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プレイヤーズコンベンション愛知2022レポート

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11月26-27日に愛知県常滑市のAichi Sky Expoで開催された、プレイヤーズコンベンション愛知2022のレポートをお送りします。
大会名になじみがなく、どういう大会だったのかよくわからない方も多いと思いますので、まずは簡単にご説明します。

会場

 

 

 

●大会の概要

会場では大きいものから小さいものまで、たくさんのトーナメントが同時進行していました。中でもメインだったのは、2つのパイオニアの大会です。

もっとも格の高い大会が、「チャンピオンズカップファイナル サイクル1」です。予選を抜けないと参加できず、参加者は200人ほど。
上位18位に入るとプロツアーの参加権利が得られ、優勝者と準優勝者は次回の世界選手権に出られます。日本と韓国を合わせた地域最強決定戦であり、今までの大会でたとえると、日本選手権に近いです。

その脇で行なわれていたのが、「プレイヤーズコンベンションオープン2022」です。こちらは昔のグランプリに近く、誰でも出られる大会です。参加者は800人ほど。

イメージ用

以上の2つ以外にも、多種多様なフォーマットのトーナメントが行なわれ、中でもヴィンテージ&レガシーの大会「エターナル・ウィークエンド」は、もらえるプロモカードが豪華だと話題になっていました。

余談ですが、これらすべてのイベントを統合した呼び名が「プレイヤーズコンベンション愛知2022」となっており、2つ目のオープン大会と名前がよく似ているので要注意です。

 

 

 

●Team Cygamesまとめ

八十岡さんと市川さんは、「チャンピオンズカップファイナル サイクル1」のほうに出場。先日の世界選手権出場者として、招待されました。
2人とも、初日を6勝1敗で好調に勝ち進みました。残念ながら市川さんは2日目に失速してしまいましたが、八十岡さんのほうは4位入賞となりました。ただ、八十岡さんは2位以上でもらえる次回世界選手権の出場権が目標だったので、あと1勝足りず「徒労」とのことでした。

一方覚前さんは、「プレイヤーズコンベンションオープン2022」のほうに出場。こちらは初日でドロップしましたが、2日目はチーム戦に出場してトップ4となりました。

3人に、大会後オンラインで取材を行ないましたので、詳しくお届けします。

 


市川ユウキ『セレズニア・オーラ』
チャンピオンズカップファイナル サイクル1



1《森》
4《枝重なる小道》
4《低木林地》
4《寺院の庭》
3《マナの合流点》
1《耐え抜くもの、母聖樹》
1《皇国の地、永岩城》
1《秘密の中庭》


土地(19)

4《林間隠れの斥候》
4《皇の声、軽脚》
4《照光の巨匠》
2《楽園のドルイド》


クリーチャー(14)


4《天上の鎧》
4《歩哨の目》
4《無鉄砲》
4《きらきらするすべて》
2《結束のカルトーシュ》
2《グリフの加護》
1《戦茨の恩恵》
1《ケイヤ式幽体化》
1《まばゆい神盾》
1《最上位権限》
1《持続のルーン》
2《タミヨウの保管》


呪文(27)


4《成長の季節》
4《バサーラ塔の弓兵》
4《ポータブル・ホール》
2《安らかなる眠り》
1《耐え抜くもの、母聖樹》


サイドボード(15)

市川デッキ


八十岡翔太『ラクドス・ミッドレンジ』
チャンピオンズカップファイナル サイクル1



2《沼》
1《山》
4《憑依された峰》
4《荒廃踏みの小道》
4《血の墓所》
2《バグベアの居住地》
2《目玉の暴君の住処》
2《硫黄泉》
2《変わり谷》
1《反逆のるつぼ、霜剣山》
1《見捨てられたぬかるみ、竹沼》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》


土地(26)

