市川ユウキ・Team Cygamesでのこれまで
Team Cygamesの表に立って人気を集めるムードメーカーでありながら、個性豊かなチームメンバーの陰のまとめ役として地道に働いてきたのが市川さんです。
自身の配信ではおちゃらけていたりもしますが、マジックには真摯かつ懸命に取り組み続けてきた、この4年半を振り返っていきましょう。
■2015年
スタンダード/ドラフト
市川「アブザン」0勝5敗ドロップ
市川さんは初日落ちしてしまいましたが、一緒に調整したデッキを瀧村和幸さんが使用して優勝。市川さんは決勝ラウンドでセコンド(選手と共に対戦エリアに入り最終調整を手伝う係)として補佐しました。
また。公式サイトで「市川ユウキの『プロツアー参戦記』(現在はマジックeスポーツ参戦記)」がスタートしました。この記事内では話の内容にピッタリな名前のカードがちょくちょく差し挟まれていますが、「見つけたいキーワード+mtg」といったネット検索でカードを探すこともあるそうです。
チームリミテッド
市川ユウキ・三原慎仁・渡辺雄也チーム 11勝2敗1分、準優勝
中国の小学生チームと当たって話題になりました。
準優勝の盾を手に。
スタンダード
市川「エスパーメンター」9勝6敗、215位
現地生中継での解説を市川さんが担当。
逆に世界選手権は自分より上手いプレイヤーしかいないので、感心することがほとんどです。何に感心したかを視聴者に伝えるだけでいいので、解説は比較的簡単なイメージです。
市川「エスパーメンター」VS山本「アブザンアグロ」
市川さんはここからなぜか「動画で勝てない」キャラになってしまいますが、しゃべりながらプレイすることにダントツで慣れており、動画のおもしろさに貢献し続けました。今は覚前さんが大阪在住なので難しいところもありますが、「みんなで集まってコンテンツを作るのは本当に楽しいので、また続きを録りたい」とのこと。
■2016年
市川「エスパーメンター」VS覚前「赤緑上陸」
――この中で市川さんは「動画見てる人の感想がほしい」と言っていますが、双方向の生配信と編集される動画とでは、どう違いますか?
リミテッド
市川6勝6敗、751位
加入前からプロツアーの調整などは一緒に行なうことが多かったので、調整面に関しては特に変化はなかったのですが、動画の撮影やコンテンツを作るにあたって彼の意見を聞く機会が増え、渡辺雄也のプレイヤーとしての造詣の深さをより感じるようになりました。世界で一番プレイスキルが高いプレイヤーだと今でも思いますね。
モダン/ドラフト
市川「エムラシュート」10勝6敗、48位
会場にて、Andrea Mengucciさんと。
スタンダード/ドラフト
市川「バントカンパニー」9勝7敗、119位
スタンダード
市川「スゥルタイ・季節」13勝2敗、9位
このときは2敗ながらもオポ落ち(対戦してきた相手の勝敗数によって決まるオポネント・マッチ・パーセンテージにより、トップ8に入れないこと)でした。悔しさは特になく、初日8勝1敗からでもオポ落ちするということに驚いたそうです。
スタンダード
2度目のグランプリ優勝。
市川「バントカンパニー」12勝2敗1分、優勝
あとスイスラウンドの最終戦にものすごい劣勢から細い勝ち筋をたどっていったので、最後まであきらめない気持ちは大事ですね。
スタンダード/ドラフト
市川「スゥルタイ現出」10勝6敗、45位
モダン
市川「感染」12勝3敗、10位
市川さんは公式放送の解説でした。
チームリミテッド
市川ユウキ・松本友樹・瀧村和幸チーム 12勝1敗1分、優勝
チーム戦の勝利は嬉しさが段違いなので、マジック人生で嬉しかったことベスト3を決めるとしたら間違いなくこの時の優勝は入ると思いますが、マジックをやっていて嬉しかったことはたくさんあるので(悔しいこともたくさんあります)、あと2つを選ぶのは難しいですね。
スタンダード/ドラフト
市川「グリクシス現出」2勝5敗(初日落ち)
スタンダード
市川「白青フラッシュ」13勝1敗1分、3位
レガシー
市川「4色デルバー」11勝4敗、80位
■2017年
スタンダード/ドラフト
市川「4C機体」11勝5敗、31位
スタンダード
市川「ティムールタワー」12勝3敗、20位
スタンダード/ドラフト
市川「ティムール霊気池」10勝6敗、73位
このとき使用したティムール霊気池は渡辺さんの準優勝を筆頭に好成績を残し、市川さん的には特に成功したデッキという位置づけです。
決勝ラウンドでは行弘賢さんのセコンドをつとめ、隔離された選手エリアで一緒に過ごしました。
モダン
市川「赤緑ヴァラクート」11勝4敗、122位
