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【MythicInvitational】ミシックインビテーショナル・大会まとめ【Day2】

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1日目の記事でも書いたとおり、プロツアーなどど違って75%のプレイヤーが1日で消えてしまう過酷なトーナメント、それがミシックインビテーショナルです。
2日目にして全員大会が終わってしまいましたので、感想などをまとめました。
アリーナを世界にお披露目するという目的のもと行なわれたため、今までとはまったく違う大会となり、皆さんも新たな視点や気づきを得たりして、いろいろと経験値になったようです。

 

 

 

●大会を振り返って

■BO1はマジックとは違うゲーム

――BO1の大会ってどうでしたか?
覚前「僕はBO3のほうが好きですね。マジックってサイドボードありきのゲームだと思ってて、絶対不利なマッチでも、サイドボードからなんとかできるのがマジックのいいところなので、なかったら違うゲームかなって。マジックではなくてほかのDCGをやってるような感覚でした。」
八十岡「BO1はいいけど、ダブルエリミネーションが最初負けるときつい。
あと3本目のデッキ選択がじゃんけんになるのがいまいち面白くないので、3デッキ制(デッキを3つ用意し、好きな順で使用。一度勝ったデッキは使用できない。2本先取)のほうがいいですね。
最終的に戦略が運任せになっちゃうんですよね。どんなにがんばっても有利なじゃんけんにしかならないので。7割有利なじゃんけんでも3割は負けるし、それで負けると悲しい。」

――BO1なのは別にいいですか?
八十岡「まあ、土地枚数とかはBO1ならではで、今までと違うところに関してのゲームになるから、そのへんは面白いかなと。
あとメタゲームもかなり寄ってて、スゥルタイやイゼットフェニックスがいないとか、青単少ないとか、かなりデッキ選択が狭い。だからよけいにじゃんけんになりやすいのはありますね。
それもあって、3本目の先攻後攻の差がでかいなと。2つともコントロールデッキを持ってくると、コントロール対決で先攻取っても別にメリットなくて、相手がビートのときに後攻だとかなり不利になっちゃう。エスパーでビート対策してても、やっぱり先攻取られると五分か不利になるので。そこの先攻後攻のランダム性でゲームが決まりすぎてるかなという気はするので、何かいい方法があったらなと思いますけどね。」

渡辺「根本的に、最初のデッキは自分で選べるようにしてほしいですね。BO1だったら僕も3デッキ制にするのはいいと思います。BO1の方式だと運の部分が大きいので、もう少しやりようはあったんじゃないかなと。」
八十岡「今回は運を強めにしてるでしょ。MPLとチャレンジャー半々に招待して、配信者がすごい勝ってるし。他ゲームの界隈が盛り上がるから、ウィザーズ的には、インビテーションイベントとして成功のはず。
アリーナをテーブルトップのマジックと一緒にしても意味がないから、テーブルトップは実力の出るゲーム、アリーナのほうはもう少しカジュアルで運要素も強めなエンタメっていう見せ方をしていったほうが、住み分けができる。そういうふうに考えてるのなら、我々としては違うゲームとしてとらえるしかないかなと。」

MPLと配信者枠

行弘「今回はお祭りでも別にいいけど、MPLという、せっかくお金を払ってプレイさせているトッププレイヤーたちがいるんだから、その技術を見せる大会であってほしいという思いはありますね。アリーナを広めたいだけだったら、ストリーマーたちに普及させればいいだけだから。」
八十岡「そこは何を見せたいかだよ。プロの技術を見せるのはテーブルトップの大会で十分だから、今回のイベントはお祭りとして、『配信者がMPLに勝てる』ってところを見せたかったんじゃない? 大会に配信者しかいなかったら強さがわからないけど、『マジックですごく強いMPLっていう奴らがいて、それを倒した』となれば知らない人にもわかりやすい。そういう意味では、今回のMPLは金を払って負けてもらうために呼んでる当て馬(笑)。」
渡辺「今回のイベント自体は見世物ということで、他ゲーム層への宣伝になって成功したと思うけど、次以降のアリーナのミシックチャンピオンシップはMPL32人だけの戦いになるから、そこはどうすんの?と思う。」