4《税血の収穫者》
4《砕骨の巨人》
3《墓地の侵入者》
2《苦難の影》
2《黙示録、シェオルドレッド》
1《死の飢えのタイタン、クロクサ》


クリーチャー(16)


4《鏡割りの寓話》
4《思考囲い》
2《戦慄掘り》
4《致命的な一押し》
1《パワー・ワード・キル》
3《ヴェールのリリアナ》


呪文(18)


3《真っ白》
3《絶滅の契機》
2《強迫》
2《引き裂く流弾》
2《勢団の銀行破り》
1《領事の旗艦、スカイソブリン》
1《削剥》
1《コラガンの命令》


サイドボード(15)

八十岡デッキ


覚前輝也『ボロス・アグロ』
日本選手権2020秋



1《湧き出る源、ジェガンサ》


相棒


1《平地》
4《戦場の鍛冶場》
4《感動的な眺望所》
4《針縁の小道》
4《聖なる鋳造所》
1《皇国の地、永岩城》
1《反逆のるつぼ、霜剣山》


土地(19)

4《恩寵の重装歩兵》
4《僧院の速槍》
4《損魂魔道士》
4《損魂魔道士》
3《戦慄衆の秘儀術師》


クリーチャー(19)


4《農家の勇気》
4《果敢な一撃》
4《神々の思し召し》
4《無謀な怒り》
3《タイタンの力》
3《ボロスの魔除け》


呪文(22)


4《希望の光》
2《一心同体》
2《熱烈の神ハゾレト》
2《砕骨の巨人》
2《引き裂く流弾》
2《焦熱の衝動》
1《湧き出る源、ジェガンサ》


サイドボード(15)

覚前デッキ

 

 

 

●調整メンバー

市川さんと八十岡さんは、元「チーム武蔵」メンバーを中心にした調整チームを組み、Discordでのオンライン調整を行ないました。
メンバー(敬称略)は、市川ユウキ・八十岡翔太・行弘賢・原根健太・森山真秀・川崎慧太・石村信太朗。それに加えて、プレイヤーズコンベンションオープンのほうに出場していた浦瀬亮佑・高尾翔太の計9名です。
そのうち市川・行弘・原根・森山の4名が、同じセレズニア・オーラデッキを使用しました。

 

 

 

●デッキ選択

○緑単信心
○ラクドス・ミッドレンジ
○イゼット・フェニックス

パイオニア環境は、上の3デッキタイプが三強のため、そのうち2つに弱いデッキは問題外と考えていました。3つともに強いデッキがあれば理想ですが存在しないため、2つに強いデッキを探しました。
市川さんはロータスを調整していましたが、先週のアメリカ地域予選で勝ったセレズニア・オーラを選択することにしました。愛用していたハンマータイムデッキと似ていて手になじみ、Magic Onlineで練習した時は12-0するほどでした。
セレズニア・オーラはラクドス以外には強く、ラクドスにもサイドから戦えるプランがあります。また、ラクドスの《ヴェールのリリアナ》が減っているのも追い風でした。

ラクドスも安定していていいデッキですが、練度が高くないのでやり込み勢とミラーを戦いたくないのでやめました。
なお、本戦では青白コントロールの勝率が高めだったのですが、調整では「すべてに対して五分くらい」という評価でした。市川さんはコントロールが苦手なので選択肢に入りませんでしたが、今後は苦手意識を克服し、デッキ選択の幅を増やしたいとのことです。

市川
デッキ選択については後悔してないです。
このデッキには有利だと思って持ち込んだらそうじゃなかった、とかだったら調整の仕方が間違ってたことになるけど、想定外のことは起きなかったので、そこは問題ではないですね。
ラクドスが思ったより多くて、2日目にどんどん多くなっていったことが予想外だったなという感じです。

