2021年・夏のTeam Cygamesだより
「2021年・春のTeam Cygamesだより」以降、5月から7月のTeam Cygamesメンバーの活躍について、まとめてお届けしていきます。
この間の大きな出来事は2つ。1つ目は、八十岡さんがMPLのリーグ戦を戦い終え、ライバルズガントレット(来年MPLに残るかライバルズになるかを決める勝ち抜き戦)に進出したことです。
もう1つは、市川さんがマジック・オンラインの高額賞金大会で優勝したことです。いい機会ですので、いろいろとお聞きしました。
覚前さんは、リーグ制が来年でなくなるためこれといった目標もないので、最近はMTGアリーナでコツコツ遊んでいるとのこと。ちなみに「春まとめ」のときはダイエットに取り組んでいましたが、残念ながら続かなかったそうです 😥
山本さんは前回は「アリーナプロツアーにも出てみたいので、MOで通称スーパーPTQ(STX Championship Super Qualifier)に挑戦を続けている」というお話でしたが、10回弱くらい出たものの一度もTOP8に残れなかったそうです。狭き門すぎる……!
また、2人ともチームメンバーが頑張っているのをTwitter情報で追いかけたり、大会の中継を見たり、見ない場合でも大会結果やデッキリストはチェックしているそうです。
■2021年夏振り返り
フォーマットは『ストリクスヘイヴン』のシールド。八十岡さんは7勝して2000ドル獲得。市川さんは「2回連続で2日目5勝で悲しみを負いました」(編注:賞金は6勝から)、山本さんは「2日目に進出して賞金なし」とのことです。
八十岡さんと市川さんが出場。
八十岡さんはイゼットフェニックス(ヒストリック)/スゥルタイ根本原理(スタンダード)で初日落ち。
ヒストリック・ラウンドではブラッド・ネルソンやウィリアム・ジェンセンら強豪と対戦しました。トップデッキで勝ちを逃し、終わったあとでヤケ酒を飲む配信をしていました。
一方、市川さんは「楽しくやる」ことをモットーにライバルズチームとチーム調整を行ない、「増田ファイナルクラッシュ」ことジェスカイ変容(ヒストリック)/「もやしパーフェクトフェニックス」ことイゼットフェニックス(スタンダード)を使用。
結果は初日4-3、2日目4-4で8-7となり、「初CSは完走が目標だったのでとりあえず満足」という感想でした。
また、1年以上ぶりに公式サイトにてレポート記事を執筆。久しぶりなので大変だったとのことです。
特に大きな差となるのは、時間管理です。MOは持ち時間25分をどういうふうに割り振っても問題ないのに対して、アリーナはロープ制(編注:自分の手番で長時間考え続けることはできない)です。
ロープ制だと難しい局面だったとしても大量の時間を使うことが許されないので、さまざまな局面の「覚えゲー=試行回数を重ねての練習」が必要になってきていると感じます。それは自分が苦手とするアプローチです。
ただ、テーブルトップでも1つの局面での長考は認められていないのでどちらかというとアリーナよりMOが特殊ですね、アリーナに慣れていかないと競技プレイヤーとして先がないので自分の課題です。
市川さんが若者に囲まれ唯一の30代として出場し、みごと優勝! 2万ドル(約220万円)の賞金と次のCS権利を獲得しました。
フォーマットはモダンホライゾン2のドラフトとモダン。
○ドラフトラウンドについて
直前に人を集めて教わり、「赤黒が最強で、赤系アグロができないなら緑多色」という方針を決めていました。
実際はある程度方針通りに進んだものの、除去が流れて来なかったことが致命的になりました。
1ラウンド目でリーサルを見逃してしまい、結果は1-2でした。
○構築ラウンド(モダン)について
モダンではティムール続唱を使い、見事3-0。その後、上位2人による決勝戦にギリギリで勝利しました。
(100万円を賭けたマッチだったのでモダンの3試合目のほうが決勝戦よりも緊張したそうです)
○デッキ選択について
市川さんはもともとアミュレットで出場するつもりでしたが、負けが込んで直前に乗り換えました。ティムール続唱を選んだ理由は次の通り。
続唱で《衝撃の足音》をプレイするデッキは以前からありましたがおおむね4色で、12枚の続唱呪文を採用している関係上柔軟性がなく、《衝撃の足音》を連打しても勝てない、アミュレットのようなデッキに不利でした。
そこを3色にまとめてメインに《緻密》のような妨害呪文を多く採用したり、サイドボードに《血染めの月》を採用したりと、苦手なマッチアップに対してガードを上げている構成に好感が持てました。
ティムール続唱はデッキパワー自体は高いと考えていますが、《虚空の杯》や《仕組まれた爆薬》のような対策カードにもろく、それらがサイドボードに何枚入っているかが重要でした。
現在のモダンのメタゲームではティムール続唱はポピュラーなアーキタイプとなっており、それらのカードが合計してサイドボードに4枚程度入っていることが多いのですが、MOCS当時のメタゲームではガードが低く、そこのメタ読みは当たっていました。
――もしアミュレットで出ていたらどうなっていたでしょうか?
