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Team Cygames『ゲートウォッチの誓い』合宿レポート ~規模拡大!ドラフト三昧の3日間~

gasyuku

『戦乱のゼンディカー』での合宿に続き、1月22日(金)~24日(日)に、Team Cygamesのメンバー4人はドラフト合宿を行ないました。大勢の参加者で新環境を研究した合宿の模様と、本人たちの感想をお届けします。

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合宿に臨むTeam Cygamesの4人。

『ゲートウォッチの誓い』発売直後、都内某所の会議室に大勢のプレイヤーが集合しました。翌週末のグランプリ・名古屋2016とさらに翌週のプロツアー『ゲートウォッチの誓い』に向けて、集中的にドラフトを練習するためです。
今回の合宿は、いわゆる「菊名合宿」メンバーを中心に招いて開催されました。菊名合宿とは、ここ最近日本国内でも一般的になってきた「週末に泊まり込みで新環境のドラフトを集中的に行なう」練習法の端緒となったもので、今回参加していただいた中村夫妻の自宅で行なわれ、Team Cygamesのメンバーもかつてたびたび参加していたイベントです。
Team Cygames以外の参加者は、前回プロツアー優勝者の瀧村和幸さん、殿堂プレイヤーの三原槙仁さんらをはじめ、リミテッド巧者として知られる金民守さんや石村信太朗さんなど錚々たる顔ぶれ。木村も飛び入り参加して、プロたちの意見を参考にしつつ主にシールドの練習に取り組んでいました。

 

 

 

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参加メンバー一覧(敬称略)
後列左から:石村信太朗、金民守、三原槙仁、中村さら、中村肇、瀧村和幸、高尾翔太
前列左から:木村唯人、市川ユウキ、渡辺雄也、山本賢太郎、覚前輝也

 

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大会のドラフトで会話はできませんが、ここは研究の場であるためピックを相談しながら進めることも。

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ドラフトごとに、デッキの色と順位が壁のホワイトボードに記録されています。

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スリーブはCygamesのを使用して頂きました。

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並んでドラフトをする、真剣な表情の3人。

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デッキ構築中の山本さんと覚前さん。

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最後のドラフトで「終わりよければすべてよし」となるよう、ピックのアドバイスをする渡辺さん。
1パック目初手で《ゼンディカーの代弁者、ニッサ/Nissa, Voice of Zendikar》を取り、2手目では色を固定しないために《ベイロスの虚身/Baloth Null》ではなく《種子の守護者/Seed Guardian》をピック。3手目はあまり良いカードが回ってきませんでしたが、ここで引き続き緑を取ろうとした市川さんに対し、渡辺さんが白の同盟者という選択肢を教示。そこから緑と白の方向で進んでいったところ、2パック目で《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver》を引き当てて、「いいピックをするとパックも応えてくれる」と大盛り上がりでした。

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切り札の《ゼンディカーの代弁者、ニッサ/Nissa, Voice of Zendikar》と《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver》を隠してデッキ構築をする市川さん。

 

 

●メンバーによる合宿振り返り

1月22日(金)~24日(日)の3日間、会議室とホテルを往復し、8時から24時までという健康的(?)なスケジュールで、計10回あまりのドラフトが行なわれました。
合宿中のTeam Cygamesの4人に、環境の印象や感想などを聞いてみました。

――合宿も3日目になり、今はドラフトを8回終えたところですが、調子はいかがですか?
山本「僕はぼちぼちです。」
市川「ヤマケンはいつもいいからね~。」
山本「最初の練習はいつも調子いいです。」
渡辺「僕もけっこうよくて、今回は特にいいほうです。いろいろ試しながらやってる中でいろんな発見があって、それがけっこう強かったりして、いい感じにやれてます。」
覚前「僕もまずまず、なんとか勝ち越してるくらいですね。」
市川「みんな勝ち越してるなー。当たり前かー。」
――1勝11敗という成績の人がひとりいると聞きましたが……。
市川「はい、やばいです!」
――ただ、(前回のプロツアーで優勝した)瀧村さんも直前のドラフト練習で1-11していて、そのときにあらゆる負けパターンを試しておいたことにより、優勝につながったとのことでしたよね。
市川「それは確かに。安定したアーキタイプばかりやるよりは、今の段階ではいろんなことをやったほうがいいんで。」

――優勝フラグだと思いますので、本番期待しています!