八十岡さんは、特にほかに使いたいデッキがなかったので、消去法でラクドス・ミッドレンジになりました。
日本は予選をラクドスで抜けた人が多く、その人たちがそのまま本戦に出場してトップメタになると予想されたので、ラクドスに不利なデッキは使いたくありませんでした。青白コントロールはそもそもラクドスに強くないと思ったのと、緑単はラクドスへの有利性が下がっており、「あんまり好きじゃない」ので選びませんでした。
ラクドスはデッキ自体の強度は高いですし、ラクドス調整担当だった川崎さんが回しているのを見ていたら、《苦難の影》が入って予想以上に緑単への勝率がよくなっていたのも、選んだ一因です。

Staff
ラクドスのミラーマッチについては、何か秘策などはあったんでしょうか?
八十岡
細かいプレイングもあるっちゃありますけど、7割くらいは運で、《鏡割りの寓話》を何枚引くかみたいなゲームですね。基本的には互いに手札がゼロになって、そこからいいものをトップデッキしたほうが勝つ、みたいな感じです。
Staff
八十岡さんのデッキに入っている《変わり谷》が注目を浴びていましたが、どういう経緯で入れましたか?
八十岡
回してたら、欲しいなと思ったんで。基本的にダメージで詰めてくデッキだから、ハンデスでリソース枯らし合った後で《変わり谷》は強くなりやすい。ラクドスは3マナのカードが多いのも理由の1つので、土地5枚の時に3マナのアクションしてから《変わり谷》で殴れる。そうやってちょびちょびライフを詰めていくと、最後は《砕骨の巨人》を本体に撃ったりする選択肢も生まれるし、ゲームが楽になりやすいんです。
あと土地の枚数がだいたいの人は25枚なんですけど、気持ち少ないなと思ってて、26枚にしたかったというのもあります。土地が2枚で止まったら負け確定で、《鏡割りの寓話》でマナフラッドは受けられるけど、スクリューはどうしようもないんで。
どこかのサイトで誰かが言ってたんですけど、僕の使うデッキっていつも土地が標準より1枚多いらしいんですよ。確かに、リストを見て土地を1枚増やすことが多いですね。

変わり谷

Staff
2人ともすでにプロツアーの権利があるので、今回は準優勝以上じゃないと意味がありませんでした。それを意識してデッキを選びましたか?
市川
もちろん。結局ラクドスが勝ち上がるかどうかっていうメタゲーム次第で、勝ち上がらないメタゲームもありえたんで、そこにベットして選んだ感じでしたね。
八十岡
僕のほうは、全勝目指せそうなデッキがなかったから、単純に強いデッキを選んだだけです。セレズニア・オーラは、プロツアー権利取るだけならいいかもしれないけど、トップ8を勝ち上がるには難しいかなと思ってたんで。

●覚前さんの場合

一方、覚前さんはけっこう最近になって市川さんから聞くまで、この大会の存在自体を知りませんでした。急にパイオニアをやることになったので、Magic Onlineを使って1日練習し、得意なデッキタイプでもあるボロス・アグロを使うことに決めました。
ただ、まだ『兄弟戦争』が出る前だったので、ラクドス・ミッドレンジに《苦難の影》が入っておらず、緑単信心に弱い状態でした。そうすると本戦で緑単が上がって来そうだから、ボロス・アグロはいい立ち位置なのでは? というのが選択理由だったのですが、実際にはデッキのパワーバランスが変わり、大会当日にはボロス・アグロの勝ちにくいフィールドになっていました。

苦難の影
《苦難の影》は、覚前さんが『兄弟戦争』発売前に注目の1枚として挙げていたカード。

 

 

 

●対戦について

市川さんの戦績


戦績(最終順位:35位

ラウンド 対戦相手のデッキ 勝敗
1 アブザン脂牙 ○2-0
2 グルール機体 ○2-1
3 アブザン脂牙 ×1-2
4 ラクドス・ミッドレンジ ○2-1
5 イゼット・フェニックス ○2-0
6 緑単信心 ○2-0
7 グルール機体 ○2-0
8 ラクドス・ミッドレンジ ×1-2
9 緑単信心 ×1-2
10 エニグマ・ファイヤーズ ×1-2
11 イゼット独創力 ○2-1
12 緑単信心 ×0-2