スタンダード
市川10勝5敗、63位
スタンダード/ドラフト
市川「黒単ゾンビ」3勝5敗(初日落ち)
スタンダード/ドラフト
市川「ジェスカイ王神」7勝5敗、119位
市川「ジェスカイ王神」VS山本「ティムールエネルギー」
市川さんがついに……!の回
チームリミテッド
松本友樹・市川ユウキ・瀧村和幸チーム 9勝5敗、49位
チームシリーズ決勝
チームA 渡辺・覚前・八十岡
チームB 行弘・市川・山本
チームAが負けるも、チームBが逆転して2回勝利する熱い展開。優勝を決めたのは市川さんの試合でした。
スタンダード/ドラフト
市川「ティムールタッチ黒エネルギー」6勝8敗、254位
■2018年
個人配信のプラットフォームをニコニコ動画からTwitchに切り替えました。マネタイズが可能なTwitchで定期配信を行ない、収益を試算してこれなら大丈夫とわかったので、10月末には仕事を辞め、配信者&プロプレイヤーとして生計を立てる道を選びました。
モダン/ドラフト
市川「ジェスカイ」9勝7敗、143位
プロプレイヤーは体力も必要ということで、市川さんが音頭を取り、八十岡さん・渡辺さん・行弘賢さん・原根健太さんというメンバーで登山。
— Yuuki Ichikawa (@serra2020) March 3, 2018
3人チーム構築戦(スタンダード・モダン・レガシー)
Musashi B 11勝3敗、13位
スタンダード:山本「赤緑モンスター」
モダン:行弘賢さん
レガシー:市川「グリクシス・デルバー」
レガシーとスタンダードのダブルグランプリに出場。
レガシー
市川「4色レオヴォルド」6勝、289位
スタンダード
市川「青白王神」11勝4敗、44位
スタンダード/ドラフト
市川「エスパーコントロール」9勝7敗、117位
スタンダード
市川「青白王神」12勝1敗2分、優勝
青白王神は好きなデッキで、環境をまたいで3回も青白王神でグランプリに出ました。愛用したデッキで優勝できてとても嬉しかったですね。
チーム構築戦
チームB 8勝6敗、43位
スタンダード:行弘賢さん「緑単タッチ黒」
モダン:市川「ブリッジヴァイン」
レガシー:山本「スニークショウ」
市川さんの担当はグランプリ・京都2018ではレガシーでしたがこのときはモダンに変更。
スタンダード/ドラフト
市川「青黒ミッドレンジ」3勝4敗、578位
覚前「ナカティルバーン」VS市川「ブリッジヴァイン」
市川さんがアリーナを導入したのは比較的遅く、本格的に始めたのは2019年に入ったミシックチャンピオンシップIの準備時点からでした。
チームリミテッド
市川ユウキ・瀧村和幸・石村信太朗チーム 3勝3敗ドロップ、312位
前日に、瀧村さん・石村さんとともにBIG MAGIC主催のチームリミテッド講座を実施。
一方で、一般的なプレイヤーはどういう構築をしてしまいがちなのかというサンプルが見られる点で、教える側としても勉強になりました。逆になぜこうしたのか聞いてみたり。
またこういう機会があれば講師はやってみたいですが、いかんせんリミテッドは得意ではないので、構築のほうがいいですね。でも最近はアリーナとかでみんな構築のアンテナが高いので、需要はなさそうですけど……。
スタンダード/ドラフト
市川「セレズニアトークン」9勝7敗、145位
レガシー
市川「グリクシス・デルバー」6勝3敗、232位
スタンダード
市川「グリクシスコントロール」2勝3敗ドロップ
■2019年
スタンダード/ドラフト
市川「シミックネクサス」5勝8敗、286位
スタンダード
市川「スゥルタイ」9勝6敗、222位
デュオスタンダード
市川さんは日本でミラー配信を行なっていました。
モダン
市川「青白コントロール」5勝ドロップ、601位
モダン/ドラフト
市川「5色人間」10勝6敗、83位
デッキ解説記事
MCQ行脚の末、最終週の予選でミシックチャンピオンシップIVの権利をついに獲得しました。
ただ、プロツアーではなくプレイヤーズツアーになったことでPTQの開催数が増え、そこまで遠方に出向くこともなくなりそうなので、この期間だけの体験になったのかな。
最後のMCQを抜けたこのときは、使用しているスゥルタイミッドレンジが手になじんですごく好きだったので、勝とうという気持ちよりも楽しくプレイできていたかなと思います。
決勝戦の相手のシミックネクサスはこちらのクロックが低く、かつ相手への干渉手段もメインでは乏しいのでかなり厳しい戦いになると予想していたんですが、その日一番のブン回りで勝てて、とても印象深いですね。何歳になっても何回抜けてもPTQ抜けはうれしい!
