』。今回再録された《巻き直し》のイラストに描かれているのもバリンで、今回《巻き直し》が再録されたのもそのあたりが理由じゃないかと思っている。
効果のほうはただのバウンス君だが、相手のだけではなく忠誠値の減った自分のプレインズウォーカーを再利用したりもできるので、かなり便利なカードだと思う。ほかに自分のパーマネントを戻せる手段があるとかなり強く使えそうだが、ぱっとは思いつかなかった。
2枚ぐらいは持っておくとよさそう。
とまぁ、前置きが長くなってしまいましたが、ここから『基本セット2021』のオススメカードを紹介していきたいと思います(もちろん上で紹介したカードたちもオススメです)。
●『基本セット2021』注目カード
昔《時間停止》というほとんど同じ効果のカードがあり、僕もそこそこ愛用していたので、それのほぼ上位互換と考えると期待してしまう。一見効果が長く見えるが、ほとんどは注釈文で本文は「End the turn(ターンを終了する)」だけというシンプルさに、美しさを感じる。
昔4つのモードから2つまで選べる《命令》サイクルがあったが、そのさらに上を行くカードが出たことに驚いた。5つとも選べることはほぼないだろうが、3つでも十分に強そう。
「クリーチャーのコピー」モードを使えるかで強さが変わるので、せっかくならコピーして嬉しいクリーチャーが多少入っているデッキで使いたい。
ただ1つだけ問題があって、このカードがスタンダードにある間、《神秘の論争》も常に一緒にあるというのが……。
たまに出てくる「除去耐性はないけど、残ったらゲームに勝つ」クリーチャーシリーズの中でも、最高峰のスペックの持ち主。
さすがにここまで盛りだくさんなら使ってあげようという気持ちにもなる。逆にこれで全然使われなかったら、次はどんな能力が盛られるのかという興味もある。
『基本セット2021』にはかなりいい再録カードがあるが、その中でも一押しはインビテーショナルカード(マジック・インビテーショナルという大会の優勝者がデザインしたカード)でもある《真面目な身代わり》。アドバンテージの塊だ。
初出の『ミラディン』の時も『基本セット2012』で再録した時もこのカードを使って好成績を残していたので、この1年も使い倒したい。
今回のレビュー記事はここでおしまいとなります。
7月の末にはプレイヤーズツアーファイナル、8月にはミシックインビテーショナルとやっと大きなイベントがあるので、ちょっと頑張ろうかと思います。
『ゼンディカーの夜明け』が発売する10月にまた会いましょう。
ではでは。
ヤソ