とにかくデッキ選択が全てだったと思います。最も時間をかけたアミュレットを直前で捨てられて良かった。直感を信じて良かった、冷静にデッキ選択をできて、自分らしさを出せたと思います。
○試合の感想
若い頃はミスプレイなんて歯牙にもかけなかったのですが、おじさんになってからは傷つきますねw「10年以上MtGやっててなんでこんなのもできないんだ!」って自己嫌悪に陥っちゃいます。
「場の3点を失念してて通した結果死亡」の場面
ただ、ドラフトラウンドの3回戦目でなんとか勝ててホッとしました。構築ラウンドに入ってからは切り替えられて、集中してプレイできていたと思います。
○勝因は?
モダンラウンドでは手札破壊が8枚入っているラクドスデスシャドウと2回マッチアップして、手札破壊で手札がボロボロになっても即座に有効牌を引き込む展開が多かったり、イゼット果敢に対しては3ゲーム目《宝石の洞窟》からの続唱呪文2連打と、最高の手札が来てくれました。
決勝最終ゲームの最後に引いた《厚かましい借り手》についても、受け入れこそ広いものの、「こういう展開、あんまり引かないんだよなぁ」と思いながらドローして、まさかの回答で驚きました(笑)。
トップデッキした《厚かましい借り手》を唱えて勝利のガッツポーズ!
○優勝の意味
そこに出られたこと、優勝できたことは本当に嬉しいです。
MOをはじめた時に愛用していた「ウルザズ・サーガ」の基本土地をふとMOCSの舞台で使ってやりたくなって、モダンラウンド直前でティムール続唱の基本土地をウルザズ・サーガのに差し替えました。ノスタルジー。
○次のMOCS
引き続きSeason2の予選が始まっており、市川さんはちょくちょく出ているものの、「ArenaCSやらMOCS本戦やらで忙しく、ちょっと出遅れてしまって現在全く権利を有していません。Season3は頑張ろうと考えています。」とのことでした。
ただ、このコメントを頂いた直後に再来週のShowcase Qualifierの権利を獲得されましたので、2連続出場に向けて期待が高まります。
八十岡さんはガントレット(勝ち抜き戦)に残れるかどうかの勝負でした。デッキはナヤアドベンチャー(スタンダード)/グリクシスフェニックス(ヒストリック)。
初日3-3で崖っぷちでしたが、「土俵際に定評がある」と自分で言うだけあって。2日目は5-1(初戦負けから5連勝)でライバルズガントレットに進出。
スタンダードのデッキは早めに決まっていたので、ヒストリックをずっと調整していました。黒を足すとイゼット・フェニックス以外には強くなるのでデッキに後悔はありませんが、アンドリュー・クネオ戦に負けたのだけはミスがあったので悔やまれるとのことでした。
ライバルズガントレットは日本人が多いし(編注:八十岡さんのほかに行弘賢さん、石村信太朗さん、原根健太さんが出場)楽しめそう。ここは頑張りどころなので、気合入れてMPL維持目指します。
八十岡さんが『ポケモンカード』の配信イベントに招待され、歌い手のまふまふさんや女流棋士の香川愛生さんらの錚々たる面子と共にシールド戦の8人トーナメントに出場。準決勝でeSportsプロのあばだんごさんに破れ、3位に。
八十岡さんがMPLやライバルズのメンバーと一緒に、『フォーゴトン・レルム探訪』のコラボ元であるTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をプレイし、生放送がありました。
八十岡さんは軍隊で隊長をやっていたという設定のハーフリングのファイターを担当し、仲間のローグに先行偵察を命じるなど、パーティーのリーダーをつとめました。しかし20面サイコロの目はまったくふるわず、前哨戦でゴブリン3体に襲われ、残りヒットポイント1の瀕死になるなどたびたびピンチに……。
井川良彦さんのウィザードが放つ《マジック・ミサイル》の強さや、行弘賢さんのクレリックが《ラスト・モンスター》の脅威に対し機転を利かせて対応するなど、見どころがたくさんなのでよかったらアーカイブをご覧になってみては?