モダン/『モダンホライゾン』ドラフト
飛行機トラブルに見舞われ、24時間以上かけてヨーロッパを大移動する羽目になりました。
市川「ホガーク・ヴァイン」10勝6敗、60位
市川「エスパーコントロール」8勝4敗、88位
スタンダード
市川さんが「日本の人気ストリーマー」として招待されたMTGアリーナ大会。
市川「シミックフード」3勝4敗、40位
スタンダード
市川「シミックフード」8勝、247位
■2020年
パイオニア/ドラフト
市川「バントスピリット」3勝4敗(初日落ち)、122位
Channel Fireballの招待を受け、「マジックフェスト・オンライン」に参加。シーズン1はトップ64、シーズン2は9位と大健闘。
参加者2500名超のオンライン大会で、《ボーラスの城塞/Bolas’s Citadel(WAR)》入りジャンドサクリファイスを使い、トップ4入賞。
ほかにも、MOの「Preliminary」や「Showcase Challenge」などの大会に毎日のように出続け、マジック漬けの日々を送っています。マジックをしていないときは音楽を聞いたり、Youtube(古い家をセルフリノベーションする動画が好き)を見たりしているそうです。
オンライン上のメリットは、やっぱり家から出ずに大会に参加できることですね。家で静かに、快適な空間でプレイできるのは素晴らしいです。
一方、デメリットはまだ少しシステムが追いついていない部分ですかね。マジックフェスト・オンラインに出ていて、以下のような点についてはもう少し何とかしてほしいかなと感じています。
・トーナメントモードがあるわけではないので、相手のデッキリストが提出された通りかは性善説を信じるしかない
・制限時間がアリーナ準拠ではないので、相手の遅いプレイをルールで咎めることができない
・アメリカ時間ベースで開催されるので、アジアで出るためには完全に昼夜逆転してしまう
ただ、基本的にはメリットのほうがデメリットを上回りますね。これからもっと改善されていくと思います。
●チームで得たもの
プロツアー前のデッキ調整は、〈MUSASHI〉メンバーを中心に、人を増やしたり、スプレッドシートを使ったりと、年月をかけて調整方法がどんどん進化していきました。
たくさんの試行錯誤を繰り返すうち、デッキに手ごたえを感じていても控えめに表現する人もいれば、けっこう大げさに言うタイプの人もいるというように、チームメンバーの個性がわかってくるにつれて精度が上がっていきました。チーム内では特に役割分担やプレイの義務などを定めず、「得意な人がアグロを回しそうだから、俺はこっちのデッキを回しておくか」といった感じで、お互いの役割を大ざっぱに自覚して動いているのですが、それぞれの人となりを把握しているため、チームとしてうまく働いています。
最後に、チームでの楽しかった思い出を聞きました。
ドラフト合宿にて。
●おまけ
――プロツアーなどで行った中で、特においしかった食べ物は?
セコンドとはいっても、基本的に瀧村君の中にプランがあったので、応援団に徹して技術的な支援はまったくしなかったですね(笑)。