――今回活躍しているSavjzさんとか、配信者枠の人をMPLに入れてはどうでしょうか?
渡辺「それはシルバーショーケース(他ゲームのプレイヤーらを招いて古い貴重なカードでドラフトを行なったイベント)の二の舞。」
八十岡「なんでほかのゲームのプレイヤーを呼んできてお金を払うんだってなっちゃう。」
行弘「世界で32人だけを厚遇するって仕組みにした以上、MPLは大事にしてほしいし、するべきだと思う。」
八十岡「話題作りに配信者を入れたいなら、MPL+招待者何人かの大会にすればいいかな。」

行弘「それから今回のシステムだと、プレイヤーの個性が出しにくい。2デッキだとビートとコントロールが丸いから、個性の出しようがない。出そうとすると、白単2つとかちょけたイメージにしかならないんで。3デッキ制の勝ち抜け制にしたらよかった。」
八十岡「3デッキ制だったら全然違ったね。」
渡辺「もし今回そうだったら、(ビートには必ず勝つなど)同じコンセプトを持った違うデッキタイプを選びそう。」
八十岡「どれかに弱いことは変わらないから、じゃんけん性はより増すけど、デッキタイプは増える。今回はエスパー選び得だった。弱いデッキはまず選べなくて、多様性がなかった。」

――そんな中、ピョートル・グレゴウスキさんが青単を選んだのは本当にびっくりしました。何かBO1用に特殊な工夫があるんでしょうか?
行弘「青の《波濤牝馬/Surge Mare(M19)》が2枚入ってるくらい? 僕も青単はかなりやったんですけど、赤単には不利だし、白単は先手ゲー。対エスパーも、相手がうまければ普通に負ける。」
渡辺「BO1では弱いはずなんで、そうとう好きなのかな。」
八十岡「なんで青単を選んだかはインタビューしてほしいね。」

 

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晩ご飯はボストン名物のシーフードをふんだんに使ったイタリアンでした。

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ロブスターやイカ、エビなどがたっぷり入ったフェットチーネを写真に撮る行弘さん

BO1のデッキは土地を削り得

渡辺「今回の反省点としては、勝ってる人のデッキがかなり考えられてて、自分はBO1向けの思考ができてなかったなと思ったんで、いい経験にはなりました。」

――BO3のデッキとBO1のデッキでもっとも違うところって何なんですか?
渡辺「土地の枚数です。僕や行弘が使ったティムール再生って、土地はだいたい25か26が一般的なんですけど、グジェゴジュ(・コワルスキ)は23枚のリストで勝ってたんですよ。」

――そんなに少なくてもいいんですか!
行弘「しかも《選択/Opt(DOM)》2枚だからね。《選択》が多いならまだ理解できるけど。」
渡辺「リスト見て、ほんとにびっくりしました。土地を25に減らして《選択》を増やすのは自分でもやりましたし、土地の枠に《楽園の贈り物/Gift of Paradise(AKH)》を入れるのも試して、デッキの強みが生かされないと思ってやめたんですけど、そもそも土地が24を切るところまでは、よほどやらないと行きつかないと思います。グジェゴジュはエスパ

ーのほうも土地を24に切り詰めてるし。
同じデッキタイプの組み合わせを使って僕と行弘は負けて、グジェゴジュとナシフは勝ってる(トップ16に入っている)ので、その差がどこにあるか知りたい。ナシフのリストのほうは正直あまり変わらないんですけど。」
行弘「ただ彼らはティムールよりもエスパーの構成のほうが僕らと違うからね。だいぶビートへのガードを下げてコントロールに対して上げてるんで、エスパー同型で戦えるのが強みだと思います。」

――なるほど。
行弘「あと、僕は赤単のリストもびっくりした。《実験の狂乱/Experimental Frenzy(GRN)》4枚なのに土地が18とか17とかで、僕は《実験の狂乱》があったら土地20はないとダメだと思ってたんですけど、BO1だったら土地が初手に2枚ある確率が高いから、そのほうがいいってことなんでしょうね。」
八十岡「《実験の狂乱》は一度貼っちゃえば、土地が少ないほうが強いからね。」
行弘「僕はエスパー相手によくマナフラして負けて、ダメだなって思っちゃったんですけど、土地18だったらいけてたのかなーとか。」
渡辺「全体的に、土地の枚数を抑えめにしてたデッキが強かった印象があります。BO1は土地を削り得ってところにたどり着いてた人たちが勝ったのかなと。」