 

環境雑感

――今回の環境について、感想をお願いします。
山本「新セットのカードが基本的に強くて、環境の速度が上がった感じがしますね。だから、コンセプトのはっきりしないふんわりしたカードを入れてしまうと、デッキ自体が厳しくなります。」
渡辺「何のシナジーもない4マナトークン2体(《目なしの見張り/Eyeless Watcher(BFZ)》)とか、昇華者がいないのに、嚥下の1/2飛行(《霧の侵入者/Mist Intruder(BFZ)》)とかね。」

目なしの見張り 霧の侵入者

山本「そうですね。前の環境でもできれば入れたくなかったですけど、今回はカードが強くなったので、頭数をそろえるためだけのコンセプトから外れたクリーチャーとかは、より入れてはいけない感じですかね。」
渡辺「あと、1、2パック目の「ゲートウォッチの誓い」を主役にしていく感じになるので、2パック目までに決めたストーリーに3パック目の「戦乱のゼンディカー」で合わないやつらが多くて、そこをうまく調整しないといけないと思います。」
――なるほど、難しいですね。
市川「それに、コンバット・トリックが強くなって、攻めるほうが優位性が高いなと思いましたね。前は黒緑トークンみたいな、アドバンテージをとりつつ戦うデッキもあったんですけど。」
渡辺「そういうアーキタイプより、今は殴るアーキタイプが強いなと思いました。小型セットをたくさん使うので、ドラフトに関してはカードを固め取りしやすくなってるので。」

――ピックしたカードがかぶってポーカーのようになるということですね。
渡辺「そうです。そのほうがコンセプトが固まってるから安定してるし、速く回る。」

――覚前さんはいかがですか?
覚前「僕も、前の環境に比べて、ふんわりしたデッキは組めないなというイメージです。軽めのいいクリーチャーがコモンに多く存在してるので、《破滅の昇華者/Ruin Processor(BFZ)》とか、適当に出せば勝てるようなカードが出にくくなってる。軽いデッキにしろ重いデッキにしろ、アーキタイプでしっかりまとめていくことを、今までより意識したほうがいいと思いますね。」

――すると、やはり練習がものをいうことになりますね。
覚前「この環境は、練習するとかなり変わると思います。」
渡辺「ただ、速いデッキだけじゃなくて遅いデッキもちゃんと勝てる環境ですね。」
市川「遅いデッキで成功すると、3-0する率が高いね。」
渡辺「僕、緑多色の遅くて除去とレアがしっかりしてる、リミテッドの古典的なデッキで2回3-0したんです。多色にすると、流れてきたレアを拾えてカードパワーが上がるので。早いデッキはちょっとつまづいて2、3ターン目に展開できなかったりするとゲームがスローダウンしちゃうので、そこにうまく除去を合わせてレアで蓋をする、みたいな古典的なことができれば強かったです。」

――なるほど。
渡辺「あと、やってみないとわからなかったんですけど、無色は完全に“6色目”だと思いました。」

――基本5色のほかに、紫のマナがあるみたいな感じですか?
市川「そうそう。」
覚前「無色をタッチして使うことが多いよね。」
渡辺「無色は基本3色目で、2色目にはほぼできないんで、どのくらい寄せるかとかは難しいところですね。」