※ラウンド5はビデオフィーチャーになっています
市川対戦

市川さんを含む4人が同じセレズニア・オーラデッキを使いましたが、ほかの3人はかなりのスピードで負けてしまい、市川さんが1人だけ勝ち進む形に。ロケットの多段噴射のようでした。

市川
いやー、僕だけになるのが早すぎましたね。ロケットがまだ大気圏すら出てないのにもう僕だけだったし、僕も大気圏抜けたと思ったらすぐ落ちちゃったんで、噴射力としてはいまいちなロケットでした。

1日目を6勝1敗と快勝した市川さんですが、相性の悪いラクドスと青白コントロールが勝ち組だったので、2日目は勝てる気がしていませんでした。実際2日目の成績は1勝4敗で、苦手ではないはずの緑単にも下ブレて2回負けているので、「どう転んでもトップ8には入ってなかったと思う」とのこと。

市川
あとは、初日ラウンド3のアブザンに、3ゲーム目ミスって負けたのが、すごく記憶に残ってますね。先手2ターン目に、《皇の声、軽脚》か2マナ1/1のダブルストライク(《照光の巨匠》)のどっちを出すかって場面で、ダブルストライクから出すのがセオリーなんですけど、そうしたら負けちゃって。《皇の声、軽脚》から行ったらよかったな、プレイの柔軟性に欠けてたなと。

皇の声、軽脚照光の巨匠

Staff
セオリーに縛られすぎていたということですか?
市川
サイド後、相手は除去が6枚入ってくるんで、除去られてもいいダブルストライクから行くのがセオリーなんですよね。《皇の声、軽脚》のほうが強いし、《皇の声、軽脚》が後から出てきてもダブルストライクが横にいれば、1マナオーラをダブルストライクのほうにつけて、《皇の声、軽脚》にもオーラがつけられる。
それでダブルストライクから出したら、対戦相手が2マナ2/1謀議(《ラフィーンの密通者》)で《領事の旗艦、スカイソブリン》を墓地に落として、自分の手札をよく見たら、土地を引けば3キルなんだけど、引かなかったらダブルストライクをタフネス7以上にはできない内容だったんです。つまり相手が返しに《大牙勢団の総長、脂牙》を出せば3点×2回で落ちちゃう。もし《皇の声、軽脚》から出してれば、タフネス7以上を作れてて、相手の手札に除去がないのが前提ですけど、4キルできてたんです。
手札のオーラ事情を考慮しつつ、返しに相手が何をしてくるか、ゲームを立体的に考えられてなかったなと。《皇の声、軽脚》から出すってできなくはないプレイだったんで、それだけ悔しいですね。

 

八十岡さんの戦績


戦績(最終順位:4位

ラウンド 対戦相手のデッキ 勝敗
1 ラクドス・ミッドレンジ ×1-2
2 ラクドス・ミッドレンジ ○2-1
3 ラクドス・ミッドレンジ ○2-0
4 ケルーガ・ファイヤーズ ○2-1
5 緑単信心 ○2-1
6 緑単信心 ○2-1
7 ラクドス・ミッドレンジ ○2-1
8 ラクドス・ミッドレンジ ○2-0
9 青白コントロール ○2-1
10 (中村修平さんからトス)
11 (平山怜さんとID)
12 (村栄龍司さんとID)
QF 青白コントロール ○2-1
SF ラクドス・ミッドレンジ ×1-2

 