プレイ中の画面(上がダンジョンの盤面、下がプレイヤーたち。右上はゲームを取り仕切るゲームマスター)
MTGアリーナには2週間前に導入され、覚前さんがさっそく緑単デッキを練り上げていました。
ですが、日本選手権の段階ではすでにメタられており、今後はブラッシュアップしても厳しそうとのこと。
そもそも緑単がウィノータに不利なのもありますが、ウィノータはクリーチャーデッキなので、ウィノータをメタったデッキが増えると緑単もついでにメタられてしまいます。よって、今後コントロールデッキやウィノータ、コーマといった苦手デッキが増え、得意な相手はアグロデッキのみとなりそうなので、厳しい戦いが想定されます。
2日間、市川さんと八十岡さんの2人が生中継の解説として参加。
フォーマットはスタンダード。
山本さんが青黒ローグで2000ドル獲得。八十岡さんは2日目4-2で10000ジェムでした。
■チームメンバーへのマジック・アンケート
Q. 『フォーゴトン・レルム探訪』のドラフトで、初手に取りたいレアは?
山本「まだドラフトしてなくてスポイラーもちゃんと把握してないのですが、ダンジョン系で強そうなカードがあればピックしてみたいです!」
八十岡「《レンジャー・クラス》」
覚前「《レンジャー・クラス》」
市川「《ギルドの重鎮、ザナサー》。出してターン帰ってきたら勝ち、バグ。絵も可愛い。」
Q.『フォーゴトン・レルム探訪』の注目カードは?
山本「各種ミシュラランドです。言い過ぎかもしれませんが、どれもスタンダードではちょっと強すぎるレベルのカードだと思います。」
八十岡「ミシュラ土地。」
覚前「各種ミシュラランドですね。スタンダードでは当然強いことが予想されるのですが、どのくらいの枚数で落ち着くのか非常に興味深いです。」
市川「月並みだけど《レンジャー・クラス》。小さい《グレートヘンジ》。
《神秘の論争》が落ちたら《砂漠滅ぼし、イムリス》くんに期待。」
Q. 以下の12のクラスのうち、自分だったらどれになりたいですか?
山本「カード引くのが大好きなので、ウィザード。」
八十岡「レンジャーかモンクですね。サポート職よりも攻撃的なほうが好きなので。」
覚前「悪魔と契約するのも楽しそうな人生だなということで、ウォーロックです。自分の世界観、価値観の中で生きるという姿に生き様を感じます。」
(編注:ダンジョンズ&ドラゴンズのウォーロックは、悪魔やクトゥルフなどの邪神と契約した邪術師)
市川「いっぱいダイス振りたいからバーバリアン。蛮族ではないです。」
市川さんは、ウィザーズ社のオーストラリア・オフィスから『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で使える似顔絵とフィギュアをもらったそうです! こちらのローグ(ならず者)も捨てがたいですね。
Q. 新環境でお気に入りのデッキはありますか?
山本「先日のアリーナオープンで使用したディミーアローグです。
ミシュラランドでデッキパワーが底上げされたのと、流行りのウイノータデッキに有利なところが気に入ってます。」
八十岡「リーグ終わって休憩期間なんで、全然触ってないです。」
覚前「日本選手権2021 SEASON2で優勝した廣澤遊太さんのグルールアグロが好きでよく回しています!
個人的にやっぱステロイド(赤緑)好きだなと。今までのMTGで1番長く触ってきたアーキタイプが強いと嬉しいですよね。
日本選手権優勝リストからちょこちょこ入れ替えて試しています!」
市川「(スタンダード)ジェスカイ変容、システマティックでエレガント! 最高!
(モダン)ティムール続唱、サイ出して殴るだけで楽しい! 意外とトップデッキも強い!
(モダン)ハンマータイム、ハンマー担いで殴るだけで楽しい! 意外と長期戦も強い!
■おまけ:最近の1枚
山本「配信環境を整えました。」
八十岡「カード整理用にこれ買いました。」
覚前「田口久人さんの言葉ですが、人生にもマジックにも通じるセリフと出逢ったので今回の1枚です。
マジックで負けることをステップアップのチャンスと捉えるなら、全力で今を楽しむだけですね!」
(※画像はご本人のツイートより引用させていただきました)
市川「最近暑いのでローソンのアイスカフェラテにハマって毎日飲んでます。メガが板。」
山本さんは配信を始めるのでしょうか? 楽しみですね!
次の大きなイベントとしては、9月頭に開催されるライバルズ・ガントレットに八十岡さんが出場し、MPL残留や世界選手権の出場権利を賭けて争います。引き続き応援よろしくお願いします!