合宿について

――練習において特に重視したポイントはなんですか?
覚前「僕の場合は、1枚1枚のカード評価の見極めです。アンコモンとかは試す機会が少ないので、例えば青黒欠色をやってるときにアンコモンの《精神溶かし/Mindmelter(OGW)》と、鉄板のコモン《耕作ドローン/Cultivator Drone(OGW)》が流れてきたら、コモンのほうが安定なんですけど、アンコモンのほうをあえて試すとか。」

精神溶かし 耕作ドローン

渡辺「うまく使えたらアンコモンのほうがいいけど、コモンは必ず一定の働きをするからたぶんそっちのほうが強い。でも今回は練習の場だからってことで。」
覚前「試した結果、やっぱりコモンのほうが強かったなって確認ができました。」
市川「レアとか特にそうで、神話の4マナ6/6飛行(《真実を覆すもの/Inverter of Truth(OGW)》)なんて、書いてあることがむちゃくちゃで全然予想つかなかったですけど、今回3回くらい出て毎回けっこういい動きしてたんで、めちゃくちゃ強いってわけじゃないですけど、『ああ、これくらい使えるんだな』ってわかってるのはでかい。」
渡辺「特に神話レアは自分ひとりじゃ全然経験値が少ないので。全員の情報を共有できるのが、合宿で一番大きい利点ですね。」
市川「そうやって使い慣れないカードにトライしてるから、一瞬で0-3してしまうのも仕方がないと(笑)。さすがにトライしすぎましたけど(笑)。」

――今回の合宿は今までとだいぶ環境が違いますが、どうでしたか?
渡辺「素晴らしい場所を提供してもらえて、とても快適でした。」
覚前「広い!」
市川「広いから人がたくさん呼べて、流動的にドラフトできるし、意見交換もしやすいのがメリットですね。さっきも話が出たように、人が増えれば増えるほど共有できる情報が増えるんで。」

――人の入れ替えはどういうふうにしていたんですか?
渡辺「さっきやった人は抜けて、やってなかった人が入って必ず2、3人は入れ替わるようにしてます。」
市川「いろんな人がいたほうが、いろんな視点でカードを見れるんで。」
渡辺「長時間なんで、ローテーションして休み休みですね。そのほうが全員はかどる。」
市川「短時間で詰め込むよりはね。時間が空くとまとめたり反省できるから。」
渡辺「あと、空いた人は名古屋に向けてシールドの練習したりして、時間を有効活用してます。」

プロツアーへの意気込み

――今はグランプリ前ですが、これが掲載される頃にはグランプリはもう終わっていますので、プロツアーへ向けての意気込みをお願いします。
覚前「せばちゃん『グランプリ名古屋は優勝したんで』くらい言いなよ~。『(口調を真似て)優勝しちゃったからなー!俺なー!』って」
渡辺「1-11したやつが優勝しないわけないな~。」
市川「11パターンの負け方を覚えたんで、名古屋はさすがに勝ちます。プロツアーも勝ちます。モダンはデッキも決まってないけど(笑)。」

――モダンに関しては、まだこれからですよね。
渡辺「リミテッドは今回で十分経験値ためたんで、あとはモダンですね。モダンでいいデッキができればみんな勝てると思います。」

――山本さんはいかがですか?
山本「……がんばります。」
渡辺「もっとなんかひねろうよ(笑)。」
市川「まあ、山本さんはクールキャラだから。」
山本「じゃあ……リミテッド成績最上位者での世界選手権出場を狙ってるので、5-1以上が目標です。モダンはフェアデッキではなくアンフェアなデッキで、メタがはまったら大勝、外れたら大敗のギャンブルデッキでいくのもありだと思っています。」
覚前「僕もリミテッドラウンドで5-1します! でも、構築は察してください(笑)。」

――鍵はモダンですね。がんばってください!

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●プロツアー目前!

プロツアー『ゲートウォッチの誓い』はいよいよ今週末。大会の様子は「ニコニコ生放送」の公式生中継で見ることができるほか、Team Cygames公式HPでもメンバーの活躍について報告していきますので、どうぞお楽しみに!

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