八十岡対戦

八十岡さんは2日目、ラウンド10まで破竹の勢いで全勝していた中村修平さんから勝ちを譲ってもらい、その後2回のID(合意の上の引き分け)を経てトップ8入りを決めました。
準決勝で勝てば世界選手権だったのですが、9月のアリーナチャンピオンシップ1に続き「あと1勝」が足りない結果となり、いつもポーカーフェイスの八十岡さんにしてはかなり悔しそうでした。
準々決勝、準決勝ともビデオフィーチャーになっているので、ぜひ動画をご覧ください。

八十岡
僕、大会全体で初戦と最終戦しか負けてないんですけど、両方ともラクドスミラーで、両方とも《絶望招来》で負けてるんですよね。初戦の人はデッキに2枚入ってて、最終戦は1枚。
Staff
そのわずかな《絶望招来》だけが、あの会場での負けだったと。
八十岡
あのカード、ほかにはあんまり使うマッチないんですけど、ミラーでけっこう強いんで、取ってもよかったかなと。マウントをとれるカードは多いんですけど、《絶望招来》はさらにまくる力もあるから、カードとして強いなと思いましたね。ラクドスめっちゃ当たりましたし。

絶望招来

 

 

 

●覚前さんの場合

覚前さんは、大会前日に名古屋で開かれたラストチャンス予選に出場しました。5-1-1でトップ8に入るも、残念ながら一没(本戦に出られるのは上位2人)。
というわけで土曜日はプレイヤーズコンベンションオープンに出場し、結果は3勝3敗でした。

覚前
3ラウンド目に当たった青白アヴァシン(《大天使アヴァシン》を裏返して、自分のクリーチャーにだけ《無私の霊魂》で破壊不能をつけるデッキ)を使ってた方が、Team Cygamesのファンの方で、「誰かに当たることが夢です」っていうような話をしてたんですよ。スリーブもTeam Cygamesのを使ってたんです。
Staff
それはいい話ですね。
覚前
まあ、0-2でサクッと負けたんですけど(笑)。

プレイヤーズコンベンションオープンのほうは、チャンピオンズカップファイナルとはメタゲームが大きく違っていて、バラエティに富んだ環境でした。覚前さんが対戦したのも上記の青白アヴァシンのほか、創案の火、イゼット・フェニックス、ジャンド・フード、青単といった、全部バラバラなデッキたちでした。

覚前
みんな好きなデッキ持ってきてましたね。なのでいろいろ考えてみて、強いデッキを使うのが一番だという結論になりました。ラクドス・ミッドレンジとか青白コントロールが本戦で勝ってましたけど、そういう地力の高いデッキであれば、どんな相手でもまんべんなく戦えたかなと思います。
あと、自分のマジック観がちょっと間違ってたのに気づけた大会でもありました。
Staff
どういうことですか?
覚前
今までの、新セットが出てから2週間くらいでプロツアー級の大会に出るような時、僕の場合、最初の1週間でデッキを決めて、残りの1週間をその調整に当てるというやり方をしてたんです。実はそれがよくないってことに気づきました。デッキを決めるまでは、できるだけ長いほうがいいんです。1週間じゃなくて、13日とかかけて、最後の1日だけ調整するほうがいい。プレイスキルがもし満点だとしても、デッキパワーが弱かったら本当の力を出せなくて、プレイが多少雑でもデッキが強いほうが、結局大会では勝つなと。
なので、気づくのが遅いんですけど、今後はデッキ選択の部分をもっとしっかり考えたいなと。
Staff
なるほど、デッキ選択の割合がすごく高いんですね。
覚前
僕は今までのプロツアーとかでも、リミテッドの成績が割とよくて構築は悪いことが多かったんですけど、やっぱり早くデッキを選んでプレイを煮詰めていった結果、デッキそのものがあまり強くなくて負けることが多かったなとわかりました。

覚前さんは2日目の日曜日、黒田正城さん、川崎慧太さんと組んでチームパイオニアに出場。本戦を早めにドロップしていた川崎さんと「明日何する?」と話したら、チーム戦があると知り、たまたま空いていた黒田さんと「ノリで組んだ」とのことです。
カードの重複なども関係ないルールだったので、全員1日目のデッキで臨みました(川崎:ラクドス・ミッドレンジ、黒田:イゼット・フェニックス)。