――土地をどこまで削れるかというのは、八十岡さんが研究してたことですよね。
八十岡「俺は赤単の土地削る研究はしてましたけど、赤単はどうやっても同型がクソゲーだからあきらめました。赤単同型は《実験の狂乱》貼ったほうが勝ちで、そういうゲームをやりたくなかったんで。あと、普通にエスパーにも基本不利だし。逆に、白単は土地を削ったら事故りますね。今回も2マナで止まってる試合が多かったから。」
行弘「白単の土地は削り損。3マナ目のバリューがでかすぎるから。」
渡辺「赤単は《舞台照らし/Light Up the Stage(RNA)》で土地を探しに行く動きができるから土地を削れるんですけど、白単は3マナ目まで伸びないとデッキの強みがまったく生かされないから、土地2枚の初手をキープして3枚目を引かなかったときのリスクが高すぎる。」

――そう考えると、土地を削れる赤単のほうがBO1ではよさそうですね。
行弘「BO1の強みは出やすいかなと。なんにせよ今回のデッキリストは、BO1をやるにあたってめちゃめちゃ参考になると思います。」
ヤソ「今まで全然参考にするリストがなかったからね。」

大会全体の感想

――ミシックインビテーショナル自体は終わっていませんが、出てみての感想をお願いします。
覚前「強い人にも勝てるなって感想ですね。1ラウンド目のkanister(ピョートル・グレゴウスキ)とかブラネル(ブラッド・ネルソン)とか、プラチナレベルのプレイヤーも、それこそコレだったんで(手のひらの上でコロコロ転がすしぐさ)。うまい人に勝てる一方で弱い人に負けることもあるし、誰にでもチャンスがあるってことはよくわかりました
あと、すごく待遇がよかったです。招待プレイヤーを大事にしてくれてるなって感じで、運営もめちゃめちゃしっかりしてて、やっててすごい気分がよかったですね。またこういう機会があったら出たいと思いました。」

――ほかの皆さんはどうでしたか?
八十岡「初日からやり直したいです。とりあえず、ジェンセンの《首謀者の収得/Mastermind’s Acquisition(RIX)》のトップデッキをやり直しで。」
行弘「そこはやり直しても一緒でしょ!(笑)」
八十岡「いや、そうそう引くわけがない。」
行弘「じゃあ、ヤソが試合前にジェンセンの爪を1枚はがしておけば(笑)、世界線が変わるかもしれない。」
覚前「痛いから、クリックするタイミングが変わって乱数が変わるかも(笑)。」
渡辺「僕は1週間前からやり直したいですね。マジック・フェスト京都のところから。まず、京都に行かない! 行ってなければ、今回あんなに事故らなかったはず(笑)。京都で勝ちすぎてしまった。」
八十岡「勝ったからいいやろ!(怒)」
行弘「本当だよ! 京都でも負けて今回も負けた俺を見ろ!(怒)
渡辺「でも俺、今回0勝だから!」
八十岡「関係ねー!(笑)」
行弘「あと1ゲームのところだったから一番くやしい覚前君もナベも、結果的には一緒だから!」

 

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デザートのティラミスを食べる覚前さん。

 

 

 

●おまけ:PAX East会場風景シリーズ

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会場のBoston Convention & Exhibition Center外観。

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入場を待っているお客さんの列が、突き当たりの壁までぎっしり。風船などを投げ上げては大声をあげ、始まる前からめちゃめちゃ盛り上がっています。

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こちらは主にアナログゲームやグッズを扱うエリアで、これでもまだお客さんの少ない時間帯です。

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会場マップ。3階までありますが、余力がなくて1階しか見られませんでした。

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ここから好きなボードゲームを借りて自由に遊ぶことができます。

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宝石のようなサイコロを売るお店がたくさんあります。

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Tシャツ屋。上の右から3番目に「ニコル・ボーラスは俺の副操縦士」というTシャツがあります。

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コスプレイヤーも大勢いるのですが、混み合っていてほとんど撮影できませんでした……。

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アリーナのステージを観戦していたソリンとナヒリのコスプレイヤー。

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