覚前チーム

チーム戦の参加者は80チームほどいて、予選は7回戦でした。覚前さんのチームは6戦全勝ののち、最後のラウンドをIDして1位で決勝ラウンド(トップ4)に進出。
1位通過なので3人全員が先手を得られるルールで、かなり有利ではありましたが、準決勝で破れてしまいました。賞品は3人で『兄弟戦争』4ボックスでした。

覚前
やっぱりチームメイトが頼もしかったです。個人成績は5勝1敗でした。デッキ的にだいたい早めに終わるし、黒田さんもけっこう早く勝つので、川崎さんは最後まで試合しないって展開が多かったです。
Staff
チーム戦の感想は?
覚前
楽しかったですね、フォーマットとしてチーム戦が一番好きかなと思います。別に相談とかするわけじゃないんですけど。基本的にいつもマジックって1人でやるから、勝った喜びを分かち合える仲間がいるっていうのが、好きですね。

 

 

 

●イベント全体について

チャンピオンズカップファイナルという大会は初開催だったので、全体の感想を伺ったところ、大会の雰囲気は「グランプリ2日目からスタートしたような感じ」。
また、予選に出ないといけないフットワークの軽さが求められるためか、古いプレイヤーが振るい落とされてそのぶん若いプレイヤー層が少し繰り上がってきた感じがある、という話も出ました。

久しぶりの大型イベントでしたので、ファンとの交流もありました。
市川さんは韓国のプレイヤーからサインを求められ、ファイレクシア語版《黙示録、シェオルドレッド》が3枚出てきたので、怖くて「本当にいいの? 1枚だけにしといたら?」と一生懸命言ったそうです(結局3枚ともサインしました)。
八十岡さんも会場をうろうろしていたらサインと写真をたくさん求められ、いろいろなバージョンの《対抗呪文》にサインしました。
また、会場でマジック日本公式YouTubeチャンネルの取材も受けていたので、いずれ動画がアップされると思います。

――大会全体についての意見をお願いします。

市川「賞金とインマネ率(賞金獲得率)上げてほしい。」

八十岡「サイドイベントであんないいカード配るなら、こっちにももっといいもの配ってほしいね。エターナル・ウィークエンドのトップ8プロモ、60万とか80万とかするらしいのに、こっちは4位でやっと賞金2400ドルで、さすがに悲しくなってくる。」

市川「人によっては2段階の予選を抜けて、けっこう頑張ってコスト払って出てきてるのに、18位までに入れなかったら完全に虚無だし、入ってプロツアーに出られたとしても、プロツアーも最近かなりプライズが寒いんで、高い航空券代払ったら赤字みたいな……。こんなんだと、プロツアー目指す人いなくなっちゃうよね。もっと、『これに出てよかった!』ってなってほしい。」

八十岡「あと、大会が重なりすぎ。向こうのオープンのほうは、気づいたら終わってたみたいな感じで、いろんなイベントを一度にまとめて消化しちゃうからもったいない。2日目のレガシーに出たくて予約してたから、しょにぽん(初日落ち)のほうがよかった可能性すらある。」

市川「ノーマネーで終わるんだったらレガシーに出ときゃよかった、ってなるよね。本戦に出たのがもったいなかった、って気持ちになるのはさすがにちょっと。
今やってる店舗予選とかプレミアム予選に人が集まってないという話も聞いているので、この大会に出たい! と思う人が増えるように、うまくいってほしいと思ってます。」

覚前「できれば3か月に1回くらい、こういう大会やってくれたらうれしいですね。2年半ぶりとかだと、モチベーションの維持が……。」

――2023年の3月にサイクル2、その後サイクル3があるはずなので、どんどん開かれていくと思います。チーム戦もあるのではないかと。

覚前「チーム戦はぜひ出たいですね。」

――最後に、大会以外で何か思い出などはありますか?

市川「大会後に公式YouTubeのインタビュー受けて、森山(真秀)君と一緒にいたんですけど、『調整はどんな感じでしたか?』って聞かれた森山君が、『瀬畑(市川)さんはずっとマジック以外のこと話してて面白かったです』って答えて、その時点でおいおいこいつやべーなと思って黙って聞いてたんですけど(笑)、インタビュアーに『瀬畑さんの話の中で1つ面白かった話してください』って言われて『いや、ここでお話しできるようなことは何もないです!』」

全員「(笑)」

市川「どんだけやべーやつ扱いなんだと。完全に仕立て上げられたなと思いましたね(笑)。あながち間違いじゃないとはいえ、さすがに話せる範囲でなんかあるだろ!」

――八十岡さん的には、調整中の市川さんってどんな感じなんですか?

八十岡「ずっとロータス回してましたね。」

市川「気づいたら5リーグ、25マッチやってました。でも『ロータスどう?』とか、そういった質問は一切なく、誰一人見向きもしてくれなかったんでちょっとさびしかったです(笑)。」

――誰も触れてくれないのにそんなに回してたってことは、そうとう気に入ったんですね。

市川「一人回し要素が強いんで面白いです。僕も今まで真剣に回したことがなかったんで、『ここから行くとこう無限になるのか』とかルートが増えたり、発見がすごいあって。ただまあ、回していくと穴も見つかってそれを改善する余地もないんで、強いデッキではないなと。」

 

 

 

●次の大会に向けて

――2月のプロツアー・フィラデルフィアもパイオニアということなので、まだしばらくパイオニアをやることになりそうですね。

市川「さすがに禁止改訂ありそうだけどなー。」

八十岡「でも世界的に見たらいろんなデッキ勝ってるし、どうかな?」

覚前「あんまり意識してなかったけど、環境を支配してるって言えるほどのデッキは正直いないかなと。」

市川「デッキは散らばってるけど、環境はずっと変わってなくて停滞してるから。」

八十岡「何か禁止にしてもそれが消えるだけだから、解禁したほうが環境変わるんじゃないかな。」

――たとえばどういうカードを解禁してほしい、とかありますか?

八十岡「個人的にはインバーターコンボに戻ってきてほしいけど、普通に無理そう。《隠された手、ケシス》とか《軍団のまとめ役、ウィノータ》とかは、別にいても困らないかな。今のパイオニア、スタンダードとやってることがそんなに変わらないから、もう少し刺激のあるデッキが出てほしい。スタンではコンボがあんまり許されてないから、せめてパイオニアではドカンとやりたいなと。」

隠された手、ケシス軍団のまとめ役、ウィノータ

――そうすると、パイオニアは環境が変わるかもしれないし、今はマジック的にすることがなくて暇ですね。

八十岡「まあいつも12月はマジックのオフシーズンなんで。アリーナのイベント出たり、ラストサン(The Last Sun2022)は解説します。」

――市川さんは2月までに体力をつけたい、という話でしたが。

市川「はい、シックスパックを目標にしてます。まあ、今日二郎(ラーメン)喰ったんですけど。」

八十岡「『今日ジム行ってきた』じゃないんだ(笑)。」

――二郎とジムは、響きが似てるけど全然違う……。

市川「二郎も相当なカロリーを消費するんで、スポーツですけどね。技術介入度もかなり高いんで、e-Sportsみたいなものです。みんなが不健康だと言うことに対して、一石を投じたい気持ちはあります。」

――なるほど……? じゃあ2月には、見違えるような市川さんが見られるのを楽しみにして……

市川「いや、2月はちょっと早いかもしれない。3月の横浜でお願いします。横浜はタンクトップで行くくらいの、気持ちを目指して……気持ちは大事なんで(笑)。」

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